砂漠をさ迷うの犬を「ヴィーナス」と名付けたのは、彼女を保護しようと手を尽くしていた、近隣の人々でした。
彼女が4月に砂漠に捨てられて以来ずっと、近隣の人々は餌やトラップを使って彼女を保護しようと努力しました。けれども、彼女には人間に対する不信感や恐怖がある様子で、決して自分から近づいてくることはなかった上、どのようなトラップも見事にかわす賢さも兼ね備えていたのです。
しかし、場所は気温37度を優に超える灼熱の砂漠。ヴィーナスは水たまりの泥水をすすり、体を冷やしてようやく生き延びている状態で、状況的にも体力的にも、猶予はなくなりつつありました。このままでは命の綱である水たまりも干上がりかねません。
5か月近い奮闘の末、近隣の人々はロサンゼルスに本部を置く保護団体「Hope For Paws」に救助を要請したのです。
Hope For Pawsは、ヴィーナス自身の体力、灼熱の砂漠という現場の状況を考え、普段は使わない方法を取ることを決めました。麻酔銃の使用です。その扱いに長けている、アンセル医師の同行を要請しました。
数時間かかったものの、アンセル医師は無事、ヴィーナスを無傷で眠らせることに成功し、メンバーはレスキューカーに運び込み、最低限の必要な医療処置を施すことができました。
点滴で水分や栄養を補給した上、保護前に負っていた足の怪我も、彼女が眠っている間に治療することができました。ぎりぎりの状況ではありましたが、こうしてヴィーナスの命は救われました。
彼女の状態が落ち着くと、メンバーは彼女を近くのモーテルに運びました。命の危機は脱したものの、いまだ危惧されていたのは、ヴィーナスの心の問題でした。
案の定、目覚めたヴィーナスは、最初のうちは不安そうでした。失われた信頼を取り戻すためには時間がかかる可能性もありましたが、それは杞憂でした。
その早朝、治療により元気を取り戻した彼女は、部屋のデスクに飛び乗り、差し伸べられたメンバーの手を受け入れたのです。
過酷な目にあってもなお、再び人を信じようという姿勢を見せた彼女に、メンバーは喜び、安堵しました。
ロスの本部でトリミングを受けた彼女は、美しく変貌しました。輝く白い毛並みはまさしくヴィーナスの名にふさわしく、年齢も1~2歳という若さと分かりました。
本来の姿と愛情を取り戻したヴィーナスは、一週間後にはジャーマンシェパード専門の保護団体に移り、三か月後には、無事に新たな家族を見つけることができたそうです。
<参考サイト>
hopeforpawscalifornia
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