反省っぽく見える犬の行動とは?
隠しておいたオヤツをこっそり食べたとき、ゴミ箱を荒らしていたとき、ティッシュペーパーを散乱させていたとき、テーブルやイスの木部をガシガシと噛んでいたとき…など、イタズラが発覚したらついつい大きな声を出して怒る飼い主さんは多いかと思います。
そんなときに、多くの犬たちは次のような行動を見せるのではないでしょうか。
◆あくびをする
怒っているときに「ふわ~」と大きな口をあけてあくびをする犬を見ると、「こっちは真剣に怒っているのに!」となんだか拍子抜けするものですよね。
人間にとってのあくびのイメージは、眠いときや疲れたとき、退屈なときにするもの。
そのため、「聞いていないんだろうか?」「怒られても怖くないのかな?」と飼い主さんとしては、これ以上怒り続けても無意味のような気がするかもしれません。
もちろん、人間と同じように犬も眠いときにあくびをしますが、犬が怒られている状況でするあくびはちょっと意味が違います。
飼い主さんに怒られている犬は「いつもの飼い主さんと違うな…」「大きな声でどうしたんだろう…」と怖さを感じています。
そんなとき、怖さを和らげるためにあくびをすることがあります。
犬のあくびには「気持ちを落ち着ける」という意味があるので、怒られ中にあくびをするなら緊張やストレスがMAXな状態と言えるでしょう。
また、犬界のボディランゲージではあくびをすることで「怒らないで落ち着いてね」と相手に伝える意味もあります。
犬のあくびは反省しているわけではありませんが「怒られている」ことはちゃんと把握しているようです。
◆目をそらす
犬の目を見つめながら怒っていると、プイッと目をそらすことがあるかもしれません。
犬が反省している姿にも見えるものですよね。
犬界では、相手とずっと目を合わせるのは、闘いの前触れ行動と言われています。
そのため、飼い主さんがじーっと自分を見つめながら怒っているのを「ケンカの始まり」のサインと勘違いします。
犬はケンカをしたくないので「こちらは闘いモードではありませんよ」という意思表示で目をそらすことがあります。
また、あくびと一緒で自分の怖い気持ちをクールダウンさせる役割もあります。
怒りモードの飼い主さんから目をそらすことで「困ったな~」「勘弁してほしいな~」と思いながら、「落ち着こう。落ち着こう」と必死で自分をコントロールしているのでしょう。
◆うつむく
犬が首を下げて下を向いてうつむく様子を言葉で例えるなら「しょぼん…」という感じですよね。
前足を揃え背中を丸めてうつむいている様子はまるで母親に怒られた人間の子供のよう…。
「ごめんなさい」「もうしません」のように、心から反省しているような雰囲気にも見えます。
そんな「しょぼん」とした様子を見ると、逆にこちら側が「怒り過ぎてゴメンね」と感じてしまうかもしれませんね。
これもあくびや目をそらすのと同じで、「怒られていて怖いな」「ドキドキするから飼い主さんの方を見ないようにして落ち着かせよう」という心理が働いています。
反省しているわけではないけれど、怒られているのは自覚しているかと思います。
◆降参ポーズをする
犬を怒っているとあおむけになってお腹を見せることもあるでしょう。
お腹を見せる行動は、犬の服従のサインとして有名ですよね。
お腹を見せる心理には「相手への信頼」「リラックスしている」「服従」などが含まれています。
ただ、人間の怒りに対してお腹を見せるのは恐怖のサインを送っています。
かなり緊張していて、「そんなに怒らないで」「こちらは降参しているから落ち着いて」という意思表示と言えるでしょう。
怒るたびにこんな調子だと、ちょっと気が弱い性格なのかもしれません。
あまりにも怒ると怖い思いをさせるだけなので、抑え気味にしてあげましょう。
◆飼い主さんの手を舐める
怒っているとこちらに近づき、飼い主さんの手や体をペロペロと舐める犬。
「ゴメンね」「自分が悪かったです」と飼い主さんのご機嫌を伺っているような、まるで反省している行動に見えるものですよね。
愛犬にペロペロと舐められるととても可愛いので許してしまいがちですが、反省しているのでしょうか。
飼い主さんが怒ったときに手を舐めてくるなら、「ごめんね」という反省の気持ちが含まれているでしょう。
ただ、実際には犬は自分の過ちを過去にさかのぼって思い出すことができません。
そのため、留守中の悪さや飼い主さんの目の届かないところで起こった出来事を時間差で怒られても、今怒られていることが「あのときのことだな!」とはまったく分かりません。
「怒らないでよ」「落ち着いて欲しいな~」というアピールなのです。
とりあえず「ごめんね」という気持ちでいるのですが、過去の出来事について怒っているなら、犬は理解していないので止めた方がいいのかもしれませんね。
本当のところはどうなの?怒られて反省しているの?
飼い主さんが一生懸命怒ると、うつむいたり、おとなしくしたり、「ショボーン…」とする愛犬。
うつむき加減に静か、まるで反省しているように見える愛犬を見ると可愛く見えて怒るのを止めたくなりますよね。
本当のところは反省しているのでしょうか。
◆怒られていることは理解している
飼い主さんが犬を前にして「これはダメなことだからもう止めてね」と説明をしながら怒っても犬は理由を思い返すことができません。
犬側の心理としては「早くこの恐怖の時間が過ぎて欲しい」という気分でしかないでしょう。
そのため、反省には繋がらないかと思います。
反省しているかのようなポーズは、実際に犬が反省しているわけではないのです。
ただ、「怒られている」といういつもと違う様子は分かっているようです。
◆現実逃避で「反省」とは違う
怒られていることは気づいているので、どうにかしてこの時間を切り抜けたい…という気持ちが働きます。
そんな思いから、「あくびをする」「目をそらす」など他の行動をすることで気持ちを落ち着かせ、現実逃避中しているのかもしれませんね。
多くの飼い主さんは、犬がうつむいたり反省した様子を見せると怒るのを止めるので、「飼い主さんが怒っているときにはこうすれば止めてもらえる」と学習していることもあるでしょう。
つまり、犬の反省しているように見える行動は「実際には反省していない」ということなのですね。
本当に反省させるコツとは?
怒っても反省しないというわけではありません。
犬を反省させるためには「怒り方」を間違えないようにするのが重要です。
◆怒るタイミングを間違えない
愛犬に留守番をさせたとき、飼い主さんが不在のときにあれこれとイタズラをすることもあるかと思います。
散らかったものや噛みちぎられた布きれなどを見るとびっくりするでしょう。
「どうしてこんなことをしたの?」と愛犬を問い詰めても犬には響きません。
なぜなら犬がイタズラをしたのは「過去」の出来事で、自分がしてしまったことは忘れているので、「自分は何をして怒られているの?」と戸惑う感情しか沸かないかと思います。
反省どころではありませんよね。
過去の出来事に対して犬を怒る行動は、無意味と言えるのかもしれません。
犬が「自分がしてしまったことは飼い主さんの怒りを誘う」ということを気づかないと反省もできないでしょう。
そこで大事なのはイタズラをした瞬間を目撃したとき、つまり「現行犯」のときだけ怒るようにすることです。
そのタイミングなら、犬も「これをしたから飼い主さんが怒っている」とはっきりと気づきます。
飼い主さんに怒られることは犬にとってはいい気分ではないので、「だったら止めた方がいいんだな」と反省してくれるでしょう。
何度か繰り返すと、やらないように学習してくれるかと思います。
◆叩くのはNG!
飼い主さんのことを信頼している犬を「しつけのため」とはいえ、叩くのはよくありません。
叩くと犬がイタズラを止めるのは、反省しているのではなくビックリして恐怖を感じているから。
さらにひどくなると、この人は叩く人と恐怖を感じ日常生活にも支障が出るでしょう。
「自分の身を守ろう」と飼い主さんに対して反逆心が芽生える可能性もあります。
せっかく築き上げた関係性が崩れることにもなりかねません。
叩いて怒ることは、犬の「恐怖心」「攻撃心」「ストレス」など、反省以上の良くないものを生み出すNG行動なので注意してくださいね。
◆低音で短く怒る
基本的にワンちゃんは低音が苦手で不快を感じます。
そのため、怒るときに甲高い声を出してもあまりピンときません。
それどころか、「飼い主さんは喜んでいる?」と誤解することも。
怒るときには、低めの声で「ダメ!」と一喝するのがいいでしょう。
犬が悪いことをしている最中なら「これをすれば飼い主さんがイヤな声を出すんだな」と結びつけて覚えます。
◆名前を呼びながら怒らない
愛犬にとって自分の名前は嬉しい響き。
多くの飼い主さんは名前を呼びながら「散歩だよ」「ごはんだよ」「遊ぼうね」と楽しいことに誘いますよね。
そのため、「自分の名前=楽しい前兆」と知っています。
しかし、名前を呼びながら怒ると「名前を呼ばれると怖いことが起こるんだ」と学習するように。
怒るときには、名前を呼ばないように気をつけてあげてくださいね。
◆怒り過ぎると犬の負担にもなる
犬がイタズラや悪いことをしたら「ダメ!」と短く短時間で切り上げてください。
長時間怒り続けるのは犬の恐怖を増やすだけです。
また、犬の性格も考えながら怒るようにしたいもの。
ふだんから気の弱い犬だと長く怒られるのは必要以上なストレスとなることも。
犬はストレスが溜まり過ぎると、体調面を崩すこともあります。
あまり負担をかけ過ぎないように短時間で怒るのがコツです。
また、犬が悪いことをしたからという理由で長時間無視をするのもあまりよくないでしょう。
犬は、過去にしたことを忘れるので長く放置され過ぎると精神的な負担になります。
「ダメ!」と一蹴する、お仕置き的に数分程度無視する…など、怒るときには手短にしましょう。
そして、怒ったあとには一緒に遊んであげるなど、「怒る」「褒める」「楽しませる」「リラックスさせる」とメリハリをつけてくださいね。
あまり「怒り」を引きずらないように怒り方に注意しましょう。
まとめ
犬の反省するポーズはとても可愛らしいもの。
ですが、反省しているようで実際には「怒らないでほしいな」と戸惑っているだけということが分かりました。
犬を反省させるためには、犬がどうして怒られているかを自分で気づくことが大事なので、時間差ではなく「悪いことをした瞬間」に怒るようにすべきでしょう。
また、大きな声で長々と怒るよりも、手短にビシッと伝えるのが上手な怒り方です。
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