1.犬にぶどうは絶対にNG!
2.なぜ、犬にぶどうを与えてはいけないのか
2-1.「ぶどう中毒」になってしまう
2-2.ぶどうの致死量
2-3.ぶどうの皮にも注意が必要
4.犬がぶどうを食べた時に現れる症状
4-1.腎臓への影響が懸念される
4-2.急性腎不全とは
5.犬がぶどうを食べてしまった時の対処法
5-1.まずはすぐに動物病院に相談
5-2.無理に吐かせたりしない
5-3.病院での処置や治療
【掲載:2019.09.11 更新:2022.11.17】
犬にぶどうは絶対にNG!
ぶどうには、ポリフェノールが沢山含まれており、ガンや動脈硬化の予防効果が期待できる果物といわれています。また、この中に含まれる「アントシアニン」という色素成分は、目の疲れや糖尿病による目の病気、視力回復にとって重要な役割を持っているそうです。
更に、ブドウ糖による疲労回復効果や脳の働きを良くする効果など、ぶどうの成分には人間にとって良いことが沢山つまっているように感じられますよね。
なぜ、犬にぶどうを与えてはいけないのか
◆「ぶどう中毒」になってしまう
犬にとってぶどうが有害な食材となり得るという説が広まったのは、十数年前という比較的最近のことです。
2006年、ダルメシアンがレーズンを食べて腎不全を起こした、という内容の論文が発表されました。他にも、ぶどうやレーズンを食べた犬が体調不良を起こしたという報告は多数あります。これらの症状を「ぶどう中毒」とも呼びます。
実は、犬がぶどう中毒を起こす理由、原因となる成分については、未だにはっきりとした答えが出ていないのです。
◆ぶどうの致死量
中毒となる原因成分が分かっていないため、有毒となる量、致死量などもはっきりとしていません。
しかし、目安とされる量も説かれているので、参考までに紹介します。
◎レーズン…体重1kgに対して11~30g
◎ぶどう…体重1kgに対して32g
この数値から例を挙げると、小型犬の平均体重5kgでいえば、レーズンは55~150g、ぶどうは160gが致死量だということになります。
体重換算なので犬種によって変わります。
大型犬の場合であれば、致死量に至る量を食べてしまうケースは低いかもしれません。これも明確ではありませんが、大型犬よりも中型犬、中型犬よりも小型犬の方が、中毒を引き起こす可能性は高いとも考えられます。
◆ぶどうの皮にも注意が必要
これも立証された説ではありませんが、ぶどうの皮の方が中毒となる成分の含有量が高いともいわれています。
ぶどうの仲間である巨峰やマスカットに対しても、同様に注意をしておきましょう。ちなみに、ブルーベリーはぶどうと似てはいますが、ぶどうの仲間ではないので、健康体の犬であれば与えても問題ないようです。
いずれにせよ、有毒成分が解明されていないことから、摂取量が前述した目安以下であっても、中毒症状を引き起こす可能性は十分に考えられます。例え一粒であっても、愛犬が体調不良に陥る危険性はあるのです。
明確な原因が分かっていない以上、愛犬が一粒も少量であっても口にしないよう努めることが賢明です。
日頃から、盗み食いできない環境を整えておくこと、犬のいる所でぶどうやレーズンを食べる時には落としたりしないよう注意することが大切です。食べさせないことが、一番の予防法といえるでしょう。
ぶどうだけでなく、レーズンもNG
この数値からも分かるように、ぶどうよりもレーズンの方が危険とされる値が高いです。これについては、レーズンはぶどうを乾燥させたものであるため、成分が凝縮されることで毒素がより強くなる、という説があります。
「カビ、重金属、農薬などに影響されている可能性は今のところ低い」との報告があることから、オーガニックのぶどうであってもその危険性に変わりはないようです。
また、
加工された食品であるレーズンクッキーやレーズンパン、干しぶどうの入っている食品、ぶどうジュースやワインなども、与えるべきではありませんね。
犬がぶどうを食べた時に現れる症状
犬がぶどうやレーズンを食べてしまった場合、主に以下のような症状が現れるといわれています。
- 嘔吐・下痢
- 食欲不振
- 腹痛で体を丸める
- 元気がなくなる
- 脱水症状
- 尿が出なくなる
症例として、その他にもさまざまです。
◆腎臓への影響が懸念される
犬がぶどうやレーズンを食べると、腎臓にダメージを受けるようです。
腎臓には、体内の毒素を除去する大切な機能があります。ぶどう中毒を発症すると、72時間以内に嘔吐や下痢の症状を引き起こし、食欲減退がみられて元気がなくなります。そして腎不全を発症するというケースが多いようです。
国内では、ぶどう中毒から急性腎不全を引き起こした例が報告されています。
◆急性腎不全とは
急性腎不全は、短時間で急激に症状が悪化して死に至る可能性のある恐ろしい病気です。重度の中毒症状により腎臓が破壊され、むくみや尿が出なくなるという症状が現れることもあります。
腎臓が破壊されることで、毒素の体外排出が不可となり、体内を有害物質が巡ることで尿毒症になる可能性もあるのです。尿毒症もまた、最悪死に至る危険性をもった恐ろしい病気です。
海外では、ぶどう中毒により急性腎不全となって死亡したケースが実際に数件報告されています。
個体によって中毒を起こす量が違うように、症状の出方も全く違います。中毒症状の出る時間も様々でしょう。摂取してから時間経過があった後に、発症する危険性も高く、症状を見逃すことが命取りとなるかもしれません。
飼い主さんは、常日頃から、愛犬が有毒物質を摂取しないよう注意しましょう。
犬がぶどうを食べてしまった時の対処法は?
◆まずはすぐに動物病院に相談
中毒原因がはっきりとしていないため、目安となる致死量も明確ではありません。症状の発症も個体により異なりますし、時間が経ってから急激に悪化する可能性も考えられるのです。
もしも愛犬がぶどうやレーズンを食べてしまったら、まずは動物病院に相談しましょう。すぐにかかりつけの病院へ向かうか、電話をして獣医師さんに相談してみてください。
分からないことだらけのぶどう中毒ですが、致死性のある中毒であることははっきりしています。
実際に過去の事例では、ぶどうやレーズンを食べた後、5~6時間後に嘔吐などの症状が起き、病院での治療を受けても4日で命を落としたという例があります。
「1粒しか食べていないから大丈夫」とは、決して思い込まないでください。少しでも異変を感じたら、一刻も早く病院を受診することを頭に入れておきましょう。
◆無理に吐かせたりしない
犬にぶどう中毒がある、という知識を身に付けていても、誤って愛犬が摂取してしまう事態も起きかねません。その場合、応急処置として「急いで吐き出させないと!」と飼い主さんは焦ってしまうかもしれませんね。
だからといって、家庭で無理に吐かせようとするとは別の危険を招く可能性があります。無理に吐かせようとすることで誤嚥し、死に至る場合も考えられます。誤嚥とは、食べ物・消化液が喉や気管に誤って入り込むことをいいます。これにより、呼吸困難となることがあるのです。
食べてしまった場合には、一旦病院へ相談するのが賢明です。
◆病院での処置や治療
動物病院では主に、血液検査にて数値を確認して、犬が食べた有毒物質を吐かせる処置が行われます。ぶどうやレーズン接種後30分以内であれば、注射・飲み薬などを使用して吐かせることができます。症状が出ていなくとも早めに処置を行えば、中毒症状が出る前に有害物質を取り除ける可能性もあります。
実際に施される処置の一例を参考までに紹介しましょう。
まずは胃洗浄を行います。これにより有害成分を除去し、消化される前に体外へ排出することで中毒症状を防ぐのです。そして、活性炭や下剤の投与を行い、体内に毒物が残らないようにします。
腎臓にダメージが残ってしまうと、現代の医療技術では完全回復は不可能だそうです。その場合は、症状の悪化を防ぐための点滴治療や対症療法が施され、長期に渡る通院が必要となります。症状によっては、入院も必要となるでしょう。
中毒を起こす以前のような生活を送るのは、難しくなるケースがほとんどのようです。
治療費に関しては、症状の度合いによって処置が変わるので一概にはいえません。ただしペット保険は、加入内容によっては使用可能な場合もあります。
犬のぶどうの誤飲を防ぐ方法
◆犬の近くにぶどうを置かない
愛犬が届く高さにぶどうを置かないことが大切です。リビングのテーブルの上など、もしかしたらの可能性がある場所には置かずに、キッチンや冷蔵庫の中など、簡単に手の届かないところにおきましょう。
また、ぶどうを食べている際に落としてしまった場合に、口にしてしまうワンちゃんもいるかもしれません。
拾い食いをしないように日頃のしつけをしておくのも安心でしょう。
◆ぶどう畑や家庭菜園に注意する
お散歩コースにブドウ畑や、ぶどうを家庭菜園をしている所があれば要注意です。
周りにぶどうが落ちているかもしれないので、お散歩コースを変えてみたり、小型犬であればブドウ畑の近くは抱っこで通るなど、工夫をすると良いでしょう。
犬とぶどうに関するまとめ
ぶどうやレーズンが犬にとって危険な食べ物であることは、少し前に分かったことです。玉ねぎやチョコレートに比べると、愛犬家の皆さんの中でもその知名度は低いといえるでしょう。犬を飼っている飼い主さんの中にも、この事実を知らない人は結構いるかもしれません。
中毒となる原因成分が分からない以上、犬に与えることは回避すべきことです。特にレーズンはぶどうに比べて小粒ですし、パンやお菓子などにさり気無く混ざっていることも多いですよね。
家庭での保管には十分に注意し、愛犬がイタズラしたり、盗み食いをしないよう配慮してください。飼い主さんが食べる場合も、決して愛犬には与えないようにしましょう。愛犬の入れない場所や高い場所で保管するなどして、万が一に備えることが大切です。
もしも食べてしまった場合には、すぐに獣医さんに相談しましょう。疑わしい症状が出た場合も、早めに病院へ行ってください。
発見や治療が早ければ、それだけ回復する可能性も高まります。
重症化した場合には命を落とす可能性のある危険な中毒症状であること、命を取り留めたとしてもそれまでの健康的な生活に戻れなくなるかもしれない、ということを忘れないでください。
人間にとっては無害の食材も、犬にとっては毒となるケースは沢山あります。基本的に、犬には犬用のフードやお菓子を与えることが安全です。人間用の食材を与える場合は、犬にとって有害でないか事前に調べるようにしましょう。
周囲や知人に、この事実を知らない飼い主さんがいたら、是非教えてあげてくださいね。
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