アイリッシュセッターってどんな犬?
◆アイルランドの鳥獣猟犬
原産国がアイルランドのアイリッシュセッターは、セターの中で最も古い歴史を持つ大型犬種です。別名を「レッドセター」または「アイリッシュレッドセター」とも呼ばれ、鳥銃猟犬として古くから親しまれていました。
アイリッシュセッターの名前は、狩りの際に獲物を見つけると、銃に当たらないよう座る「セッティング」から名付けられたといいます。
アイリッシュセッターの祖先は「レッドスパニエル」だと考えられており、テリア犬種やアイリッシュウォータースパニエルと交配させたことによって、ハンターとしての優秀な嗅覚や瞬足などの能力を身に付けたと言われています。
◆鮮やかで優雅な毛色「マホガニーレッド」
初期のアイリッシュセッターは、レッドとホワイト入った毛色が多く存在していました。
一方、現在のアイリッシュセッターの特徴とも言える抜群のスタイルと美しい被毛は、イングリッシュポインターやゴードンセターとの混血の影響だと考えられており、「マホガニーレッド」と呼ばれる鮮やかな毛色が優雅な雰囲気をより際立たせます。
JKCでは、この「マホガニーレッド」の単色だけが認められており、ホワイトの入ったものは「アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セター」という別犬種として区別されています。
◆ドッグショーでのアイリッシュセッター
アイリッシュセッターは、その容姿端麗な姿からドッグショーでも一際目立つため、評価が高まり、世界中で人気を集めました。長い飾り毛や優雅な振る舞いは、愛好家達から愛される理由の1つとも言えます。
アイリッシュセッターの性格は?
アイリッシュセッターは温厚な性格で、飼い主や家族に従順なので、家庭犬としても優秀な犬種です。陽気で明るいため、小さな子供とも相性が良く遊び相手にもなってくれます。
攻撃性は低く、他の犬やペットとも仲良くなれる社交的な性格ですが、猟犬の性質から屋外で動物を見かけると、追いかけようとする行動が見られることもあります。
しつけは難しくありませんが、おおらかな性格から少々時間がかかる可能性があります。一度覚えると忘れないため、トイレや吠えグセなどのしつけは子犬の頃からしっかりとすることをおすすめします。
アイリッシュセッターにはどんなしつけが必要?
アイリッシュセッターは大型犬のため、一度興奮してしまうと女性や子供では手に負えなくなる可能性もあります。飼い主だけでなく、家族でも静止させられるようなしつけが必要です。
◆待て
「待て」は、エサを与える前に必要なしつけでもありますが、興奮した際に落ち着かせるためにも大切なしつけです。
アイリッシュセッターは穏やかな性格ですが、個体によっては遊びから喧嘩になる可能性も考えられます。愛犬や相手の犬に怪我をさせないようするためにしつけをしておくと安心です。
◆散歩
散歩では、アイリッシュセッターが急に走り出したり、自動車などに反応して飛び出してしまうと危険です。大型犬のため力が強く、散歩中は周りに気を取られてしまうことも多々あります。
リードは短く持ち、走り出しそうになったら軽くリードを引っ張ることで周りから意識を逸らしてあげると、徐々に落ち着きを取り戻します。
◆しつけは根気強く!
アイリッシュセッターのしつけは、体罰・きつく叱るのではなく、おやつを少しずつ与えながら褒めて行うと早く覚えます。体罰は愛犬が反発しやすくなり、トラウマから信頼関係がなくなってしまいます。
なかなか覚えなくても、根気を持って楽しくしつけしてあげましょう。
アイリッシュセッターの迎え方・値段は?
アイリッシュセッターは、ペットショップでもあまり見かけることが少ない犬種です。
◆アイリッシュセッターの値段
アイリッシュセッターは、約15~20万円程の値段が平均だと考えられています。ペットショップでも取り寄せてくれる店舗もありますが、ブリーダーから入手することも可能です。
ブリーダーから入手する場合は、実際に会いに行って個体を選び、飼育状況や兄弟犬など遺伝子疾患や持病の有無を確認しておくと安定です。
個体の値段は、持病の有無や年齢、親族にチャンピオン犬がいるかによっても異なります。
◆アイリッシュセッターを迎えるにあたっての必要なもの
アイリッシュセッターを迎える場合、個体の値段だけでなく、ケージやトイレ、食器などの費用もかかります。
アイリッシュセッターは大型犬のため、特にケージや食器は大きなものが必要になります。大きなものになると値段も高額になり、他にもエサ、トイレシート、リード、しつけのためのおやつなどたくさん購入するものがあります。
また、ペットショップやブリーダーでは予防接種やマイクロチップの値段も含まれている可能性もあるため、個体だけでなく様々な費用がかかることを頭に入れておきましょう。
アイリッシュセッターの飼い方・注意点は?
◆たくさん運動させる
アイリッシュセッターは、猟犬のため運動量が多く、1日に最低でも30分の散歩を2回は行う必要があります。
運動不足はストレスになり、問題行動や肥満の原因にもなります。また、肥満は関節疾患や骨に負担をかけ、白内障や糖尿病などの病気を併発する可能性が高くなるので、日々の食事管理や運動不足には注意が必要です。
普段の散歩の他に、ドッグランでボール遊びやディスク遊びをしてたくさん走らせたり、プールで泳がせてあげたりすると喜びます。スポーツやアウトドアも一緒に楽しめるので、休日に家族でお出かけも良いでしょう。
◆広い飼育スペースを用意
アイリッシュセッターは大型犬なので、飼育スペースは広めに確保する必要があります。室外でも飼育は可能ですが、家族とのコミュニケーションを取りやすくするため、室内での飼育がおすすめです。
◆ブラッシングで被毛の手入れ
アイリッシュセッターは長毛なため、特に換毛期は抜け毛が多く、被毛の絡まりを防ぐためにも念入りにブラッシングすると良いでしょう。部屋やゲージの中もこまめな掃除が必要です。
美しい被毛を保つため、ブラッシングは最低でも3日に1度は行うことをおすすめします。
◆大型犬OKのトリミングサロンを見つける
シャンプーは1ヶ月に1度で良いですが、被毛が長く伸びると汚れやすく皮膚病にかかる可能性もあるため、トリミングサロンで整えてもらうと病気の予防にもなります。
大型犬の場合、トリミングサロンでは店舗によっては受け付けていない所もあるので、アイリッシュセッターであること、噛みグセの有無や性格などを伝えておくと、トリマーさんも安心してトリミングすることができます。
トリミング代は大型犬としての値段なので、シャンプーやカットを含めると1万円程かかる可能性がありますが、事前に電話で確認しておくことをおすすめします。
アイリッシュセッターの注意する病気は?
アイリッシュセッターの平均寿命は12~14歳ですが、大型犬に起こりやすい「胃捻転」や「股関節形成不全」には注意が必要です。
◆胃捻転
胃捻転は、エサのドカ食いや食後の激しい運動をすることによって胃が捻れてしまい、血流が止まり壊死してしまう病気です。
長時間放置してしまうと命に関わるため、食後に吐き気や落ち着きが無く動きまわるなど、いつもと様子が違うと感じたらすぐに病院を受診しましょう。
予防法としては1回のエサの量を減らし数回に分けて与える、スタンドを使って首元でエサを食べられるようにする、食事の前後は安静にさせるなどがあります。
◆股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節の異常から起きる病気で、多くは先天性で見られます。
症状は生後6か月頃から少しずつ現れ、子犬の頃は分かりにくいことが多い病気です。太ももが入るはずのソケットが小さく異常を起こすことで発症し、後天性では激しい運動や骨に大きな負担がかかることで発症しやすくなります。
肥満も股関節形成不全の原因になるため、食事管理や運動不足には注意が必要です。
◆進行性網膜萎縮症
アイリッシュセッターは進行性網膜萎縮症にかかりやすい犬種だと言われており、網膜の変質・萎縮による視力の低下や、最悪の場合失明することもある恐ろしい遺伝性の病気です。
よく物にぶつかる、夜の散歩で怖がるなどの症状が見られたら病院で検査をしてもらうことをおすすめします。
◆外耳炎
外耳炎はアイリッシュセッターのみならず、耳が垂れている犬種に起きやすい病気です。特に夏季は蒸れてしまい通気性が悪いため発症しやすくなります。
外耳炎は1度かかると再発しやすく、何回もの通院が必要になる可能性が高いため、日頃からのケアが重要です。ペットショップや動物病院などに売られているイヤークリーナーで定期的な耳掃除をし、家でシャンプーした際にはしっかりと水分を取ることが予防になります。
アイリッシュセッターについてのまとめ
美しい見た目から世界中で愛されるアイリッシュセッターは、古くから人間と共に暮らし親しまれていました。アイリッシュセッターは愛情深い性格でもあるため、コミュニケーションを取るほど深い愛情を返してくれます。
大型犬は、個体の値段や様々な費用がかかり大変そうだと、飼うことに戸惑いを感じる方も多いですが、アイリッシュセッターにはそれを上回る大きな魅力がたくさんあります。毎日の散歩やしつけは仕事をしていると大変と感じてしまいますが、帰った時に迎えてくれる愛犬を見ると非常に癒されます。
ペットショップで見かけたら、子供や大人にも良いパートナーとして最適なアイリッシュセッターを家族に迎えてみるのはいかがでしょうか。
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