映画「見えない目撃者」が2019年9月20日(金)より全国公開となります。スリラーという映画の中で、主人公の盲目の元警察官、浜中なつめを支える盲導犬のパル。劇中でも重要なシーンとなるところで活躍を見せるパルですが、実は本物の盲導犬ではないんです。
吉岡さんの相棒パルを演じるラブラドール・レトリーバーのパルちゃんに会いに行ってきました!さらに、指導を行ったドッグトレーナーの宮忠臣さんに撮影時のエピソードやパルに関すること、お家でペットと暮らす方へのアドバイス等さまざまなことを語って頂きました。
ペッスマ取材班の犬ちゃんがドッグトレーナーの宮忠臣(みや ただおみ)さんにインタビューしてきたよ!女子高生連続殺人事件というストーリーの中で、事件解決を手助けする勇敢な盲導犬を演じたパルをどうやって指導していったのか、撮影の裏側や宮さんから見た吉岡さんとパルの関係性を語ってもらったよ!! |
パルの採用理由は盲導犬らしさがなかったから!?
パル役を演じたパルちゃん、吉岡さんと共に犯人へと迫っていく姿すごく格好よかった!パルが今回採用された理由はなんだったの? |
実は、本当の盲導犬としての犬を選ぶのならパルみたいなタイプの犬は向いていないんです。盲導犬というのは、同じラブラドールの中でも「盲導犬」という犬種があるんじゃないかと思うくらい性格が違うんですよね。例えば、劇中で吉岡さんと歩いているシーンで本当の盲導犬だったら尾っぽ一つ振らないです。 |
でも、今回パルの一番の見せ場であるシーンを考えたときに吉岡さんをかばって吠えたり守ったりするシーンだと思ったんです。盲導犬に向いた犬の場合、絶対にそういうことは出来ないんです。だから、盲導犬には少し向いていなくともしっかりと吉岡さんを守ることのできるパルを選びました。 |
僕が作品を見たとき、パルは勇敢で頼もしくて盲導犬に向いているから選ばれたのかと思ったけれど違うんだね! |
盲導犬として使う犬、映画で盲導犬の役をさせる犬は同じというわけにはいかないんです。歩いたりするシーンで1頭、吠えたりするシーンで別の犬を1頭起用するなら別ですけれど、僕の場合は昔から1頭の犬に全てのシーンを演じさせてあげたいと考えています。今回の場合は、両方の役を完璧に求めず噛んだり吠えたりする方に重点を置いてパルを選びましたね。 |
役者犬パル誕生の瞬間
そう言えばパルは役名も本名も「パル」だけれど、本名に合わせた役名なの? |
いえ、役名に合わせて「パル」と名付けました。 |
役名に合わせてパルと名付けられたのはびっくり!でも、色々な名前で呼ばれていたら混乱しちゃうもんね。 |
劇中のパルはとても頼もしい盲導犬だけれど、普段のパルはどんな感じなの? |
盲導犬にはなれないようなやんちゃな子です(笑)やんちゃで甘えん坊で、でもそれが逆に良かったかなと思います。吉岡さんと歩くシーンで尾っぽを振って歩いていますけれど、それが観ている方からしたら自然な感じで一緒に仕事をしているのが伝わって良いかなと僕は思いました。 |
「盲導犬役」の犬を育て上げていくのは大変?
これまでさまざまな作品に携わり、役者犬を育ててきた宮さんだけれど「普通の犬」の役者犬と「盲導犬」の役者犬を育て上げていく違いってあるの? |
どの作品でも基本的なことを教えていくので大きく変わらないと思います。ただ、その仕事が盲導犬だったら盲導犬らしく役に合った訓練を重点的には教えたりします。今回は盲導犬としての最低の動き以外にも噛んだり吠えたりする訓練をしましたね。 |
盲導犬って本当は子犬の頃からパピーウォーカーっていう人達のもとで育てられていくんだよね。パルは成犬からのスタートだったけれど苦労はしなかった? |
盲導犬に向いた犬を探すことも、限られた時間の中で教えていくことも難しいです。でもその中で犬に学ばせることは可能です。「叱る」をどのように捉えるかは難しいですが、僕はある程度叱ってしつけをしていきます。「座れ」「伏せ」「待て」というのは全て命令ですよね。それを盲導犬だってそれが最初からできるわけではなく、教えていくわけです。そのためにはある程度叱っていかなければならないと思うんです。 |
でも「叱る」ときは言葉で叱ります。ただ「ダメダメ」って優しく言うのではなく「ダメッ!」と強く言うんです。甘やかすのでも手を出すのでもなく、言葉で叱るのは必要なんです。きちんと教えて出来たときにはしっかりと褒める、これはどんな訓練でも共通していることだと思いますね。 |
「叱る」と一言で言っても捉え方は違うものね。優しく言われても逆にわからないこともあるし、アメとムチじゃないけれど愛情を持って叱ってくれるのなら僕も大切なことだと思うな。 |
パルと吉岡さんの絆
作品を撮る前に犬と役者さんの交流の時間を設けるそうだけれど、吉岡さんとパルもそうやって絆を深めたの? |
時間は少なかったです。それでも撮影がうまくいったのは吉岡さんの性格の良さだと思います。犬はその人の性格を見ると言いますが、パルもとても吉岡さんを気に入っていましたよ。 |
そうそう、良い人はビビビッと感じて直感でわかっちゃうからね♪ |
撮影前に2回だけ東映の撮影所で2人は会ったんですが、2回目のときに吉岡さんは午前中に盲導犬の訓練所に行って実際の盲導犬と歩いてきた日で、撮影所に来てパルに会ったらいきなり「アイマスクを付けて歩きたい」と言われてすごく驚きました。パルも僕も自信がなかったので(笑)でも彼女はそれだけ度胸があるというか、それだけ仕事に対してやる気があるのだと感じました。 |
影役者の宮さんが苦労したシーン
作品を観ると吉岡さんがパルへ指示を出していてとても格好良かった!でも、撮影中に宮さんも見えないところでパルを支えてくれていたんだよね? |
そうですね。ある程度はパルに指示を出していましたが実際に歩くシーンなど、多くは吉岡さんに指示を出してもらっていました。 |
中でも、駅を駆け巡るシーンはすごくパルが吉岡さんをリードしていたよね!あれは撮影大変そう…(・_・;) |
実は、普段一般の方も使用される地下道で撮影をしたシーンなんです。周りを気にしなければならないし、走ってきたパルを止めなければならなかったし、苦労はしましたね。まっすぐの地下道だから指示を出すにも僕まで映ってしまうから近くにいられなくて。 |
あの緊迫したシーンはそうやって生まれていたんだね!苦労した分、宮さんの中でパルの一番注目して欲しいシーンは駅でのシーンになった? |
普段は何気なく吉岡さんのそばにいたり、一緒に歩くシーンが多いですが、パルが単独で動いて活躍をするシーンは駅でのシーンだけなんです。だからあのシーンはパルの一番の見せ場だと思いますね。 |
迫りくる恐怖の中で戦う吉岡さんとパルの姿、本当に手に汗握るシーンだったよ!!! |
ドッグトレーナーとして宮さんが心がけていること
さまざま作品を通して色々な動物と接してきたと思うけれど、常に心がけ、大切にしていることはある? |
何気ないことかもしれないですが、僕は1つの役に2匹の犬は使わないので、撮影期間の約2ヶ月間役者犬に何かあったら困るから健康管理にとても気を使います。代わりがいないということは、撮影が止まってしまう訳ですから。例えば、食欲やうんちの状態、元気があるかないか常にチェックをしています。 |
ある程度ハードになってきたら監督にストップをしっかりかけられるようなトレーナーでなければ絶対にダメです。言われたままにしていると犬が潰れてしまいます。犬にとって負担になってしまうことは止められないと。今は経験も年齢も重ねて来たから言えるようになりましたがこの世界に入ってすぐの頃は言えなかったんですよね。それだけ犬に負担がかかってしまっていたということなんです。そうすると犬が演技をしなくなって悪循環にもなるわけです。だからダメなものはダメとしっかり伝えて、監督やカメラマンと相談して他の撮影方法を考えて撮ってもらえるように心がけています。 |
宮さん、素敵なお話をどうもありがとう!すごく勉強になるお話ばっかりだったし、本当の裏側をしれた気がするよ。犯人に立ち向かう吉岡さんとパルの活躍をみんなも劇場でチェックしてね!! |
出演:吉岡里帆 高杉真宙
大倉孝二 浅香航大 酒向 芳 松大航也
國村 隼
渡辺大知 栁俊太郎 / 松田美由紀
田口トモロヲ
監督:森淳一
脚本:藤井清美 森淳一
音楽:大間々昂
主題歌「ユラレル」みゆな (A.S.A.B)
Based on the movie ‘BLIND’ produced by MoonWatcher
企画・制作プロダクション:ROBOT・MoonWatcher
幹事・配給:東映
R-15指定
(C)2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ (C)MoonWatcher and N.E.W.
公式HP:http://www.mienaimokugekisha.jp/
公式Twitter:@mmokugekisha
公式Instagram:@mmokugekisha
– おすすめ記事 –
・コーギーたちの大冒険!映画『ロイヤルコーギー レックスの大冒険』10月25日公開 |
・映画『ペット2』で新キャラクターを担当!愛猫を溺愛、無類の動物好き内藤剛志さんにインタビュー |
・映画「柴公園」の主演を務める渋川清彦さんに作品秘話や相棒柴犬のあたるについてインタビュー |
・盲導犬になれなかった犬はどうなる?キャリアチェンジ犬として生きる犬達 |