【掲載:2018.07.23 更新:2026.07.10】
盲導犬になるには?

盲導犬とは、視覚障害を持つ方の目的地までの移動を、安全に行うサポートをする補助犬のことをいいます。
訓練や適性判断、厳しい試験を合格しなければ、盲導犬にはなれません。盲導犬になれるのは全体の約3割だといわれています。
◆盲導犬としてのテストや訓練
パピーウォーカーという言葉を聞いたことがあるでしょうか?近年テレビなどのメディアや映画などで盲導犬が取り上げられることも増えたので、知っている方が多いでしょう。
盲導犬候補の子犬は、生後約2ヵ月から1歳までの間をパピーウォーカー(仔犬飼育ボランティア)と呼ばれるいわゆる一般家庭で過ごします。これは、社会性が養われる大切な期間に家族の一員となり、愛情を注がれることで「人間と一緒にいることが楽しい」と自然に考えられるようにするためです。
そして1歳になると盲導犬協会に戻り、以下の様な盲導犬としてのテストや訓練が始まります。
これらの段階を踏んで合格できた犬だけが盲導犬になれるのですから、勿論盲導犬になれなかった犬達は沢山います。
◆盲導犬になれなかった犬はどうなる?
ここで気になるのは、全体の約7割に及ぶ、盲導犬になれなかった犬がどうなってしまうのか?という点ですよね。
まさか保健所に行くのか…と心配になる方もいると思いますが、そんなことは決してありません。
盲導犬になれなかった犬には、それぞれに新たな道が用意されています。協会によって呼び方に違いはありますが、盲導犬になれなかった犬を「キャリアチェンジ犬」と呼びます。
それでは、盲導犬になれなかった犬はどのような道へ進んでいくのか、キャリアチェンジ犬について紹介していきましょう。
キャリアチェンジ犬とは?
身体的懸念や稟性的(性格)に盲導犬に向いていないと判断された候補犬、いわゆる盲導犬になれなかった犬を、キャリアチェンジ犬(協会によってはリジェクト犬)と呼びます。これは、進路を変更するという意味合いから付けられた名称です。
キャリアチェンジ犬となった犬達は、それぞれの性質にあった環境のもとでその後生活することとなります。
◆キャリアチェンジ犬の主な進路
キャリアチェンジ後の主な進路には、以下のような例があります。
このように、盲導犬になれなかった犬にはキャリアチェンジ犬として新たに活躍できる、幸せになるための進路が用意されています。
◆キャリアチェンジ犬の魅力

キャリアチェンジ犬と聞いて、盲導犬になれなかった犬だから頭が悪いの?という考えを巡らせる方もいるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。
確かに、稟性的に問題があると判断された場合や訓練期間が短い状態でキャリアチェンジ犬となった犬には、それぞれに理由があります。活発過ぎる・人や動物を怖がる・警戒吠えをする、などが主な理由に挙げられてはいますが、盲導犬候補の血統であることに変わりはありません。
基本的なしつけが施されていると考えると、家庭犬としてはこの上なく向いているといえるでしょう。
キャリアチェンジ犬の飼育ボランティアになるには?
キャリアチェンジ犬の飼育ボランティアが募集されているので、盲導犬になれなかった犬を引き取りたい!と考えている方は各協会のホームページなどを確認してみましょう。
譲渡条件も様々ですが、一例を挙げますので参考にしてください。
◆キャリアチェンジ犬飼育ボランティア基本条件の例
室内飼育ができる
盲導犬候補犬は、育成プログラムにより子犬の頃から室内飼育で生活しています。室外飼育となることで、疎外感から問題行動を起こす可能性があるそうです。
このため、室内飼育可能な家庭が条件のひとつとなります。
留守がちでない家庭
キャリアチェンジ犬は人の側にいることが大好きなので、安心した生活を送るためにも、留守がちでない家庭であることが条件になります。
節度ある愛情で飼育できる家庭
適切な食事・運動による体重管理や、ワクチン・フィラリア予防などの健康管理、被毛の処理などの日常的なケアに十分留意できることも条件となります。これはキャリアチェンジ犬に限らず、犬を飼う上では必要不可欠なことですね。
◆様々なルールが存在する
このように、キャリアチェンジ犬が余生を幸せに過ごせるように、各協会によってルールが定められてます。
例えば、キャリアチェンジ犬がパピーウォーカーの元へ戻れる場合もあれば、パピーウォーカーの引き取りを禁止している場合もあるのです。
他にも大型犬の飼育が認められている住居である、など複数の条件やルールが存在しますので、興味のある方は各協会の情報を必ず確認してくださいね。
キャリアチェンジ犬を迎えた「猫寺 御誕生寺」
福井県越前市にある、宗洞宗の禅寺「御誕生寺(ごたんじょうじ)」をご存知でしょうか?「猫寺」として全国的に有名で、メディアでもよく取り上げられているお寺です。
◆30匹近くの猫が暮らす猫寺 御誕生寺
この御誕生寺では、約30匹近い猫が自由に過ごしており、猫好きの間で話題になったことで猫寺として知名度が高くなりました。
2002年に御年91歳の板橋興宗住職が、段ボールに入れられた捨て猫4匹を保護したことが、この猫寺の始まりでした。その後、数十匹の猫が集まるようになり、現在30匹近くにまでなったそうです。
この猫で知られる御誕生寺ですが、現在ではなんと猫たちの中にキャリアチェンジ犬が仲間入りしているのです。
◆猫寺で暮らすゴールデンレトリーバー
猫寺に受け入れられたのは、ゴールデンレトリーバーの「アンディー」です。関西盲導犬協会より、盲導犬に向いていないと判断されたキャリアチェンジ犬でした。
盲導犬になれなかった犬とはいえ、アンディーは訓練を受けていたことから、大人しくて滅多に吠えない、そしてとても人懐こいという、とても優秀な子だそうです。
新しい居場所となった御誕生寺は、沢山の猫がいる環境ではありますが、アンディーはそれぞれの猫と適度な距離感を保ち、上手な付き合いをしているようです。猫にもそれぞれ個性があり、アンディーに擦り寄る子もいれば、遠くで見ている子もいるとのこと。
昔犬を飼っていたという副住職もアンディーをとても可愛がり、アンディーも副住職が大好きななようです。御誕生寺は、猫たちに加えてアンディーにとっても安住の地といえるでしょう。
◆第二の人生を歩むアンディー
現在では、参拝客の中に「アンディーに会いに来た!」という方も沢山います。キャリアチェンジ犬としてのアンディーの第二の進路は、ゆったりとした御誕生寺という空間で過ごす幸福な日々へと繋がっていたのです。
この猫寺に託されたアンディーのように、キャリアチェンジ犬は、決してただの盲導犬になれなかった犬ではないのです。
まとめ
各盲導犬協会では、パピーウォーカーやキャリアチェンジ犬飼育ボランティア以外にも、様々なボランティア活動や寄付金などのサポートを募集しています。興味のある方は、是非各協会のホームページなどを確認してみてくださいね。
立派な仕事を務める盲導犬への理解を深めることは勿論、キャリアチェンジ犬という第二の進路へ踏み出す犬達がいることを、もっと沢山の人に知ってもらいたいと強く感じます。
– おすすめ記事 –
| ・パピーウォーカーって?盲導犬候補を育てるお手伝いをするには? |
| ・盲導犬としても活躍しているラブラドールレトリバー、その理由は? |
| ・警察犬訓練士になりたい!その仕事と警察犬訓練士になる方法 |
| ・ドッグトレーナーになるために取得したい資格!訓練士との違いは? |










