1.ペットではない、猟犬としての柴犬の性格
7.
オスとメスでは性格にどういった違いが?
7-1.◆オスとメスではかかりやすい病気はない
7-2.◆オスの飼育が向いている人は?
7-3.◆メスの飼育が向いている人は?
ペットではない、猟犬としての柴犬の性格
柴犬の猟犬としての獲物はウサギなどの小動物が中心でしたが、山では鹿や熊など大型の動物に遭遇する機会もあり、自分の身を守りながら獲物を捕らえるために、柴犬は常に周囲を気にしながら生活する警戒心の強い性格となっていきました。
また、自分より上の立場と認めた人間に対しての忠誠心は強く、家族の中での優先順位をはっきりさせるような一面忠誠心は強く、家族の中での優先順位をはっきりさせるような一面をもっています。
そのため、主従関係を築けていない人間に対しては、威嚇や攻撃をしてしまう事も。柴犬は人や他の犬に対して一定の距離を保とうとする傾向が強いので、このような適度の距離感は「柴距離」とも言われています。
端的に言えば、柴犬の性格は、飼い主のような目上の人間には忠誠的でありつつも、頑固な一面もあり、基本的には自由気ままで本能的に行動するようなところがあります。
このような成り立ちを踏まえて、柴犬が他の犬と違う点をいくつか挙げていきますね。
柴犬はスイッチのオンオフが激しい性格?
柴犬は感情のスイッチのオンオフが他の犬種と比べて激しい傾向にあります。
そのため、柴犬は気性が激しいイメージを持たれる方も少なくないでしょう。
いきなり何かのスイッチが入った様に行動するのは、狩猟犬として不測の事態を乗り越えてきた名残であって、逆に飽きて急にスイッチが切れるのは、柴犬自身で物事を判断し決める事ができるからです。
更には、柴犬は1日あたり12時間から14時間程度は日中に眠っている時間を確保する傾向にあります。
これもまた、もともと夜に狩を行っていた名残で、昼間の敵から襲われない時間帯にしっかりと休息を取る必要があったからだと考えられています。
柴犬が撫でられる事や過度のスキンシップを好まないのもこういった要因が関与していると思われますが、医学的には柴犬は皮膚の神経が他の犬よりも多く発達しているからという説もあります。
筆者も幼少期の頃、尻尾を振ってフレンドリーに頭を撫でさせてくれていた柴犬に突然噛まれたという苦い経験があります。
きっと彼の集中力が切れて、怒りポイントに達するまで接してしまった事が原因なのでしょう。
過度なスキンシップが柴犬にとっては逆効果となることがこの話からも分かりますね。
日常生活の変化を好まない性格
柴犬は日々のルーティンワークを非常に重要視する犬です。
クレートや食事、散歩コースに至るまで自分が決めた物事の順序を忠実に守ろうとする傾向が強いです。
これは警戒心に加えて、日々与えられた仕事を忠実にこなしていくために、「同じ」ルーティーンである事を何よりも大切にする傾向があるからだと考えられています。
彼らのことを想って与えた新しい変化が、逆にストレスを与えていた、なんてこともありますので要注意です。
ご褒美のハードルが高い
ゴールデンレトリバーなどの好奇心旺盛でフレンドリーな犬種と比較して、柴犬はご褒美に対するハードルが高いと言われています。
例えば、フレンドリーな犬種は1個のおやつでも喜んでお手やお座りをしてくれるのに対して、柴犬は「特に好きなおやつ」でないとなかなか反応してくれません。
また、モチベーションが上がりにくくて、好きなおやつでさえもすぐに飽きて興味を示さなくなってしまうこともあるんです。
彼らが興味を示さないのであれば、それにあわせて一定の期間放って置くのも一つの手ですよ。
環境が変わる事で集中力が持続しない性格
環境の変化に順応出来ない犬は多いですが、柴犬はさらにその傾向が強いと言われています。これもまた、狩猟犬として生きてきたことが影響しているのでしょう。
飼い主の指示や一緒に行動する犬との連携行動を重要視してきて牧羊犬と違い、狩猟犬は飼い主の元を離れ、基本的に単独行動で狩猟を行います。
こうした生活をベースにしてきた柴犬は基本的に人からの指示が苦手であり、自立心を優先します。
そのため、飼い主などからの指示に対し極端に飽きやすい傾向にあります。
多くの犬は一般的に2分集中力が続けば良い方とされているのですが、多くの柴犬は2分と集中が持たない事も多いのです。
やはりこの点に関しても、熱しやすく冷めやすいという本能的な性格が影響していると考えられます。
決して柴犬の学習能力が低いわけではなく繊細な性格ゆえ、だということは付け加えておきます。
ですがこの性格のために、何かの拍子で突然怒り出したりしてしまうこともあるので、しつけの際には充分に柴犬の性格を理解した上で接していく必要があります。
メリハリをつけた接し方で、集中力を維持出来るような短期間のしつけを心がけていく必要があり、一度に多くの事を求めすぎない事も重要であるといえます。
新しいものには基本的に警戒する
好奇心旺盛な犬は新しいものに興味を示しやすいのにたいして、柴犬はまず警戒心から入ります。
飼い主がスキンシップの一環として新しいおもちゃや洋服などを色々と買い与えたものの、いまいち飼っている柴犬の反応が鈍いといった経験をされた方も多いかもしれません。
先にも触れた通り、柴犬は頑固で日々の日常を大切にする犬なので気に入ったものも大切にします。
興味がなさそうだからと次々と新しいものを与えるのではなく、1つのおもちゃで根気よく遊ばせることも気に入ってもらうための方法だと言えます。
オスとメスでは性格にどういった違いが?
オスは注意力がやや散漫な傾向にあり、意識が外に向きやすいです。そのため、活発でやんちゃな子が多い傾向にあります。
一方、メスは意識が内に向く傾向にあり、積極的に他の犬との接触を持たず、自分の居場所を守ろうとする傾向が強いです。これは飼い主に対しても同様で適度な距離感を大切にしようとします。
また、柴犬は一般的に他の犬と比べて運動量が多いので、日々の散歩時間は30分から1時間程度は必要になります。さらに、オスはメスに比べてより多くの運動が必要となります。
では、オスとメスではかかりやすい病気に違いはあるのでしょうか。
◆オスとメスではかかりやすい病気はない
基本的にオスとメスでどちらか一方が特定の病気にかかりやすいと言うことはなく、一般的に柴犬は健康で丈夫な犬種とされています。
柴犬がかかりやすい病気としては皮膚病が挙げられます。日本の四季に順応してきた経緯から寒暖の差には強いとされていますが、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎の発症は多くみられています。
他の犬種と比べて定期的なケアが欠かせないほどに被毛の量が多いといったことも要因として挙げられますが、運動量の少なさや、生活環境に順応出来ないといったそれぞれの環境によるストレスも皮膚病の要因の一つとなっているという報告もあります。
一度アレルギーやアトピーを発症してしまうと、その後の生涯に渡って治療やケアが必要となるケースも多いため、日頃のケアや柴犬にストレスを感じさせない飼育が重要と考えられます。
また、都心部では室内で柴犬を飼育しているケースが多いため、ドッグランへ定期的に出かけたり、住宅街での散歩時など他の犬と接する機会も多くあると思います。
犬同士での不要なトラブルを軽減させるためにも不妊去勢手術は1才未満でやっておくといいでしょう。
高齢になってから起こりうる病気の予防にも繋がるのはもちろんの事、発情時におけるストレスの軽減や、マーキングの抑制にも効果があるとされています。
デメリットとして手術後、ホルモンバランスや基礎代謝量の変化による体重増加が挙げられます。
これは柴犬に限らず全ての犬で言える事ですが、人と同じように犬も肥満によって生活習慣病や骨関節疾患などのリスクは上昇します。
体重のコントロールは食餌量の調整や運動量の増加でカバーできるので、予防を徹底していってほしいです。
丈夫な柴犬は大きな病気ひとつせず、非常に長生きすることも多いので、柴犬はいわゆる人の認知症のような症状が起こりやすい犬種でもあります。
中には20才前後まで生きる犬もいますが、15才を超えた辺りから次第に昼夜が逆転したり、夜泣きが激しくなるといったことや、寝たりきりになってしまう事で床ずれを起こす犬もいます。
そのような場合、飼い主の献身的な介助が必要となるケースも多く、飼い主の方が精神的な負担を強いられるケースもあることを考慮しておく必要があります。
幼少期から飼い始め、愛情を持って接してきた愛犬には健康で長生きしてもらいたいと誰もが望むことですが、長生きをすることで特に柴犬の場合では長期的にこのような場面に遭遇する可能性があるということも覚悟した上で飼っていただきたいと思います。
これらの特徴を踏まえた上で、結論としてオスとメスのどちらが飼いやすいのでしょうか。
筆者的にはオスとメスのどちらも優劣はつけ難いところです。
また、これから柴犬を飼いたいと思っている飼い主が求める柴犬像や生活環境によって答えも変わってくると思います。そのため、いくつかのポイントにまとめたいと思います。
◆オスの飼育が向いている人は?
まず、日々の散歩量を確実に確保できる人と言うのが条件に挙げられます。可能であれば1日に1時間30分から2時間程度の散歩が望ましいです。
また、過度なスキンシップはダメだとわかっていても、それでもある程度のスキンシップは大切にしたいという人にはオスの方がお薦めかもしれない。
飼い主と遊ぶ時間には好奇心を満たすような工夫をしてあげると、オスの柴犬特有のやんちゃさが最大限に引き出せるかもしれませんよ。
◆メスの飼育が向いている人は?
一方で柴犬自身の性格や自立心を重視し、一定の距離感を保ちながら温かく成長を見守りたいのであればメスの方が合っているかもしれません。
いわゆる“ツンデレ”的な可愛さ、大和撫子のような大人しく控えめな性格を柴犬に求めている人にはうってつけだと思います。
地方の番犬と言えば、今だに外の犬小屋で飼われている柴犬といったイメージが強いかもしれません。
柴犬本来の警戒心はオスに比べてメスの方が強いとされているため、そのような番犬としてのスタンスでの飼うことを検討している方にはメスの方が合っているでしょう。
これらの内容はあくまで過去に柴犬がどのように生活してきて、どのように人間と接してきたかを踏まえた一般論であり、一概に当てはまらない柴犬も増えています。
近年の柴犬は、生活環境や飼育環境の変化、幼少期からのしつけの徹底化により、プードルやゴールデンなど人気の洋犬のようにフレンドリーな性格を持つ柴犬も増えてきています。
また、オスメスに関係なく、警戒心がやや強いキャンキャンタイプと何をしても怒らないようなのんびりタイプに二極化している印象があります。
完全な私見ですが、体格の大きな柴犬にはおっとりしたのんびりタイプが多く、体格が小さくスマートな子は活発でキャンキャンした子が多い印象があります。
どの子も将来的にどのように成長するかを幼少期に把握するのは難しいでしょう。
まとめ
柴犬をこれから飼育しようと考える上で最も大切な事は、柴犬が人と接してきた歴史、本来の性格を理解し、柴犬にとってストレスのない環境を整えることだと思います。
柴犬は狩猟犬として人間と生活を共にしてきた賢い犬種です。
繊細であるが故に、確かに神経質で気難しい一面もありますが、そこが柴犬の可愛さでもあるといえます。
幼少期のしつけが成犬になってからの性格に多大な影響を及ぼすのは言うまでもありません。
飼い主自身の生活環境をベースとして、適切なしつけやトレーニングを行っていく事で、オスメスに関わらず柴犬の可愛さは倍増するはずです。
これから柴犬を飼おうとしている方は、柴犬特有の性格を把握し、生活環境にあった柴犬ライフを送って欲しいと思います。
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