1.犬にアロマを使用するのは危険なのか
1-1.アロマとは
2.アロマの効果と使い方
2-1.効果
2-2.アロママッサージ
2-3.芳香浴
2-4.しつけ
3.犬にアロマを使用する際に注意すること
3-1.正しい使い方をする
3-2.刺激が強い精油は使わない
3-3.子犬や妊娠中の犬
7.犬のこんな時に使えるアロマ
7-1.気持ちを落ち着かせる
7-2.かみ癖
7-3.無駄吠え
7-4.食欲亢進
7-5.関節痛
7-6.虫よけ
【掲載:2020.12.31 更新:2021.12.22】
犬にアロマを使用するのは危険なのか
犬へのアロマの使用は、適切な方法で行えば危険なものではありません。適切な方法とは、犬に合わせた用量で使用すること、刺激の強い精油を使わないこと、絶対に飲ませないことなどです。
犬は、アロマの主要成分であるアルコール類をゆっくりですが体外に排出できるといわれています。しかし、どんな成分でも代謝し排出できるわけではなく、代謝されにくい成分は体内に蓄積し中毒などを引き起こす危険があります。
犬に使用するアロマの歴史は浅く、まだ数十年です。精油が犬に及ぼす影響すべてが解明されたわけではありません。ご自宅でアロマテラピーを行うときは、犬に刺激の少ない精油を慎重に選び、犬に適した方法で行うことが犬の健康を守る上でとても重要です。
◆アロマとは
アロマテラピーとは、精油(エッセンシャルオイル)を使って、心身のトラブルを穏やかに回復し、健康や美容に役立てる自然療法のことをいいます。
精油とは、100%植物から抽出した香り成分を指します。精油は原液のままでは刺激が強すぎるため、体に塗るのでれば植物成分100%のオイル、スプレーにするなら無水エタノールや水、部屋に香らせるのでれば水で希釈して使用します。
アロマオイルとは、人工香料、アルコール、他の原料材料が加えられたオイルのことです。
ここでは、精油を希釈したものをアロマオイルまたはアロマと呼んでいます。
アロマの効果と使い方
犬へのアロマテラピーは、香り成分によってヒーリング効果があることはよく知られています。アロマで得られる効果はヒーリング効果だけではなく、健康や美容、しつけなどがあります。精油には実にさまざまな種類と効果があり、その時の気分や状態によって使い分けられることが魅力です。
ここでは、アロマの持つ効果と主な使い方をご紹介します。
◆効果
アロマの代表格であるラベンダーは、ストレス緩和、安眠、痛みや冷え性の緩和、除菌といった効果があります。ほかには、消化を促したり、痛みを和らげたり、不安解消など、数えきれない種類の効果があります。
精油の種類は200種以上あり、ひとつひとつの精油が複数の効果を持ちあわせています。得たい効果やオリジナルの香りを作るために、精油をブレンドして使うことも可能です。そのため、アロマの効果は無数にあるといえます。
好きな香りと得たい効果を持つアロマを使うことで、アロマテラピーがより効果的で心地よいものになります。
◆アロママッサージ
アロママッサージはストレスケアだけでなく、新陳代謝や疲労回復も促せるとても有効な使用方法です。 アロマのもつ自然な香りは、アロマテラピーを受ける側だけでなく行う側も内面から癒します。アロママッサージ後のうっとりとした愛犬をみれば、効果は一目瞭然でしょう。
手順
①精油をベースオイルで希釈します。作ったアロマをごく少量自分の手首につけ、マッサージを始める前に犬が香りを嫌がらないか確認します。拒否がなければマッサージを始めましょう。
②アロマを少量手に取り、両手でこするようにして温めます。
③犬の頭頂部からしっぽに向かってアロマをのばしながら塗り、上から下へ向かって体をさすります。
④アロマを十分に体になじませたら、耳の付け根を支えて後ろに引くようにマッサージします。耳はリラックス効果が高い箇所です。
小型犬は飼い主の顔を見上げて首が凝っているので、首も念入りにマッサージしましょう。
関節痛のある犬には、痛みがある関節を念入りにさすります。
※注意点
刺激となるので目、鼻、肛門などの粘膜に触れてはいけません。
マッサージの途中で犬が嫌がったら、すぐに中止しましょう。いやな思い出になって、アロマの香りで逃げ出すようになるかもしれません。
◆芳香浴
気軽に愛犬とアロマを使いたい場合、おすすめなのが芳香浴です。芳香浴のやり方は簡単で、コップに湯を入れてアロマを数滴落とす方法があります。コップのお湯を犬が飲まないように注意が必要です。
もっと効果を持続させたい場合は、アロマディフューザーを使用します。ろうそくや電気加熱するタイプよりも、超音波で拡散させるタイプの方が、熱によるアロマの変性を防げるのでアロマ本来の香りが楽しめます。犬が倒さないように、背の低いタイプにする、置き場所を工夫するといった配慮が必要になります。
どちらの方法も、長時間続けて使用しないようにしましょう。芳香浴は30分程度で終了し、複数回行うときは午前と午後に分けるなど、十分な時間をおいてから使用するようにしてください。
ハンカチやティッシュなどに少量を含ませて持ち歩く方法は、お散歩中でも楽しめるのでおすすめです。
◆しつけ
アロマはしつけにも有効です。なぜしつけに有効かというと、精油の持つ成分が副交感神経に影響し、交感神経を抑え、自律神経を整えるからです。
興奮が強く飛び掛かりなどがある犬は交感神経が優位になっています。落ち着かせるために副交感神経に作用するアロマを使いましょう。ラベンダーなど、香りを嗅いだ時にほっとするタイプのものを選べば大丈夫です。
アロマが気持ちの良い体験であると犬が認識していると、興奮状態のときに同じアロマのスプレーをするだけで我に返るような反応をみせます。心が落ち着けば、無駄吠えや飛び掛かりを抑えることができます。
また、トイレを失敗したとき、掃除した後に清涼感のあるペパーミントなどのアロマをスプレーとして噴射すると、マーキング効果を消す効果も期待できます。
犬にアロマを使用する際に注意すること
動物は体重が軽いほど薬物等の影響が出やすいので、人が感じる香りの感覚で精油をブレンドすると犬には容量が多すぎる場合があります。犬への精油の使用料は、人の25%から50%程度に抑えると安全です。
具体的には、100mlのホホバオイル等のベースオイルに、精油2~3滴が目安です。体重や年齢によって変更してください。アロマを初めて使う場合も、量を減らしてスタートすることをおすすめします。
犬の様子をよく確認しながら使用しましょう。うなる、よだれを垂らす、元気がないなどのいつもと違う様子が見られたら、すぐに使用をやめて動物病院へ相談することをおすすめします。
◆正しい使い方をする
精油の取り扱いに気を付けましょう。精油は、植物成分を自然界ではありえないほどに凝縮して作っています。そのため精油の原液はとても刺激が強く、人に使用する場合も取り扱いに注意が必要なものです。
絶対に犬に精油の原液を飲ませてはいけません。命に係わる事故につながります。精油には「LD50」という表示があり、これは体重1キロあたりどれくらいの精油を飲むと、半分の動物が命を落とすかという数値です。数値が小さいほど飲んだ時の毒性が強くなります。ちなみに一番毒性の強い精油バジルは、10mlのボトルを体重7.5キロの小型犬が飲むと半分の確立で命を落としてしまいます。
ちょっとこわい話になりましたが、原液を直接肌に塗る、特に粘膜に塗ることもやめましょう。
◆刺激が強い精油は使わない
犬は嗅覚が人の何倍も鋭いです。人がアロマを嗅いだ時に、刺激を感じるものは使用を控えましょう。犬への刺激はその数倍になります。
精油の中には、光毒性を持つものがあります。光毒性とは、精油成分の一部が紫外線と反応し皮膚に炎症を引き起こすものです。具体的には、グレープフルーツ、ベルガモット、レモンなどです。これらのアロマを使用した後は、お散歩を控えましょう。
また、皮膚に塗ると刺激を感じるものがあります。具体的には、イランイラン、ティーツリー、ペパーミント、ユーカリなどです。芳香浴やスプレー等で使用することは問題ありませんが、間違えてアロママッサージに使用しないように気を付けましょう。
◆子犬や妊娠中の犬
体重の少ない子犬には、アロマの影響が大きく出ます。生後半年まではアロマの使用を控えましょう。また、精油の中には子宮に刺激を与えるものもあります。妊娠中や授乳中の犬への使用も控えましょう。
愛犬の好きな香りの見分け方
人に香りの好みがあるように、犬にも好みがあります。アロマを使用する前に、少量を布にしみこませてどんな反応をするか試してみましょう。 犬が好きな香りの場合は、自分から近寄ってくる、クンクン嗅ぐ、なめようとするなどの行動をとり、目が輝いてきます。よい反応をするアロマを使用するほうが、より高いヒーリング効果を得られます。
反対に嫌いな香りの場合は、近寄ってこない、その場から立ち去る、顔をそむけるといった反応をします。人にはよいと感じる香りでも、犬も同じとはかぎりません。好きそうではない香りの場合は使用をやめ、時間をおいてから違うアロマを試しましょう。
精油の選び方と保管方法
皮膚に塗って使用するアロマは、精油で作ることをお勧めします。市販のアロマオイルには、犬の皮膚に塗るには向かない化学物質が入っている可能性があるためです。
精油とアロマオイルは同じような瓶に入って売られていることもあり、よく確認しないと実はアロマオイルだったということもあります。遮光瓶にはいっていて、ラベルにオーガニック認定マークがついているもので、成分が記載されており原産国と学名などが詳しく記載されているものを選びましょう。精油は高価なものなので、間違えて購入しないようにお気を付けください。
購入した精油は、しっかりと蓋をしめ、子どもや犬が触れない冷暗所に保管しましょう。火気は厳禁です。使用期間は、開封後半年から一年くらいが目安となります。
犬に使ってはいけないアロマ
刺激が強い理由で、犬への使用は控えた方がよいアロマ23種をご紹介します。
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アニス、オレガノ、ウィンターグリーン、ウォームシード、カラマス、カンファー、カシア、クローブ、サッサフラス、サンタリナ、ジュニパー、セイボリー、タイム、タンジー、バーチ、ビター・アーモンド、ヒソップ、マグワート、マスタード、ラベンダーストエカス、ルー、ワームウッド、ヤロー
これらのアロマは、人への使用もほとんどされていません。人への刺激があるものは犬にも使わないのが鉄則です。
犬のこんな時に使えるアロマ
安全な使用法がわかったところで、実際に場面別に使えるおすすめのアロマをご紹介します。
◆気持ちを落ち着かせる
ラベンダーは、気持ちを落ち着かせるだけでなく、光毒性や皮膚刺激などの心配がないためおすすめです。ほかに、サンダルウッド、ネロリ、ゼラニウムなどもおすすめです。
◆かみ癖
ペパーミントを希釈したものをスプレーで嗅がせる方法があります。注意点として、顔にめがけて吹きかけてはいけません。皮膚刺激のあるタイプのアロマですし、粘膜に付着してしまいます。犬は嗅覚が発達していますので、少し離れた場所でも十分効果があります。
噛んでほしくない場所に、犬が苦手なアロマを塗る方法もありますが、アロマ成分を口にしてしまう可能性があるのでおすすめできません。もしも行いたい場合は、犬が苦手な酢を薄めたもので代用しましょう。
◆無駄吠え
来客等10分前から気持ちの落ち着くアロマで芳香浴を始めて、愛犬の気持ちを落ち着かせる方法があります。落ちついた状態でのほうが指示が入りやすく、テンションが上がりすぎるのを防げます。
気持ちを落ち着けるラベンダー、気持ちをスッキリさせるペパーミントがおすすめです。
◆食欲亢進
柑橘類には、消化を促す効果があります。皮膚刺激がありますので、芳香浴での使用にしましょう。オレンジスイート、ベルガモットは優しい甘さの香りでおすすめです。
◆関節痛
アロマの持つ消炎効果が、痛みを軽減します。室内犬が悩みがちな関節痛に有効です。ラベンダーだけでも効果がありますが、スイートマジョラムを混ぜるのもおすすめです。
◆虫よけ
ハーブ由来のアロマは、虫が嫌いなにおいがするので虫よけになります。ラベンダーやユーカリを水に混ぜてスプレーすると、薬を使わずにの虫対策ができます。
まとめ
犬へのアロマの使用法を正しく理解すれば、ヒーリング効果だけでなく生活にも様々な効果を生むことが期待できます。アロマの正しい使い方を知り、愛犬との生活をより魅力的なものにしましょう。
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