穏やかな頑固もの!セントバーナードの魅力と飼うときの注意点を徹底解説

2024.01.25

穏やかな頑固もの!セントバーナードの魅力と飼うときの注意点を徹底解説

愛嬌のある顔とがっしりとした大きな体が魅力的なセントバーナードは、アニメや映画にも登場する人気犬種です。山岳救助犬として活躍した犬種で、温和で人懐っこい性格をしています。飼育には広いスペースを必要とするため、日本の住環境では飼いにくく、普段あまり見かけることはありません。馴染み深いのに実際には目にする機会の少ないセントバーナードについて、歴史、特徴、性格からかかりやすい病気まで詳細にご紹介します。

【目次】
1.セントバーナードとは
 1-1.歴史
 1-2.「アルプスの少女ハイジ」ヨーゼフのモデル犬
 1-3.セントバーナードの首に掛かった樽は何?

2.セントバーナードの特徴
 2-1.外見
 2-2.被毛
 2-3.大きさ、体重

3.セントバーナードの性格
 3-1.人懐っこく穏やか
 3-2.頑固で責任感がある
 3-3.子犬と成犬での性格の違い

4.セントバーナードの病気
 4-1.寿命
 4-2.かかりやすい病気

5.セントバーナードの価格相場

6.セントバーナードの飼い方
 6-1.環境
 6-2.散歩
 6-3.餌

7.セントバーナードのお手入れ
 7-1.ブラッシング
 7-2.シャンプー
 7-3.爪切り
 7-4.歯磨き
 7-5.耳掃除

8.セントバーナードのしつけ
 8-1.トイレ
 8-2.無駄吠え
 8-3.噛み癖

9.まとめ

セントバーナードとは

◆歴史

セントバーナード

セントバーナードはスイス原産

セントバーナードは、スイスとイタリアの間にそびえ立つアルプスのサン・ベルナール(Saint Bernard)僧院で育まれた犬種です。
「セント・バーナード」は、ドイツ語読みである「サン・ベルナール」を英語読みしたものです。
セントバーナードの先祖は、ローマ帝国で軍用犬として使役されていたモロシア犬とされています。
モロシア犬は、紀元前2世紀にはスイスアルプスに入ったと推定され、当時は番犬として飼育されていたようです。
17世紀に入り、深い雪の中もひるまずに進む体力や勇気のある性格、軍用犬として培われた探索能力が認められて改良が進みました。
現在のセントバーナードの基礎となったのは、この頃、サン・ベルナール僧院に寄贈された犬たちです。

救護犬として2,000人以上を救護

交通の要衝であったグラン・サン・ベルナール峠は、冬には気温-30℃、積雪は20cmを越えるという難所となります。
このため馬を使うことができず、急ぎの旅人は徒歩で越えるしかなく、遭難者が多かったのです。
サン・ベルナール僧院は遭難者の救護所でもあり、セントバーナードは救護犬として活躍していました。
20世紀までに、2,000人以上の遭難者を救護したと伝えられています。

絶滅の危機

セントバーナードは、アルプスの狭い地域のみで繁殖してきたため、近親交配が繰り返されました。
このため、遺伝性疾患が多く、短命な個体が増えました。
また、救護犬として働く中で命を落とすことも少なくなかったので、19世紀に絶滅の危機に瀕します。
この頃イギリスに渡り、ニューファンドランドと交配されたことで、存続の危機が回避されました。

◆「アルプスの少女ハイジ」ヨーゼフのモデル犬

日本では、アニメ「アルプスの少女ハイジ」で主人公ハイジの良き友人「ヨーゼフ」として登場し、人気となりました。
映画「ベートーベン」の主役を務めたのも、セントバーナードでした。
セントバーナードの中で最も有名な犬は、サン・ベルナール僧院で飼われていた「バリー」号です。
生涯に40人もの命を救ったと伝えられるバリーは、死後、剥製にされて、現在もベルンの博物館に展示されています。

◆セントバーナードの首に掛かった樽は何?

セントバーナードと言えば、首にかかった樽がつきものです。
樽の中身は、ブランデーなどアルコール度数の高いお酒でした。
極寒の雪山での遭難者の体を温めるために、度数の高いお酒を入れていたと言われています。


セントバーナードの特徴

◆外見

セントバーナードは、愛嬌のある穏やかな顔つきに、がっしりとした大きな体が印象的です。
骨格は大きく筋肉質で、大きめの垂れ耳と太くて長いしっぽが特徴です。

◆被毛

毛色は、ホワイトの地色に、レッドブラウンのまだら模様や胴体を覆うような「ブランケット」が特徴です。
レッドブラウンにブリンドル(虎のような模様)が入ったものや、黄色味を帯びたブラウンも認められます。
被毛は、下毛が厚いダブルコートです。
硬い毛が密集しているショートヘアード(スムースコート)と、直毛または少しウェーブのかかった長毛のロングヘア―ド(ラフコート)の2種類があります。

◆大きさ、体重

セントバーナードの体高は、オスで70~90cm、メスで65~80cmです。
体重は50kg~91kgで、100kgを超えることもあり、最重量の部類に属す超大型犬です。
過去最大の個体は「ベネディクティン・シュバルツヴァルト」号で、体高は99cm、体重138kgに達したとされています。


セントバーナードの性格

◆人懐っこく穏やか

セントバーナードは、おっとりとして温和、人懐っこい甘えん坊です。
賢くて飼い主に従順なので、トレーニングしやすい犬種です。
人間の子供にも愛情深く接し、他の犬や猫、人間の赤ちゃんとも安心して同居ができます。
一方で、繊細な面もあり、警戒心の強さもあります。

◆頑固で責任感がある

救護犬としての気質が残っていて、やり始めたことはやり遂げるという責任感の強さがあります。
自分で状況判断できる賢さがある分、納得できないことに関しては飼い主の言うことを頑なに拒む頑固さも持ち合わせています。
また、マイペースで興味のないことに対しては物覚えが悪い面が出ると、トレーニングに手こずる場合もあります。

◆子犬と成犬での性格の違い

成犬は穏やかなセントバーナードですが、子犬の頃にはやんちゃな子もいます。
しかし、ほとんどの場合、成長に伴って落ち着いてきます。
幼いときのトレーニングによって性格が大きく左右されるため、幼犬からのしつけが大切です。


セントバーナードの病気

◆寿命

セントバーナードの寿命は、8~10歳と大型犬としてはやや短命です。
心臓にかかわる病気の発症率が高く、個体差がかなり大きいです。

◆かかりやすい病気

股関節形成不全

そのルーツから遺伝性疾患が多く、特に股関節形成不全の素因を持つ個体が非常に多いです。
股関節形成不全の予防には、しっかりと運動して筋肉をつける必要があります。
体重の軽い子犬~若犬の頃には、特にしっかりと運動させます。

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肘形成不全

上腕骨、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)で形成される肘関節が、炎症を起こす遺伝性疾患です。
前足を上げて歩く場合には、動物病院を受診します。

軟口蓋過長、気管支狭窄

短頭種ではありませんが、短頭種に多い軟口蓋過長や気管狭窄が起こりやすい傾向があります。
呼吸の荒さが目立つ場合や、すぐ息切れして休むような場合には、動物病院を受診しましょう。

拡張型心筋症

心臓の筋肉が拡張して、血液のポンプ機能が低下する心臓疾患です。
初期は症状が出にくく、重症化すると呼吸が困難になり、命にかかわります。

胃捻転

中型犬から大型犬に多く、胃が膨れ上がってねじれてしまう病気です。
発症すると緊急手術になるので、予防が大切です。
水は一気に飲ませない、一回当たりの食事量を減らして回数を増やす、食後の激しい運動は避けるなどして、発症しないように努めます。

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前十字靱帯断裂

セントバーナードは、体重が重く四肢に負担がかかるため、膝の前十字靱帯断裂を起こしやすいです。
犬の膝関節は常に曲がっているため、歩いている時などに突然靱帯を断裂する恐れがあります。
地面に脚をつけないようにして歩くなど、歩き方に異常が見られたら、早めに動物病院を受診します。

腫瘍

セントバーナードは、骨肉腫やリンパ腫、組織球肉腫、血管肉腫などの腫瘍ができる可能性があります。
早期発見・早期治療が重要になるので、日頃から、腫れやしこりがないか全身をチェックするようにします。

外耳炎

外耳炎は、耳の中の細菌が増殖して炎症を起こす病気です。
垂れ耳のセントバーナードは、耳の中が蒸れやすく、細菌の繁殖がしやすい状態になります。
耳の中の匂いが変だったり、耳垢が増えたりした場合、耳を掻く仕草を頻繁に見せる場合には、動物病院を受診します。

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セントバーナードの価格相場

セントバーナードは、ペットショップで販売されることはあまりなく、ブリーダーからの入手が主です。
ブリーダーの数は比較的多く、その分、値段はさほど高額ではなく、最低で20万円、平均で30万円です。


セントバーナードの飼い方

くつろぐセントバーナード

◆環境

寒い地方原産なので、寒さには強いですが暑さには弱いです。
夏場、高温多湿になる日本では、室温管理ができる場所で飼育する必要があります。
超大型犬なので、寝たり寛いだりする場所だけでも、十分な広さを必要とします。
自由に動けるスペースも必要なので、十分な広さの住居でなければ飼えません。
さらに、太りやすい犬種なので、散歩以外にも動ける方がよく、室内外を行き来できる環境が望ましいです。
また、体が大きいため、食費、医療費、介護費用などの金銭負担が大きく、経済的な余裕がなければ飼えないでしょう。
日本の公共交通機関では、大型犬を一緒に乗せられない場合が多いです。
このため、車での移動が必要になる場合が多く、少し大きめの車も必要になります。
体が大きく力も強いので、ドアや柵は頑丈なものでなければなりません。

◆散歩

体が大きく、太ると関節に負担がかかるので、十分な運動量を必要とします。
毎日朝夕、それぞれ1時間以上の散歩が必要です。
一方で、関節に負担のかかる激しい運動はNGです。

◆餌

1回に食べる量が多いため、栄養価の高いドッグフードは肥満の原因になります。
低カロリー、低たんぱく、低脂肪のフードがおすすめです。
食いしん坊なので、トレーニングのご褒美としてオヤツを使うと効果的ですが、あげすぎには注意が必要です。


セントバーナードのお手入れ

◆ブラッシング

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購入

アンダーコートが厚いダブルコートなので、週3日以上、できれば毎日のブラッシング、換毛期には1日2回のブラッシングが必要です。
スリッカーブラシで余計な抜け毛を取り除いた後、コームで仕上げます。

◆シャンプー

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購入

月1回を目安に、シャンプーをします。
大型犬はうんちが軟らかめのことが多いため、お尻周りの汚れをこまめにチェックします。

◆爪切り

血管を傷つけないよう、先端から少しずつ切ります。
止血剤もあるとベターです。

◆歯磨き

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歯周病は全身の健康にも影響を与えるので、定期的な歯磨きが重要です。
また、よだれの多い犬種なので、口周りをこまめに丁寧に拭きます。

◆耳掃除

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垂れ耳で耳が汚れやすいので、こまめにチェックして、ウェットティッシュなどで耳の入り口部分を拭きます。


セントバーナードのしつけ

大型犬で力が強いので、幼犬の頃からのしつけが大切です。
「オスワリ」「マテ」「オイデ」などの基本的なコマンドは、幼いうちに覚えさせましょう。

◆トイレ

体の大きなセントバーナードは、トイレシートでの排泄を失敗しやすいです。
体の成長に合わせて、犬が十分に回転できる広さのトイレを用意します。

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◆無駄吠え

無駄吠えや攻撃性は少ない犬種です。

◆噛み癖

人間の手足を使って遊ばせると、将来の噛み癖に繋がります。
力の強いセントバーナードの場合、特に噛み癖がつかないようなしつけが必要です。

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まとめ

アニメや映画にも登場するセントバーナードは、大きな体と穏やかで人懐っこい性格のギャップに惹かれる人も多い人気犬種です。
小柄でも50kg以上という超大型犬のため、飼うには、かなり広い家と十分な経済力が必要です。
力も強いので、幼犬の頃からしっかりとしたしつけをして、飼い主さんがコントロールできるようにしておかなければなりません。
しかし、愛情深く、他の犬猫や人間の子供にも優しいので、きちんと条件をクリアして飼えば、素晴らしい家族になるでしょう。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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