1.犬にたまごを食べさせてもいいのか
1-1.加熱してあればOK
1-2.生たまごの白身は危険
2.たまごの栄養素
2-1.タンパク質
2-2.ビオチン
2-3.ミネラル
4.犬に与える際のたまごの調理法
4-1.ゆでたまご
4-2.スクランブルエッグ
【掲載:2022.03.02 更新:2022.12.21】
犬にたまごを食べさせてもいいのか
結果からいうとたまごは、犬に与えても問題ない食べ物だといえます。
ただし、与え方には注意が必要なのです。
たまごには犬の健康維持にとっても魅力的な栄養素が詰まっており、何よりその栄養価の高さからも理想的な食材だといえるでしょう。
これだけ聞くと積極的に与えたくなりますが、与える量と与える方法には十分気を付けなくてはならないのです。
一般的には、生たまごの場合は黄身なら問題ないが白身はだめ!とされています。そこにはどのような理由があるのか、紹介していきましょう。
◆加熱してあればOK
愛犬にたまごを与える場合は、加熱したものを与えるのが一番です。特に生たまごの白身には中毒の報告も挙げられているため、生で与えることは避けるべきでしょう。詳しくは後述しますので、しっかり確認してくださいね。
ちなみに新鮮な卵黄であれば、小さじ一杯程度なら与えてもよいとされているようです。
加熱処理をして与える際には、調味料や油などの使用は控えましょう。
目玉焼きにして与えたい場合は、お湯で蒸し焼きにするイメージで作ってみてください。黄身は半熟ぐらいの方が消化には良いですが、白身には十分に火・熱を通すよう注意してくださいね。
また、黄身は白身に比べて脂肪分が高いので、与えすぎるとカロリーオーバーを招きます。与える量に関しても、後に触れていきますので是非参考にしてください。
◆生たまごの白身は危険
たまごの与え方に注意が必要だといわれるのは、生たまごの卵白が犬にとって危険な存在となるためです。
生たまごの白身には、アビジンという成分が含まれます。このアビジンには、ビオチンの吸収を妨げる働きがあるため、大量に食べると、愛犬が食欲不振・無気力・皮膚炎などの症状を引き起こしてしまう可能性があるのです。なおアビジンは熱に弱いため、加熱した卵白に関しては犬に与えても問題はありません。
ちなみに卵黄にはビオチンが多く含まれているため、生の全たまごであればアビジンの影響は気にしなくてもよいとの見解もあります。
たまごの栄養素
与え方にさえ注意すれば、たまごは犬にとって必要な栄養素が詰まったスーパーフードとなります。
どのような栄養素が多く含まれているのか、チェックしていきましょう。
◆タンパク質
タンパク質は、良質な筋肉作りや被毛の状態を整える働きを持つ栄養素です。これがたまごには含まれています。人間にとっても健康のために必要不可欠な食材ですよね。筋トレをしている人がゆでたまごを食べている印象はありませんか?これはタンパク質を補うためなのです。
とくに動物性タンパク質は、犬の身体にとっても消化しやすい成分です。健康保持のためにも、欠かせない栄養素の一つとなるでしょう。
◆ビオチン
たまごに多く含まれているビオチン。これはビタミンB群の1つで、水溶性ビタミンに分類されます。ビタミンには水溶性と脂溶性があり、水溶性は尿に溶けて体内に排出されることが多く、脂溶性は体内に蓄積されやすいために、摂取量には注意が必要となります。
水溶性のビタミンであるビオチンは、消化・代謝をサポートする補酵素の役割をもっています。ブドウ糖・アミノ酸などの代謝に関わる酵素を助ける働きがあるので、皮膚・粘膜・神経を健やかに保つために必要不可欠な栄養素だといえます。
◆ミネラル
ミネラルとは、生物の体内に含まれる元素の中で、炭素・水素・酸素・窒素を除いた部分のことです。AAFCO(米国飼料検査官協会)では12種類のミネラル摂取基準を定めており、国内で販売されているドッグフードもほぼこの基準にならっているそうです。
たまごにはセレンが含まれていますが、これは強い抗酸化作用をもったミネラルです。老化速度を緩やかにしたり、ガン発生の抑制作用にも期待がもてるという、嬉しい働きをもった栄養素なのです。たまご1個につき、た卵白に約9μg、卵黄に約10μg含まれているといわれています。
犬がたまごを食べるメリット
たまごは犬にとって魅力的な栄養素が詰まったスーパーフードであると紹介してきました。では、実際に愛犬にたまごを与えることで得られるメリットとはどんなものなのでしょうか。
- 皮膚・筋肉・被毛など全身に必要なタンパク源になる
- 酵素の働きにより新陳代謝が良くなり、皮膚病の予防に効果的
- ビタミン・ミネラル補給の手助けとなる
たまごには犬の健康づくりに欠かせない栄養素、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなどがバランスよく含まれています。
中でも、タンパク質は全身のあらゆる箇所の健康維持に必要なもので、体内でアミノ酸という形に分解されます。犬が食事から摂る必要のあるものを必須アミノ酸といいますが、この必須アミノ酸の10種類がたまごには含まれているのです。たまごは、皮膚・筋肉・被毛など全身に必要なタンパク源になってくれる
というわけですね。
そしてビオチンには、前述したように酵素の働きを高める効果があります。酵素の働きによって新陳代謝が良くなるため、皮膚病の予防にも効果的であるといわれているのです。
さらにビタミンやミネラルが豊富な点から、愛犬の手作りごはんの材料としても適した食材だといえます。
犬に必要な栄養素として、ビタミンA・ビタミンB2・ビタミンD・葉酸・鉄・ナトリウムなども挙げられますが、たまごを使った手作りごはんのレシピにおいて、これらの成分が補えていることが多いとの調査報告があるそうです。
手作り食はドッグフードと比べて栄養バランスを取るのが難しいのですが、たまごを使うことでビタミン・ミネラル補給の手助けとなるかもしれませんね。もちろん、全てを補えるわけではありませんので、毎日ではなく、タンパク源をたまごにする日を決めて与えると良いでしょう。
犬にたまごを与える際の調理法
愛犬にたまごを与える場合は、加熱することがすすめられます。前述したように、加熱することで生の卵白に含まれるアビジンの毒素をなくすことできるのです。
生の卵白は大量に食べなければ問題ないともいわれますが、可能な限り安全で安心な食事を愛犬に与えたいと考える飼い主さんは多いでしょう。
たまごには様々な料理法がありますが、犬に与える場合は味付けをするのは避けてくださいね。また栄養価の高い食品なので、ドッグフードのトッピングとして与える際には、フードの量を減らすなどして適量を与えるよう気を付けてください。
おすすめのたまごの調理法を二つ紹介しますので、参考にしてみてください。
◆ゆでたまご
加熱できて与えやすく、もっとも簡単な調理法でできるのがゆでたまごです。推奨されているのは固茹でですが、卵黄は生で与えても大丈夫だともいわれているので、半熟程度であれば与えても問題ないと思われます。
大型犬の場合は、たまご1個を半分に切り、1日2回に分けて与えましょう。あくまでも目安ですが、この位の量であれば肥満となる心配もありませんし、効率的に栄養素を摂り入れることできるでしょう。小型犬の場合は、与えるサイズに注意してくださいね。
茹でたまごを細かく切って、ドッグフードのトッピングとして使用するのもおすすめです。
◆スクランブルエッグ
こちらも簡単に作ることができるたまご料理の一つですが、犬に与える場合は油を引かずに作ってください。
茹でたまごのパサパサ感を苦手とする子も中にはいます。愛犬がそのタイプであれば、スクランブルエッグの方が向いているかもしれません。他の食材(無塩のしらすなど)を少量混ぜてあげると、バリエーションを豊かになりますし、愛犬も喜ぶでしょう。食いつきの悪い子も、抵抗なく食べられるかもしれませんよ。
ただし、調味料を使用した味付けや塩分の高い食材を混ぜるのは厳禁です。塩分過多となる可能性があるので注意しましょう。
犬にたまごを与える際に注意すること
とても魅力的な栄養バランスを備えているたまごですが、与え方には注意が必要です。
愛犬にたまごを与える場合は、分量・味付け・アレルギー、この三点に充分気を付けてください。
◆分量
1日に与えてもよいとされる量の目安は、体重1kgあたり5g程度とされています。小型犬なら約15g、大型犬なら約150gが目安となるでしょう。
一般的なMサイズのたまごが60g前後の場合、大型犬は1日に2個食べられる計算となりますね。
しかし、栄養バランスのよい食事をとれているのであれば、たまごを毎日与える必要はありません。食欲が低下している時や、おやつ程度に与えるのがよいでしょう。
たまごは栄養価の高い食材なので、与えすぎると肥満を招いたり、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。どの食材に関しても同じことですが、必ず適量を守りましょう。
◆味付け
たまごを与える場合は、料理の味付けに注意が必要です。紹介してきたように、油や調味料の使用は避けた方がよいでしょう。
人間であればたまご料理に、塩コショウや醤油、ケチャップなどをつけて食べる人も多いですよね。しかし、同じように犬用の食事を調理してはいけません。犬にとっては、味が濃すぎるのです。
味が濃く、塩分の高い料理は、愛犬の肝臓・心臓・腎臓などに負担をかけてしまいます。病気や体調不良の原因ともなり得るので、手料理を与える場合は味付けに充分気を付けましょう。
◆アレルギー
たまごがもつ栄養素はバランスがよく、正しい方法で適量を与えれば、身体にとっても健康効果の期待できるものです。
しかし、たまごに対してアレルギーをもつ人間がいるように、犬にもたまごアレルギーをもつ個体がいます。初めて愛犬にたまごを与える場合は、まずは少量を与えて様子をみましょう。なんの問題もないようであれば、前述した与えるたまごの適量を食べさせてあげてくださいね。
たまごを与えた愛犬にアレルギー反応が現れた場合は、すぐに獣医師に相談をしましょう。
まとめ
栄養素の宝庫で、犬の健康づくりにとっても魅力的な食材であるたまご。愛犬の健康維持のためにも、是非与えたい食べ物の一つだといえるでしょう。
しかし、与える際は基本的に加熱処理をすること、愛犬の体重に合った適量を与えることを徹底してくださいね。与え方は愛犬に合った方法を取り、たまごのサイズや調理方法も、愛犬の様子をみながら食べやすいように調整してみましょう。
たまごを使った手作りごはんのレシピはネット上でもたくさん紹介されています。使われている食材の栄養素について解説されている方もいるので、それらを参考にして愛犬にピッタリのレシピを探してみましょう。
愛犬がいつまでも元気でいられるように、飼い主さんの料理の腕をふるってみてください!
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