1.ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとは?
4.ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの寿命・病気
4-1.注意しておくべき病気は?
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとは?
警察犬として有名な犬種に、ジャーマン・シェパード・ドッグがいます。今回紹介するホワイト・スイス・シェパード・ドッグは正にジャーマンシェパードの白バージョンともいえる外見をもつ犬種です。
子犬時代はぬいぐるみのように可愛らしく、成犬となると非常に知的で愛情深く、飼い主さんに忠実なパートナーとなります。
さらに、その神秘的で凛々しい姿に魅了されている愛犬家さんは世界中におり、国内でも少なくありません。
人気の小型犬種と比べると珍しい部類に入るので、中々見掛けることは叶わない犬種の一つではありますが、その外見に加えて性格からも魅力の溢れる犬種なのです。
まずはこの犬種がもつ歴史をみていきましょう。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの歴史
JKC(ジャパンケネルクラブ)によるとホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、20世紀末に作出された、比較的新しい犬種だといわれています。
この犬種の初期の犬達は、1970年代初頭にスイスに輸入されたそうです。1966年3月に合衆国で生まれた牡犬「ロボ」が、スイスにおけるこの犬種の祖先犬となったと考えられているそうです。
この子孫がスイスのLOS(スタッド・ブック)に登録され、合衆国・カナダから輸入された他のホワイト・シェパードの子孫も、徐々に繁殖されていきました。このため、原産地は名前の通りスイスとなります。
今日では、純血犬種として数世代に渡って繁殖された、多数のホワイト・スイス・シェパード・ドッグがヨーロッパ中におり、そのため1991年6月以降、新犬種としてスイスのLOSの付録に登録されました。
元々はジャーマン・シェパード・ドッグから派生した犬種のため、よく似た外見をもっていますが、ジャーマン・シェパード・ドッグには白い被毛が許されていませんでした。そのため白い子犬が産まれた際には、すぐに処分されてきたという大変痛ましい過去もあります。
これに疑問を抱いたアメリカ・カナダのブリーダーが、ジャーマン・シェパード・ドッグから生まれた白い毛色の個体を集めて、アメリカン・カナディアン・ホワイトシェパード・ドッグを作りだします。そしてさらにスイスで改良が加えられ、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとなったそうです。
ジャーマン・シェパード・ドッグの足腰の弱さを改善し、アメリカン・カナディアン・ホワイト・シェパード・ドッグよりも性格を温厚にし、被毛をより白くなるようにと、正に良いとこ取りといった改良を重ねられてきました。
ちなみにJKCでは2004年に、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグを公認犬種として登録していますが、アメリカン・カナディアン・ホワイトシェパード・ドッグは公認されていないとのことです。
一方、一般社団法人日本ホワイトシェパード犬協会(JWSA)では、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとアメリカン・カナディアン・ホワイトシェパード・ドッグの両方が、ホワイト・シェパードとして公認されています。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの特徴・性格
真っ白な被毛に、筋肉質でほどよくしっかりとした骨格、立ち耳で長毛のダブルコートの被毛をもち、調和のとれたエレガントな外貌をしているホワイト・スイス・シェパード・ドッグ。
平均体重はオスが約30~40kg、メスが約25~35kg、体高はオスが約58~66cm、メスが約53~61cmと、体重・体高ともにサイズには振り幅があります。
歴史の浅い犬種であり個体差も大きいといった理由からも、良いタイプの個体に関しては多少のオーバーサイズ・アンダーサイズが認められているようです。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、基本的に飼主に忠実で知的であり、落ち着きのある優しい性格をしていることが多いです。
また、好奇心や見知らぬ人に対する警戒心が強い一面ももっています。ジャーマン・シェパード・ドッグのような攻撃性はないといわれていますが、多少神経質であるという特徴もあるようです。
相手の様子をじっくり観察できる冷静さを持っているので、警戒心があってもすぐに攻撃的な面を出すタイプではないのですが、大型犬ということから周囲の人が恐怖を抱いたり、本人に悪気がなくても他の犬や人に怪我をさせてしまう可能性があるということは頭に入れておきましょう。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの寿命・病気
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの平均寿命は、約10~14年程といわれています。
足腰の弱さを改良された犬種なので比較的丈夫だとはいわれていますが、新犬種でもあるため不明点が多いのも確かです。遺伝疾患やかかりやすい病気は、今後新たに明らかとなる可能性も捨てきれないでしょう。
また、皮膚や胃腸は弱い傾向にあるともいわれています。大型犬特有の病気にも注意しておく必要がありますね。
性格的に寂しがり屋の個体も少なくないようです。外見は番犬としても活躍しそうに見えますが長時間の留守番をさせたり一人の時間が多いと、ストレスから下痢を起こしてしまうかもしれません。このような飼育環境は、極力避けた方が良いでしょう。
◆注意しておくべき病気は?
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグが、かかりやすいといわれている病気をチェックしておきましょう。
股関節形成不全
股関節が正常に形成されずに、歩行に異常が現れる病気。成長期に発症することが多いとされている。
関節炎
関節の軟骨が摩耗・変形してしまい、痛みを伴う炎症が起こる。若齢期から発症するケースもある。
皮膚疾患
皮膚に炎症が起こり、いつでも発症する可能性がある。様々な要因が考えられ、アトピー性皮膚炎であれば年間を通して注意が必要。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの毛色
ストレートで中程度の長さで、寒さに強いダブルコートの被毛が特徴的なホワイト・スイス・シェパード・ドッグ。
真っ白な美しい毛並みが魅力の一つでもあることから、毛色はホワイトのみに限定されています。
ちなみに被毛は、ミディアムコート・ロングコートの2種類に分けられています。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの飼い方
その外見と性格からも魅力たっぷりのホワイト・スイス・シェパード・ドッグ。家庭犬としても人気の犬種ですが、家族として迎え入れるためにも、事前に飼い方をチェックしておきましょう。
◆食事
胃腸がデリケートだといわれるホワイト・スイス・シェパード・ドッグには、穀物不使用で消化の良いフードを選ぶことがすすめられます。
皮膚も弱い犬種として挙げられるので、EPA・DHAなどの、皮膚バリア機能を維持できる栄養素が配合されているドッグフードを選ぶと良いですね。
特に子犬の時期には、成長に必要なタンパク質・ミネラル・脂質・ビタミン類などの栄養素がしっかりとれるよう注意しましょう。
この犬種に限ったことではありませんが、ドッグフードには犬種やライフステージに合ったものを選ぶことが大切です。
与えるドッグフードのパッケージを参考にして適切な量を与え、愛犬の様子をみながら調整して食べさせましょう。子犬は1日分を3~4回ふやかして与えること、成犬では2~3回に分けて与えることが基本的な食事の与え方です。
◆散歩
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、たくさんの運動量を必要とする犬種です。
散歩は1回1時間程度を目安として、1日2回は欠かさずに行いましょう。単調な歩きに加えて、ランニングも行うのがおすすめです。さらに頭を使う遊びで運動をさせると喜んでくれるでしょう。定期的にドッグランなどで思い切り走らせてあげる機会も、必ず作ってくださいね。
運動不足は欲求不満を招き、ストレスから健康被害・問題行動に発展する原因となります。十分な運動量・運動時間をとることが必要不可欠です。
明るくて活発な性格で、飼い主さんと一緒に何かをすることが大好きな個体が多いです。アジリティやドッグスポーツなどにも向いているので、興味のある方はチャレンジしてみるのもよいでしょう。
◆しつけ
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、飼い主さんの意図をよく理解し、指示を先読みして行動できるほどの賢い犬種です。飼い主さんや家族が悲しんでいる時には寄り添う、嬉しい時には一緒にはしゃいでくれる、というような性格なので家庭犬にはとても適しているのです。
しかし賢い分、飼い主さんをリーダーとして認識できなければ指示に従わなくなってしまう可能性があるということもしっかり認識しておきましょう。しつけが難しい犬種ではありませんが、飼い主さんが愛犬にとって理想的なリーダーとなることが重要なポイントです。
しつけの際は、大きな声を出すなどしてコマンドを出すと萎縮してしまう場合があるので注意してくださいね。必要であれば、しつけ教室やプロのドッグトレーナーの手を借りることもおすすめです。
◆お手入れ方法
ダブルコートの被毛をもつことから、年に2回の換毛期で春と秋には抜け毛が大量となります。
ブラッシングは通常は週1回程度を目安としますが、換毛期には毎日行うことがすすめられるでしょう。美しい毛並みを保つためにも、しっかり行ってくださいね。
ブラッシングの際には、耳の汚れや爪の状態を確認するなどし、コミュニケーションをとりながら適切なケアをしてあげましょう。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの値段
珍しい部類に入る犬種なので、ペットショップで見掛けたり、里親として引き取る機会には中々恵まれないかもしれません。一番確実なのは、やはりブリーダーを探すことでしょう。
ペットショップ、ブリーダーのいずれからの購入においても、価格相場は大体30~35万円程です。
しかし年齢や個体によっては、やはりそれ以上の値段がつく場合もありますので、事前に問い合わせをして確認をしておきましょう。
まとめ
美しい外見に賢さと優しさを兼ね備えた、理想的な家庭犬であるホワイト・スイス・シェパード・ドッグ。
控えめで辛抱強くもあるので、室内飼いできる大型犬としても高い人気を誇ります。
毛色が白に限定されているホワイトドッグの中でも、トップレベルの魅力を持っているでしょう。
「是非、家族に迎えたい」と考えている方は、まずブリーダーさんを探してみてくださいね。
実際に飼っている方のブログをチェックしてみるなど、事前に沢山の情報を集めてみると、パートナーとして迎え入れるイメージも湧きやすいですよ!
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