1.犬はオリーブオイルを舐めても大丈夫?
1-1.オリーブオイルとは一体どんなオイル?
1-2.オリーブオイルに含まれる主な成分
1-3.期待できる効果は?
1-4.犬にオリーブオイルを与えるデメリット
犬はオリーブオイルを舐めても大丈夫?
結論からいうと、オリーブオイルは犬に与えても問題のない食材です。ただし、もちろん与える量には注意が必要です。与え方に関しては後述しますので、しっかり確認してくださいね。
オリーブオイルは人間にとっても美容・健康効果が期待できるものですが、実は犬にも同様に健康効果をもたらしてくれる存在なのです。まずはオリーブオイルとはどんなものなのか、そしてどのような成分があり、期待できる効果がなんなのか紹介していきましょう。
◆オリーブオイルとは一体どんなオイル?
オリーブオイルは、オリーブの果実から抽出した植物油です。使われている原料と製法に、他の植物油との違いがあります。
他の植物油は原料の種・実を加熱してそれに含まれる油を分離するのですが、オリーブオイルは生のオリーブの果実から非加熱で油を抽出します。他の食用油に比べて酸化されにくく、常温では固まりにくい性質を持っているのです。
また果実が原料になっていることから、加熱しないでそのままの状態で口にすることができ、食べる以外にも美容目的として使用することができます。
◆オリーブオイルに含まれる主な成分
オリーブオイルには主に以下の栄養素が含まれています。
オレイン酸
不飽和脂肪酸の中で、最も酸化しにくい性質を持つ。善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす効果、また胃酸の分泌を減らす効果がある。
ポリフェノール
強い抗酸化作用を持っており、生活習慣病の予防や皮膚の老化を防ぐ役割をしている。
ビタミンE
美容成分としてよく知られている栄養素であり、抗酸化作用を持っている。皮膚トラブルの元となる、活性酸素を減らす役割がある。
βカロテン
ガン予防や目の神経伝達物質となるビタミンAに変わる栄養素で、ビタミンAとしての働き以外でも、抗酸化作用・免疫賦活作用などがあることが分かってきている。ちなみにβカロテンが豊富な植物油はオリーブオイルのみである。
脂質
タンパク質・糖質と並ぶ3大栄養素の一つ。欠乏するとホルモンバランスが乱れて体調不良になる場合があるため、毎日適量取ることが欠かせない。
◆期待できる効果は?
オリーブオイルがもつ様々な栄養素によって、以下のような効果が愛犬に期待できます。
●コレステロール値を抑えて、動脈硬化・高血圧などの予防・改善。
●犬の肌保湿効果や皮膚細胞の働きを促進し、皮膚の健康・毛艶などに作用する。
●活性酵素を犬の体から排出することで、ガン予防に効果をもたらす。
●皮膚や粘膜を保護する働きや、細胞分裂・成長を助ける働きがある。
●お腹の調子を整える働きがあり、便秘の予防・改善に効果が期待できる。
このように与えることで健康効果をもたらすオリーブオイルですが、食べる以外の用途でも愛犬にメリットをもたらしてくれる存在となります。
まずオリーブオイルには、食用だけでなく保湿の用途があるのです。犬が舐めても安全で保湿効果があるため、肉球のマッサージの際にクリーム代わりとして使うことが可能です。マッサージは愛犬とのコミュニケーションの時間にもなるので、ぜひ試してみてください。
また、アトピー・アレルギーがある子の場合は、オリーブオイルを耳掃除専用液代わりとして耳の汚れとりにも利用できますよ。スキンケア用としてのオリーブオイルも、販売されていますので気になる方は探してみましょう。
◆犬にオリーブオイルを与えるデメリット
オリーブオイルは健康的でとても良い食材なので、積極的にとっていきたいところですが、過剰に与えてしまうと下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
適切量の目安を紹介しておくので、しっかりチェックしてください。
◎中型犬(10~30kg)…1日あたり小さじ1杯程度
◎大型犬(30kg以上)…1日あたり大さじ1杯程度
与えた後は、愛犬の便の状態をきちんと確認しましょう。もちろん上記の量はあくまでも目安です。個体差もありますので、初めて与える際には少量ずつ試すことをおすすめします。
そしてもう一点、アレルギー症状を起こす可能性も頭に入れておく必要があります。
個体によっては、特定の食材に対してアレルギーを起こす場合がありますよね。アレルギーを起こす食材として、豚肉・牛肉・卵・乳製品・小麦などがよく挙げられますが、オリーブオイルにアレルギー反応が出る子も中にはいるのです。
症状としては、嘔吐・皮膚の痒み・湿疹・元気がないなどの様子が挙げられます。痒みがある場合は、その箇所をしきりに舐めたり、噛む、引っ掻くなどの仕草が見られることが多いので、普段と違う様子が愛犬に見られた場合は、与えるのをすぐに中止し、獣医師の診察を受けてください。
万が一のアレルギー症状に備えるためにも「初めて与える際には少量ずつ」を、徹底して守りましょう。
オリーブオイルの種類
オリーブオイルには様々な種類があり、スーパーなど店頭でも数種類販売されているのを目にするでしょう。
しかし実は、オリーブオイルは「エキストラバージン」と「ピュア」の2種類に大きく分けられるのです。それぞれに特徴と好ましい使い方があるので、おぼえておきましょう。
①生食におすすめ!「エキストラバージン」
オリーブの実を絞っただけの100%オリーブジュースをバージンオイルといいますが、その中でも香り・成分共に、定められた基準を満たした高品質のものが「エキストラバージン」と呼ばれています。
このエキストラバージンは、芳醇な香り・風味が特徴的で生食に向いているのです。愛犬のドッグフードやご飯にかけて与える場合には、エキストラバージンオイルをぜひ選択してみてくださいね。
ちなみに、よくエキストラバージンは生食用、ピュアは加熱用と区別されているのですが、エキストラバージンだから加熱用に使えないというわけではありません。加熱することでエキストラバージンの特徴(香りと風味)が弱まってしまうために、加熱用ならピュアの方がコスパが良いという理由から、この区別が広まっているのでしょう。
②加熱用、食べる以外の用途には「ピュア」
オリーブオイルの「ピュア」とは、オリーブの実を絞ったオイルを精製し、香りや味のない状態にしてから、それにエキストラバージンオイルやバージンオイルを混ぜたものを指します。
エキストラバージンオイルと比べて香りや風味が落ちるため、加熱して使うのに向いているといわれています。愛犬の手作りごはんを作る際には、炒め油としてサラダ油の代わりに使うと良いでしょう。また、価格面ではエキストラバージンオイルより安価なので家計にとっては嬉しいポイントがあります。
さらに食べる以外の用途として、乾燥対策で保湿剤として使用したり、耳掃除をする、シャンプーに混ぜて使うなどといった際にも、香りの少ないピュアを使用すると良いでしょう。
犬にオリーブオイルを与える時の注意点
前述したように、オリーブオイルの与えすぎは、愛犬の体調を崩す原因となります。与える量をしっかり守ることが大切です。また、
アレルギーをもっている個体の場合は、誤って口にしないようにしっかり管理することが重要です。過剰な摂取によって、下痢などの症状が見られたり、肥満に繋がるケースがあるので、きちんと頭に入れておきましょう。元々お腹の弱い子やダイエット中の子は注意してください。
そしてもう一点、オリーブオイルは口臭ケアにつながるという話を聞いたことがあるでしょうか?
人間の場合、オリーブオイルでうがいをすることで口臭ケアに繋がるといわれていますが、これは油が歯・舌をコーティングすることで菌の繁殖を抑える効果が期待されたものです。
犬にも同様の効果は期待できる可能性はあるのですが、犬の口臭の原因は多岐に渡って原因が考えられます。自己判断で口臭ケアのためにオリーブオイルを使用する前に、一度獣医師に相談するようにしましょう。
オリーブオイルの与え方
オリーブオイルは、小さじ1あたり約120キロカロリーです。前述した1日の目安量を参考にしつつ、月齢・体重による摂取カロリーを考慮した上で、与える量を調節してください。
食事以外にも使用できるオリーブオイルですが、食べさせる場合はどう与えればよいか紹介していきましょう。
◆ごはんに垂らす
最も簡単で手軽に与える方法が、普段与えているドッグフードにオリーブオイルを垂らす方法です。この時おすすめなのは、
エキストラバージンオイルです。
愛犬にあった適切量をドッグフードや手作り食などに、そのままかけて与えれば良いので、体調に問題が無ければ毎日でも食べさせることができますね。
◆調理油として使う
愛犬に手作りレシピを振る舞う際にも、サラダ油の代替品としてオリーブオイルを使うことがすすめられます。加熱に使用がすすめられるのは紹介した通りピュアの方ですよ。
手作り食を与える場合は、全体的な栄養バランスに注意しなくてはいけません。中々難しいですが、総合的な栄養が摂取できるように、与える量や食材をしっかり考えましょう。
体調を崩した場合の対処方法は?
紹介してきた通り、オリーブオイルを与えすぎると下痢などの体調不良に陥る可能性もありますし、アレルギー症状を発症する個体も中にはいます。
初めて与える際には必ず少量ずつ与えて、愛犬の様子をみましょう。
万が一、オリーブオイルを与えた後に体調や様子に異変が見られた場合は、すぐに与えるのを中止してください。状態によっては、すぐに動物病院を受診しましょう。獣医師には、何をどれくらい与えてから体調不良に陥ったのかをしっかり伝えてください。また、下痢や嘔吐物などがある場合はそれを持参してください。原因特定の手掛かりとなり、診察・処置が円滑に進むケースがあります。
まとめ
ペットの健康を守るのは飼い主さんの大事な務め。病気を予防し、少しでも長生きできるようにできることから始めていきたいですね。
オリーブオイルをフードに数滴垂らすだけで、簡単に第一歩が踏み出せます。愛犬の食べ物に一工夫したり、レシピの解説記事を参考にするなどして、健康的な食生活をおくらせてあげましょう。
ちなみにココナッツオイルも、犬のオールマイティな健康サポートをしてくれるオイルの一つです。オリーブオイル同様に、様々な健康効果や、乾燥対策、歯磨き効果をえられるようですよ。ココナッツオイルが原料の犬用シャンプーやおやつも販売されていますのでチェックしてみてください。
食材の正しい知識を身に付けて、愛犬にとっての素敵な飼い主さんとしてランクアップしていきましょう。
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