犬は親子を認識して覚えている?兄弟は?愛犬の親兄弟を探す方法もある

2022.02.06

犬は親子を認識して覚えている?兄弟は?愛犬の親兄弟を探す方法もある

愛犬の親や兄弟がどんな犬で、どこにいるのか、気になる飼い主さんは少なくないでしょう。愛犬を、親兄弟と再会させてあげたいと思うこともありますよね。再会した犬同士が仲良くしてくれると、飼い主さんは嬉しいものですが、犬は互いをどう認識しているのでしょうか?今回は、犬が親子や兄弟を覚えているのかどうかについてご紹介します。また、親兄弟を知ることのメリットと、親兄弟を探す方法も併せてお伝えします。

犬は親子や兄弟を認識して覚えているのか

ロットワイヤー

犬は、一度の出産で複数の子を産み、生涯に何度も妊娠・出産を繰り返します。したがって、愛犬には親犬はもちろん、きょうだい犬がいることも確実で、親戚まで範囲を広げるとかなりの数になるでしょう。
では、犬は親子や兄弟を、人間のように、親兄弟と認識して覚えているのでしょうか?

◆親子

犬が、親や子を親子として覚えているのかどうか、現在のところ、はっきりとは分かっていません。残念ながら、このことについて科学的に研究した例が少なく、覚えているとする説がある一方、覚えていないとする説もあるからです。
ある研究では、子犬を対象とした実験により、母犬や兄弟姉妹を認識していることが分かったと報告されています。さらに、およそ8週齢の時に母犬と別れて、その後は一度も母犬と会っていない2歳の成犬を対象とした実験では、母犬の多くが自分の子どもの匂いを好み、子ども側も母犬の匂いのする毛布を好むという結果が得られました。この研究のみに基づくと、犬たちが母犬を特別だと感じている可能性はありそうです。
他方、家族として認識していないとする説では、非道徳的行動(ここでは性行動)を理由にする人が多いようです。血を分けた家族であっても互いに特別に扱ってはいないように見えること、母親や姉妹にも「子作り」を誘う行動が「進化の観点から見ておかしい」という考え方です。
母犬は、子犬のことを「自分が産んだ子」として認識してはいても、その認識はかなり早い段階で薄れてしまうとも言われています。
さらに、父犬は子育てに関わることがないため、母犬以上に親子であるという認識はないと考えられています。
今後、科学的な研究が進めば、犬が親子を認識しているのかどうか、分かるかもしれません。

◆兄弟

人間の場合、赤ちゃんの頃に一緒に過ごした相手のことは忘れていても、幼稚園や小学校の同級生の顔は覚えていることが多いですね。
犬も、ごく幼い頃に離れ離れになってしまった兄弟のことを覚えていなくても、無理はないでしょう。
しかし、ある程度の期間を一緒に過ごしていれば、きょうだいとしてではなく、仲間として覚えているようです。子犬は、産まれた瞬間から「おっぱいの取り合い」や「遊び」を通じて、順位付けをしています。このため、きょうだいというより、互いを仲間として捉えていると言われています。
きょうだいが再会して仲良く遊んでいると、飼い主さんとしては嬉しいことでしょう。しかし、犬たち自身は、あまりその状況を理解していないかもしれません。
犬は肛門腺の分泌物のニオイでお互いを認識しているため、お尻のニオイを嗅いで挨拶をしたときに「知っている犬だ」と思い出して仲良くできるのではないかと考えられています。
野生の頃の犬は、群れを作って暮らしていました。そのため、血のつながりがなくても、気が合えば家族同然です。したがって、仲良くしているからといって血のつながりを認識しているとは言い難いのです。


犬の親子や兄弟は似ているのか

犬の親子や兄弟は、互いに似ているのかも気になりますね。
親子や兄弟が似ていたり、あるいは似ていなかったりすることは、「メンデルの法則」で説明されます。
メンデルの法則とは、簡略的に言えば「ツルツルの豆としわしわの豆を親として交配するとツルツルの豆をつける子だけができるが、子同士を交配すると次の世代(孫世代)では、一定の比率(3:1)でツルツルの豆としわしわの豆をつける子ができる」ことから発見された法則です。
この現象は、

(1) 一つの特徴(形質)の遺伝子には、優性(顕性)と劣性(潜性)がある
(2) 子は両親から一つの形質につき、一つずつ遺伝子を受け継ぐ

ことによって生じます。
親子や兄弟が似ている場合、さまざまな形質について同じ組み合わせの遺伝子を持っていると言えます。しかし、遺伝子は両親から受け継ぐため、きょうだいであっても同じ組み合わせの遺伝子を持つとは限らず、多くの形質について異なる組み合わせの遺伝子を持っていれば、異なる特徴を持つ、すなわち似ていないということになります。

※優性とは、劣性に対して、形質として現れる力が強いということであり、優れた遺伝子、劣った遺伝子という意味ではありません。


飼い主のことは覚えているのか

犬は、親兄弟を家族としては覚えておらず、ニオイを嗅いで「知っている犬」として思い出すことがあると考えられていることをお伝えしました。
では、飼い主さんのことは、覚えているのでしょうか?例えば、迷子になってしまった、捨てられてしまったなど、何らかの理由で離れ離れになってしまった場合、飼い主さんのことを忘れてしまうのでしょうか?
これに関しては、覚えていると言ってよさそうです。
しかし、覚えているには、いくつかの条件があるようです。
犬は、何かを覚えるとき、経験に紐づけて記憶します。しつけやトレーニングの際に、「嬉しいこと=ご褒美」があると同じ行動をとるようになりますが、これは、経験と喜びを関連付けて覚えることで、記憶として根付いているのです。
同様に、飼い主さんと一緒に居てとても楽しい経験をした場合、飼い主さんの姿やニオイ、声などと関連付けて覚えているとされます。このため、たとえ数年ぶりの再会でも、姿やニオイ、声から「楽しかった経験」を思い出して喜ぶそうです。
逆に、怖い経験をしたことは、トラウマとして記憶に残ると言えます。例えば、「男の人に怒鳴られると、殴られる」という経験をしていた犬は、男性の声を聴くだけで恐怖がよみがえって怯えてしまうこともあります。東日本大震災の後、保護されていた犬に飼い主さんが会いに来たものの、犬が全く喜ばず、むしろ怯えていたため、保護団体が虐待を疑い、飼い主さん(と名乗る人)に返還しなかったという例もありました。


愛犬の親や兄弟を探す方法

犬を探す

ここでは、愛犬の親や兄弟を知るメリットと、探す方法についてご紹介します。

◆親や兄弟を知るメリット

犬は、もともと使役動物として人間と暮らし始めました。このため、時代が進むにつれ、人間の目的に応じて多様化していきます。
人間は、その目的・役割をよりよく果たせるよう、選択的育種を行ってきました。その結果、犬種という概念が生まれます。
特定の犬種を守っていくには、代々同じ特徴を残し続けることが必要で、遺伝的な関係性の近いもの同士の交配が繰り返されます。
遺伝的な関係性がどれだけ近いか(近親交配の進み具合)を表す指標を「近交度」と言いますが、近交度が高いほど親の特徴に似た子に育つため、犬種の保存という意味では利益をもたらします。
しかし、遺伝においては、姿かたちだけではなく「遺伝病」(遺伝性疾患)も親から受け継ぐことがあります。遺伝病とは、両親から受け継いだ遺伝子が原因で起こる病気のことです。
また、遺伝病とは言えなくても、体質が似通ってくるため、同じような病気を発症する確率が高くなります。
これらのことから、親兄弟の病歴を知ることができれば、愛犬が病気を発症する前に対策を取ることも可能になると考えられ、親兄弟を知ることの大きなメリットと言えるでしょう。

◆血統書データベースを確認する

親兄弟を探す一つ目の方法としては、血統書データベースを利用する方法があります。

PEDI

PEDIは、犬の遺伝子疾患を減らしたいという目的から、2016年に開始されたサービスです。約800万頭の血統書データを保有しています。
きょうだい、親戚犬の飼い主さんとメッセージのやり取りができる機能もあり、愛犬家専用のSNSでもあります。
犬種や生年月日を入力すれば、血統書のない子やミックス犬も登録できます。また、かかりつけの動物病院を登録する項目があり、血縁関係にある犬の通院歴や遺伝性疾患の情報などを共有できます。
また、血縁関係はなくても、同じブリーダー出身の子を探すことも可能です。
本犬の登録番号だけを入力すればいいため、登録が簡単な点が特徴です。

HOUDY

多種多様な動物の親戚検索ができるサイトです。猫はもちろん、鳥やウサギの登録もあります。
血統書の登録名と登録番号によって、かなり遠い親戚まで探すことができ、4世代30件まで登録できます。海外のデータも対象なので、他サイトでは見つからなかった飼い主さんも、一度試してみる価値があるでしょう。
親戚関係は、家系図のように表示することができ、分かりやすいのもポイントです。
SNS(Facebook、Twitter、Google+、Instagram)のアカウントを登録すれば、血縁関係にある犬の飼い主さんと交流することができます。

Relative Navigator

犬の親戚探しサイトの老舗です。老舗サイトだけに登録数が多く、親戚が見つかりやすいです。
全犬種対応なので、血統書があれば、どのわんちゃんも登録できます。
血統書に記載されている3世代分の情報を登録して、愛犬と血縁関係がある犬を検索します。メールを送ることで、親戚犬の飼い主さんとの交流が可能です。
登録番号から検索する方法と犬名から検索する方法があり、犬種ごとのページがあるため見やすいサイトです。

◆SNSを利用する

血統書がない場合やミックス犬の場合でも、FacebookやInstagramなどのSNSを活用すれば、親戚を探すことは不可能ではありません。
SNSのタグ付け機能を活用する方法が有効です。
掲載した写真から見た目が似ていることや、出身のブリーダーや保護団体が同じであることなどから、連絡を取り合って親戚が見つかる場合があるようです。

◆ペットショップやブリーダー、保健所などに問い合わせる

購入したペットショップやブリーダーが分かっている(覚えている)場合には、そちらに問い合わせる方法もあります。特に、ブリーダーが分かっている場合には、ブリーディングの記録などもあるでしょうから、親戚を見つけやすいかもしれません。
保護犬の場合、譲渡された保護団体や保健所に問い合わせてみるのも良いでしょう。必ずしも記録が残っているとは限りませんし、プライバシー保護の観点から教えてもらえない可能性もありますが、血統書がない保護犬の場合は、一つの方法として検討する価値はあるでしょう。


まとめ

一般に、犬は人間とは異なり、家族や親子といった概念を持っていないと考えられています。犬は、肛門腺の分泌物のニオイで互いを認識しており、お尻を嗅ぎあって挨拶をしたときに、「知っている犬だ」と思い出すことはあるようです。
また、犬は群れで暮らしていた動物なので、再会したきょうだいが仲良く遊んでいても、仲間として認識している可能性が高いと思われます。
しかし一方で、離れていても親子がお互いを覚えていると考えられる実験結果もあり、現在のところ、親子や兄弟を覚えているかどうかは明確に分かっていません。
親戚関係にある犬を探すことは、飼い主さん同士、犬同士の交流ができる点だけではなく、遺伝性疾患など罹りやすい病気の情報を共有することができるというメリットがあります。
親戚探しのサイトやSNSを活用すると、親戚関係にある犬を見つけることができる可能性があります。気になる方は、親戚関係にある犬を探してみてくださいね。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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