1.犬にひじきを与えても良い?
1-1.ひじきに含まれる主な成分
1-2.期待できる効果は?
1-3.犬に与えるデメリット
犬にひじきを与えても良い?
ひじきは、食物繊維・カルシウム・ビタミンA・鉄・葉酸など、魅力的な成分を多く含む食材です。犬にとって毒性のある成分も含まれていないため、犬が食べても問題はないとされています。
そのため、人間用メニューとして買ったひじきが少し余ってしまった…という場合にも、愛犬用の手作り食やトッピングとして、犬用レシピに有効活用することが出来るわけですね。
しかし、いくら犬が食べられる食材だといっても、与え方やその量には注意が必要です。どんな食べ物にもいえることですが、適切な方法で適量を与えなければ、いくら栄養素の高い食品でも身体への健康被害を招く危険性はあるのです。
愛犬にひじきを与えたい場合は、まずしっかりとした知識を身に付けなくてはいけません。
初めに、ひじきに含まれている成分がどんなものなのかを紹介していきましょう。
◆ひじきに含まれる主な成分
ひじきとは、褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属に分類される海藻の一種です。味や香りの癖が少なく調理もしやすいので、国内では煮物料理としても人気の高い食材の一つですよね。定番の人参とひじきの煮物(炒め煮)なども、食卓に並ぶ確率の高いメニューなのではないでしょうか。
このひじき、一般的には鉄分やミネラル、食物繊維が多い食べ物として有名ですが、その他にも魅力的な成分が豊富に含まれています。
ひじきの主な成分とよばれるものを、いくつか紹介していきましょう。
鉄分
ひじきには鉄分が豊富だというイメージが元来伝えられてきましたが、実は作り方によってそれは変化するようです。ステンレス窯で製造されたひじきは100g当たり0.3mg、鉄窯で製造されたひじきは100g当たり2.7mgと、大きな差があります。このように、ひじき自体に鉄分が多いのではなく、鉄窯の鉄分がひじきに付着していたことが発表されたようですね。しかし、鉄窯で製造されたひじきには鉄分が多く含まれているので、その点も購入する際にチェックしてみるとよいでしょう。
鉄分は貧血予防に効果がある栄養素なので、愛犬が貧血気味だという飼い主さんにとっては、嬉しい食材となります。
カルシウム
海藻の中でも特にカルシウムを多く含んでいるといわれるのがひじきです。カルシウムの代表格である牛乳と比べても、約12倍ものカルシウムを含んでいるそうですよ。
骨や歯を丈夫にしたり維持する効果を持つカルシウムは、健康な骨づくりにとっては欠かせない栄養素です。また、神経・筋肉の活動をサポートする働きももっていますよ。
ただし過剰摂取してしまうと、結石などの病気に至る恐れがありますので、適量を守ることが大切ですね。
食物繊維
ひじきには食物繊維が豊富に含まれており、その量はキャベツの2倍にあたるといわれています。
腸内環境を整えてくれる作用があるので、便秘気味の子には快便を促す働きが期待できます。
しかし反対に、元々お腹が弱かったり下痢気味の犬に与えてしまうと、症状の悪化を引き起こす原因となり得ますので、愛犬の状態に合わせて与えることが重要ですね。
マグネシウム
ひじきに含まれるマグネシウムは、体内のエネルギー代謝を正常に保つ働きをしてくれます。
そのため、ドッグフードや食材で積極的に摂取するとよいといわれている栄養素の一つなのです。
他にもカルシウムと同じような、骨を丈夫にする効果もありますよ。ただしこちらの場合も、過剰摂取は結石などの原因となってしまうため、適量に注意して与える必要があります。
ビタミンA
レチノールと呼ばれるビタミンAが、ひじきには含まれています。ビタミンAは、正常な視力を維持する役割、犬の皮膚・被毛を丈夫な状態で維持したり改善してくれる効果をもつ栄養素です。
ビタミンAが不足すると視力低下を招いたり、皮膚疾患の症状が現れやすくなってしまいます。免疫力の低下も伴うため、感染症にかかりやすい状態となるリスクもあるでしょう。
愛犬の健康のためにも、積極的に摂取させたい栄養素の一つだといえますね。
◆期待できる効果は?
上記の通り、ひじきには食物繊維がとても豊富に含まれています。ひじきを犬に与える効果として大きく期待できるものの一つは、腸内環境の改善だといえるでしょう。
水溶性食物繊維が多いので、便と共に、有害な物質を外に排出する役割をも果たしてくれるのです。さらに、糖の吸収を穏やかにして、血糖値の上昇を緩やかにする効果ももっています。
血圧を正常にする上に、コレステロール低下の手助けもしてくれるのですから、健康的な体作りをするためには是非とも食事に取り入れていきたいですね。
そしてもう一点、ひじきにはカルシウム・マグネシウム・リンなどの、ミネラル類が豊富に含まれています。カルシウムとマグネシウムは前述したように、骨の形成やエネルギー代謝に関わっていますよね。そしてリンは、筋肉や骨を作る働きに関わっている成分です。
いずれも、犬にとっては重要な栄養素だといえるでしょう。
◆犬に与えるデメリット
魅力的な栄養素を豊富にもつひじきですが、やはり与える上でのデメリットも知っておく必要があるでしょう。
以下の三点を頭に入れておき、愛犬にとって問題がないかを、飼い主さんがしっかり判断してくださいね。
◎食べすぎは下痢・嘔吐の危険性あり!
ひじきには食物繊維が豊富だとお伝えしてきましたが、この食物繊維、実は犬が消化を苦手とするものなのです。
適量を摂取すれば、犬にとって良い働きをもたらしてくれる成分に間違いはないのですが、大量に摂取してしまうと消化しきれずに、下痢や嘔吐の症状が現れる可能性が考えられます。
ひじきを与える際には、ほんの少量を意識して過剰に与えないように注意しましょう。適量に関しては後述しますので、そちらも参考にしてみてくださいね。
◎アレルギー発症の可能性
犬がひじきによってアレルギーを起こしたというケースは稀ですが、これが全ての犬に当てはまるわけではありません。ひじきに限らず、どんな食材にもアレルギー源となる可能性はあるのです。
危険を回避するためにも、初めて愛犬にひじきを与える際には、ごく少量を与えてから様子をみることを徹底しましょう。
食べた後に、皮膚・目・耳などの痒みや赤み、嘔吐・下痢などの症状が出た場合は、アレルギー症状が起きている可能性が考えられます。アレルギーは食後すぐに症状が現れるとは限りませんので、24~36時間程度は、愛犬の様子をしっかり確認してくださいね。
◎結石のリスクがある
何度かお伝えしてきたように、カルシウム・マグネシウム・リンなどのミネラルが豊富なひじきには、犬に与えることで結石のリスクが考えられます。
犬にとっても大切な栄養素であるミネラル類ですが、過剰摂取することでストルバイト結石を誘発する可能性があるのです。
特に、既に結石のリスクを指摘されている犬や、過去に結石を患ったことのある犬の場合は、ひじきを与えない方が安全だといえるかもしれません。
愛犬が健康体の場合は、適量のひじきを与えることで結石ができるほどのミネラルを摂取するわけではないため心配しなくても大丈夫ですが、気になる方は事前に動物病院で相談してみるとよいでしょう。
ひじきの与え方
愛犬にひじきを与える場合、その量はもちろん、与える方法にも注意が必要です。以下の注意点をしっかり覚えて、安心安全に愛犬の手作りご飯やおやつに利用してみてくださいね。
◆茹でる
実はひじきには、発ガン性が指摘されている「無機ヒ素」が含まれているのです。
しかし、ひじきを水洗いして水に戻すことで、5~9割ほどの無機ヒ素が取り除かれることが分かっており、さらにひじきのゆで汁を捨てることで、かなりの量のヒ素を取り除くことができます。
この水洗いと水戻しは、古くから日本人がひじきの調理をする際に行ってきたものですよね。愛犬に与える時もこれを徹底して、必ず茹でてから与えるようにしましょう。
◆味付けをしない
人間用に味付けしたものを、犬に与える行為は避けなくてはいけません。これはひじきに限らず、どの食材にもいえることですよね。
スーパーで見掛ける総菜として販売されているひじきは、味付けされているものがほとんどです。調理をせずに簡単に食べることができますが、人工調味料で味付けされた食べ物は犬にとって悪影響を及ぼす元凶となります。一般的なひじきの煮物には醤油・みりん・砂糖などが使われていますよね。塩分・糖分が過多となる可能性が高いので、誤食などにも気を付けなければいけません。
愛犬にひじきを与える場合は、必ず味付けがされていないものを与えましょう。
飼い主さんが調理をしてペット用手作りごはんを作る場合も、基本的に味付けをしないよう心掛けてくださいね。
また、手作り食で栄養バランスをとるのは中々大変なことなので、その点にも注意が必要です。
ドッグフードで栄養バランスは補えるので、トッピングやおやつとしてひじきを与えることが最も安心で手軽のためおすすめです。
◆細かく刻む
海藻類は犬にとって、あまり消化のよいものでありません。
そのため、ひじきを与える際には細かく刻んでから与える方法がベストです。フードプロセッサーなどでペースト状にすると、さらに消化に良くなりますよ。
ただし、水洗い・水戻し・茹でるといった一連の調理工程後に、細かく刻んだりペースト状にすることを徹底してくださいね。
犬にひじきを与える時の注意点
犬にとってひじきは、多くの栄養素を含んでいる食材であり、健康効果への期待もできるスーパーフードといえるでしょう。しかし、与えすぎては悪影響をもたらす恐れがあることを、きちんと理解しておかなくてはいけません。
総合栄養食へのトッピングやおやつとしてひじきを与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内に留めるようにしましょう。
まるまるお皿に盛って与えるのではなく、あくまでもサラッとかけてあげる程度です。
適切量を守ることで、効果的に栄養素を摂り込むことができますよ。
ちなみにひじきは、たんぱく質と一緒に摂取することで栄養価が上がるといわれているそうです。また、ビタミンCの多い野菜であるブロッコリーなどと一緒に与えることで、吸収率がアップします。キノコ類と与えると、カルシウムの吸収率も上がるようですよ。
ひじきを使った犬用レシピの記事もネット上にたくさんありますので、情報を集めてみるのもよいでしょう。目次などをチェックすれば、愛犬にぴったりの料理を簡単に見つけることができるかもしれませんね。
体調を崩した時の対処法
ひじきを与えた後に愛犬が体調を崩した場合は、すぐに与えるのを中止してください。
前述したように、ひじきがもつ栄養素が悪影響をもたらす場合もありますし、アレルギーの可能性もゼロではありません。
何らかの異常を感じた場合は、早めにかかりつけの獣医さんに相談することをおすすめします。
特に結石の心配を抱える場合は注意が必要ですよ。
動物病院を受診する際は、どのくらいの量のひじきをいつ与えたのかを明確に伝えましょう。排泄物や嘔吐物があれば、可能な限り持ち込むことがすすめられます。重要な診断材料となります。
まとめ
愛犬が毎日を健康的に過ごすために、食事の管理をしっかりすることが飼い主さんの努めでもあります。
最近便通が悪いな…と感じた時は、ひじきを与えてみると良いかもしれませんね。
ただし、与え方や量には注意が必要ですし、個体によっては与えない方がいいケースもあります。
愛犬のことをしっかり理解した上で、飼い主さんがきちんと判断してください。
人間にとっても犬にとっても、魅力的な栄養素を持つひじき。普段の食事にトッピングしたり、特別な日のご褒美などに、上手に利用してみてくださいね。
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