【獣医師執筆】正しい予防でペットを守ろう! 寒い季節に気をつけたい病気

2021.05.16

【獣医師執筆】正しい予防でペットを守ろう! 寒い季節に気をつけたい病気

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は「冬の寒い季節に気をつけたい病気」についてです。愛犬・愛猫も寒い季節になると体調を崩しがち…。特に多い6種症状について症状や予防法をご紹介します。正しい予防で毎日もっと健康に楽しく過ごしましょう!

【掲載:2021.10.1  更新:2021.10.1】

寒い季節にペットが体調を崩しやすい理由

寒い季節は人と同様、ワンちゃん・ネコちゃんも気をつけたい病気があります。
なぜ、寒くなると病気が発症しやすいのでしょうか?その理由はいくつか考えられます。

    ・空気が冷たくなり喉などを刺激しやすい
    ・ウイルスが活発化しやすい環境
    ・飲水量が減少しやすい
    ・運動不足になりやすい

このような要因が重なることで、寒い時期はペットも体調を崩しやすくなります。それぞれの病気の症状を知り、早期発見に繫げたり正しい予防方法を知ってペットを守ってあげましょう。

泌尿器系の疾患

腎臓から輸尿管、膀胱、尿道までの臓器の総称が泌尿器です。泌尿器は、血液をろ過して老廃物をオシッコとして排泄するとともに、ミネラル成分や水分を排出して再吸収するはたらきがあります。

アセット 1

【症状】
排尿時に痛そうにする、時間がかかる、オシッコが出ない、量や回数が増える、色に変化がある場合は病気のサインです。症状のひとつに血尿がありますが、排尿の最初から終わりまで血が混じる場合は腎臓疾患の疑いがあり、排尿の最後の方にのみ血が混じる場合は膀胱疾患の疑いがあります。

【注意が必要な子】
一般的に、尿道の短いメスは膀胱炎にかかりやすく、尿道が長く先細りのオスは、結石が詰まって排尿困難になりやすいといわれます。他にもシニア期の子や泌尿器系の疾患にかかったことのある子は気をつけましょう。

【予防法】
定期的に飲水量のチェックをしましょう。飲水量が足りていない場合は、水にニオイや風味を加える、ごはんをふやかして水分量を増やす、お水を飲む容器を増やす工夫もよいです。また、寒くなるとワンちゃんはお散歩の時間が短くなり、お散歩の時にしかトイレをしない子は回数も少なくなります。日頃からおうちの中でトイレの習慣をつけておくと安心です。

関節などの疾患

寒い季節は運動不足になりがちです。筋肉が衰えてしまうと関節の疾患が起こりやすくなります。また、寒さによって痛みを感じる末梢神経がより敏感になり、関節の痛みを悪化させることがあります。

【症状】
急に歩くのを嫌がる、足を動かした時に鳴く、足を引きずる、足を触ると嫌がってかみつくような場合は、痛みを伴っている可能性があります。

【注意が必要な子】
シニア期や肥満傾向のワンちゃん・ネコちゃんは気をつけましょう。カラダが重いと関節に負担がかかるので、標準体重に戻してあげる必要があります。

【予防法】
寝起きなど動きが鈍い時に遊ぶと、無理な姿勢を取って関節を痛めることがあります。また、フローリングなど滑りやすい床で走り回ると滑ったり転んだりしてケガをするリスクが高いので、遊ぶスペースにはマットやカーペットを敷いてあげましょう。

アセット 2

心臓や循環器の疾患

寒い季節は屋外と室内との温度差が大きく、心臓にも負担がかかりやすくなります。心臓疾患は発見が難しい病気で、他の病気の症状と似ていることもあるため、発見が遅れることもあります。

【症状】
心臓や循環器の疾患が悪化してくると体重が減少します。短期間で10%以上体重が減ってきた場合は、心臓疾患も考えられるので獣医師にご相談ください。食欲不振や運動不耐性(寝ている時間が多くなる、お散歩に行くのを嫌がる)の症状も目安です。

【注意が必要な子】
心臓疾患を持っていたり、シニア期で肥満の子は体重の管理や食事の塩分を抑えたり、温度調整に気をつけましょう。手作りごはんの場合、塩分量が高くなったり、タンパク質の摂り過ぎになることもあるので注意してください。

【予防法】
予防は難しく、定期的に健康診断を受けることがおすすめです。

アセット 6

ウイルス感染症

寒い季節は気温の低下や空気の乾燥により、ウイルスが飛散しやすくなります。体温が下がり、カラダの免疫力も低下しがちです。

【症状】
元気や食欲がなくなったり、高熱が出る、下痢や嘔吐といった症状が見られます。

アセット 5

【注意が必要な子】
子犬・子猫やシニア期、予防接種をしていない子は特に気をつけましょう。生後2ヶ月前後は母親からの移行抗体が少なくなるので、初予防接種前にウイルスに感染してしまうことがあります。予防接種するまでは、他の動物との接触は避けましょう。

【予防法】
予防接種は病気を完全に防ぐものではなく、感染しても症状が軽く済むようにするものです。毎日の規則正しい生活でウイルスに感染しない抵抗力のあるカラダを作ることがとても大切です。

呼吸器の疾患

呼吸器は、口から鼻、喉、気管、気管支、肺までの総称です。

【症状】
よく咳をしたり、鼻水が出ている状態は、ウイルス感染や鼻や喉、気管支の炎症が考えられます。咳がひどくなったり、黄色の鼻水が増えることで鼻腔を塞いでしまい息苦しくなると、呼吸困難になることもあります。

【注意が必要な子】
免疫力が弱い子犬・子猫やシニア期の子に多く見られます。ワンちゃんは気管支炎、ネコちゃんは鼻気管炎も悪化しやすいです。体力を消耗したり、食欲の低下などによりだんだんと衰弱してしまう可能性があります。

【予防法】
ウイルスや細菌は、閉めきった部屋に充満します。こまめに窓を開けて、外の空気を部屋に取り入れましょう。寒い季節は気管などが、乾燥した冷たい空気に対して敏感になります。加湿器などを使って、部屋の湿度を保つことは、症状の改善に役立ちます。

アセット 4

皮膚疾患

寒い季節の乾燥は、皮膚の状態にも影響を与えます。
【症状】
乾燥により痒みが悪化する場合や、逆に脂分泌が活発になって脂漏症(しろうしょう)と呼ばれる皮膚炎が悪化することがあります。

【予防法】
肌質にあったケアが大切です。皮膚の状態でシャンプー剤を変えたり、保湿剤を使ったりと肌質にあったケアをしましょう。なかなか治らない場合は、皮膚ケアを見直す必要もあるかもしれませんので、獣医師にご相談ください。

病気の予防ポイントを知っておくだけでなく、普段からワンちゃん・ネコちゃんの様子をよく観察して、寒い季節も快適に楽しく過ごしましょう。

アセット 3


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コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/


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