【獣医師執筆】便秘や下痢はカラダのトラブル⁉ウンチで見るワンちゃん・ネコちゃんの健康

2024.05.24

【獣医師執筆】便秘や下痢はカラダのトラブル⁉ウンチで見るワンちゃん・ネコちゃんの健康

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は、ワンちゃん・ネコちゃんのために毎日おうちでできる健康チェック!「ウンチで見るワンちゃん・ネコちゃんの健康」についてです。健康のバロメーターともいわれているウンチを毎日チェックすることで愛犬・愛猫の体の変化に素早く気づいてあげることができます。チェックのポイントを獣医師が解説していきます。

【掲載:2024.05.16  更新:2024.05.16】

愛犬・愛猫の便で健康チェック

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みなさんはワンちゃん・ネコちゃんのウンチを細かくチェックしたことはありますか。ウンチやオシッコは健康のバロメーターともいわれ、カラダの変化に気づく重要な役割を担っています。

食べ物は胃腸で栄養が吸収され、大腸で水分が吸収された後に、ウンチとしてカラダの外に排泄されます。消化器系に何らかのトラブルが起こるとウンチの状態に変化が現れ、病状を突き止める有力な手がかりになります。今回はワンちゃん・ネコちゃんの「ウンチ」についてお話しします。

健康な便と不調の可能性がある便

健康状態に問題がない時に排出される良便といわれる便は、形がしっかりとし、かたさがあります。ペットシーツや猫砂、ティッシュにべったりとつくことはありません。このような便が出ていれば腸の異常はないと考えられます。しかし、何らかの原因で便中の水分量が多くなってしまうと軟便(形はあるがぐしゃっと潰れてしまう状態)や下痢(便が液状または液状に近い状態)になります。軟便や下痢は腸や腸内環境に異常があると考えられます。

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◆ワンちゃん・ネコちゃんの便のチェックポイント

では、ワンちゃん・ネコちゃんの便を見る時にはどのような点をチェックしたらよいのでしょうか。おうちで便を見るポイントは6つあります。

☑便のかたさ(かたい・やわらかい・下痢)
☑便の回数(普段より多いか少ないか)
☑便の量(普段より多いか少ないか)
☑便の色(黒色・白っぽいなど)
☑便に血液や粘液が混ざっているか
☑便の中や肛門のまわりに虫のようなものはついていないか
(条虫だとお米粒のような片節、回虫だと白い長い虫が見られます)

ワンちゃん・ネコちゃんの便秘

個体差はあるものの、成犬・成猫は1日に平均1~3回程排便をします。普段のサイクルと異なる場合やトイレに行っても中々便が出ていない場合には「便秘」が考えられます。また、便が出ていてもかたく乾燥している場合も同様です。長い期間便が腸に溜まると、腸内で便の水分が吸収されすぎるため、かたく、コロコロとした小さい便が出るようになります。

便秘をそのままにしていると…

便秘をそのままにしていると「巨大結腸症」になる可能性もあります。便秘が続く場合や食欲・元気がなくなる、おなかが膨らんでいる、嘔吐するなど、いつもと違う様子が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

◆便秘の考えられる原因

食事の変化、水分不足、ストレスや異物誤飲、肥満があります。また、病気やケガで腸の動きが悪くなったり、腸や骨盤が狭くなることで、排便時に痛みを感じて便秘になることもあります。

◆便秘の対処法・予防

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ドライフードに水分を入れてふやかしたり、ウェットフードを足したり、新鮮な飲み水を飲めるように水飲み場を増やすなどして、水分の摂取量を増やしましょう。食事に食用油を1滴混ぜてもよいです。
ネコちゃんの場合は、トイレ環境が原因で便を我慢することもあります。こまめに掃除したり、猫砂を変えたりして環境を変えてみましょう。また、ブラッシングをこまめにして飲み込む被毛の量を減らすことも大切です。

ワンちゃん・ネコちゃんの下痢

便中の水分が増加することで、便が液状またはやわらかい状態になることを「下痢」といいます。正常な便に含まれる水分量は約70%ですが、水分を80%以上含むと下痢といいます。

◆下痢の考えられる原因

消化不良やアレルギー、細菌・ウイルス・寄生虫感染、毒物や薬物を口にしての中毒、異物摂取、ストレス、内臓や腸管の病気やホルモン異常などで下痢になることがあります。また、ワンちゃん・ネコちゃんは消化酵素のひとつ、ラクターゼが不足しているので、牛乳などの乳製品に含まれる乳糖を分解できずに水っぽい下痢になることがあります。

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◆下痢の対処法・予防

便検査や他の検査でわかる原因に対してはそれに対しての治療、一過性の場合は対症療法を行います。急に食事を変更したり、消化の難しい物を食べた場合、腸内の消化・吸収能力が落ちて下痢になります。その場合は元の食事に戻したり、消化のよい食事を与えたり、症状やカラダにあった療法食に変更したりします。中毒は早急に処置を行う必要があるので、疑われる場合はすぐに動物病院へ連絡しましょう。ワクチンによって予防できるウイルス感染もあります。下痢が続いたり他の症状が合併して起きている場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

日頃から愛犬・愛猫の便の状態を観察し、状態を知ることで体調の変化や病気の早期発見につなげることができます。異変があった場合には、動物病院へご相談ください。



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コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/

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