猫と植物
植物が毒を持つようになったのは、動物に食べられないために護身能力が進化した結果といわれています。
人間にとって有毒な植物もたくさんありますが、猫が有毒植物により中毒を起こす危険度は人間の比ではありません。
なぜ猫は植物の毒に弱いのでしょうか。
その理由として、次のような猫の特性が挙げられます。
身の回りの危険な植物
猫に危険な植物として最も知られているのはユリでしょう。
ユリは花だけでなく葉、茎、根から花粉、活けていた花瓶の水までが猫にとって猛毒であり、一口かじっただけ、水を舐めただけでも亡くなった例が報告されています。
ユリの持つ毒によって腎機能が急激に破壊されてしまうため、動物病院でも助けられないケースが多いのです。
といった症状が見られた場合には、有毒植物による中毒の可能性がありますので、身近な植物に接触した跡やかじられた跡がないかを確認し、直ちに動物病院で診てもらってください。
猫にとって危険といわれている植物の中のうち、ごく身近なものを挙げてみましょう。
猫が食べたり触ったりすると危険な部分も併記します。
– 庭の樹木 –
春:ツツジ・サツキ(葉・蜜)、フジ(全草)
夏:アジサイ(蕾)、キョウチクトウ(樹皮、根、枝、葉)
秋:イチョウ(ぎんなん)
他に、モクレン、ジンチョウゲ、シャクナゲ、イチイ、ヤツデ など
ウメ、モモ、アンズ等の果実・種も猫にとって有毒な場合が多い
– 庭の草花 –
春: ヒヤシンス(鱗茎)、スイセン(鱗茎)、チューリップ(全草)、スズラン(全草)
夏:ユリ(全草)、ニチニチソウ(全草)
秋:ヒガンバナ(全草)、キキョウ(根)
冬:クリスマスローズ(全草、特に根)
他に、デージー、プリムラ(サクラソウ)、アサガオ
– 鉢植え、寄せ植え、生け花などに多く用いられる草花 –
ジャスミン(全草)、パンジー・ビオラ(種子・根茎)、ロベリア(全草)、シクラメン(全草)
他に、ベゴニア、スイートピー、デルフィニューム、カラー、ポインセチア
– 観葉植物 –
ポトス(全草)、アイビー(葉・果実)、アロエ(葉の樹液)、スパシフィラム(葉)
– 家庭菜園 –
ジャガイモ(芽)、トマト(芽・葉・茎)、ナス(芽・葉)、ネギ(全草)、タマネギ(鱗茎) など
これらはほんの一部にすぎません。このような、ホームセンターでも普通に売っている植物でも危険があります。
植物を家に置く場合は、必ず安全かどうか調べるようにしましょう。
逆に、危険度の低い植物
猫が食べてもよい植物の代表が猫草(燕麦)です。
エノコログサ(ネコジャラシ)でも代用できます。
猫が猫草を好む理由としては、以下のようなことが考えられています。
猫草を食べる癖をつけることによって、他の観葉植物などを食べることを防げる場合もありますが、逆に他の植物にも興味を示してしまう場合もあるので注意しましょう。
猫草は猫によって食べたり食べなかったり好みが分かれるようですね。
なお、置いていても安心といわれている観葉植物としては、パキラ、モンステラ、ガジュマル、サンセベリア、ネムノキ、アレカヤシなどが挙げられています。
猫と植物とともに暮らすには?
「猫と暮らしているならば、部屋に植物を置くべきではない」とおっしゃる獣医さんもいます。
猫の安全を最優先に考えるのであれば、正論です。
自分が置いた植物で猫が中毒になってしまったら、悔やんでも悔やみきれません。
でも、「どうしても緑が好き」「家の中に潤いがほしい」という方も少なくはないでしょう。
その場合には、以下のことをお勧めします。
…などと偉そうに書いてきましたが、実は私の家は植物だらけです。
庭にはイチイ、アジサイ、シャクナゲ、ツツジ、スズラン、スイセン、チューリップ、マーガレットに家庭菜園。玄関のポーチにはシクラメン、ベゴニア、アイビー。
我が家の猫は家の中から出ることはないのですが、「決して外には出すまい!」と心に誓いました。
これまで猫草は食べても他の植物に興味を示すことはなかったため、すっかり油断して猫に危険な植物を置いてしまっていたことにも反省です。
何が起こるかわからないのが猫との暮らしです。いま一度、身の回りの植物を見回して、より安全に暮らせるためにどうしたらよいかを検討しましょう。
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