【獣医師監修】猫の歩き方がおかしい!歩行の異常から考えられる原因とは?

2020.05.30

【獣医師監修】猫の歩き方がおかしい!歩行の異常から考えられる原因とは?

歩いている姿もかわいらしい猫ですが、その歩き方に違和感を覚えたとき、どんな原因でそのような歩き方になっているのか不安になってしまいますよね。 もし愛猫の歩き方に異変を感じた場合、考えることのできる原因としてどんなことが挙げられるのでしょうか?

猫の歩き方がおかしい。考えられる原因は?

毎日猫と一緒に暮らしていても、常に愛猫の歩き方を意識している飼い主さんはそんなにいらっしゃらないと思いますので、歩行の様子がおかしいときは意外とすぐに気付きやすいものです。

歩き方に違和感を覚えても、その原因が分からなければ、どのような対処をすべきか分からない方も多いのではないでしょうか。

猫は二足歩行の人間とは異なり、前足と後ろ足を使う四足動物ですので、根本的に移動方法も違いますよね。

なのでどのような歩き方を猫がしていたら、異常かそうでないかを飼い主さんは見極めてあげないといけません。

以下のような歩き方を愛猫がしていた場合は、体に異常が出ているサインでもあるので、見過ごさないようにしましょう。

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◆足を引きずっている場合

猫が足を引きずって歩いていた場合、主な原因は骨折や脱臼、筋肉や神経の異常が考えられます。

原因となる足が後ろ足だった場合、前足は通常通り動かすことができるので、後ろ足を引きずって歩くことが多いです。

また、神経に異常が起こっていると、脳からの指令が筋肉や皮膚感覚に伝達がいかなくなり、その結果足を引きずるような歩行をすることも。

ほかにも足の指の骨折や怪我をしている場合などは、その足が地面につかないように庇いながら、ヒョコヒョコとした歩き方をすることもあります。

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◆ふらついている場合

ふらふらとした足元のおぼつかない歩き方をしているときは、何かしらの病気が原因となって、歩行に異常が出てしまうことが多いです。

とくに中耳炎や脳腫瘍などの前庭疾患は、平衡感覚を失いますので、歩き方に影響を起こしやすいと言えるでしょう。

ほかにも貧血や尿毒症などの病気も、ふらつくなどの症状が見られます。

夏などの暑い時期などには、熱中症などにも注意しなくてはいけませんし、肥満気味の猫も自分の体重を支える際に両足に負担がかかってしまえば、ふらついた歩き方をすることが考えられます。

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◆歩くのを嫌がる場合

猫が歩くのを嫌がる場合は、症状が重い状態であることが多いです。

骨折や脱臼、怪我をした部位が足などの場合は、痛みを堪えて歩くことがありますが、腰付近の骨盤や脊髄を骨折してしまうと、緊急性を要し、歩行が困難になってしまいます。

何かしらの病気が進行している場合にも、猫は本能的に自然治癒力を高めて体力を温存し、歩くことをせずじっと動かないこともあるようです。

このように歩くのを嫌がる場合は、重い病気を患っている可能性が高いですが、高齢の猫や肥満の猫も無駄に歩くことを拒みますので、前者の場合はしっかり見極めてあげることが必要と言えるでしょう。


猫の歩き方に異常があるときには

もし愛猫の歩き方に異常を感じたのなら、飼い主として何かをしてあげたいと思うところですが、こういうときこそ冷静に対応しなくてはいけません。

異常があると感じた場合は、まずは何をするべきなのでしょうか?

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◆猫の歩き方を観察する

猫の歩き方に異常が見られたら、その様子を事細かにメモしておいてください。

どんな歩き方の異変があるのか、引きずっているように歩くのかふらついているのか、いつからそのような歩き方をしているか、ほかに気になる症状が出ていたかなど、分かる範囲で書けることをすべて書いておきましょう。

実際に愛猫を病院に連れて行った際に、獣医さんはその歩き方を見ることができないので、飼い主さんの証言が原因を探る近道となることが多いです。

些細なことでも構いませんので、フードは食べられているか、排泄はできているかなども観察しておくと良いかもしれません。

どうしても気持ちが焦ってしまうとそのまま動物病院に駆け込み、症状を明確に伝えることができなくなってしまいますし、不安な気持ちが愛猫に伝染しやすくなってしまうので注意するようにしましょう。

◆家庭でできる応急処置をする

歩行の異変に気付いたときに、動物病院が開いている時間ならすぐに連れていくべきですが、夜中だった場合、病院がお休みだった場合は、自宅で愛猫の様子を見なくてはいけませんよね。

まずは愛猫が安静にできるように、タオルや毛布などを何重かに重ねて、柔らかくて落ち着けるような寝床を作ってあげるようにしましょう。

自分でその場所まで移動できなさそうであれば、患部を触らずに、優しく移動をさせてあげてください。

そして無理にでも高い場所に移動するよう素振りを見せるのであれば、落下や着地に失敗する可能性も否めないので、そのような場所がないところで安静にさせるようにしましょう。

また、トイレまで自分で行けないようであれば、ペットシーツを引くなどの工夫をして、排泄ができるような環境も整えてあげなくてはいけません。

その寝床の近くにキャットフードと飲み水も設置し、動かなくても最低限の生活ができるように環境を整えておきましょう。

◆できるだけ早く病院へ相談する

猫の歩き方がおかしいと思ったら、何日も様子を見るのではなく、できるだけ早く動物病院に相談するようにしてください。

歩けなくなる理由として、病気が原因の場合もありますし、放置してしまうことによって、さらに症状が悪化して機能が停止してしまうこともあるからです。

とくに骨折を放置してしまえば、骨が正常に組成されずにくっついてしまうこともあるので大変危険です。

そうなってしまうと愛猫はずっと辛い障害を抱えたまま、生きて行かなくてはいけませんので、そのような辛い思いをさせないためにも、すぐに行動に移してあげることが大切です。

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猫の体の異常に早く気付くために

猫の歩き方というのは、普段から意識して見ていることでもないので、飼い主さんが「歩き方が何か変だな?」と思ったときには、重症化していることも多いです。

愛猫の症状をどんどん悪化させないためにも、早急に異変に気付いてあげたいものですよね。

そのためには普段から、どんなことに気を付けておくべきなのでしょうか。

◆普段から猫の様子を見ておく

やはり一番大切なのは、普段から愛猫の様子を見ておくことですよね。

常に監視しておくというよりは、元気な状態の愛猫をしっかりと覚えておき、その状態を基準として、何か変わったことはないかと気にかけておくことです。

一年に一つ歳をとる私たちとは違い、猫は一年で四つもの歳をとってゆきます。

ついこの間まで元気であったとしても、毎日を繰り返し過ごしていくことによって、確実に年老いていくことに違いありません。

今日元気で合ったとしても、明日も必ず元気とは限りませんので、愛猫に長生きさせてあげるためにも、様子を見ておくことは大事なことなのです。

そして体に異常がないかの確認をするためにも、愛猫の体に触れるためにスキンシップを図ることも大切ですよね。

被毛や皮膚、そして体の隅々まで手で触れ、そして目で見て健康状態をチェックするようにしましょう。

◆健康診断などを定期的に受ける

愛猫の健康を守るためには、定期的な健康診断も欠かすことができませんよね。

動物病院は猫が怪我をしたり、病気になったりしたときに行くものと思われがちですが、定期的に動物病院に通うことによって、大きな病気を予防することにもつながるのでおすすめです。

常に愛猫の健康状態を専門家である獣医さんに診てもらうことができれば、たとえ異常が見つかったとしても、すぐに治療を始めることができますよね。

早期に異常が発見できれば、愛猫が長く苦痛を感じることもないですし、治療費もだいぶ抑えることができます。

ですので最低でも一年に一回は、健康診断に愛猫を連れていってあげるようにしてください。

そしてシニア期に突入した猫ちゃんは、年に2回の健康診断を行うことによって、病気などの早期発見につながりますので、定期的に通うようにしましょう。

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まとめ

毎日一緒に暮らしている愛猫の変化は、目で見てすぐ分かること以外は、なかなか気付き難いものですよね。

猫の歩き方の異常も私たちが気付くのは、目で見てはっきり分かるほどの異常か、だいたい悪化してから気付くことがほとんどです。

痛みを伴っているはずなので、どうしてもっと早く気付いてあげられなかったのだろうと、悔やむところですが、こればかりは普段から愛猫の様子をしっかりと見ていないと防ぎようがありません。

健康な猫は一直線に近い歩き方をしますので、もし外に出ている猫ちゃんであれば、その子の足跡を見て、真っ直ぐ歩けているかを確認してみてください。

そして普段から体に触れるようにコミュニケーションをとり、触れたときに痛がらないか、変な箇所はないかなどの確認も大切になってきます。

健康で長生きするためには、足腰の丈夫さも必要となってきますので、歩き方に少しでも異常を感じたら、すぐに動物病院に連れていってあげてくださいね。

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※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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