ブリーディングの前に知っておきたい!犬の妊娠の仕組みと交配の注意点

2017.07.02

ブリーディングの前に知っておきたい!犬の妊娠の仕組みと交配の注意点

犬を飼っていると、誰でも一度は愛犬の赤ちゃんが欲しくなるものです。でも安易な交配で命を増やすのはNG!ブリーディングについてよくわかった上で、それでも赤ちゃんが欲しいかを考えましょう。ここでは、妊娠の仕組みと交配についてお話ししますので、参考にして下さいね。

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犬の妊娠の仕組み

犬 妊娠

●犬が妊娠・出産できる月齢

メス犬が妊娠できるようになる月齢は、だいたい1歳前後からです。
メス犬は、6カ月~1歳頃に最初の発情期を迎え、その約半年~1年後に2回目の発情期が訪れます。
通常は2回目以降の発情期に交配し、成功すると妊娠しますが、最初の発情期でも妊娠は可能です。

また、出産に向いているのは2歳~6歳頃、初産は4歳までに、と言われる事が多いです。
犬の2歳~6歳は、人の年齢に換算すると24歳~40歳(大型犬なら19歳~47歳)くらい、犬の4歳は人の32歳(大型犬は33歳)頃にあたります。
納得のいく年齢ですね。

犬は交配から60日ほどで出産しますので、1歳前後に交配・妊娠させてしまうと、適齢期になる前に出産の日を迎えてしまいます。
出産は若すぎても高齢でも弊害が起きやすいので、初産なら1歳半~4歳、2回目以降なら2歳~6歳の交配が理想的です。

●メス犬の発情期とは?

生後6~12カ月を過ぎたメス犬には、毎年1~2回の発情期がやってきます。
発情期の後約5~8カ月の休止期と無発情期をはさみ、また次の発情期に入る、というサイクルを繰り返します。
一般的に大型犬ほどサイクルは長くなり、発情期が1年に1回のみ、というケースもありますが、問題ありません。
1年以上発情期がみられなければ、何か病気かもしれないので、動物病院で診察してもらいましょう。

春になると盛りを迎えた猫の声を聞く事があると思いますが、あれは分かりやすい発情期です。
猫の場合、日照時間が長くなる事で発情期が来るようです。
犬も外で飼われていれば、発情期が日照時間の影響を受け、春と秋のお彼岸の頃がピークという事もあるようです。
室内犬は、日照時間とは関係なく発情期がきます。

2013年に施行された「改正動物愛護管理法」で、子犬を引き取れるのは、生後56日以上たってから、と決められています。
生後56日と言えば、まだ2カ月に満たない赤ちゃん犬ですが、それでも半年もすれば発情期がやって来て妊娠する可能性があるのです。

●犬の妊娠の流れ

犬は次のような流れで妊娠します。

  1. 発情前期 出血が見られる
  2. 発情期 出血が終わり、排卵する
  3. 交配 成功すると、その後受精する
  4. 妊娠 受精卵が子宮内膜に着床する

それぞれの段階について、詳しく見ていきましょう。

●発情前期

メス犬は発情期前になると、人の生理のような出血が見られ、同時にフェロモンを出しオス犬を強力に引き寄せます。
このニオイをかいだオス犬は、すぐに発情してしまいます。
このメス犬の状態が、よく言われる「ヒート中」です。
引き寄せられたオス犬は、本能的に興奮状態になり、飼い主でもコントロール不能になります。
そのため、ドッグランやドッグカフェなどへの出入りが禁止されますが、散歩中などもオス犬に会わないように気をつけて生活しなくてはいけません。

出血量が少なかったり、犬がなめとってしまったりして、飼い主さんがヒートに気付かずにドッグランなどに行ってしまうと大変です。
普段から犬の様子を観察して、いつもと違うサインに気付いてあげましょう。

おしっこの回数が増える・食事の好みが変わる・食欲がなくなる・元気がなくなる・落ち着きがなくなる・わがままになるなどの変化は、発情前期と発情中によくみられます。
また、外陰部が赤くはれている事も目印となります。

逆に出血量が多過ぎる場合は、部屋を汚してしまうので、困ります。
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●交配~妊娠

出血が1週間ほどでおさまると、発情前期が終わり、次の段階である発情期に入ります。
メス犬の発情期は、10日ほど続き、これは他の動物よりかなり長いそうです。
発情期のメス犬の体は、オス犬の受け入れ体制が整い、いよいよ交配に適した時期がやってきます。

発情期の3日目頃、出血から10~12日前後が、排卵の可能性が高い時期です。
人は排卵後不要になった子宮内膜が排出され出血がありますが、犬の出血は排卵前なので逆ですね。
この排卵の時期は犬によってかなり異なり、早ければ出血後3日、遅いと31日というケースも見られるため、交配が失敗する要因にもなっています。

さて、排卵とは、卵巣でできた卵子が卵管に出される事です。
この時に出される卵子の数は、大型犬ほど多く、そのため大型犬の方が一度に多くの赤ちゃんを生みます。
排卵後の卵子は未熟で、卵管を下へ移動しながら2日半ほどかけて完成し、精子を待ちます。
完成した卵子の寿命は約2日間。
短いようですが、人の卵子の寿命は約1日なので、人の2倍の長さがあります。
一方精子の寿命は3日~6日間ほどで、これは人と同じくらいです。
妊娠するためには、卵子・精子がうまいタイミングで出会い、受精する必要があります。

1度の交配で卵管に泳ぎ着ける精子は、1,000個ほど。
さらに数時間かけ、生き残った精子だけが卵子内に侵入できます。
これが受精で、卵子が受精卵になった瞬間です。

犬の精子は優秀なようで、妊娠した場合、排卵された卵子はほぼ無駄なく受精卵となり赤ちゃんとして生まれてくるそうです。
この後、卵管内で細胞分裂を繰り返し、子宮内に入り、子宮内膜に着床します。
これが命を授かった瞬間、つまり妊娠です。
ここまで排卵後3週間が経過しています。


犬の交配方法

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<エイメリーの子供達です byエイメリーちゃん>

●交配の時期

犬同士、成り行きに任せておくと何度でも交尾するため、妊娠しやすいのですが、人がブリーディングする時は、成功する確率の高い時期を見きわめなくてはいけません。
卵子が完成し受精可能な状態を維持できるのが、排卵後およそ3日~5日の間で、これは出血から12日~16日頃になります。
これと、精子の寿命は3日~6日間である事を考え合わせて、出血後10〜14日に交配するのが良いとされています。

●交配の料金

出血がわかりにくい犬もいる上、排卵の時期には個体差があります。
また、交配の相手となる相性の良いオス犬を見つけるのは、とても大変です。
さらに交配の料金も、1回ごとに1万円~10万円かかる場合が多く、人気のチャンピオン犬などでは30万円などという値段になる事もあります。
それ以外だと現金ではなく生まれる赤ちゃん犬を1頭交配してもらった方に差し上げるという場合もあります。
そこで妊娠の成功率をあげるため、犬の体に注目したり、動物病院で検査を行ったりします。

●交配のための検査

発情前期には出血のほか、外陰部に膨張や充血が見られます。
これが発情期直前に最も大きく固くなり、発情期になると軟らかくなって、排卵日以降小さくなります。
排卵は発情期に入って3日目頃ですから、外陰部が軟らかくなって約3日で排卵、と予想ができます。

メス犬は、発情前期にはオス犬を全く寄せ付けませんが、発情期に入ると受け入れるようになります。
しっぽをよけて外陰部を見せたりマウンティングをさせたりしますが、これはオス犬が近くにいる時の仕草なので、ブリーディングの際には、あまり参考にならないかもしれません。

もっとはっきりとわかるのが、動物病院で行う「スメア検査(膣細胞診)」です。
綿棒などで膣粘膜をとり、顕微鏡で見てもらうだけなので、犬の負担は小さいですが、排卵日を特定するには、何度も通院しなくてはいけません。

さらに正確な特定には、 血液を採取してプロゲステロン(黄体ホルモン)の数値を調べる方法があります。
女性ホルモンの一つとして知られるプロゲステロン値が、排卵日に高くなるので排卵日がわかる、というものです。

●交配の種類

その犬の犬種らしさと健康を兼ね備えた赤ちゃん犬を得るため、父親となるオス犬は慎重に選ばなくてはいけません。
交配の方法は交配相手の犬により、いろいろな名前で呼ばれます。
それぞれ長所・短所があり、奥が深いので難しいのですが、よく聞く交配方法について簡単にご説明します。

<インブリーディング(近親交配)>
従兄妹、異母兄妹などの血のつながりが近い犬同士の交配による繁殖です。血統が近い方がクオリティーの高い犬を作出しやすいため古くから行われてきた方法ですが、遺伝的な問題が発生する可能性もあります。

<インセスチュアスブリーディング(極近親交配)>
1代または2代(兄弟姉妹・親子)という、濃い血縁関係のある犬同士の交配による繁殖です。
遺伝的な問題点が多く、JKCでは血統書を発行してもらうには、事前に繁殖計画書を提出し、審査を受ける必要があります。

<ラインブリーディング(系統交配)>
インブリーディングの一つで、祖先に同じ犬が入っている系統繁殖のことです。
犬種のスタンダードを維持して良い血統を受けつぐために、多く行われているブリーディングです。

<アウトブリーディング(交配)>
一方の固めてきた血統に対して、まったく関係のない血統の犬を交配させる方法です。
ラインブリーディングで血が濃くなり過ぎるのを防ぐ事などを目的として、よく行われます。

<インターブリーディング(変種間交配)>
同一犬種内の毛質やサイズの違う個体を交配させるブリーディングです。例えばロングコートチワワとスムースコートチワワのブリーディングはこれにあたります。

<アウトクロッシング(異種交配)>
犬種の違う犬(例:チワワとトイプードル)による交配で、生まれた子どもはミックス犬(雑種)になります。

単に交配して繁殖するのではなく、計画的に犬種の保持・改良を目指して交配するのが、ブリーディングです。
ブリーディングには、犬種に関するあらゆる知識が必要です。
犬種標準(スタンダード)はもちろん、遺伝的な病気や交配してはいけない被毛色の組み合わせ、先祖犬の事など、たくさんの事を考え合わせ、最良の交配をするのが本来のブリーディング。
そしてブリーディングに関するプロが「ブリーダー」という事になります。

ブリーダーは理想的な子孫を残せるよう、ラインブリーディングやアウトブリーディングなどを使い分けています。
ブリーディングは、犬種の将来をも操作する、奥の深い作業なんですね。


犬の交配時の注意点

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●交配適齢期

人も10歳代や40歳代を超えてからの出産は、周産期死亡率(妊娠22週~誕生後1週間に死んでしまう割合)が高くなります。
犬の場合も、幼犬や高齢犬の妊娠・出産は、赤ちゃん犬・母犬ともにリスクが高くなります。
出産は、メス犬にとって大きな負担になり、死の危険もあるものだと理解しておきましょう。

参考までに、日本最大の血統書発行団体であるJKC(ジャパンケネルクラブ)は、メス犬・オス犬いずれかが、生後9カ月1日未満の場合、「早期繁殖」として赤ちゃん犬に血統書を発行してくれません。
日本犬の最高権威団体である日本犬保存会でも、生後7ヶ月未満のメス犬・オス犬による「早期交配」の場合は、血統書が発行されません。

人で言うと、犬の月齢7カ月は10歳くらい、9カ月前は小学生の時期です。
健康的な赤ちゃんを無事に産んで欲しければ、交配はもっと後にするべきですね。

●ブリーディング前にする事

交配を考えるなら、まずは動物病院で健康診断を受け、健康である事を確認します。
感染症や内臓などの疾患や、遺伝的な病気がみつかれば、交配はあきらめます。

交配相手を見つけて、交配の日を決めるのも大切です。
素人のブリーディングは失敗する事も多いので、慎重に進めましょう。

どんなに注意しても、流産・難産・死産・奇形などの子が生まれてしまう可能性があります。
かわいい赤ちゃん犬でも、たくさん生まれたら引き取り手が見つからないかもしれません。
どんな場合も、飼い主としてしっかり対応する事を、家庭で話し合ってから交配を決めて下さいね。

●交配後の心得

交配してから、61日目が出産予定日です。
安産なら良いですが、場合によっては帝王切開もあり、最悪の場合死産やメス犬が死んでしまう事もあります。

無事に生まれたとして、その後も大変な日は続きます。
メス犬が赤ちゃん犬のお世話をしなければ、飼い主さんが育てる事になります。
愛情たっぷりに育てる、と言いますが、それ以前にお金も時間もたっぷりかかります。
出産と育児の準備を整え、万全の体制で赤ちゃん犬を迎えましょう。


まとめ

赤ちゃん犬はかわいいですが、ブリーディングは犬の命を支配する行為であり、かわいいというだけで手を出して、どうにかなるものではありません。
赤ちゃん犬に出会うまで、飼い主さんもメス犬も様々な苦労を乗り越えなくてはいけません。
交配・妊娠・出産の後、奇跡のように誕生した赤ちゃん犬は、本当に愛おしいものです。
やっと授かった大切な命が、生涯大切に扱われ、幸せになってくれるよう、できる限りの事をしてあげたいですね。



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坂田 ひかり

坂田 ひかり

子どもの頃から犬を飼い続け、犬と一緒に成長してきました。意外と知らない衝撃の真実や、知って得する豆知識を紹介していきたいと思います。犬好きさんがもっと犬を好きになって、犬と一緒に幸せになってもらえたら嬉しいです。

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