【獣医師監修】猫の関節炎ってどんな病気?原因や治療法、予防法は?

2019.09.14

【獣医師監修】猫の関節炎ってどんな病気?原因や治療法、予防法は?

猫の関節は、骨と骨を連結してくれているだけでなく、さまざまな衝撃を吸収し、関節部位を滑らかに動かしてくれる働きを担っています。日常的に使用している部位でもある関節は、加齢とともにどんどん衰えていくことは、自然の成り行きと考えれば、致し方ないことですよね。 ただ、健康だった猫が突然元気をなくしたり、運動をしなくなったりしたのなら、「関節炎」を患っているかもしれません。猫の関節炎とは、どんな病気なのでしょうか?

猫の関節炎とは?

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◆猫の体で重要な役割を果たす関節

私たちが普段生活する上で、骨の連結部分の役割を担う関節は、とても重要な役割を果たしてくれています。関節が健康であればあるほど、毎日の生活にゆとりが生まれ、元気に過ごすことが出来るとも言えますよね。

関節は脊椎動物の内骨格に必ず見られるので、私たち人間同様、脊椎動物に分類される猫にももちろん存在しています。

柔軟性の高い猫の体には、肩、肘、膝、手、足、アゴ、股、尻尾など、あらゆる部分で関節が骨と骨を連結する役割を担っています。

◆関節軟骨の衰えによって起きる病気

骨の先端には関節軟骨があり、軟骨の約80パーセントは水分で出来ているので、関節にかかる衝撃をクッションのように優しく吸収してくれています。

そしてこの関節軟骨が衰え、変形したり減少したりする状態のことを「関節炎」と呼びます。

猫によく見られる関節炎のほとんどは、「変形性関節症」と呼ばれ、原因によって一次性と二次性に分類されます。

慢性的な痛みを伴いますので、自然と運動量が減っていきますが、命にかかわる病気でもないので、飼い主さんは見過ごしてしまうことがほとんどです。

気付かないうちに重症化してしまうことのある病気でもあるので、どんな原因で発症するのかを知って、愛猫の変化を見逃さないようにしましょう。

◆身近な病気である猫の関節炎

しなやかな体を持つ猫は、関節の病気とは無縁と考えられてきました。実際に柔軟な体を持つ猫よりも、犬の方が関節炎の発症率は高く、ペットブームの主流であった犬にこそ注意すべき病気だと、一昔前は考えられていたようです。

その反面、我慢強い猫は分かりやすい症状を見せてくれることが少ないので、正確な発症率が分かりづらく、さまざまな国で関節についての研究が進められているようですが、明確な原因が分かっていないのが現状です。

アメリカで2010年に行われた研究では、関節炎の程度は個体によって異なりますが、生後6ヶ月から20歳までの猫を調査したところ、91%の割合で関節炎の症状が出たとのデータがあるようです。

そのような研究データが残っている時点で、猫と暮らす以上関節炎の話題は、避けて通ることが出来ないように感じますよね。


猫の関節炎の原因

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愛猫に関節炎を発症させないためにも、原因と考えられる因果関係を知っておく必要があるのではないでしょうか。

関節炎を発症させるのではないかと考えられている原因は、以下の通りとなります。

◆猫の関節炎の原因①加齢

猫も7歳を超えるとシニア期に突入となり、体のいたる箇所に不調が見られるようになります。

加齢とともに関節の軟骨も減少していきますので、自然とクッションの役割をしてくれていた軟骨が機能しなくなり、関節に痛みが生じてしまうことがほとんどです。

加齢が原因として考えられる関節炎は「変形性関節症」とも呼ばれ、前述した一次性の変形性関節症に分類されます。

長期間使い続けてきた関節の軟骨が修復困難となり、12歳以上の猫がとくに発症しやすいと言われています。

◆猫の関節炎の原因②肥満

加齢によって関節の機能が低下することは自然の摂理とも言えますが、若い猫でも関節炎を発症することはよくあります。

中でも肥満気味の猫は、必要以上に関節に負担がかかってしまうので、健康な猫と違い、関節軟骨も体重によってすり減っていきやすいのです。

肥満は関節炎だけでなく、色々な病気を併発しやすいので、注意するようにしましょう。

◆猫の関節炎の原因③過度の運動

元気がみなぎる若い成猫には無縁と思われてしまいそうな関節炎ですが、元気な猫こそ気を付けたい病気とも言えます。

いくら柔軟な体を持ち合わせた猫だからといって、激しく過度な運動をしていたとしたら、関節に多大な負担をかけることになってしまいます。

特にジャンプは手足だけでなく肩や腰などに負荷がかかるので、タイミングが悪ければ脱臼や骨折をしてしまうことも。

健康の秘訣となる運動が仇となってしまうとなれば、ますます関節炎が厄介な病気であることが分かりますよね。

◆猫の関節炎の原因④遺伝

二次性の変形性関節症の原因として挙げられるのが、遺伝的な疾患です。

遺伝的な素因が考えられている猫種は、デボンレックス(膝蓋骨脱臼)、シャム(股関節異型性)、スコティッシュ・フォールド(関節症)などが挙げられます。

軟骨そのものに疾患がなかったとしても、遺伝的な要素が加わることによって、関節炎を発症してしまうと考えられているので、これらの猫種と暮らしている飼い主さんは、しっかりと予防してあげるようにしてくださいね。


猫の関節炎の治療法

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猫の関節炎の治療は、関節の痛みを和らげる必要があるので、傷み止めの投与する内科的な治療が一般的です。

猫の苦痛の原因となる痛みを取り除く治療をしたあとに、原因を追究し、別の持病によって関節炎を引き起こした場合には、元の病気への治療が行われます。

明確な原因が判断出来ない場合は、原因を追究することが出来ないので、症状を軽くすることを目的とした治療が施されます。早目に動物病院に受診するようにしましょう。

動物病院によっては、軟骨の成分を補う目的として、サプリメントを併用することもあります。

中でもグルコサミンは軟骨の構成要素の一つでもあり、痛みを和らげてくれる働きをしてくれるので、グルコサミンのサプリメントをおすすめされる獣医師さんも多いようですよ。

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猫の関節炎の予防法

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愛猫が関節炎を発症しないためにも、飼い主さんは猫の体に負担がかからないように、日々の予防を心掛けなくてはいけません。

関節炎に関してはどの年齢の猫も、発症してしまうかもしれない病気です。たとえ命に関わらない病気であったとしても、日頃からケアしてあげることによって、リスクを軽減させてあげることは出来るはずです。

猫の関節炎の予防には、どんな方法が効果的なのでしょうか。

◆体重管理をする

愛猫を溺愛するあまり甘やかして好きなだけフードを食べさせてしまうと、気付いたら肥満に…なんてことはよくある話ですよね。

確かに肥満気味の猫はまんまるでぷっくりしていてとても可愛いですが、さまざまな病気を併発しやすくなってしまいます。

もちろん関節への負担は大きく、痛めてしまえば歩行することはおろか、大好きなフードを食べなくなってしまうかもしれません。

大切な愛猫に、そんな辛い思いはさせたくないですよね。

フードは与えすぎず一日に必要な栄養素を計算し、飼い主さんがしっかりと体重管理をしてあげるようにしてください。

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◆適度な運動をする

過度な運動は関節に負担をかけてしまいますが、適度な運動であれば筋力を強化することが望めます。

猫は一日の大半を眠って過ごすことが多いので、家猫は外猫と比べて運動量が少ないとも言われています。

そのため、猫が甘えてきたときや起きている時間は、積極的に遊んであげることを心掛け、運動の手助けをしてあげるようにしましょう。

ジャンプは関節に負担をかけてしまうので控えるようにし、長い距離を走らせる運動が最適です。

適度な運動は、ストレス発散、肥満や老化防止、健康維持にも繋がりますので、是非取り入れたい予防法と言えるのではないでしょうか。

◆床材の見直しをする

ご家庭の床材がツルツル滑るような素材を使用している場合、猫の関節に負担をかけてしまいます。

なるべくカーペットやコルク板などの床材用品を用いることによって、関節への負担を軽減することが可能となります。

もちろんすべての床材を変更しなくてもかまいませんが、猫がよく活動する範囲内で、滑りにくい床材用品を設置してあげてください。

同時に滑りにくい床材用品に爪が引っ掛からないようにするためにも、爪のケアを怠らないようにしましょう。

爪のケアを怠ると巻き爪になってしまうこともあり、滑り止めの役割をしている肉球を傷つけてしまいますので、猫の爪もこまめにケアするようにしてあげてくださいね。

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まとめ

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猫の関節炎はあまり認知度が高い病気ではないにしろ、全ての猫に発症する可能性がある病気であるとも言えます。

命に関わらないとはいえ、強い痛みをともないますので、愛猫が関節炎を発症しないためにも、日頃のケアこそが大事であると言えるでしょう。

老化や肥満によって関節の軟骨が減少していくことがほとんどなので、毎日口にするフードの見直しも必要ですし、適度な運動や滑りにくい床材用品の見直しも大切です。

そしてグルコサミンなどの関節に特化したサプリメントも有効ですので、予防法として日頃から取り入れる場合は、獣医師さんに支持を煽ってから、摂取するようにしてください。

愛猫がいつまでも健康で元気に暮らしてもらうために、今出来ることを始めてみてはいかがでしょうか。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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