猫が猫砂を食べた時に起こる危険性
猫のトイレに使用する猫砂は、固まってトイレに流せるタイプの商品や、紙のタイプでそのまま燃えるゴミとして出せる商品、そしてシステムトイレ専用のチップなど、様々なタイプの猫砂が商品化されていますよね。
初めて猫と一緒に暮らすことになった飼い主さんは、まずこの猫砂の種類の豊富さに驚かれる方も多いのではないでしょうか。
猫は性格によって好む猫砂も違いますし、しっくりとこなければ使用してくれないこともあります。そんなときに猫砂はトイレとしての機能をしなくなってしまう上に、猫にとって遊びの対象になってしまうこともとても多いです。
おからや紙などが主原料になっている猫砂は猫が食べるとしても、そこまで害が無いようにも思えますが、実際どうなのかはやはり気になってしまいますよね。
猫が猫砂を食べるようなことが合った場合、どんな危険性が考えられるのでしょうか。
◆ベントナイト中毒を起こす
猫砂の商品の中には、オシッコの水分で固まる猫砂があります。その猫砂のうちのひとつを「ベントナイト」と呼びますが、ケイ酸塩粘土を主成分とした、いわゆる鉱物タイプと言われている一般的な猫砂となります。
この鉱物系の猫砂は、高い吸収力と消臭力を備えていることから、ニオイが強い猫のオシッコにピッタリな素材として、現在も沢山のメーカーから商品化されて販売されています。しかし、この猫砂を猫が食べることがあれば、注意が必要です。
因果関係がはっきりはいませんが、ベントナイトの猫砂を食べることにより、低カリウム血症や低色素性小赤血球性貧血、脱水症状や筋力の低下などの症状が示されたとの報告があるようです。
たとえベントナイトの猫砂を食べなかったとしても、ベントナイトの粉塵が原因と考えられる症例がいくつか出ているようなので、空気中に舞った粉を吸ったり、手に付いた粉を舐めたりしてしまうことも危険であると言えますよね。
少量であれば危険性は低いと言われてはいますが、猫が猫砂に触れる機会はほぼ毎日あると言えますので、やはりこれらの報告がある以上絶対に安全であるとは言い切れません。
特に低カリウム血症を引き起こしてしまった場合、猫の腎臓に影響が出やすいとも言われていますので、腎臓疾患の出やすい猫にとって、危険が高い猫砂であると言えるでしょう。
◆化学物質や有害化合物が含まれていることが多い
一般的に販売されているペット商品は、法の規制が無い商品も多く、飼い主さんへの利便性を追求して商品化されている物が多いです。
そのため、猫砂に豊富な種類の商品が販売されているのも、一見便利で猫に合わせて購入するように思えますが、飼い主さんは愛猫の健康を守るためにも、しっかりと含有物をチェックしてから購入をすることをおすすめいたします。
なぜなら猫の猫砂には、含有成分に化学物質を使用している商品が多く販売されているからです。
もちろん猫砂を少量食べることがあっても、目に見える害はほぼ無いと言えるかもしれません。ですが私たち人間は、普段口にする食べ物や使用する商品などに、化学物質が含まれていないか、気にすることって多いですよね。
この何気ない考え方と一緒で、化学物質と聞いて少しでも嫌悪感があれば、大切な愛猫がもし一口にしてしまっても、安全と思えるような商品を使用する方が、得策だと言えるのではないでしょうか。
トイレに流せる紙タイプの猫砂などには凝固剤や接着剤、おからやおがくずを原料とした生分解性物質の猫砂には、防腐剤や合成保存料、システムトイレ専用のチップには撥水剤や接着剤が使われていることが多いです。
他にもシリカゲルの猫砂は、食べ物に入っている「食べてはいけません」と書かれた乾燥材と同じ成分となりますので、問答無用に食べることがあってはいけません。
毎日使用しなくてはいけない猫砂で、猫が健康被害を出してしまっては元も子もありませんよね。
もし愛猫が猫砂を食べるようなことがあるのであれば、まずは原因を追究して何かしらの対策をする必要があると言えるのではないでしょうか。
猫が猫砂を食べる原因
猫が猫砂を食べる原因は、猫によってバラつきはもちろんありますが、その原因をまず飼い主さん自身が明確にさせる必要がありますよね。
何が原因か分からなければ対策が出来ませんので、愛猫が以下の原因に当てはまるか参考にしてみてはいかがでしょうか。
◆病気のため
病気が原因で猫は猫砂を食べることがあります。特に異食症(異嗜症)の場合は、栄養価が無く不自然な物を食べる病気となり、寄生虫症や消化酵素の不足、肝臓疾患や鉄欠乏などが原因として挙げられます。
◆ストレスを感じているため
猫は精神的な不安を抱えていたり、多大なストレスを感じたりしたときにも猫砂を食べることがあります。
生活環境が変わってしまう、他にペットや子供が増える、不満があって飼い主さんの気を引きたいなどの際にも、猫砂を食べることがあるそうです。
◆栄養状態が悪いため
普段しっかりと食事を与えていても、猫は嗜好性の高い動物なので好き嫌いをしたり気に入らなければ食べなかったりすることもよくあります。そして栄養が偏りがちになったときに、猫は本能的に足りない栄養を補おうとして猫砂を食べることがあるのだそう。
飢餓状態で保護した野良猫などによくみられるので、猫砂選びにも注意が必要です。
◆食事量が不足しているため
普段の食事が少なく、猫が満足している場合にも猫砂を食べることがあるようです。
おからやトウモロコシなどの生分解性物質が主成分の猫砂は、ニオイから食べ物と勘違いすることがあれば、形状が似ていることからも食べ物と勘違いして食べることがあるのかもしれません。
◆好奇心のため
猫によっては好奇心旺盛なために、猫砂に興味を持ち食べることもあるようです。特に子猫は人間の赤ちゃんと同じように、何でも口にしてしまうことがあるので注意が必要ですよね。
食べるまでいかなかったとしても、ニオイを嗅いだり舐めたりするようなことがあれば、水分を含んで固まる性質の猫砂は口や鼻などに付着し、結果として舐めとって口に入ってしまうことがほとんどです。
猫が猫砂を食べる時の対策
猫砂がどんなに食べても害を及ぼす可能性が低かったとしても、猫にとって異物であることには違いありません。愛猫がなぜ猫砂を食べるのか、原因が判明したのなら、今度はしっかりと対策をしておく必要がありますよね。
もし猫が猫砂を食べると判明した際は、以下の方法を用いて対策をしてみて下さい。
◆猫砂の種類を変えてみる
一番対策として望ましいのは、やはり現在使っている猫砂の使用をやめて、別の種類の猫砂に変更する方法です。
急に全部の砂を変更してしまうと、そのトイレを使用してくれなく可能性が高いので、数日かけて猫砂を徐々に混ぜながら、最終的に別の猫砂に移行するようにしましょう。
もし新しい猫砂を気に入ってくれなかったとしても、猫が猫砂を食べることをやめさせることが最重要となりますので、根気強く色々な種類を試してみるのもおすすめです。
◆食べ物に興味を向かせてみる
猫が猫砂を食べるのなら、食べないように別のことに興味を向かせる方法も有効です。
もしフードの量が足りない、今食べているフードが気に入らないなどの原因が根本にある場合には、早急にフードへの見直しが必要であると言えるでしょう。
猫にとって食べることは、何よりも楽しみにしているに違いありません。嗜好性の高いウェットフードや、愛猫の好物を与えるようにし、猫砂への興味を徐々に薄れさせていくようにしましょう。
ただし、与えすぎてしまうと肥満へと繋がってしまうので、一日の摂取カロリーがオーバーしないように計算してあげてくださいね。
◆ストレスを軽減させる工夫をする
人間にとっても猫にとっても、ストレスは大敵となります。ストレスを強く感じてしまえば、異食症などを起こしてしまっても不思議ではありませんよね。
飼い主さんに対しての不満や寂しさなどを感じているようであれば、一緒に居る時間を増やし、なるべく遊んだり話しかけたりして、ストレスを発散させてあげましょう。
そして生活環境に対してストレスを感じているのなら、狭くて安心出来るような場所を確保し、常に安心して眠れるような寝床をいくつか用意してあげましょう。
環境を整えることによってストレスが軽減されることは多いので、生活環境の改善もおすすめですよ。
まとめ
もし愛猫がトイレの猫砂を食べている瞬間を目撃してしまったら、きっと誰しもが驚き、不安を感じてしまうことでしょう。
現在販売されている沢山の猫砂は安全な商品がほとんどですが、それでも食べ物に分類される商品ではないので、猫が食べることがあれば心配になってしまうことは不思議ではありません。
猫によって猫砂を食べる原因は様々ですので、なぜ愛猫が猫砂を食べてしまうのかをしっかりと追究し、対策をしてあげるようにしてください。そして猫砂を食べて体調を悪そうにしている場合には、すぐに動物病院に連れていくようにしましょう。
猫砂は異物に変わりありませんので、食べていることが明確な場合にはすぐに対策をし、愛猫の健康を維持し続けてあげてくださいね。
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