【獣医師監修】猫の尿検査は何がわかる?その項目や採尿方法をご紹介していきます

2023.01.30

【獣医師監修】猫の尿検査は何がわかる?その項目や採尿方法をご紹介していきます

猫と現在一緒に暮らしている方であれば、1分1秒でも長く一緒に居たいと願っていることでしょう。 猫の寿命を延ばすためには、毎日の健康管理と定期的な健康診断が重要となってきますが、これらを怠ってしまうと、猫は我慢強い動物ですので、気付かぬ間に病気が進行していることがよくあります。 とくに猫は腎臓病を発症する割合が高く、そのようなことからも尿検査の需要は高いとも言えますよね。 猫の尿検査ではどんなことがわかり、どのようにして愛猫のおしっこを摂取すれば良いのかなどを解説していきたいと思います。

【掲載:2021.05.22  更新:2023.1.30】

猫の尿検査ではどんなことがわかる?

獣医師と猫

まずは猫の尿検査をすることによって、どんなことがわかるのか、気になるところですよね。

猫の尿検査でわかることは、以下のような項目が一般的です。

◆尿検査の検査項目

動物病院によって尿検査の項目は多少異なりますが、基本的には尿スティック(試験紙)と顕微鏡を用いた検査が一般的となります。

尿スティックを使用した検査では、猫ちゃんから採取したおしっこを段階別に色分けし、異常がないかの確認を獣医師さんが行ってくれる検査です。

尿スティック検査では、以下のような項目が評価されます。

・色調
・潜血
・pH値
・尿比重
・尿糖
・尿蛋白
・ケトン体
・ビリルビン

まずは猫ちゃんのおしっこの色を確認し、標準値に対して評価しつつ、混濁していないか、血が混じっていないかなどを確認していきます。

そしてpH値が酸性かアルカリ性のどちらに傾いているのか確認、おしっこを凝縮する機能チェックである、尿比重の確認も行います。

また、尿糖が出ていないか、たんぱく質量がどうなのかを評価し、病気が関わっていないかの確認も、尿検査では可能となっているようです。

顕微鏡の検査では、白血球や赤血球、細菌などの有無を確認し、pH値で極度に酸性かアルカリ性に傾いていた場合には、結晶の形をもとに尿結石の種類を判断します。

◆尿検査でわかる病気

猫の尿検査でわかる病気として、一番に挙げられるのはやはり尿路結石膀胱炎などの泌尿器系の病気ですよね。

尿比重の数値からは、正常値よりも数値が下回る場合には腎不全などの病気が考えられますし、尿糖が認められた場合には糖尿病なども疑わなくてはいけません。

ケトン体やビリルビンなどは正常なおしっこでは検出されませんので、尿検査で陽性と判断された場合は、肝臓の障害などが疑われることがあります。

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猫の尿検査はいつ受ける?

尿検査

様々な検査項目がわかる尿検査ではありますが、飼い主さんとしてはいつ愛猫の尿検査を行えばいいのかわからない方もいらっしゃることでしょう。

猫の尿検査は、どのようなタイミングで行うのが望ましいのでしょうか。

◆おしっこに異常がある場合

健康な猫ちゃんであれば、尿検査を頻繁に行う必要はありませんが、おしっこをするにあたって何かしらの異常が出ている場合には、すぐにでも動物病院を受診し、尿検査を行う必要があります。

おしっこは健康のバロメーターでもあるので、猫の排泄に少しでも異変を感じたのであれば、悠長に様子を見るのではなく、飼い主さんはすぐにでも行動に移さなくてはいけません。

おしっこの異常は目視や触診などではわからないことが多いので、採尿をして猫ちゃんと一緒に動物病院に連れて行った方が、病気の早期発見にも繋がります。

焦りは禁物ですが、不安なときは動物病院を受診する前に電話連絡し、どのように採尿するかなどの指示を仰いでみてはいかがでしょうか。

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◆健康診断のとき

とくにおしっこに異常のない健康体の猫ちゃんであっても、定期的に健康状態をチェックすることは大切ですので、健康診断の際に尿検査も行っておくと安心です。

動物病院によって健康診断の内容は異なりますが、どこの病院でも尿検査は検査項目に入っていることがほとんどですので、そこで数値を明確にしておくことによって、病気の予防や対策を行うことが可能になりますよね。

私たちよりも数倍早く歳をとる猫ちゃんには、最低でも1年に1回は健康診断を行うようにし、健康の管理を怠らないようにしてあげましょう。


猫の採尿方法

私たち人間であれば、そこまで採尿に手間がかかりませんが、採尿の対象が猫であれば話は別となりますよね。

猫のおしっこを自宅で摂取する場合には、どんな方法を用いれば良いのでしょうか。

◆おたまを使用する

一番手っ取り早い方法と言えるのが、キッチン用品であるおたまを使用して、猫のおしっこを直接採取する方法です。

猫がトイレに入ったタイミングで、猫の尻尾の下あたりにおたまをセッティングすることによって、その中におしっこが溜まっていきますよね。

この方法はどんな形状の猫用トイレでも採取が可能となるので、新品のおたまを一つ準備しておき、猫用にしておくと定期的に行う健康診断時にも活用できますよ。

◆システムトイレを使用する

システムトイレを利用しているご家庭では、トレイにペットシーツを引かずに、直接トレイに溜める方法でも摂取できます。

その場合トレイの汚れが気になるようでしたら、トレイの上にラップを敷くとお手入れも簡単に済むのでおすすめです。

簡単な採尿方法ではありますが、菌の繁殖を防ぐためにも、新しい猫砂に変えたタイミングで尿検査を行うことが推奨されていますので注意しましょう。

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◆専用のキットを使用する

昨今では簡単に採尿ができる、ペット専用のキットなども販売されています。

棒状の先端部にスポンジが取り付けられた採尿キットや、シート型の採尿キットなど、猫ちゃんの性格に合わせて選べるのが嬉しいですよね。

動物病院によってはそれらのキットで採取したおしっこでも、問題なく検査してくれる病院も多いので、そのようなキットを使用する際には、事前に動物病院に確認しておくと安心です。

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猫の尿検査の注意点

コツを掴めば誰でもカンタンに行える猫の尿検査ではありますが、検査の際にはいくつか注意しておかないといけないことがあります。

正確な数値を出すためにも、以下の点に注意して、尿検査を行うようにしましょう。

◆採尿後早めに検査してもらう

尿検査をする際には、鮮度が命となりますので、排尿からなるべく早く採尿を心掛け、常温で保管しておく場合には、6時間以内に動物病院へ持って行くようにしましょう。

おしっこは生ものですので、長時間放置してしまうと菌が繁殖し、検査の結果に影響を及ぼします。

正確な数値が分からなくなってしまうので、摂取後は速やかに検査をしてもらってください。

どうしても都合が悪い場合には、おしっこを容器に入れて冷蔵保存し、遅くとも1週間以内に動物病院へ持っていくようにしましょう。

◆採尿に使用する道具は清潔に

尿検査で一番大切なのは、正確な数値を導き出すことですよね。

使用する道具が不衛生な状態であると、せっかく尿検査をしても愛猫の数値が明確に分かりません。

せっかく行う尿検査を無駄な結果にしないためにも、採尿に使用する際の道具は清潔なものを使用するようにしましょう。

何回も使用を繰り返すようであれば、使用後はしっかりと洗浄をして乾燥させ、清潔な環境で保管しておくことによって、次回も清潔に使用できますよ。


自宅で簡易検査する方法もある

猫の尿検査は自宅で採取して動物病院に持ち込むことが一般的ですが、自宅で上手に採尿ができない場合は、動物病院で獣医師さんに採尿してもらう方法もあります。

その場合、膀胱に穿刺(せんし)する方法やカテーテルによる排尿など、猫ちゃんにとって負担となる採尿方法が一般的となります。

ほかにも膀胱を圧迫して排尿させる方法などもありますが、おしっこや腎臓にトラブルが出やすい猫にとって負担が大きくなるので、現代ではあまり推奨されていない方法でもあるようです。

それらの摂取方法が重荷になる場合には、自宅で簡易的に検査ができるキットなども販売されており、摂取したおしっこを送るだけで結果が出る簡易検査がおすすめです。

尿検査をすることによって、猫ちゃんに負担をかけてストレスを与えてしまっては意味がないので、愛猫の性格に考慮した検査方法を選んであげることも大切ですよね。

さらに簡易的な検査を日常的にしたいのであれば、pH値を測定できる試験紙やペットシーツなども販売されているので、そのようなアイテムを活用してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

猫も人間も、一番基本的な検査は尿検査であると言えるほど、おしっこは健康のバロメーターとなりますよね。

とくに猫は腎臓の機能が活発で、少ない飲水量でも凝縮されたおしっこを出す動物ですので、飼い主さんとしては常におしっこの状態を確認しておきたいのではないでしょうか。

尿検査自体の費用も動物病院によって、1,500円前後の料金に設定されていることが多く、そこまで経済的にも負担のかからない検査と言えますよね。

日常的に正確な数値を知ることによって、事前に防げる病気などもありますので、異常が出ればその都度、異常がなくても1年に1回は尿検査を受けるようにしてください。

そして採尿が難しいと感じた場合には、動物病院で摂取する方法もありますし、自宅で簡易的に検査をする方法もあるので、猫ちゃんの性格に合わせて尿検査の方法を選んでみるのもおすすめですよ。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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