1.猫はみかんを食べられる?
1-1.猫はすっぱい物が苦手
1-2.みかんは与えない方がよい
2.みかんの皮の成分が猫には有毒
2-1.柑橘系の皮に含まれるリモネン
2-2.身近にあるものにもリモネンが含まれている
3.みかん以外の猫が気を付けたいフルーツ
3-1.他の柑橘類
3-2.ぶどう
3-3.イチジク
3-4.キウイ
4.まとめ
猫はみかんを食べられる?
酸味と甘みのバランスが良いみかんは、ビタミン補給にも一役買ってくれるので、デザートとして楽しまれる方も多くいらっしゃいますよね。
猫にとってビタミンは必須栄養素となるので、手軽にビタミンが補給できるのであれば、みかんをフードに混ぜたりおやつとして与えてみたりと考えたとしても、不思議ではありません。
しかし世間一般的には「猫は柑橘類のニオイを嫌がる」「酸っぱい食べ物を欲しがらない」などといったイメージがあるので、猫がみかんを食べている姿が想像できないのではないでしょうか。
そのようなイメージが定着しているということは、何か理由が必ず存在しているはずです。
実際に猫は、みかんを食べても問題がないのか、まずは考えていきましょう。
◆猫はすっぱい物が苦手
ほとんどの果物や野菜は水分でできているので、飲水量の少ない猫にとって有難い食べ物とも言えるのですが、そもそも猫には野菜や果物から得られる栄養素は必要がありません。
みかんには繊維質やビタミンが豊富に含有されていますが、健康体の猫であれば自身の体内でビタミンCを合成できますし、人間と猫とでは栄養素の働きが異なるので、みかんによる栄養素は猫に必要ないことが分かります。
そして何よりも猫は、すっぱい物が苦手です。
もともと人間ほど味覚が発達していないこともあり、猫が食べ物を食べるときには、その匂いや食感などを頼りにして、安全か否かの確認をします。
肉食動物である猫にとって、すっぱいニオイは「腐敗(酸化)」を意味しますので、本能的にすっぱい物を警戒しているのかもしれません。
このようなことからもみかんのような柑橘類は、その爽やかな香りを嗅いだだけで、自分が食べられる物ではないと咄嗟に判断している可能性が高いと言えるでしょう。
◆みかんは与えない方がよい
猫ちゃんの中には、飼い主さんが美味しそうにみかんを食している姿を見て、自分も食べてみたいと興味を示す子も居るはずです。
みかんの栄養は部位によっても異なりますが、水分の含有量の多い果肉部分であれば、少量を与えたとしてもそこまで問題はありません。
しかし、わざわざ猫の食べ物ではないみかんといったフルーツで、水分や栄養を補給させる意味合いはありませんので、興味を抱かさないためにも与えない方が無難と言えるでしょう。
普段から猫が食べるべき総合栄養食のキャットフードを与えていれば、必要な栄養素がしっかりと補えますので、人間の食べ物は極力与えないような工夫が必要です。
みかんの皮の成分が猫には有毒
みかんの果肉や果汁であれば、猫に多少与えても問題がないことが分かりましたが、それ以外の部分がどれぐらい有害なのかも知っておきたいところですよね。
猫がもっとも注意すべき毒性の強いみかんの部位は、一体どこなのでしょうか?
◆柑橘系の皮に含まれるリモネン
みかんをはじめとした柑橘系の皮には、無数の小さな点があり、これを「油胞(ゆほう)」と呼びます。
みかんの皮を絞ると油胞から汁が勢いよく吹き出ますが、香りはとても爽やかですっきりとした清涼感があり、環境にも優しいことから洗剤や香り成分として多用されていますよね。
一方でこの汁が目に入ると強い刺激を感じることがありますが、それはこの油胞内の精油成分に含有されている、「リモネン」と呼ばれる物質が大きく関係しています。
リモネンは洗剤にも使用されることがある通り、炭化水素系の物質を溶解する作用がありますので、目の粘膜に触れてしまえば、強い刺激を感じるのは当然の結果とも言えるでしょう。
私たち人間は体内(肝臓)でリモネンを代謝して、尿として体外へ排出させられますので、みかんの皮を食べたとしても問題ありませんが、猫はこの物質を分解することができません。
肉食である猫は植物性物質の分解がもともと苦手なので、有毒であるリモネンを摂取すれば、下痢や嘔吐、皮膚にかぶれができるといった症状が現れることも。
さらに中毒症状が悪化すれば、最悪の場合意識が混濁し、死に至ることもあるので、柑橘系の皮の取り扱いには十分注意をするようにしましょう。
◆身近にあるものにもリモネンが含まれている
普段生活している身近な環境にも、リモネンが含まれている商品が多く存在しています。
前述した通りリモネンは、炭化水素系の物質を溶解する作用があるので、洗剤の成分として利用されていることが多いようです。
愛猫の食器を洗う洗剤や、部屋の中を掃除する洗剤など、猫ちゃんの居るご家庭で使用する際には、リモネンが含まれていないか確認しておくと安心ですよね。
そのほかにも柑橘系の爽やかな香りを表現した芳香剤やアロマオイルなどにも注意が必要と言えるでしょう。
とくに飼い主さんが体に使用するような、ハンドクリームやボディオイルなどは、芳醇な香りを強めるためにリモネンが豊富に含まれている場合があります。
飼い主さんとのスキンシップの中で、猫が舐めてしまう可能性も否めませんので、猫ちゃんが居るご家庭では、使用を控える方が賢明と言えるのではないでしょうか。
みかん以外の猫が気を付けたいフルーツ
みかん以外にも猫に気を付けておくべきフルーツがほかにあるのか、猫と一緒に暮らす飼い主さんであれば知っておきたいところですよね。
猫にとって危険性の高い食材を事前に知っておくことにより、猫に与えないといった選択肢が生まれますので、猫好きの方は正しい知識を得て、愛猫の安全な食生活を心掛けるようにしましょう。
◆他の柑橘類
みかん以外の柑橘類にも油胞があり、リモネンが含まれているので、猫に与えるべきではないフルーツと言えますよね。
柑橘類のフルーツを直接与えないにしても、私たちが普段口にしたり使用したりしている加工品にも利用されていることが多いので、扱う際には細心の注意が必要と言えるでしょう。
◆ぶどう
猫にとってぶどうやレーズンは、腎機能障害の原因となる可能性の高いフルーツと言われていることをご存知でしょうか。
原因がはっきりしていないものの、猫は腎臓病を発症する確率が高いので、ぶどうの摂取は命取りになると言えるでしょう。
少量でも中毒症状が出やすいと言われているので、愛猫が誤って口にした場合はすぐに動物病院を受診し、獣医師さんの指示のもと適切な治療を行うようにしてください。
◆イチジク
イチジクには口の粘膜を傷付ける「フィカイン」や、日光に反応して皮膚に炎症を起こす「フラノクマリン」といった成分が含まれています。
とくにフィカインは私たち人間にとっては、消化の促進や二日酔いの予防などに効果が期待できると言われていますが、体の小さい猫には毒性が強く、細胞(DNA)を傷付けてしまうのでおすすめできません。
イチジクの実だけでなく、葉や茎にもこれらの成分は含まれているので、猫の居るご家庭での栽培は控えるようにしましょう。
◆キウイ
猫の中にはキウイに興味を示す子も多く、その不可解な行動を不思議に思ったことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
キウイは猫の大好きなマタタビの仲間であり、マタタビ科マタタビ属の植物に分類されていますので、「マタタビラクトン」や「アクチニジン」と呼ばれる成分が含まれています。
この成分が「鋤鼻器(じょびき)」と呼ばれる嗅覚器を通じて、マタタビと同じ成分を感じ取っている、といった仕組みとなっているので、一部の猫ちゃんが過剰に反応することがあるのだそう。
少量であれば気持ちが高ぶりほどよい興奮状態を持続させますが、中枢神経を麻痺させてこのような状態になるので、たくさんの量を与えてしまえばその分脳へのダメージも強くなってしまいますよね。
また、食物繊維も豊富に含まれているので、与えすぎは胃腸の調子を崩してしまう可能性も否めませんので注意をするようにしましょう。
まとめ
冬になると市場に出回る機会が増え、オレンジ色のまんまるとした可愛い形のみかん。
最近では猫を鏡餅に見立てて、猫の頭の上にみかんをちょこんと乗っけて、写真を撮ってSNSにあげるといった行為も流行っていますよね。
それぐらいであれば猫に油胞内の精油成分が付着することはありませんが、みかんの香りを嫌がる子にはこのような行為をおこなわないことが賢明です。
そしてどんなに猫がみかんに興味を示し、みかんを欲しがったとしても、与えないことこそが愛猫の安全を守れるのではないでしょうか。
もちろん注意するのはみかんだけでなく、ほかの柑橘類のフルーツや、柑橘類の精油を利用した洗剤やアロマオイルなども慎重に扱わなくてはいけません。
猫に直接付着しなかったとしても、飼い主さんがオイルなどを使用した手で猫を撫でたり、猫が飼い主さん自身を舐めたりすることも否めませんよね。
みかんをはじめとした柑橘類の加工品を使用する際には、細心の注意を払って使用するようにしましょう。
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