1.猫はなぜいい匂いがする?
1-1.猫はそもそも無臭?
1-2.日向ぼっこが好きだから
1-3.グルーミングが日課だから
1-4.マーキング
1-5.フェロモンの匂い?
2.猫のいい匂いがする部位4選!
2-1.おでこ
2-2.後頭部
2-3.肉球
2-4.おなか
2-5.しっぽ
3.気を付けなくてはいけないこと
3-1.しつこく匂いを嗅がない
3-2.お昼寝の邪魔をしない
3-3.触られて嫌がる部分は触らない
4.嫌なニオイがしたら要注意
5.まとめ
猫はなぜいい匂いがする?
まずは、猫は何故いい匂いがするのかについて、見ていきましょう。
◆猫はそもそも無臭?
猫を飼ったことがない人が猫の匂いに抱くイメージは、「猫はくさい」のようです。一方、猫が好きな人には、猫はいい匂いがするものです。この違いは、どこから来るのでしょうか?
実は、猫は本来、体臭がほぼなく「無臭」と言ってもよいほどなのです。これは、猫の狩りの仕方が「待ち伏せ型」であることに由来しています。
獲物を待ち伏せして狩りを成功させるには、相手に自分の存在を知られてはいけません。物陰に身を潜めていても、匂いがすれば気づかれて獲物に逃げられてしまうでしょう。
このため、猫は体臭が少なくなるように進化してきたと言われています。
猫が臭いというイメージの元は、主におしっこの臭いと考えられます。これは、猫の尿が他の動物よりも濃度が濃いためです。
◆日向ぼっこが好きだから
では、無臭のはずなのに、いい匂いがするのは何故でしょうか?
猫と言えば、日向ぼっこをする姿を思い浮かべる人も多いでしょう。実際、猫は日向ぼっこが大好きです。午前と午後でお昼寝の場所を変えるのはもちろん、こまめに移動して日向を追いかけて日向ぼっこをしています。
猫のいい匂いの理由の一つが、この日向ぼっこです。太陽光に含まれる紫外線には、殺菌効果があります。猫は日向ぼっこで、臭いの原因になる皮膚の細菌やカビを殺菌しているのです。
さらに、被毛が湿っていると雑菌などが繁殖しやすくなりますが、日向ぼっこには被毛を乾かしてさらさらにする効果もあります。この効果で、細菌やカビの繁殖を抑えることができるのです。
猫好きの人が言う「お日様の匂い」は、天日干しした布団や洗濯物の匂いです。これは、布団などに付着した汗や脂肪、洗剤などが太陽光の熱で分解された匂いと言われています。具体的には、アルコールや脂肪酸が分解された匂いです。
猫の被毛にも、汗や脂質が付着しています。日向ぼっこによってこれらが分解されるため、天日干しした布団などと同じ「お日様の匂い」がするのでしょう。
◆グルーミングが日課だから
もう一つの理由は、猫が日課とするグルーミングです。猫は、起きている時間の30~40%をグルーミングに使っています。
グルーミングは、猫にとってさまざまなメリットがあります。
一つ目は、体を清潔にすることです。汗や皮脂はにおいのもととなるだけではなく、雑菌が繁殖する原因にもなります。待ち伏せ型の狩りを成功させるためにも、皮膚炎などの病気を防ぐためにも、体を清潔に保つことは非常に大切です。
唾液を体中に広げると臭くなりそうに思えますが、猫の唾液は無臭なので唾液臭くなることはありません。さらに消臭効果もあるので、グルーミングにより匂いを取り除くことができるのです。
さらに、ストレス解消のためにもグルーミングを行います。例えば、高いところに飛び乗ることに失敗した時や、飼い主さんに叱られた時などにグルーミングをするのは、ストレス解消のためと言われています。
このように、理由は様々ですが、頻繁にグルーミングをするため、体臭がせず、いい匂いが感じられるのでしょう。
◆マーキング
猫が家具や飼い主さんに頭や体をスリスリと擦りつけてくるのは、自分の縄張りや所有物であることを主張するためのマーキングです。
このとき家具や飼い主さんに猫の匂いがつくと同時に、家具や飼い主さんの匂いが猫に移ることもあります。猫の体には、1cm四方あたり平均約600本の毛が密集して生えているため、被毛の間に他の匂いを取り込みやすいのです。
飼い主さんにとっては、慣れた自分の体臭、服や家の匂いですから、基本的に嫌な臭いに感じることはないでしょう。
◆フェロモンの匂い?
フェロモンと聞くと、異性を刺激する「性フェロモン」をイメージしてしまいがちです。しかし他にも、外敵の存在を仲間に知らせる「警報ホルモン」や、ストレスを緩和させる「安寧ホルモン」などがあります。
もし、猫の匂いに安寧ホルモンが含まれていれば、良い匂いと感じるかもしれません。しかし、フェロモンは同じ種の動物にしか効果がないうえ、基本的に無臭です。
したがって、猫のフェロモンが人間にリラックス効果を与えて、「いい匂い」と感じさせているとは考えにくいとされています。
しかし、近年の研究では、人間も猫のフェロモンを無意識のうちに感じているという報告もあるようです。今後、猫のいい匂いの正体の解明が進むかもしれませんね。
猫のいい匂いがする部位4選!
猫のいい匂いの理由をご紹介したところで、次はいい匂いがする部位について見ていきたいと思います。
実は、「いい匂い」は部位によって違うのです。
◆おでこ
おでこは、焼きたてのパンやメープルシロップなどのような甘い匂いを感じる人が多い部位です。
顔周辺には、臭腺が集まっています。おでこを人や家具にこすりつけてマーキングをするのは、このためです。
おでこの匂いの正体としては、フェロモンが有力とされています。上述の通り、フェロモンは無臭で、他の種の動物には効果がないとされていますが、近年の研究では人も無意識に感じ取っているという報告もあるので、今後の研究を待ちたいですね。
ちなみに、おでこの匂いはかなり魅力的なようで、「猫のおでこの香り」のファブリックウォーターが話題を呼んだこともあるほどです。
◆後頭部
後頭部も、おでこと同様、甘い匂いがすると感じる人が多い部位です。
顔周りの臭腺の影響とともに、日向ぼっこでよく日が当たっているためとも言われています。そのため、お日様の匂いや甘い匂いがすると考えられます。
◆肉球
肉球の匂いは、多くの人がポップコーンの匂いに例えています。香ばしくて、甘く、どこか塩っぽいような匂いがするようです。
肉球は、猫が唯一汗腺を持つ部位です。この汗の匂いと、日向ぼっこでついた「お日様の匂い」、歩いた床の匂いなどが混ざり合った匂いが、ポップコーンに似ていると感じさせるのかもしれませんね。
実際に、猫の匂いとポップコーンの間で「脂っぽさ」「甘さ」「塩っぽさ」「粉っぽさ」「香ばしさ」を比較した研究では、同じようなチャートになったそうです。
◆おなか
お腹の被毛は他の部位よりふわふわと柔らかく、愛猫が無防備にお腹を出して寝ていると思わず顔を埋めたくなりますね。
そんなお腹の匂いは、「お日様の匂い」と感じる人が多いようです。
おなかは猫がよくグルーミングをする部位であり、日向ぼっこのとき最も日に当てている場所でもあります。このため、天日干ししたお布団のような匂いがするのでしょう。
ちなみに、背中も同じくお日様の匂いという人が多い部位です。やはり、日向ぼっこでよく日に当てるからでしょう。
◆しっぽ
いい匂いがするのは、しっぽそのものというよりは、しっぽの付け根、腰のあたりです。しっぽの付け根には、匂いつけに使われる「尾腺」があり、分泌物を出しています。
腰のあたりも、香ばしいポップコーンの香りがするという人が多いです。
ちなみに、おしりは草の匂いや、ミルクを飲んだ赤ちゃんのような匂い、お日様の匂い、さらには酸っぱい匂いなど、猫ちゃんによって全く違うようです。ただし、排せつ物のニオイがするので、トイレの直後は嗅がない方がいいですよ。
気を付けなくてはいけないこと
「猫吸い」と称されるほど猫の匂いを堪能する人も少なくありませんが、気をつけたい点もあります。
◆しつこく匂いを嗅がない
猫は、気ままでわがままな生き物で、基本マイペースです。
飼い主さんのことが好きでも、しつこくされることは好みません。まして、匂いを嗅ぐために、体を拘束されて飼い主さんの顔が至近距離に来ると、嫌がる子は少なくないでしょう。
強烈な猫パンチやキックといった攻撃を受けないためにも、しつこく嗅ぐのはやめておきましょう。
◆お昼寝の邪魔をしない
たとえしつこくしなくても、お昼寝の邪魔は厳禁です。
猫は、一日平均16~17時間ほどの睡眠時間を必要としています。また、お昼寝の時間は、人でも非常に気持ちよく、邪魔されたくないひと時です。
無防備にお昼寝をしていると匂いを嗅ぐチャンスのように見えますが、そこはぐっと我慢してくださいね。
◆触られて嫌がる部分は触らない
ポップコーンの匂いがする肉球は、ぷにぷにの感触も楽しめるので、ついつい手に取って嗅ぎたくなりますね。また、お腹のお日様の匂いも、ふわふわの被毛と相まって顔を埋めたい衝動にかられます。
しかし、弱点であるお腹や繊細な足先を触られることを嫌う子は少なくありません。愛猫が触られると嫌がる部分を把握して、残念ですが、その部位の匂いを嗅ぐのは諦めましょう。
嫌なニオイがしたら要注意
本来無臭で、むしろいい匂いがする猫ちゃんから嫌なニオイがするのは、被毛に排せつ物が付着している場合を除いて、何らかの異常があるサインと考えられます。
高齢になったり体調が悪かったりすると、毛づくろいをしなくなります。また、肥満の子も、お肉が邪魔で毛づくろいができないことがあります。
猫のニオイが気になるときは、まずグルーミングをしているかどうかを観察してください。体調が悪い場合には、すぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。
シニアや肥満の場合、飼い主さんがこまめにブラッシングをしてあげたり、ペット用のウェットシートなどで拭いてあげたりして、清潔に保ってあげてくださいね。肥満は健康にもよくないので、あわせてダイエットもしましょう。
歯周病や口内炎などのお口のトラブルや、内臓の病気で口臭がある場合、そのままグルーミングをすることで全身に嫌なニオイが広がることがあります。
しつこくし過ぎない程度に匂いを嗅ぐと、健康状態をチェックすることができますよ。
まとめ
猫は、待ち伏せ型の狩りをするため、体臭が少なくなるように進化してきたと言われています。そのため、猫は本来無臭です。
そんな猫ちゃんがいい匂いがするのは、日向ぼっこやグルーミングによるとされています。また、顔周りやしっぽのつけ根にある腺から、匂いのする物質が分泌されていて、いい匂いになるとも言われています。
ただ、これらの匂いの正体は、まだ詳しく解明されていません。有力な候補はフェロモンですが、本来無臭のフェロモンが、異種の動物である人間に感じ取れるかは、今のところ疑問とされています。
嫌なニオイがする場合、病気や高齢、肥満が関わっています。猫ちゃんの健康のバロメーターとして、日頃から匂いを嗅いでおくといいかもしれませんね。
ただし、猫ちゃんに嫌がられないよう、ほどほどにしておきましょう。
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