1.猫は貝を食べても大丈夫?
1-1.基本的に貝を与えるのはNG!
1-2.猫が貝を食べた時の症状
2.猫に危険な貝の種類
2-1.絶対に与えてはいけない貝
2-2.猫に与えられるとされている貝も注意が必要
3.ホタテは猫に与えても大丈夫
3-1.子猫や老描には絶対に与えない
4.猫が貝を食べてしまった時は
4-1.何をどれくらい食べたか把握する
4-2.無理やり吐かせようとしない
4-3.できるだけ早く動物病院へ
4-4.食材の管理はしっかりと
5.まとめ
猫は貝を食べても大丈夫?
貝と言えば、アワビや牡蠣などの高級なものから、アサリやハマグリなどお吸い物の具としておなじみのものまで、いろいろありますね。
日本人にとっては非常に身近な食材なので愛猫にもあげたくなりますが、猫は貝を食べても大丈夫なのでしょうか?
◆基本的に貝を与えるのはNG!
結論から言えば、猫に貝を与えることは基本的にNGです。
東北地方では昔から、「猫が貝を食べると耳が落ちる」と言われてきました。この言葉だけを聞くと、「猫には贅沢だから、食べさせるものではない」と言っているようにも思えますね。
しかし、実際に猫がある種の貝を食べると、耳が壊死して取れてしまう可能性があるのです。この危険性については、後述します。
また、猫はもともと貝類やイカ、タコなどを消化することが苦手なため、消化不良を起こすことがあります。
◆猫が貝を食べた時の症状
猫が貝を食べると、以下のような症状が現れるおそれがあります。
【消化不良】
消化不良を起こすと、下痢を起こしたり、食べたものが未消化で便に混ざって排せつされたりします。
【光線過敏症】
日光に当たることで炎症が起き、痒みや腫れ、脱毛などの症状があらわれます。最悪の場合、炎症部分が壊死したり、癌になったりすることもあります。
【チアミン欠乏症】
チアミンとは、ビタミンB1のことです。ビタミンB1は、身体の各部の働きをコントロールする、エネルギーの生産や消費を助けるといった役割を持っています。このため、欠乏すると身体各部に症状があらわれます。
初期段階では食欲不振や嘔吐が起こり、症状が進むと瞳孔が開く、神経障害による運動失調などが起こり、歩くときにふらつきが見られるようになります。
さらに症状が重くなると、痙攣を起こす、異常な姿勢を取る、大声で鳴き続けるなどし、最終的には失神して、昏睡状態に陥り、最悪の場合死に至ることもあります。
【アレルギー】
どの食べ物でも、食物アレルギーのアレルゲン(原因物質)となる可能性があり、貝も例外ではありません。
アレルギーの症状としては、嘔吐や下痢、脱毛、皮膚の痒みなどがあります。
猫に危険な貝の種類
猫が食べると危険な貝について、具体的に見ていきましょう。
◆絶対に与えてはいけない貝
猫に絶対に与えてはいけないのは、ミミガイ科とサザエ科の貝です。ミミガイ科の貝は、耳のような楕円形をしています。サザエ科の貝は、サザエの他、ヒラサザエなど「○○サザエ」という名前のものです。具体的には、アワビやサザエ、トリガイ、トコブシなどが挙げられます。
これらは、前述の光線過敏症の原因となります。
アワビなどの貝は、海藻を食べて葉緑素(クロロフィル)を分解し、ピロフェオホルバイドαという成分を作ります。ピロフェオホルバイドは、「中腸腺」(「肝」と呼ばれる黒い部分)に溜まっています。
ピロフェオホルバイドは、猫の体内では血液の中に取り込まれ、光を浴びると活性酸素をつくり、炎症を起こして腫れや痒みを生じます。これが光線過敏症です。
猫の場合、体は被毛に覆われていますが、耳は被毛も皮膚も薄く、さらに日光を浴びやすい部位であるため、光線過敏症の症状が強く出ます。強い痒みを伴うため、猫は耳を搔いてしまい、症状がひどい場合、弱った皮膚が取れたり、壊死したりすることもあります。
これが、俗に「猫が貝を食べると、耳が落ちる」と言われる所以です。
ピロフェオホルバイドは加熱しても毒性を失わないため、ミミガイ科やサザエ科の貝は絶対に猫に与えてはいけません。
◆猫に与えられるとされている貝も注意が必要
貝の中には、生で与えてはいけないが、加熱すれば猫に与えられるものもあります。ハマグリやアサリ、シジミなどの二枚貝です。
これらは、チアミンを分解する「チアミナーゼ」という酵素を多く含んでおり、チアミン欠乏症の原因となります。
酵素はタンパク質からできているため、チアミナーゼも加熱すると活性を失います。したがって、加熱したものであれば与えることができますが、大量に与えるとやはりチアミン欠乏症になるため、注意が必要です。
また、貝が毒性のある植物プランクトンを食べることで、毒素を体内に蓄積させた「貝毒」を持っていることがあります。加熱した場合にも貝毒は残るため、二枚貝も与えない方が無難と言えるでしょう。
ちなみに、イカやタコ、甲殻類、淡水魚なども、チアミナーゼを含んでいます。チアミン欠乏症になると、前述のように歩くときにふらつきが出る事があるため、俗に「猫にイカを食べさせると腰を抜かす」と言われてきました。
ホタテは猫に与えても大丈夫
ホタテも二枚貝の一種ですが、猫が食べても大丈夫な部位があります。
ホタテには、ウロ、貝柱、ヒモ(ミミ)、エラ、生殖巣の5つの部位があり、貝柱とヒモは猫が食べても大丈夫です。これ以外の部位は、消化がしづらいこと、ピロフェオホルバイドを含んでいることから、絶対に与えてはいけません。
また、干物はミネラルや栄養分が濃縮されて高濃度になっているので、与えるのは危険です。ホタテエキスなどの加工食品も、調味料が加えられていて塩分が強いため、与えないようにしましょう。
与える際には、必ず加熱してから与えてください。生で与えると、チアミン欠乏症になる可能性があります。
また、消化不良やアレルギー、チアミン欠乏症を起こさないために、少量を食べやすい大きさに切ってあげてくださいね。
ホタテは、猫が食べ物から摂取する必要があるタウリンが多く含まれているほか、ビタミン、亜鉛、グリコーゲン、コハク糖、グルタミン酸など、猫に嬉しい栄養素も豊富です。さらに、高タンパク低カロリーなので、肥満傾向の猫ちゃんにも与えやすい食材です。
猫はホタテの匂いを好むので、与える部位と量に気をつけて加熱して与えれば、栄養たっぷりで食いつきの良い食事やおやつになるでしょう。
◆子猫や老描には絶対に与えない
猫はもともと貝類を消化することが苦手ですが、消化器が未発達な子猫や、衰えている老描には、絶対に与えないでください。
消化不良による下痢や嘔吐は、命に関わることがあります。
猫が貝を食べてしまった時は
どんなに気をつけていても、猫が隙をついて食べてしまうこともありますね。
では、猫が貝を食べてしまった時には、どう対処すればよいでしょうか?
◆何をどれくらい食べたか把握する
誤飲・誤食全般に言えることですが、まず、「いつ」「何を」「どのくらい」食べたかを把握しましょう。
動物病院を受診した際に獣医師さんに伝えることができれば、治療をすみやかに進めることが可能になります。
◆無理やり吐かせようとしない
食べた直後で口の中に残っているような場合には、取り出してあげると良いでしょう。ただし、飼い主さんが慌ててしまうと、猫も慌てて飲み込んでしまうかもしれません。騒がず、落ち着いて対処しましょう。
飲み込んでしまった場合には、無理やり吐かせようとしないようにしましょう。インターネット上には、吐かせる方法がいろいろと紹介されていますが、おすすめできません。誤嚥など、さまざまな弊害が考えられるためです。
◆できるだけ早く動物病院へ
貝を食べたからと言って、すぐに症状があらわれるとは限りませんが、できるだけ早く動物病院を受診するようにしてください。
下痢や嘔吐は脱水症状から健康を損なう可能性がありますし、痙攣などを起こしている場合には命に関わる恐れがあります。
受診の際には、上記の通り、いつ何をどのくらい食べたかとともに、どのような症状が出ているかも伝えましょう。
◆食材の管理はしっかりと
猫は、器用で頭の良い動物です。どこに食べ物がしまってあるかを覚えますし、扉を開けてしまう猫も少なくありません。また好奇心が強いため、新しいものに強い興味を示す子も多いです。
したがって、貝に限らず、食材はしっかりと扉を閉められる場所に保管し、できればチャイルドロックなどで猫が開けられないような対策を取っておきましょう。
調理中や食事中は、猫を近づけない、食材・食事から目を離さないなど、うっかり食べられてしまうことがないように気をつけてくださいね。
まとめ
ミミガイ科やサザエ科の貝には、ピロフェオホルバイドという成分が含まれ、猫が食べると光線過敏症の原因となります。二枚貝には、チアミナーゼというビタミンB1を分解する酵素が含まれ、チアミン欠乏症の原因となります。
チアミナーゼは加熱することで活性を失うので、加熱したアサリなどは与えることができますが、大量に与えるとチアミン欠乏症のリスクがあります。
ホタテは猫に与えても大丈夫ですが、与えてよいのは貝柱とヒモだけです。他の部位にはピロフェオホルバイドを含むので、与えてはいけません。
基本的に、猫に貝を与えることはダメだと覚えておいてくださいね。
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