飼い主の都合によって猫を飼えなくなったときにするべきこととは?

2022.05.25

飼い主の都合によって猫を飼えなくなったときにするべきこととは?

大切な家族の一員として一緒に過ごすペットの存在は、飼い主さんに癒しを与えるだけでなく、毎日を輝かしいものに変えてくれますよね。 できることならずっと一緒に居たいと願うものですが、何かしらの事情により飼うことが難しくなった場合はどうでしょうか。 とくに猫の場合は家につくと言われており、生活環境の変化に順応できるのかと不安になってしまいますよね。 愛猫を飼えなくなったとき、飼い主としてやるべきことは何があるのでしょうか?

猫を飼えなくなったらどうすればいい?

黒猫のモノクロ写真

ペットとなる猫を迎え入れたとき「この子が天寿を全うするまで大切にする!」と、心に決めて飼われる方がほとんどだと思います。

迎え入れた以上、命を粗末に扱うことは許されませんし、環境省では「動物の愛護及び管理に関する法律」が定められており、動物の所有者は終生にわたり飼養するよう努める「終生飼養」の責任があるとされています。

飼い主の都合で猫を飼えなくなった場合には、どのような行動をとることが正しいのでしょうか?

◆本当に飼い続けられないかもう一度考える

猫と一緒に暮らすと決めたのなら、天寿を全うするまでお世話をし続けることが飼い主の義務ではありますが、何かしらの都合によって飼えなくなった場合でも、愛猫のその後をしっかりと考える必要がありますよね。

猫を迎え入れた時点でどんな理由があったにせよ、猫を手放して良い理由になりませんし、大切な家族を失ってまで遂行すべき事情なのか、改めて考えるべきではないでしょうか。

愛猫を手放さなくて済む方法が本当にないのか、色々なことをシミュレーションしてからでも結果を出すのは遅くありません。

手放してから後悔しても遅いので、手放す前にしっかりと愛猫を飼い続けられないか検討してみましょう。

◆家族や親戚・周りの人と話し合う

自分自身で結論が出せないときは、家族や親戚、友人や仕事仲間といった周りの人に相談してみてはいかがでしょうか。

自分では考えつかなかったようなアドバイスがもらえるかもしれませんし、相談した分だけ考え方の幅も広がるかもしれません。

自分の信頼できる相手に相談することによって、親身になってもらえるはずなので、一人で悩まず周りの人に話してみて、最善の方法を探ってみてください。

相談する中で新しい飼い主さんが見つかるかもしれませんし、信頼できる相手であれば安心して愛猫を託せますので、手助けしてもらえるような関係性を普段から築いておくことも大切です。

◆ペットを捨てることは犯罪です

悲しそうな猫と犬

猫を飼えなくなったからといって、一番してはいけないことは「捨てる」ということです。

人間のもとで暮らしていた猫は、過酷な外の環境でエサを確保できませんし、野良猫は縄張り意識も強いので、知らない猫に出会ってしまえば喧嘩となり、怪我を負うこともあれば眠る場所さえ確保できないので、毎日を生き抜くことさえ困難となります。

「飼い猫だったから優しい人に懐いて拾ってもらえるはず」という、安易な考えだけで愛猫を捨てたとしても、人間の傍で生活を続けていた猫に自然界を生き抜く術などはなく、ただただ辛い思いをして命を落としてしまうことでしょう。

動物を捨てることは犯罪となり、ペットを遺棄した者は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処されますので、当たり前のことですが捨てるといった選択肢は持たないようにしてください。


飼えなくなったことを行政に相談する

猫を飼えなくなった際に、すぐ行動に移して新しい飼い主さんを運よく見つけられた場合は良いですが、生後間もない子猫よりも自我を持った成猫は、とくに引き取り手が見つかり難いと言えます。

さまざまな手を尽くしても飼い主さんが見つけられない場合は、これ以上愛猫に辛い思いをさせないためにも、行政に相談をしてみてください。

◆市区町村ではさまざまな取り組みを行っている場合も

昨今ではペットの需要が高まり、恵まれない命を増やさない活動や、殺処分数を減らす活動などの取り組みに、積極性を持って活動する行政が増えてきました。

そのため何かしらの事情により、猫を飼えなくなったといった問題を抱える飼い主さんから、一旦猫を保護し、新しい譲渡先を探してくれる市区町村もあるようです。

もちろんお住いの地域によって行政の活動内容は異なりますが、自分の行動が制限されてしまうようであれば、現状を説明して何かしらの協力を仰いでみてはいかがでしょうか。

終生飼養の観念から責任を放棄することもあり、「なぜ飼えなくなったのか」「引き取りを求める相当の事由があるのか」などを、詳しく説明する義務がありますが、行政の判断によっては、引き取りをお断りされることもあるので注意が必要です。

◆引き取りは手を尽くした後の最後の手段

ここで勘違いしてはいけないことが、猫を飼えなくなった時点で自ら譲渡先を探すようなことをせず、率先して行政に頼るということです。

あくまで行政への問い合わせは、さまざまな手を尽くしても譲渡先が見つからなかった場合のみとなります。

行政で猫を保護し、譲渡先を探してくれる場合もありますが、万が一譲渡先が見つからなければ、その子の未来に待っているのは殺処分といった悲しい現実だけです。

保護してもらえたから安心というわけではなく、そのような可能性があることも理解した上で利用しないと、一生悔いが残ってしまうことでしょう。

行政に引き取ってもらうといった選択肢は最終手段とし、愛猫の幸せを最優先に考えて、自ら譲渡先を見つけられるように努めてください。


誰もが飼えなくなる可能性を考えておく

首をかしげる茶トラ猫

動物と一緒に暮らす以上、「もし自分に何かあった場合、この子をどうすれば良いんだろう?」という不安は、迎え入れる際に少なからず脳裏を過るはずです。

飼ってから飼えなくなったとなるよりも、飼う前に飼えなくなる可能性を想定しておくことにより、そのような現実に直面した際にも、焦らず対処することが可能となりますよね。

飼えなくなる可能性を想定した場合、どのような対策をしておけば安心できるのでしょうか?

◆ペットの終生飼養は飼い主の義務です

責任を持って猫を迎え入れたはずなのに、無責任に飼えなくなったようであれば、やはり最初から飼い主失格だったと言わざるを得ません。

「かわいいから」「寂しいから」「癒されたいから」といった、安易な気持ちだけでペットを飼ってしまうと、飼育の大変さや負担する費用の多さに驚かれる方も少なくないはずです。

それが「命を預かる」ということですので、本来はどんな状況であっても、終生を見届けてあげることが飼い主の義務と言えるでしょう。

しかし、どんなに自信を持って猫を受け入れたとしても、猫を飼えなくなったという問題に直面する可能性は、誰にでもあるとも言えますよね。

このような問題に直面する可能性を事前に考慮しつつ、ペットを迎え入れるべきなのではないでしょうか。

◆受け入れ先の検討

人生とはさまざまな問題に直面し、その問題をどう乗り越えていくかの繰り返しとなります。

その人生の中に家族となる猫の存在があれば、その子のニャン生も飼い主さんが背負わなければいけないので、問題によっては選択肢が少なくなってしまうことも否めません。

とくに「仕事の都合で転勤をする」「生まれた子供が猫アレルギーになった」「病気になった」などの問題は、想定外の出来事となるので、直面した際に解決策を考える必要がありますよね。

そのような問題に直面した際に焦らないようにするためにも、事前から受け入れ先の検討をしておくと安心です。

突然自分の身に何かがあったときに、愛猫をお世話してくれる人が居るようであれば、不安な気持ちで毎日を過ごす必要もありませんよね。

家族や親戚、猫が好きな友人や知人と話し合っておくことで、万が一への備えが可能となります。

また、一人で猫を飼育している方や、高齢の飼い主さんの場合は、愛猫よりも自分が先に亡くなることも考慮した上で、ペット信託などを検討してみることもおすすめです。

◆新しい家族のお迎えはよく考えてから

何度もこの記事の中でご紹介している通り、ペットの終生飼養は飼い主の義務となり、責任を持って最期までお世話をしなくてはいけません。

迎え入れてから「思ったように懐かない」「世話が面倒」などの理由で手放すことはもちろん、どのような事情ができたにせよ、飼育を放棄することは許されません。

愛猫を飼えなくなったとしても、できる限りの手を尽くし、新しい飼い主さんを見つけることも、飼い主さんが責任を持って行う必要があるはずです。

命を軽視せず、どんな問題も解決しながら人生を共にする覚悟がないようであれば、ペットを飼わない方が良いですし、自分の時間やお金も有効に使えますので生活の質も上がることでしょう。

これらのことをしっかりと踏まえた上で、新しい家族を迎え入れるべきかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。


まとめ

グレーの猫

現在では猫の平均寿命が伸びてきたこともあり、20年以上長生きしてくれる猫ちゃんも少なくありません。

自分の人生の約20年間を共に過ごしてくれる存在と考えたとき、その間に何かしらの問題に直面して、飼えなくなるということがあるかもしれません。

大切なのは飼えなくなったときに、問題を適切な方法で解決できる迅速さや、信頼できる人間が周囲に居るかが鍵となってきます。

猫ちゃん自身は大好きな飼い主さんと、一生の別れが来るとも思っていませんので、少しでも心に傷が残らないような方法を、精一杯模索してあげるようにしましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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