猫の睡眠時間は長い!平均時間と寝すぎや寝不足のケースについて

2022.05.22

猫の睡眠時間は長い!平均時間と寝すぎや寝不足のケースについて

猫の語源は「寝子」といわれていて、身近な動物に比べて睡眠時間が長い動物です。1日のうち寝てばかりいる印象のある猫ちゃんをみて、飼い主さんが心配になったりしますね。寝てばかりの時間が多くなった、人気のない場所で隠れて寝ているなどの状況はなにか異変があるのかもしれません。猫の平均的な睡眠時間と一緒に、年齢別の睡眠時間の変化や寝姿からわかる猫の気持ち、睡眠環境についてご紹介します。

【目次】
1.猫の睡眠時間はどれくらい?
 1-1.猫の平均睡眠時間
 1-2.子猫や老猫の場合は?
 1-3.猫の睡眠時間には季節が関係する? 
 1-4.天気は睡眠時間に関係ある?
2.なぜ猫の睡眠時間は長い?
 2-1.食生活が影響している
 2-2.エネルギーを蓄えている
 2-3.熟睡時間は意外に短い?
 2-4.猫も夢を見る?
3.猫に気持ちよく眠ってもらうために
 3-1.寝床はいくつか用意してあげよう
 3-2.寝床の定期的なお掃除
 3-3.睡眠の邪魔をしない
 3-4.猫が睡眠不足になると?
 3-5.寝姿でリラックスしているかわかる
4.猫の睡眠時間が増えたと感じたら
 4-1.年を取って体力が落ちた
 4-2.体に不調がある
 4-3.かわいいごめん寝、実は要注意
5.まとめ

猫の睡眠時間はどれくらい?

猫 仲良し

猫は、「なんだかいつも眠っている」そんな印象がありますね。これほど猫の睡眠時間が長いのは、野性の習慣の名残と言われています。猫の睡眠について年齢差による睡眠時間の変化と、よく寝る理由や年齢によって変わる猫の睡眠時間についてご紹介しましょう。

◆猫の平均睡眠時間

環境の整った飼い猫の場合、平均寿命は12年から18年といわれています。そんな飼い猫の1日の平均睡眠時間は、およそ12時間から16時間。24時間のうち半分以上が睡眠時間に充てられています。さらに、子猫と高齢の猫は睡眠時間をもっと長くとっていて、その時間は20時間に及びます。
なんと生涯の半分以上は睡眠時間にしているという計算になりますね。

◆子猫や老猫の場合は?

成猫の平均睡眠時間は、12時間から16時間程度ですが、年齢差によっても平均は変わります。
まず子猫は、生後5ヶ月未満では20時間以上です。ご飯中にうとうとしていたり、今まで遊んでいたのにパタンをその場で寝てしまうこともよく見かけます。そんな寝てばかりの子猫も、成長とともにだんだん活動している時間が増えていきます。
一方でシニア期に入った猫は、徐々に睡眠時間が増えていき20時間以上睡眠時間をとる猫もいます。
猫は7歳過ぎてからがシニア期です。徐々に高いところに上がれなくなったり、筋肉が落ちてくるといった肉体の老化の症状が現れはじめます。人間ならシワが増えるなど容姿の変化がありますが、体重が激変するといった変化はあまりなく、見た目が変わらないため気付きにくいのも特徴です。
睡眠時間がいままでより長くなってきたら、1つの老化のサインです。高齢の猫ちゃんに応じた食事や環境の整備などをしましょう。10歳を超えるとかかりつけの獣医さんから、年一回の定期健康診断をおすすめされることもあります。猫の種類によってリスクの高い病気が出てきますので、予防のためにも受診してはいかがでしょう。

◆猫の睡眠時間には季節が関係する?

睡眠時間は季節に影響するのでしょうか。まだゆっくり寝ていたいのに、早朝から猫ちゃんに起こされている飼い主さんも多いですね。夏は朝4時起きで活動を始める猫ちゃんも、冬は朝ゆっくりめではありませんか?早起き習慣は、夜明けの時間や気温も影響していると考えられます。
1日のトータルで睡眠時間をみてみると、早起きの夏場も起きてからずっと活動しているというわけではなく、お昼寝の時間もかなりあります。
季節によって起きる時間が早くても、睡眠時間は変わっていないようです。
元々は夜行性の猫、飼い主さんのライフスタイルに合わせて夜寝ている猫ちゃんも多いですが、静かにしているから眠っているとは言い切れません。季節が睡眠時間に影響するかどうかはよくわかっていないのです。
では、温度は睡眠に影響するでしょうか。猫が快適に感じる温度は、22℃前後といわれています。暑いと涼しい場所へ移動して寝ている猫ちゃん。家の中で季節によって寝る場所を変えていませんか?リラックスして寝られる場所にいるのです。
快適な温度ではない場合、場所を変えたり寝返りを打ったりしますので少なからず影響はあるといえるでしょう。

◆天気は睡眠時間に関係ある?

「天気の悪い日はよく寝る」猫についてそんな表現をされることがあります。実際天気が悪い日には、いつもより多く寝ているように見えます。天気が悪いとなぜ寝ているのかというと、「狩り」の習性説があります。祖先の野生が残っている猫は、天性の狩人(猫)です。狩りには体力を使います。雨の日など獲物が活動しない日は、無駄な体力を消耗させないで温存しているという説が有力です。
また、気圧の影響があるという説もあります。これは祖先が砂漠に暮らしていたネコ科の動物が、雨に濡れるのを嫌がる傾向があることからです。しかし、濡れることが嫌なのか気圧の変化が影響しているのか明確に実証されてはいません。天気が悪いと寝ているという理由は確定していませんが、天気は活動時間が少なくなり睡眠時間に影響しているというのは事実でしょう。


なぜ猫の睡眠時間は長い?

寝ている白猫

猫にとって1日の半分以上の睡眠時間がなぜ必要なのでしょうか。それは猫が狩りをする肉食という食生活が関係しています。

◆食生活が影響している

肉食は、草食に比べて1回のごはんで摂取できるカロリーが高く十分なエネルギーと栄養素が取れます。1回のごはんで短時間に十分なエネルギーを得られることで、無駄に動かないほうが効率よく命を維持できるのです
狩りのとき以外はエネルギーを蓄えておくという、野生の習性が猫の本能として残されているのです。

◆エネルギーを蓄えている

猫は狩りをする本能を残している動物です。獲物を見つけたときに即座に捕獲する体力が必要になります。
肉食の動物は次の狩りのために、十分な余力を保持する必要があります。狩りとごはんのとき以外は寝ていることで、エネルギーの消費を抑え体力を温存しているのです。猫はこのような野生の習性が残っているため、効率の良いエネルギーの消費の方法としてよく寝てエネルギーを蓄えているのですね。
また食事の内容からみてみると、雑食の動物に比べ肉の消化には時間とエネルギーを使います。食べたごはんを消化するためにエネルギーを使うため、体力を消耗してしまいます。そのため活動時間を減らして寝ている状態で消化をしていると考えられています。

◆熟睡時間は意外に短い?

飼い猫の1日の平均睡眠時間は、およそ12時間から16時間とお話しました。1日の半分以上寝ている猫は、長い睡眠時間のうちすべて熟睡しているのでしょうか。実は意外に熟睡している時間は短いといわれています。
よく寝ている猫ちゃんが物音がしたり、触られたりするとピクっと目を覚ますことがありませんか?子猫のとき、遊んでいて床にそのまま寝てしまってベッドまで運んでも起きなかったのに、徐々に眠っていても環境に敏感に反応するようになります。

このことも狩りをしていた野生の習性の名残なのです。獲物の気配や動く音に敏感に反応して、すぐ狩りができる状態にあるよう睡眠時間は長くても眠りは浅く熟睡してはいません。また、外敵から身を守るためにも熟睡してしまうと警戒ができなくなります。猫ちゃんは、12時間から16時間という睡眠時間のうち熟睡しているのは3時間ほどといわれています。

◆猫も夢を見る?

長い睡眠時間のうち熟睡している時間が短い猫。その眠りの質についてお話しましょう。睡眠には「レム睡眠」「ノンレム睡眠」という眠りがあります。
睡眠は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を交互にしているのです。人間の場合、特別な状況や心理的な要因がないと80%が「ノンレム睡眠」といわれています。特別な状況というのには、命の危険にさらされている状況があります。
野生の本能が残っている猫は人間と反対で、80%が眠りの浅い「レム睡眠」です。眠りが浅いため物音に反応して目を開けたり、寝ながらぴくぴく足やひげ、まぶたが動いたり寝言をいう子もいます。人間と同じで「レム睡眠」のときは夢を見ていることもあるのです。


猫に気持ちよく眠ってもらうために

眠る子猫

猫は一生をうちとても長い時間を「睡眠時間」で過ごす動物です。猫にとって生活の質(QOL)は睡眠の環境が大きく影響しています。気持ちよく過ごせる場所で眠ってもらいたいですね。

◆寝床はいくつか用意してあげよう

猫が好んで寝ている場所は1つではないのではないでしょうか。家の中にいくつかお気に入りの場所があるはずです。猫ちゃんの様子をよく観察して、お気に入りの場所に寝床を用意してあげましょう。だいたいは、窓辺や家具の上などが定番です。
とはいえ、お気に入りの場所は季節によっても変わっていませんか?睡眠時間は「気温」に影響されているとお話しましたが、季節によって寝ている場所は変わっています。エアコンなどが全室にない時代は「猫が家の中で快適な場所を知っている」といわれたものです。夏場の暑いときは、玄関の敷石の上やお風呂場など冷たくて風通しの良い場所に。冬は日光の差し込む場所や暖房の前など、快適な場所を探し当てる名人なのです。
1日のうちでも場所は変わりますので、猫ちゃんの気分に合う場所を複数用意してあげましょう。

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◆寝床の定期的なお掃除

いくつか用意してあげたい寝床は、ふかふかでふみふみしやすい素材、明るくなくて狭い場所、高い居場所で家族が見渡せる場所など様々です。季節限定で飼い主さんのお膝の上だったり、落ち着いて眠れる場所は猫ちゃんによって違います。
寝床の場所はいくつか用意してあげるのがいいのですが、きれい好きな猫ちゃんのためにこまめにお掃除も必要です。汚れてしまうと、せっかく置いた寝床の脇で寝ていたり近寄らなくなってしまうこともあります。
寝床に入れるタオルや毛布も、清潔にしておくために定期的にお洗濯して日光に干すなどメンテナンスをしましょう。

◆睡眠の邪魔をしない

外敵の少ない室内飼いの猫に比べ、野良猫の平均寿命は半分以下とされています。ごはんや外敵がいること、安心して眠れる環境にないことで睡眠時間が不足してしまうことも寿命に影響していると考えられています。
猫にとって睡眠時間はとても大切です。体力の回復だけではなく、ストレス軽減や免疫力にも影響しています。元気に長生きしてもらうためには、睡眠環境を整え安心して睡眠時間を過ごせるようにすることが長生きにつながるのです。寝姿がかわいすぎてつい触ってしまい起こしてしまわないように、静かに見守ってあげましょう。

◆猫が睡眠不足になると?

猫は野生の部分が残っているため、警戒心が強い動物です。眠っていてもほとんど眠りは浅く物音で起きてしまうこともよくあります。いつも落ち着いて過ごすお気に入りの場所でも、来客があったり掃除機など嫌いな音がするとストレスで睡眠不足になることもあります。
猫が睡眠不足になってしまうとどうなってしまうのでしょうか。 猫の睡眠不足は、ストレスから体調にさまざまな影響を及ぼしてしまいます。普段よりイライラしていて攻撃的になる、しつこいほどグルーミングをして皮膚を炒めてしまう、しっぽを追い回す(尾かじり)などの行動に現れることも。また、食欲がなくなってしまう、嘔吐や下痢をするといった影響する場合もあります。睡眠不足が起こす健康への影響は無視できませんね。

◆寝姿でリラックスしているかわかる

猫がリラックスして寝ているのは寝姿でもわかります。

  • 丸々コロンとしている
  • お腹をまるめてコロンと寝ている姿は猫の寝姿の基本です。リラックスしていると思っていいでしょう。ただ、寒いときになるべく外気に触れないように小さく縮こまる形と一緒ですので、猫にとっての快適温度22℃前後か温度の確認もしてみましょう。

  • ダラッ~と縦長に伸びている
  • 手足を伸ばして横に長く伸びて寝ているのは、猫の寝姿の夏場の風物詩です。緊張はしていません、リラックスしていますが暑くてだらけている状態です。実は室内で熱中症になるのは猫も一緒です。今一度、室内の温度を確認してください。

  • 魚の開き状態でお腹を見せている
  • まるで魚の開きのように上向きでひっくり返っているのは、最上級のリラックス状態です。外敵などがいる危険な場所では絶対ありえません。動物にとってお腹は急所ですので、隙だらけの状態で眠っているのは安心しきっている証拠なのです。

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猫の睡眠時間が増えたと感じたら

寝ている猫

1日のほとんどを睡眠時間で過ごす猫。とはいえ、ただ寝ているだけなのか、それとも、体調が悪くてうずくまっているのかの区別がつかなくて心配になることがあります。こんな様子が見られたら、体調に変化があったサインかもしれません。そんな様子をご紹介しましょう。

◆年を取って体力が落ちた

猫の睡眠時間の変化をお話しましたが、猫は高齢になると再び睡眠時間が増えていく傾向があります。 子猫時代と同じぐらいで20時間以上寝て過ごす猫もいます。
熟睡している時間も長めになりますし、ウトウトしている時間が長くなります。原因としては、高齢になって体力が衰えていき活動するために消費するエネルギーを節約するためだと考えられています。また高齢の猫は聴力が衰えていくため、物音に反応しなくなり「レム睡眠」でも目を覚ましにくくなることも一因とされています。

◆体に不調がある

睡眠時間が増えている原因としては、「病気」「ケガ」「ストレス」もあります。

  • 警戒態勢のまま寝ている
  • 人の手が届かない高い場所や狭く暗い場所で寝ている
  • 眠りが浅く物音にすぐ反応する
  • いつもの時間に起きてこない
  • ごはんの時間になっても起きてこない

飼い主さんも普段一緒に暮らしているとこのような異変は感じることでしょう。元気がないときは食欲もないため、ごはんをねだらないことで心配になることもあります。猫は外敵から身を守るため、無防備な睡眠時間中は体の周りをガードしてくれる狭い場所に身を潜める習性があります。また、体の不調を悟られないためにギリギリまで隠しているため、飼い主さんがおかしいと気がついたときは重症化していることもあります。

体調が悪い時の様子を見極めるポイントは

  • 呼吸がいつもよりはやい
  • 不規則ないびきをかいている
  • 温度調整しているのに震えている温度調整しているのに震えている
  • 鼻水が出ている

このような様子があるときは、猫風邪にかかっている可能性もあります。できるだけ早く動物病院へ連れて行ってあげてください。

◆かわいいごめん寝、実は要注意

ごめん寝は、香箱を作った状態で床に頭をつけて寝ている状態です。なんともかわいいですよね。このごめん寝は、明るい場所で寝ていて眩しいときにしていたり、香箱座りをしていてそのまま眠ってしまったときにしていることが多いようです。眩しいようなら明かりを落とすなど、あまり心配しなくてもよさそうです。
ですが、ごめん寝にも要注意の寝方があります。もしも、床ではなく壁に頭を押しつけて寝ているとしたら病気の可能性もあるのです。香箱座りをしていて、自然に頭がうつむいて床にというなら心配はありません。しかし、壁や柱といった硬いものに頭を押しつけて支えているような体勢で寝ているのは「ヘッド・プレッシング」のサインのことがあります。
ヘッド・プレッシングは、脳腫瘍や脳卒中、脳炎などの主に脳の病気や、頭部の外傷、毒物中毒を起こしている可能性があります。ヘッド・プレッシングをしていたら一刻も早く動物病院へ連れて行くことが重要です。

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まとめ

撫でられている猫

室内飼いの猫に比べ、野良猫では平均寿命は半分といわれています。安心して暮らせる環境が、いかに寿命に反映されるかよく分かる数字ですね。ごはんや外敵など野良猫は安心して眠れない環境で暮らしています。このことも寿命に影響していると考えられています。
人と同じく、猫にとっても睡眠はとても大切な時間であり、体力の回復だけではなく、ストレス軽減や免疫力の向上とも関わっています。元気に長生きしてもらうためには、安心して休める睡眠環境を整えてあげることが大切です。
愛する猫ちゃんが長生きできるように、睡眠環境を整えできるだけ長くともに暮らせると幸せですね。



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にゃんこ

にゃんこ

長年一緒に暮らした長女猫(17歳)と長男猫(11歳)を看取り、今は脱走癖のある次男猫とちょっとどんくさい次女猫と暮らしています。


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