猫に塩分は必要?1日に要する塩分量を知って愛猫の健康を守ろう!

2022.10.01

猫に塩分は必要?1日に要する塩分量を知って愛猫の健康を守ろう!

私たち人間の食生活に欠かせない塩分ですが、猫には塩分を摂らせすぎてはいけないとよく言われていますよね。 塩味がなければ料理に対して味気ないと感じる方も多い通り、味付けをする際に塩分は重要な調味料と言えるのではないでしょうか。 必要ではあるけど摂取はある程度控えるべきといった塩分ではありますが、猫には塩分が必要なのか、塩分を摂りすぎたときにはどのような症状が出て、どのような注意をしておくべきかを考えてみました。

猫に塩分は必要?

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塩分の摂りすぎは体によくないとは言われていますが、塩分には特有の役割があるため、欠かすことのできない栄養素と言えるでしょう。

塩はナトリウムなどのミネラル成分によって生成されており、塩素とナトリウムが結びつくことによって、塩化ナトリウムといった化合物へと変化します。

塩味を感じるのは塩化ナトリウムによるものとなりますが、日本で造られている食塩は海水を濃縮して煮詰めたものが基本となるため、植物由来でもなければ動物由来でもありません。

ミネラルは体内で合成することができないため、食事から摂取する必要がありますが、猫の場合はどうでしょうか。

まずは塩分の役割を知って、猫にも塩分が必要であるかどうかを見ていきましょう。

◆塩分の役割

生命維持に必要不可欠な栄養素となるミネラルですが、どのような役割を担っているのかをご存知でしょうか。

ミネラルで構成された塩分は、私たちの血液をはじめとした体液や、骨などにも含まれており、細胞内外のミネラルバランスを保つために必要不可欠となっています。

人間をはじめとした動物の血液中には、1リットルに対して約9gの塩が溶けていると言われ、塩分濃度を常に一定に保つ働きをし、塩分が高い食べ物を食べたときなどには、体液量が増えて血圧を上げ、時間をかけて血液をろ過した後に尿として排出させていきます。

塩分濃度を一定に保つ仕組みの人間の体は、約1gの塩分を摂取すれば約100mlの水分を要するため、味が濃い(塩気が強い)食べ物を多く摂りすぎるとのどが渇くといった現象は、生理的で自然な反応と言えるでしょう。

このように塩分濃度が常に調整されている動物の体では、細胞を正常に整えながらバランスを保つ以外にも、食べ物から栄養を吸収する働き、pH値を調整する働き、神経伝達や筋肉の働きを調整することにも役立っています。

過剰摂取すると体によくないイメージの強い塩分ではありますが、体に欠かすことのできない栄養素とも言えますので、まったく摂取しないことも体に負担がかかってしまうことがよく分かります。

不足してしまえば倦怠感やめまい、脱水症状や血圧の低下、筋肉異常などのさまざまな不具合が起こる可能性もあるため、注意が必要と言えるでしょう。

◆猫の1日必要な塩分の量

塩分をまったく摂取しないことも、体にとっては負担になることが分かりましたが、人間に比べると体の小さい猫は、1日にどれぐらいの塩分量を必要としているのかも気になるところですよね。

塩分=ナトリウム量ではなく、食塩の約40%がナトリウム量に相当することを念頭におき、換算式に当てはめて計算することが可能となります。

猫が1日に必要とするナトリウム量を導きだす計算式
【3.1×1日の摂取カロリー=ナトリウム量(mg)】

ナトリウム量から塩分量を導き出す換算式
【ナトリウム量(mg)×2.54÷1000=塩分量(g)】

個体や年齢にもよりますが、猫が1日に必要な摂取カロリーは体重1kgに対し【60kcal】前後と言われています。

体重が4kgの猫ちゃんの場合、1日の摂取カロリーは【240kcal】となりますので、このカロリーから1日に必要なナトリウム量を計算してみると【744mg】と出ます。

さらに744mgを塩分量に換算してみると【1.88976g】といった数値が出るため、およそ【1.9g】に満たないぐらいの塩分であれば、摂取しても問題ないことがうかがえますよね。

愛猫に与えているキャットフードや、おやつなどに記載されている塩分量を再確認し、塩分を摂りすぎていないかを改めて確認してみましょう。


猫があまり塩分を摂らなくていい理由は?

猫に必要な1日の塩分量が微量であることが分かりましたが、それでも世間では猫の塩分摂取について苦言を呈されていることもあり、与えてはいけない理由がほかにあるのかも気になるところです。

塩分の与えすぎに注意したい理由としてまず挙げられるのは、猫の味覚が人間よりも発達していないということではないでしょうか。

猫は甘味や旨味を感じない分、「塩味・酸味・苦味」といった味覚のみを感知するため、キャットフード(一般食や療法食など)の中には、敢えて塩味や油分を多めに配合して作られていることもあるようです。

「猫の食いつきがよい=愛猫が気に入っているからまた購入する」と飼い主さんが考えてしまえば、知らず知らずのうちに塩分を過剰に摂取させている可能性も否めないため、フードを購入する際には必ず、成分表示をチェックする癖をつけておくようにしてください。

総合栄養食のフードを毎日必要分食べている猫ちゃんであれば、バランスのよい栄養が補えるため、このようなことからも猫の健康を守るために、総合栄養食が毎日の食事として推奨されている所以です。

また、猫は人間のように汗をかいて塩分を排出させる必要もないため、ナトリウムの消費量が少ないようであれば、塩分の摂取量も少なくて済みますよね。

他にも猫はあまり水分を摂取しなくても生きられるように、濃いオシッコを出して体内のバランスを保てるように進化してきました。

しかし、だからといって強靭な腎臓を持ち合わせているというわけでもなく、少なからず日々腎臓を酷使していることも事実です。

塩分を多く摂取してしまえば、血圧を上昇させてさらに腎臓へ負担をかけることに繋がるため、このようなことからも猫はあまり塩分を摂る必要がないと言われているようです。


猫が塩分を摂り過ぎた時の症状

猫が日常的に塩分を摂り続けた場合、体に支障をきたして病気を発症させることがあります。

もっとも注意が必要な病気は、以下の通りとなっています。

◆腎臓病

塩分を多く摂取すると血液や体液中の塩分濃度を一定に保とうとするため、体液量が必然的に増加します。

過剰に増えた水分量を元に戻すためには、腎臓がフル活動する必要があり、血圧を一気にあげて時間を要し、血液のろ過に努める働きをしてくれます。

ろ過に時間がかかっている中でさらに塩分を摂取してしまえば、高血圧状態が続いてしまうことでしょう。

そのような状態が続いてしまえば血液をろ過する糸球体という組織が破壊され、塩分や水分の排除がうまくいかなくなり、腎臓のろ過機能は低下していきます。

元々飲水量が少なく汗をかかないことが仇となり、猫に多いとされる腎臓病を発症するきっかけになり兼ねないため、普段から極力腎臓に負担をかけないためにも、塩分を摂りすぎないことが一番です。

📌【おすすめ記事】【獣医師監修】猫の腎臓病(慢性腎臓病・急性腎臓病)の症状、原因、治療法は?

◆心臓病

塩分を多く摂取することによって、体液量が増えるのであれば、血液を全身に運ぶ働きをする心臓にも負担がかかることは一目瞭然です。

塩分によって血圧が上がってしまえば、動脈硬化や心臓肥大が進み、その結果として心筋梗塞や心不全、不整脈や動脈瘤などの心臓病を起こしやすくなります。

このような病気のリスクがあることからも、愛猫の適切な塩分量を把握した際には、致死量がどれぐらいであるのかも知っておくと安心です。

一般的に猫の塩分摂取による致死量は、体重1kgあたりにつき4g前後と言われています。

体重が4kg程度の猫ちゃんであれば、16g前後(ティースプーン3杯分程度)の塩分が致死量となるため、普段から塩分が多い食べ物を食べさせない工夫も必要と言えるでしょう。


塩分が多い食べ物

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猫には人間の食べ物は与えるべきではないと言われている通り、猫が好む傾向の強い加工食品(ハムやソーセージ、かまぼこなど)や、塩漬けの魚や干物といった魚製品は塩分が多く添加されているため、ほんの少し与えるだけでも危険が伴います。

また、化学調味料であるうま味成分(グルタミン酸ナトリウム)にも、同等の塩分量が含まれているためおすすめできません。

猫が口にするキャットフードやおやつの中にも、塩分が強い製品は紛れ込んでいるため、猫の嗜好性を尊重するのではなく、猫に長生きしてもらうためにも、どのぐらいの塩分が含まれているのかを、必ず確認してから購入するようにしましょう。


猫が塩分を摂り過ぎないようにするには?

愛猫に塩分を摂らせすぎないようにするためには、人間の食べ物を与えないことを徹底し、毎日の食事は総合栄養食のキャットフードを与え、嗜好性の高いおやつなどは極力与えないようにすることが大切です。

長い目で見ても、徹底した日々の食事管理こそが愛猫の健康を守るためにも重要ですし、病気を患ってからすべてを後悔しても遅いですよね。

大切な愛猫に長生きしてもらうためにも、必要な塩分量をしっかりと把握し、塩分の与えすぎに注意をして健康的な毎日を過ごされてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

塩分が多い食べ物は満足感があり、汗をかいたあとには特に美味しく感じますが、その分多くの水分を摂取する必要性が出てくるため、塩分の過剰摂取には注意しているといった方も多くいらっしゃることでしょう。

私たち人間は知識があって、自ら控えることが可能ではありますが、猫の場合は飼い主さんが責任をもって管理をし、塩分を多く摂りすぎないようにさせなくてはいけません。

まずは愛猫の適正な塩分量を計算して、現在与えている食事の塩分量を把握し、少しでもオーバーしているようであれば、食事内容の見直しをおすすめいたします。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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