嗜好性の高い猫は味にうるさいって本当?味覚について知りたい!

2023.03.04

嗜好性の高い猫は味にうるさいって本当?味覚について知りたい!

猫の楽しみといえば美味しいご飯であるように、食事をしているときの姿は本当に嬉しそうに食べている猫ちゃんが多いですよね。 そして、人間の食べ物をよく欲しがることからも、嗜好性の高い動物であることがうかがえますが、猫は人間と同じような味覚を感じているのか気になったことはありませんか? グルメで味に敏感とも言われている猫ではありますが、今回は猫の味覚がどうなっているのかについて深掘りしていきたいと思います。

猫には味覚があるの?

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「味覚」とは動物が持ち合わせている五感の一つとなり、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」といった、5つの基本的な味を認識する感覚となります。

これらを感じる受容器は主に舌に存在し、食べ物を口の中に入れることによって味覚を感じますが、人間だけでなく猫にもこの味覚が存在するのか、気になったことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか。

人間の舌には「味蕾(みらい)」と呼ばれる、味覚受容体細胞が複数存在しているように、猫の下にもこの味蕾が存在しているため、猫も味覚を感じることが可能と言われています。

その影響もあって、猫はキャットフードの好き嫌いをしたり、美味しそうに食べたりと、嗜好性が高い動物として広く知られていますが、人間の味覚とどのような違いがあるのかも気になるところですよね。

嗜好性が高いのであれば、好き嫌いがはっきりしていることにも繋がる気がしますが、実際に猫の味覚は好き嫌いが関係するものなのでしょうか。

◆猫の味覚は好き嫌いが関係する?

猫は好きな食べ物は好きといった行動を見せることからも、嗜好性が高い動物として認識をされていますが、味覚が優れているからかというとそうではありません。

猫の五感の中でもっとも優れているのは「聴覚」となり、その次に優れていると考えられているのが「嗅覚」です。

犬と比べると劣る猫の嗅覚ではありますが、鼻の粘膜にある嗅覚受容体細胞の数によって左右されるものの、人間と比べると数万~数十万の嗅覚を持ち合わせている通り、猫にとって大切な五感の一つであることがうかがえますよね。

その分猫は視覚がそこまで発達しておらず、聴覚や嗅覚で補うことにより、何不自由ない日常生活を送っていると言われています。

狩りを嗅覚で行う犬に対して、猫は嗅覚に頼って狩りはしないですし、ニオイでさまざまな情報を得ながら過ごしているため、味覚の補助として嗅覚を利用しているようです。

口に食べ物を運ぶ際にはまずニオイを確認し、食べられるものなのか、腐っていないかなどの識別をし、美味しそうなニオイがすれば食欲が増進しますので、味覚で好き嫌いが左右するというよりも、ニオイで好き嫌いが分かれると言ったほうが自然ではないでしょうか。


猫の舌の構造

嗅覚の補助役となる猫の味覚ではありますが、どれぐらい味を感じられるのか、猫と近しい存在となる犬とは、異なる舌の構造をしているのかなども気になるところですよね。

なかなか飼い主さんに口の中を見せてくれない猫ではありますが、猫の舌は以下のような構造となっています。

◆犬と猫の舌の違い

人間や猫の舌には味蕾と呼ばれる味覚受容体が存在していますが、人間は1万個前後の味蕾が存在していることに対し、猫には500個前後の味蕾しかありません。

この大きな数の違いからも、猫は人間よりも味覚が劣っていることが分かりますが、猫に近しい動物である犬の場合は、味蕾の数が2000個前後だと言われています。

舌先で甘味を感じる人間や犬とは異なり、猫は食べ物を飲み込む傾向があることからも、苦味や酸味を強く感じやすいとも言われているようです。

◆猫は甘味を感じない?

一方で猫は甘味を感じないと言われることがありますが、結論から言いますと猫も甘味を感じ取ることは可能です。

犬は進化の中で肉食から雑食動物へと変貌を遂げたことから、野菜や果物、雑穀などの甘味を感じ取ることができるようになり、自然食材を人間のように好む傾向が強くなったと考えられています。

人間と共存してきた犬ならではの味覚ではありますが、猫は元々肉食動物で雑穀などの甘味を感じる必要がなかったことからも、犬ほど甘味に対する味覚が発達しなかったと言えるでしょう。


猫が感じられる味覚

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猫が感じられる味覚は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4つです。

どのように味を感じているのか、詳しく見てみましょう。

◆猫が感じられる味覚①甘味

猫の主食となる肉類には甘味がほとんど含まれていないことからも、甘味を感じられないと言われている通り、猫には甘味を感じ取る甘味受容器が存在していません。

しかし、肉や魚類に含まれるアミノ酸由来の甘味は感知し、好む傾向が強いため、一概に甘味をまったく感じないとは言い切れないのです。

また、パンやケーキなどの甘いものを食べているとき、やたらと愛猫に欲しがられるといった、経験をしたことのある飼い主さんは多いと思いますが、それらを作る際に使用している食材(バターなど)に、反応している可能性が高いと言えますよね。

甘い食べ物には脂質が多く含まれていることからも、脂質に対して美味しかった記憶が残れば、猫ちゃんが毎回甘い物に反応することにも納得です。

甘味に関しては味覚ではなく、嗅覚で感じ取っている可能性が高いことを覚えておきましょう。

◆猫が感じられる味覚➁塩味

猫は舌先で塩味を感じますが、塩辛い食べ物も猫には必要がないため、好んで塩味のものを食べることはありません。

私たちは塩味が弱い食べ物を味気ないと感じますが、猫は体の構造上からも多くの塩分は必要としないため、素材そのものにある程度の塩分(ナトリウム)が含まれていれば、味付けとしての塩味は必要がないと言えるでしょう。

飼い主さんが意識すべきは、塩分や旨味が加えられたフードやおやつを選ぶのではなく、良質な肉や魚を使ったフードなどを選ぶようにし、愛猫の好みを探ってみるようにしてください。

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◆猫が感じられる味覚③酸味

猫にとって重要な味覚と言えるのが、酸味となります。

猫は酸味を感じることによって、その食べ物が腐っているか、食べられるものなのかを判断するため、賞味期限といった概念のない猫にとって、酸味を感じ取る味覚がいかに重要であることが分かりますよね。

腐っている食べ物は腐敗したニオイ(酸っぱいニオイ)も強く、嗅覚の強い猫は口に入れる前に判断ができますが、万が一口にした場合でも酸味が感じ取れるようであれば安心です。

◆猫が感じられる味覚④苦味

酸味と同様に、重要な味覚となるのが苦味です。

苦味は腐った食べ物だけでなく、毒物などの危険な成分が含まれていた場合にも感じ取れるため、飲み込む前に危険を察知することが可能となります。

有害な成分をいち早く感知し、自分の安全を守るために発達した味覚と言えるでしょう。


猫が美味しいと感じる味はある?

猫は基本的に美味しいと感じて食事をしているわけではなく、安全かどうかで判断している可能性が高いと言われています。

強いて言うのであれば、私たち人間が舐めて甘いと感じるアミノ酸を好み、私たちが苦いと感じるアミノ酸を嫌う傾向があるため、新鮮な魚や鶏肉、チーズなどを好む猫ちゃんは多いですよね。

あくまで一般論とはなりますが、猫ちゃんによって好む傾向も異なるため、愛猫が何を喜んで食べているのかを見極めるようにし、美味しい食事を提供してあげるようにしてください。

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猫はどうやって判断して食べてるの?

猫は美味しいと思いながら食べ物を食べているわけではない上に、食べられない物を判断するために味覚が発達しているため、どのようにして食べても安全と判断しているのかも気になるところですよね。

食べ物の好き嫌いは味覚で判断する猫ではありますが、食べても平気かどうかの確認をする前段階では、嗅覚を使って判断をしています。

猫はニオイからさまざまな情報を読み取る通り、食べ物に対しても長けた嗅覚を使うため、よりニオイの強い食べ物を好む傾向が強いと言われているようです。

五感を上手に使い分けることによって、嗜好性が高いイメージが定着していったことを考えると、やはり猫は不思議で面白い動物であることがうかがえますよね。


まとめ

猫がご飯を美味しそうに食べる姿はとても愛らしく、喜んでほしくて好きな食べ物をたくさん食べさせてあげたいと考える飼い主さんはとても多いことでしょう。

しかし、猫の味覚は犬や人間ほど発達しておらず、嗅覚に頼りながら食べられるのか、食べられないかの判断を瞬時に行っていることに驚きですよね。

美味しさを味覚で感知できない猫ではありますが、もちろん個体差があるため、一概にまったく美味しさを感じていないわけではないですし、愛猫のことをじっくりと観察して、好みの味を見つけてあげることは飼い主さんの特権とも言えるはずです。

より食事の時間を楽しんでもらうためにも、愛猫の好みをしっかりと把握して、感じ取れない味覚を飼い主さんが補うような、食生活を心掛けてみてはいかがでしょうか。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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