1.猫に蕎麦を与えても良い?
1-1.蕎麦の歴史
1-2.蕎麦に含まれる栄養素や効果
1-3.アレルギー
2.蕎麦の与え方
2-1.最適な量
2-2.茹でる
2-3.味付けはしない
猫に蕎麦を与えても良い?
蕎麦を調理する際に、出汁に使用しているかつおの香りに反応する猫ちゃんは多く、「食べたい!」と主張されたことのある飼い主さんも多いはずです。
蕎麦はそばの実を原料とし、蕎麦粉を用いて加工した麺類となりますが、猫に与えても安全な食べ物なのかが気になるところですよね。
原料はメインの蕎麦粉とつなぎとなる小麦粉、水や塩といったシンプルな材料のみで作られており、蕎麦粉の配合によって名称が変わるため、小麦粉を一切用いていない蕎麦は「十割蕎麦」と呼ばれています。
割合によって香りや食感が変わる蕎麦は、材料がとてもシンプルなため、少量であれば猫が食べても問題ないと言えるでしょう。
日本人が愛してやまない蕎麦ではありますが、蕎麦にはどのような歴史があり、どんな栄養素が含まれているのでしょうか。
◆蕎麦の歴史
日本で蕎麦が栽培されるようになったのは、縄文時代までさかのぼります。
日常的に蕎麦が食べられるようになった、と言われる時期は、江戸時代中期ごろ。
きっかけは白米の食べ過ぎによる江戸わずらい(脚気:かっけ)が流行したことでした。
蕎麦好きには脚気に悩む人がいない、と噂が広まったことで蕎麦を食べる人が増えたと言われているのです。
脚気はビタミンB1が欠乏して起きる病気と言われていますが、ビタミンB1は炭水化物(糖質)をエネルギーに変えるための大切な栄養素となります。
この栄養素が不足すると末梢神経障害や心不全が引き起こされ、手足のむくみやしびれ、全身の倦怠感、食欲不振などの症状が出ます。
江戸時代、脚気は白米を食べられる裕福な暮らしをしている人々が患うことが多く、蕎麦をよく食べている人にはかかりにくいという噂が広がるにつれ、うどんよりも蕎麦の消費量が増えていきました。
その後ビタミンの研究が進むにつれて、脚気はビタミンB1が不足して起こることが分かったため、ただの噂を真実に変えてしまった、江戸時代の人々の観察眼には脱帽ですよね。
◆蕎麦に含まれる栄養素や効果
蕎麦にはビタミンB1をはじめとした、豊富なビタミン類が含まれており、疲労回復効果や皮膚などの粘膜を健康に維持するなどの働きをしてくれます。
そして食品の中で唯一蕎麦にだけ含まれている栄養素が、ルチンと呼ばれるポリフェノールの一種です。
ルチンは抗酸化作用を持つ化合物となり、血管を丈夫にする、老化を防ぐ、高血圧を抑制するなどの、猫にも嬉しい効果が得られる栄養素と言えるでしょう。
また、コリンという成分とともに、メチオニンやナイアシンといった成分が含まれていますが、これらの成分は肝機能を回復させる効果が期待できます。
蕎麦は主食の中でも低カロリーで高たんぱくとなり、糖質の吸収度合いを示すGI値も、主食の中では断トツの低さです。
腸内環境を改善してくれる食物繊維も豊富に含まれているため、猫にもさまざまな効果が得られると考えて良いでしょう。
◆アレルギー
蕎麦は猫にも嬉しい効果が期待できる食材であることが分かりましたが、少量であってもほかの食品よりもアナフィラキシーショックのような、重篤な症状を引き起こしやすく、注意が必要な食べ物であるとも言えるでしょう。
猫も人間と同じように特定のアレルゲンによって、アレルギーが発生する確率が増加傾向にあり、アレルギー症状が出やすいとされる蕎麦は、細心の注意を払って与えなくてはいけません。
猫の場合は皮膚に症状が出ることが多いですが、持続的なかゆみはストレスとなり、日常生活にも支障をきたす可能性もあるため、このようなことも踏まえた上で、飼い主さんが責任を持って与えるか与えないかの判断をする必要があります。
また、蕎麦には小麦粉も使われているため、元々小麦アレルギー持ちの猫ちゃんには与えない方が無難です。
小麦アレルギーを持っていない猫ちゃんで、どうしても蕎麦を欲しがる場合には蕎麦を食べさせる前に、蕎麦を茹でたゆで汁でうどんを茹で、そのうどんを冷まして少量食べさせてみてください。
このときアレルギー症状が何も出なければ、蕎麦を与えても大丈夫となりますが、アレルギー症状は時間が経過してから出ることもあるため、必ず経過観察は怠らないようにしましょう。
蕎麦の与え方
安全に考慮しながらであれば、猫にも栄養価の高い蕎麦を与えることが可能と分かれば、さっそく愛猫に食べさせてあげたいと考える飼い主さんもいらっしゃるはずです。
猫に蕎麦を与える際にはどのようなことを意識し、どのようにして与えれば良いのでしょうか。
◆最適な量
初めて猫に蕎麦を食べさせるときは、蕎麦の少量の切れ端(1cm程度)を与え、必ず注意深く経過観察をするようにしてください。
主食はキャットフードを基本とし、蕎麦はフードのトッピングやおやつとして与えると良いでしょう。
また、猫は肉食動物となるため、蕎麦などの穀物類の消化が苦手なこともあり、与えすぎはお腹の調子を崩す恐れがあるため注意が必要です。
健康体の成猫であればティースプーン1杯程度(蕎麦1本分ほど)を目安とし、5mm幅程度に細かく切り刻んでから与えてください。
◆茹でる
猫に蕎麦を与える際には必ずたっぷりのお湯で茹で、できる限り塩分を茹でこぼしてから与えるようにしましょう。
そして蕎麦のコシは猫には必要ないため、表示時間よりも長めに茹でて柔らかくしておくことがコツです。
暑い季節には粗熱を取って冷やした蕎麦が食べやすく、寒い季節には完全に冷ました状態ではなく、人肌程度の温かさがあると、猫ちゃんも食べやすいためおすすめとなります。
◆味付けはしない
蕎麦には元々塩分が含まれていることからも、茹でて食塩量を減らさなくてはいけません。
塩味が抜けて味気ないからといって、そばつゆなどに絡めてから猫に与えるのはご法度です。
そばつゆなどに含まれている塩分は、猫の臓器(心臓や腎臓)にも負担をかけやすく、これをきっかけに病気を発症することになりかねないため、必ず味付けをしていない状態の蕎麦を与えてください。
また、ねぎなどの薬味も毒性が強いため、猫には絶対に与えてはいけません。
人間と同じように蕎麦を楽しんでもらいたいといった、飼い主さんの気持ちが強いようであれば、猫用のかつおぶしやまぐろぶしに和えて、風味をUPさせてみてはいかがでしょうか。
他の麺も与えても大丈夫?
蕎麦は注意しながらであれば、猫にも与えられることが分かりましたが、小麦を主原料としたほかの麺類は、与えて良いのかも気になるところですよね。
代表的な2種類の以下の麺類は、猫に与えたとしても大丈夫なのでしょうか。
◆うどん
蕎麦と同じぐらい日本人が食べているうどんですが、蕎麦粉を使っていないだけで蕎麦と主原料がほぼ同じとなるため、小麦アレルギーに注意しつつ、しっかりと茹でて塩分を抜き、やわらかい状態のものであれば少量与えてもOKです。
◆パスタ
パスタも主原料は小麦粉となりますが、大きな違いは卵を使っている点です。
小麦アレルギーはもちろん、卵アレルギーを持っている猫ちゃんは食べられないため、少しでも不安要素が残る場合には、与えない方が良いでしょう。
もちろん健康体でアレルギーを持っていない猫ちゃんであれば、茹でてやわらかくなった味付けのしていないパスタは、少量であれば食べても問題ありません。
猫に蕎麦を与える際の注意点
猫に蕎麦を与える際にはアレルギーに注意をしなくてはいけませんが、アレルギーだけでなく腎臓病といった持病を持った子に与えるのはNGとなります。
蕎麦に含まれている塩分は臓器に負担をかけますし、腎臓はたんぱく質の代謝産物を排出させる役割を担っているため、上手に排出されなければ体内に毒素を留めてしまうことに繋がります。
このようなことからも、臓器が未発達な子猫や、臓器の機能が衰えているシニア猫には、蕎麦を与えるべきではないと言えるでしょう。
また、猫は新しいものを好む傾向の強い、「ネオフィリア」といった性質を持っています。
これは野生下で自らさまざまな獲物を捕獲してきた、肉食動物によくみられる性質となり、その名残りから飼い主さんの食べているものに興味を抱きやすく、嗜好性が高くフードに飽きやすいといった特徴があります。
愛猫が人間の食べ物を欲しがるたびに与えてしまうと、それが癖となって主食のキャットフードを食べなくなってしまう可能性もあるため、なんでもかんでも猫に与えることは控えましょう。
まとめ
蕎麦にはさまざまな栄養があり、少量であれば猫が食べても安全な食べ物と言えますが、食品アレルギーの中でも上位に位置づけられている、蕎麦アレルギーを発症する可能性があります。
アレルギー反応がひどく重篤な状態となってしまえば、命を落とす危険性まであるため、あえて猫に食べさせる食材ではないと言えるでしょう。
どうしても欲しがる猫ちゃんには、しっかりと茹でこぼしてやわらかくした、味付けがされていない蕎麦をフードのトッピング程度に与えてください。
猫は総合栄養食となるキャットフードから、必要な栄養素は摂取できていますので、日常的に蕎麦を与えるようなことはせず、欲しがったときだけ少量を与えるようにしましょう。
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