【獣医師監修】猫の鼻が黒いのはなぜ?黒くなる原因や病気なのかを知りたい!

2024.01.27

【獣医師監修】猫の鼻が黒いのはなぜ?黒くなる原因や病気なのかを知りたい!

さまざまな毛色や柄を持つ猫ではありますが、それらの模様はその子の個性となるため唯一無二感があり、とても魅力的に感じますよね。 被毛だけでなく猫の可愛らしい鼻も、ピンク色の子も居れば黒色の子も居ますし、ポイント模様が付いている子などさまざまです。 鼻が黒い場合、模様やホクロであれば個性として受け止めることができますが、病気が隠されている場合にはとても心配になってしまいますよね。 猫の鼻が黒いとき、良性か悪性かを見分ける方法はあるものなのでしょうか。

猫の鼻が黒くなってる原因は?

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猫の被毛はさまざまなパターンやカラーが認められており、どの猫ちゃんも個性があってとても可愛らしいですよね。

純血種によっては同じカラーやパターンの被毛を持って生まれてきますが、日本猫のようなMIX(雑種)の場合はそれぞれに個性があり、その子自身の特徴としても認識されていくことでしょう。

猫は生まれ持つ被毛によって、鼻の色にも個性が出やすくなりますが、基本的に被毛の色素が濃い猫ちゃんの場合は、鼻の色も濃く(黒く)なる傾向があることをご存じでしょうか。

もともと猫の被毛と鼻の色には深い相関関係があるため、黒い被毛を持って生まれた黒猫、白黒やシャムネコなどのポインテッド柄の猫ちゃんは、生まれつき黒い鼻であることがほとんどです。

生まれつき鼻が黒いからといって病気とは限りませんので、黒い部分の大きさが変わらない場合や、猫ちゃん自身が気にしている様子が見られないようでしたら、基本的にはそこまで問題視する必要はないと言えるでしょう。

◆汚れ・かさぶた

生まれつき鼻が黒い以外の理由の中には、汚れやかさぶたによって鼻が黒くなることもあります。

猫はよく匂いを確認する動物となるため、匂いを嗅いだ先に汚れやゴミがあれば、湿った鼻の表面に汚れがついてしまいますし、鼻水と混ざってこびり付いてしまう可能性も否めません。

また、鼻の表面をケガしてしまえば、その部分がかさぶたとなっていき、色が変色して黒く見えることもよくあります。

このような汚れであれば時間が経過するとともに、元の鼻の色に戻っていきますが、黒い色のまま戻らなかったり、範囲が広がったりしている場合には病気の可能性もあるため注意が必要です。

◆シミ・ほくろ

猫も人間と同じように加齢によってシミやほくろができるため、被毛の少ない粘膜にできた黒色部分はよく目につくようになります。

鼻も皮膚がむき出しの状態となっていることから、シミやほくろがあるととても目立ちますよね。

シミはターンオーバーといった古い細胞が、新しい細胞に置き換わるサイクルによって通常は剥がれ落ちていきますが、うまくターンオーバーができなければメラニン色素が肌の一部に沈着し、平面的なシミとなって残ってしまいます。

そして、ほくろは正式名称を「色素細胞母斑(しきそさいぼうぼはん)」と呼び、メラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が密着してできたものとなります。

基本的にほくろは円形状に盛り上がった形をしており、良性腫瘍に分類されるため健康に悪影響を及ぼしませんが、徐々に盛り上がる場合や歪な形へと変貌していく場合には、悪性の可能性もあるため、日頃から愛猫の鼻に変化がないかの確認をしておくことも大切です。


猫の鼻が黒くなってるのは病気の可能性も?

猫の鼻が黒くなっている際には、とくに問題のないことが大半ではありますが、病気が原因の場合もあるため、良性なのか悪性なのかの見極めが重要となってきます。

猫の鼻が黒い原因として病気が関与している場合には、症状をしっかりと見極めて以下のような病気を疑うようにしてください。

◆悪性腫瘍「メラノーマ」

シミやほくろのように見えていたものが、徐々に大きく盛り上がったり、歪に変形したりしたときは「メラノーマ」といった悪性腫瘍の可能性があります。

ほくろだと思って放置したままにしておけば、黒い部分の境界がどんどん不明瞭に大きくなり、赤みが出て出血や潰瘍を伴うこともあるようです。

猫がメラノーマを発生するのは稀とは言われていますが、絶対とは言い切れないため、このような病気の可能性があることも覚えておきましょう。

◆皮膚糸状菌症

鼻の黒い部分を汚れやかさぶただと放置したのちに、なかなか症状が改善しない場合には、原因がカビといったケースもあります。

糸状菌と呼ばれるカビが皮膚に感染すると、その部分が脱毛をするだけでなく、フケやかさぶたができるようになりますが、このような症状の出る病気を「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」と呼びます。

子猫や免疫の落ちている猫が発症しやすい上に、人畜共通感染症(ズーノーシス)となるため、罹患した際には猫ちゃんを隔離し、部屋の中を消毒する必要性も出てくるようです。

◆扁平上皮癌

皮膚や粘膜にできるガンを「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」と呼びますが、表皮に発生するため猫の鼻にも症状が出ることがあります。

最初は脱毛や皮膚炎の症状が見られますが、進行すると徐々に盛り上がりながら範囲を広めていき、じゅくじゅくとした潰瘍状になって出血を伴います。

扁平上皮癌が鼻にできた場合には、鼻全体が盛り上がってしまうため、顔が変形したり鼻が欠けたりするケースもあり、早い段階で気付いてあげることこそが、早期回復のカギと言えるでしょう。

とくに紫外線の影響を受けやすい白猫が発症しやすいと言われているため、被毛の色が薄い猫ちゃんの場合は、日頃から紫外線対策をしておくことも大切です。

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猫の鼻が黒くなってる場合どうしたらいい?

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愛猫の鼻が黒いと感じたとき、一時的に様子を見るべきなのか、それとも動物病院へすぐにでも連れて行くべきかと、悩まれてしまう飼い主さんも多いはずです。

様子見をしても問題ないのか、早急に動物病院を受診するべきかの判断は、愛猫の状態をしっかりと観察してから、適切な行動に移すようにしましょう。

◆様子見の場合

シミやほくろ、かさぶたなどがある場合に、猫ちゃん自身が気にしている様子もなく、食欲もあって元気なようであれば、そのまま経過を見ても問題ありません。

汚れやかさぶたの原因は外傷などによってできてしまう場合があるため、ポロっと取れてそのまま時間をかけてキレイになっているようであれば、一時的なものだったと解釈して良いでしょう。

シミやほくろの場合も同じで、形を変えたり大きくなったりしていないようであれば、日常的に様子を見ているだけで大丈夫ですので、常日頃から愛猫の健康チェックを兼ねて、鼻の様子を観察してあげてください。

ただ、カビに感染している場合は人間にも移る恐れがあるため、鼻の症状がそこまで進行していなかったとしても、触れた際にはしっかりと手を洗うようにし、感染対策を怠らないようにしましょう。

◆動物病院に連れて行く場合

猫の鼻が黒くなったときに、しきりに鼻の様子を気にする素振りを見せている、徐々に黒い部分が広がって大きく盛り上がっているなどの変化が見られた場合には、様子を見るようなことはせず、すぐにでも動物病院を受診するようにしてください。

特に悪性腫瘍や扁平上皮癌を患っていた場合、放置してしまえば治療が困難になることもあるため、愛猫が辛い思いをする時間も必然的に長くなってしまいます。

どんな病気もそうですが、早期発見と早期治療が重要となりますよね。

また、元から被毛の色が濃く鼻が黒い猫ちゃんも存在しますが、生まれつき黒い色をしているため、黒く見えるからといって病気ということはありません。

しかし、仮に鼻が黒くなる病気を発症した場合には、ほかの猫ちゃんよりも判断が遅れてしまうため、最低でも年に1回の健康診断を行うようにし、専門家である獣医師さんに異常がないかの確認をしてもらうと安心ですよ。


猫の鼻が黒くならないようにする予防方法はある?

汚れやかさぶたなどによって鼻が黒くなったときは、部屋を清潔にする、ケガをした際に前足で掻かないように、エリザベスカラーを使用するなどが理想的ではありますが、エリザベスカラーがストレスになってしまう子も少なくありません。

シミの予防法も前足で掻いてしまえば色素沈着によってシミが濃くなるため、エリザベスカラーが有効ではありますが、日常的に使用し続けることは困難と言えるでしょう。

ほくろに関しても明確な予防法はないため、飼い主さんができることは鼻の黒い部分が変形していないかなどを、日常的に観察をし続けながら予防をしていくしかありません。

カビの場合は糸状菌に感染した動物を近づけない、免疫力を常日頃から高めておく(ストレスを溜めない、良質のキャットフードを与えるなど)ようにし、健康的な毎日を過ごせる環境を整えていきましょう。


まとめ

たまたま愛猫の鼻を見ていて黒いと感じたとき、以前はどのような鼻をしていたかを確認したいときは、撮りためている猫ちゃんの写真を見返してみることもおすすめです。

大切なのは黒いなと思ったとき、その状態を様子見していいものなのか、動物病院へ連れていった方がいいのかを見極めることとなるため、ある程度の知識を持っておくと安心です。

猫自身がとくに気にしている様子がなければ、そのまま様子を見ても問題ないことがほとんどですし、少しでも気にする素振りを見せている場合や、明らかに黒い部分が変形している場合には一刻を争うため、経過観察はせずにすぐに動物病院へ連れていき、適切な治療を受けるようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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