フィラリアの特徴
フィラリアとは寄生虫です。よく名前は聞くけれど、「どのような形をしているのか」「どんな感染経路をたどるのか」などご存知ない方もいるのではないでしょうか。フィラリアの特徴を知ることで、予防や対処がしやすくなります。
●フィラリアの見た目は○○のよう
フィラリアは、太さ0.5から1ミリ、長さが17から28センチ程度の白色をしています。見た目はまるでそうめんのような形をしています。
●1~2匹いるだけでも症状が出ることも
フィラリアに寄生された犬は、その数が少ないからといって症状が軽いということはありません。中にはまったく症状が出ない犬もいますが、1、2匹いるだけで症状が現れる子もいます。
体内に大量に寄生したフィラリアが団子状になってしまい、重篤な症状を発症することもあります。
フィラリアの症状 愛犬のこんな様子に要注意!
●はじめは気づきにくいフィラリアの症状
フィラリアに寄生されても、初期ではあまり目立った症状が出にくいこともあります。中にはまったく症状がなくても病院の血液検査で見つかる場合もあります。
フィラリア予防は当然ですが、毎年フィラリア予防を始める前に必ず血液検査を受ける様にしましょう。
フィラリアの症状は以下のようなものがあります。
- 元気がない
- 咳をする
- 苦しそうな息をしている
- 食欲不振
- 尿が赤い
フィラリア被害が起こる原因は?
●フィラリアの感染源は蚊から
フィラリアはそのまま感染するのではなく、蚊を媒体とし、ペットや人体に寄生します。フィラリアの被害は、蚊から起こると言っても過言ではありません。
<フィラリアのサイクル>
フィラリアは蚊を媒体として感染しますが、そのサイクルは以下のようになっています。私たちの目で見えない犬の体内と蚊の体内では、このような怖いことが起こっているのです。フィラリアの感染源である蚊に刺されると、犬だけでなく人体にも感染することがあるのです。
愛犬の寄生虫予防をすることは、人への感染も防ぐことになります。
1.メスの成虫
フィラリアに感染している犬の心臓や肺で、メスのフィラリアはミクロフィラリアという小虫を産みます。
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2.ミクロフィラリアは血液に乗って体内を循環
心臓や肺で生まれたミクロフィラリアは、血液の中に侵入して犬の体内に潜伏します。そして、その犬の血を吸った蚊へと移動していきます。
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3.蚊の体内で成長するフィラリア~ふたたび犬へと戻される
感染した犬から、蚊の体内に移動したミクロフィラリアは、フィラリアの成虫に成長します。この際、感染力のあるフィラリアへと変化。その蚊に吸血されることによって、ふたたび犬の体内へと戻っていくことになるのです。
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4.皮下脂肪や筋肉で成長 体内で移動するフィラリア
蚊から犬の体内へと侵入したフィラリアは、半年ほどかけて脱皮・成長を繰り返しつつ、心臓や肺を目指して移動していきます。心臓や肺に寄生してふたたび小虫が産めるようになったフィラリアは、またミクロフィラリアを産み、それが血液中に入り込みというループを繰り返すこととなります。
このように蚊を媒体として、犬から犬へ、時には人間にも感染してしまう寄生虫・フィラリアですが、蚊に吸われただけで感染するわけではなく、フィラリアに寄生された犬に吸血することで、広めてしまうことがおわかりいただけたでしょう。ですから、犬の寄生虫を対策・予防することがフィラリアの寄生・感染を防ぐ方法となるのです。
次の項目では、フィラリアに感染してしまった犬の治療法や、愛犬を寄生虫から守る予防方法をご紹介していきます。ぜひ、愛犬とあなたの健康のために役立ててください。
フィラリアの治療法と予防法をご紹介
●フィラリアの治療方法
外科手術による寄生虫の排除が、一番のフィラリア治療法となっています。フィラリアの成虫の死骸が血管をつまらせてしまうなど、早急に排除しなければいけない状態の場合に行われます。しかし、フィラリアの成虫がひそんでいるのは心臓や肺など重要な臓器の中です。大きな手術となりますので、体力がない犬には、耐えることが出来ない場合もあります。
この他、特殊な機械を用いて、フィラリア成虫の死骸を吸引排除する治療方法もあります。
老犬や他の病気を伴っているなど、体力がなく手術が出来ない場合や、寄生虫の発見が早期であり、体内にいる寄生虫の数が少ないと判断される場合は、投薬による治療法が取られることもあります。
この場合、医師の観察の上、フィラリア予防薬の投与を続けて、すでに体内にいるフィラリアの数を増やさないようにしつつ、体内の寄生虫が寿命を終えるのを待つという治療法になります。一般的なフィラリア治療とは、この方法を差すことが多いです。
寄生虫に感染してしまった犬の中には、排除しなければならない成虫の死骸が確認されても、老犬など手術する体力の無い犬もいます。そのような犬に対しては、
・咳止め
・腹水の除去
などの症状に対する緩和処置をすると共に、体力をつけるための栄養補給を中心に行われることになります。
●予防薬を使う
フィラリアの予防薬には、犬の皮膚に垂らすスポットタイプと呼ばれるもの、おやつ感覚で食べさせるタイプのもの、錠剤タイプのものがあります。
フィラリアの治療方法でもお話しましたが、寄生虫の予防・治療には長期の薬剤投与期間が必要となります。薬代にかかるお金の心配される方もいるでしょう。薬の種類等によって価格に違いもありますので病院でよく相談されるとよいでしょう。
そのほか、薬嫌いなワンちゃんには、動物病院で行う注射による投薬方法もあります。
●天然成分でダニやフィラリア予防
フィラリア予防には、サプリメントやハーブなど天然成分も活用できます。愛犬のために、化学的な薬品はできるだけ使いたくないという自然派志向の飼い主さんは、このようなものを利用されるのもひとつの手です。ダニやフィラリアなどの寄生虫に効果がある天然素材には、にんにくやビール酵母サプリメントが代表的です。硫黄成分がダニや蚊などを体に寄せ付けない効果を発揮して、虫から愛犬を守ってくれます。ただし、その効果は医薬品と違い、絶対ではありませんので過信しすぎず、リスクにも十分理解する必要があります。
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ダニ・ノミにも注意が必要です
●ダニやノミが寄生しやすい場所は?
犬に寄生する虫は、発生しやすい場所があります。以下のような場所はこまめにチェックをして、変化にすぐ気付けるようにしておきたいですね。
<ダニやノミが寄生しやすい犬の部位5つ>
- 目の回り
- 耳
- 頭
- お尻の回り
- 足先、指の間
●ダニ・ノミなどの虫が原因で起こる病気も!
<アレルギー性皮膚炎>
ダニなどの吸血性の虫に寄生されると、その唾液によって皮膚がアレルギーを起こし炎症を起こすことがあります。それがダニが原因のアレルギー性皮膚炎です。
<サナダムシ(瓜実条虫)の寄生>
ノミに寄生するサナダムシは、ノミに寄生されるとついてくる厄介な寄生虫です。サナダムシに寄生された犬は、食欲不振や肛門付近の痒みを訴えたり体重減少と共に毛づやが悪くなったりするのでわかります。
<ダニ麻痺症>
ダニの中には唾液に毒性を持ったものもいます。このようなダニに寄生されてしまった犬は、神経麻痺などの症状を起こすことがあります。
<バベシア症>
ダニに寄生されると起こる怖い病気のひとつに、このバベシア症があります。ダニを媒介として寄生するバベシア原虫が起こす、赤血球を破壊してしまう恐ろしい病気です。最悪の場合、愛犬の命にもかかわりますので、特に注意してあげてください。
●犬のダニは人には関係ないと思っていませんか?
マダニによる人体被害も無視できません。犬から人にマダニが感染する場合もあります。犬と同様に激しい痒みがあったり、人によってはアレルギー性皮膚炎を引き起こす場合もあります。犬のダニは人には付かないという人もいますが、そんなことはありませんので注意してください。
<エールリヒア症>
エールリヒア症はダニに寄生された犬を媒介にして人にも伝染る病気です。もちろん、人だけでなく犬にも危険な病気です。
この寄生虫による被害は、白血球に感染して破壊するという恐ろしいものです。犬のマダニ被害の中で一番注意が必要な病気と言われています。
<SFTS(重症熱性血小板減少症)>
マダニを媒介する感染症で近年報道もされている、SFTSウイルスによる病気です。治療が遅れると生命にかかわる病気と
して注意喚起がなされています。犬にも感染しますが発症の報告はありません。また、犬についたマダニが人に感染したと
いう報告はありませんが可能性は否定できないという見解もあります。
ダニ被害だからとばかにせず、しっかりと愛犬のダニ予防をしないと、人の命にも関わる重大な病気を引き起こすこともあるのです。
●おすすめ商品
・虫にきびしく、ペットに優しい殺虫成分のフェノトリンを配合。愛犬・愛猫をダニ・ノミから守ります。
・低刺激性なので、皮膚のデリケートな愛犬・愛猫にもご使用いただけます。
ペットの体から寝床などの環境までトータルに駆除。エアゾールタイプなのでムラなく吹き付けられます。1回の使用で約1ヶ月効果が持続します。
獣医師によってデザインされたフランス生まれのマダニ除去器具。
マダニの形態的特徴を考慮した形状で、マダニを引っ張るのではなく、回転させることにより、簡単に取り除くことができる器具です。
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まとめ
ジメジメした季節に多い犬の虫被害。気づかぬまま放っておくと愛犬の命にもかかわる重大な症状が出ることもあります。フィラリア予防には、スポットタイプや食べさせるタイプの薬が有効です。ダニやノミなどの虫から守るには、散歩から帰ったらよくブラッシングする、ダニ駆除用のシャンプーなどを使用するなども効果的です。
季節による被害が多くなるとはいえ、最近は家の中はあたたかく虫被害は通年の予防が必要となってきます。愛犬の健康のために、いつも気をつけてあげてください。
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