犬のマズルコントロールって何?
犬のマズルコントロールという名前があまり聞き慣れない単語で、マズルって何?と思われる人も多いでしょう。マズルというのは、口吻(こうふん)という意味。犬で言うなら鼻先から口にかけてのことを指す言葉です。
犬を飼ったことがある人なら、犬は口まわり(マズル)を触られるのを嫌がるという体験をされたこともある人が多いでしょう。この犬にとっては触られたくないマズル部分を触ることに慣れさせ、その後のしつけをしやすくするいわば、しつけの前段階をマズルコントロールといいます。
犬の親子は母犬が子犬のマズルを噛んで、犬の上下関係を教えたりしつけを行います。これを母犬の代わりに飼い主さんが行うことで、犬との親密な関係を築いていくことが出来るのがマズルコントロールなのです。
犬が飼い主さんに口の周りを触らせるようになることで、出来ることはたくさんあります。その一方で、
今回はマズルコントロールの目的やそのやり方、注意点をご紹介します。あなたと愛犬の間にマズルコントロールが必要なのかどうか判断してもらいたいと思います。
犬のマズルコントロールの目的
犬に対してマズルコントロールを行う目的としては、
1.噛み癖や吠え癖を矯正する
2.歯磨きなどの、犬の口まわりの手入れをしやすくなる
3.犬が興奮したときに落ち着かせることが出来る
ということです。
ほとんどの犬は口まわりを触られるのを嫌がりますよね。その嫌がる部分を触らせることが出来れば、犬との主従関係は構築できていると考えて間違いありません。飼い主であるあなたがリーダーであって、飼い主のすることであれば自分は安心して任せることが出来ると犬が判断するようになれば、マズルを触られる事も許し、マズルコントロールが出来ているといえるのです。
よく、マズルコントロールを「吠え癖、噛み癖をやめさせる手段」としか考えていない人がいます。しつけの目的としての噛み癖、吠え癖の矯正はあっても、それが犬に対して「嫌なこと」ではいけません。嫌なことをされれば誰だって反発します。マズルコントロールは犬にとって嫌だから噛まない、嫌だから吠えないでは良い主従関係があるとは言いにくいですよね。
マズルコントロールを犬に対する体罰として行うのではないということをよく理解してから、マズルコントロールをするか、しないか考えてみて欲しいと思います。
犬の噛み癖・吠え癖の理由
犬が噛むのは以下のような原因があります。
1.歯が痒い、イライラするから噛むなど生理的な理由
2.遊びとして噛むなどの犬の習性による理由
3.食べている時に食べ物を取り上げられそうになった、とても楽しくてつい噛むなどの興奮してついという理由
4.狂犬病やストレスによるノイローゼなど病気
犬が吠える原因は以下のようなものが考えられます。
1.遊びたい、散歩に行きたいなどかまって欲しい欲求不満の現れ
2.見知らぬ人に出会った時、雷やテレビの突然の大きな効果音など驚きや恐怖からくる叫び
3.犬の認知症
4.近所の犬が鳴いているのに反応してしまう
どれも人に置き換えてみれば思わず声を出してしまうような状況であり、理由としては納得できるものです。認知症は、いくらしつけをしていた良い子の犬でも状況判断が出来ず吠え癖が起こっても仕方ないようなこともあります。
噛み癖も吠え癖も病気の場合を除き、犬の精神的状況に左右されるということに気づかれた人もいるのではないでしょうか。犬を落ち着かせるためにも、噛む、吠える口を塞ぐという直接的な方法においてもマズルコントロールは有効です。
犬のマズルコントロールってどうやるの?
マズルコントロールの考え方や目的はおわかりいただけたかと思うので、ここからは具体手的なマズルコントロールのやり方を見ていきたいと思います。
どんなワンちゃんでも、犬はマズルを掴むと最初はびっくりして抵抗するでしょう。いきなりマズルをガシッと握ろうとすると、驚いた犬に手を噛まれて怪我をすることもありますので、犬の様子を見ながら少しずつ進めていきます。
その手順は以下の通りです。
犬が触られて喜ぶ顎まわりなどをやさしく撫でつつ、犬が落ち着いていることを確認します。頭を撫でたり、顎を撫でたりしながら、犬が気持ちよさそうな顔をした時に、やさしくマズルをにぎります。
握っているのは数秒で十分です。すぐ離して、犬が抵抗しなかったり、吠えたりしなかったら褒めてあげます。
そしてまた、頭や顎を撫でてリラックスさせて、マズルを握る、数秒で離す。大人しくしていたら褒める。この繰り返しを続けます。
マズルを数秒つかむことに慣れてきたら、次のステップに移行します。目安としては、飼い主さんがそっと手を出せばマズルをすぐに握らせてくれるようになった頃から行います。
マズルを握った手を左右に動かします。犬がされるまま大人しくしていたら手を離して褒めます。マズルを握る、左右に振る、離す。大人しくしていたら褒める。この繰り返しを続けます。
左右に慣れたら、左右に動かした後上下にも動かします。これも今までと同様に大人しくしていたら褒めます。
最後のステップとして、マズルを掴んだまま手をゆっくりと回しましょう。ぐるりと一周させるまで大人しくしていたら褒めます。ここまでマズルを触ることを許してくれるようになったら、ほぼマズルコントロールが出来るようになったと思っても良いでしょう。
どうでしょうか?やり方はそれほど難しくはないはずですが、犬はまずマズルを触らせてくれないので第一歩からつまづく人も多いかも知れません。そのために、マズルコントロールを行う上で注意することや、嫌がる犬への対処法を次でご説明していきます。
犬のマズルコントロールで注意すること
犬のマズルコントロールで注意することは、子犬のうちから始めた方が良いということです。出来れば、子犬を家族に迎えて家に慣れたらすぐに始めるのがおすすめです。成犬になっても出来ないわけではありませんが、母犬が子供をしつける状態に近い状態の方が良いことと、マズルコントロールで信頼関係を築いてからの方がスムーズにしつけをすることが出来るからです。
他のしつけをするよりも前にマズルコントロールを行う方が色々と都合が良いでしょう。また、マズルコントロールをする時にぶつかる人も多い「犬がマズルコントロールを嫌がるということについても注意する点がありますので、そちらもご紹介します。
犬のしつけにマズルコントロールは必要?
マズルコントロールって犬も人にも大変なんだな。そこまでして、しつけすることって必要なんだろうか?そう思う人もいるでしょう。
ドッグトレーナーによっては、マズルコントロールは必要なしと言う人もいます。例えば、噛み癖のある犬にマズルコントロール以外で直す方法があれば構いませんし、飼い主さんとの主従関係も別の方法でしっかり保てていればマズルコントロールをする必要はありません。
ただ、犬に歯磨きをさせたり、口の中を触ろうとした場合、マズルコントロールをしていない犬だと噛まれたり、逃げ回ったり、大変な思いをするでしょう。こればかりは、マズルコントロールで慣れさせる以外の方法を見つけるのが難しいのです。
例えば、愛犬が何かを喉につまられて苦しそうにしている。それでも、マズルコントロールをしている犬ならば飼い主さんが口を開けさせ、のどにつまってる物を取り出すことも出来るでしょう。でも、マズルコントロールが出来ていなければ、病院につれていき噛まれないような措置をしてからのどにつまったものを取り出すことになります。
1分1秒を争う命に関わる大切な場面でマズルコントロールは必要になることもあることを知っておいてください。
まとめ
犬のマズルを触ることで、飼い主さんと愛犬の信頼関係を築き、そこから噛み癖、吠え癖の矯正にも進むことが出来るのがマズルコントロールでした。
マズルコントロールは、小さな子犬のうちから行う事でスムーズにしつけを行う事ができ、信頼関係がうまくできれば他のしつけにもつながります。
マズルコントロールがうまく出来ない、マズルコントロールをする必要がわからないという人もいますが、愛犬の口周りを触れるようになっているということは、信頼関係以前に、もしもの時に役に立つこともあるのです。
うまくいかない、犬がかわいそうと思うなら別の方法でしつけたり、信頼関係を気づけば良いですが、マズルコントロールをしていたことでうまくいくこともあります。上手に行えば、色々役に立つしつけ方法だと理解していただければと思います。
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