今話題の「ヒアリ」ってどんな虫?
環境省より、特定外来生物である「ヒアリ」が国内で発見されたとの発表があり話題となっていますね。強い毒を持ち、攻撃性の強い殺人アリだとして報道され、国民の誰もが不安を感じたと思います。
このヒアリが初めに見つかったのは、兵庫県尼崎市です。中国から神戸港に入港した貨物船のコンテナ内部で発見され、ヒアリだと断定された後に駆除活動が行われていました。しかしその後、大阪港でヒアリの女王蟻が発見されたことで、国内での繁殖が懸念され、不安を煽っています。
殺人アリと呼ばれ、特定外来生物に指定されているこのヒアリ。一体どのような生態をしているのでしょうか?
◆ヒアリ(火蟻)の特徴は?
別名アカヒアリ、学名Solenopsis invictaといいます。
体長は小型で2.5~6mm程、個体の色は赤茶で、腹部が濃く黒っぽい赤色となっています。触角は10節で先端の二つが大きく、背中に二つのコブ、口元に出っ張りがあり、お尻に毒針をもっているのです。
基本的に草地などの開けた環境が生息地となり、ドーム状の蟻塚(巣)を作ります。蟻塚は直径25cm~60cm、高さ15cm~50cm程度で、かなり大きなサイズといえます。
◆強い毒針で攻撃してくる危険も!
攻撃性が高く、極めて強い毒針を持っており、人間を含めた様々な動物に対して集団で攻撃をしかけてくるそうです。
毒針で刺された場合、火傷のような激しい傷みが生じます。人によっては、呼吸障害や意識障害、血圧低下を起こすなど、アレルギー反応によって死に至る危険性もあるのです。
この毒の成分には、ソレノプシン、ホスホリパー、ヒアルロニダーゼなどが含まれています。ハチ毒の共通成分が含まれている為、ヒアリに刺されたことがなくても、蜂に刺された経験のある方はアナフィラキシーショックが出てしまう可能性があり、更なる注意が必要です。
人間にとって大きな脅威ともいえるこのヒアリの攻撃力。犬にとっても恐ろしい存在となり得るのでしょうか?
犬もヒアリに刺される?ヒアリに刺された時の症状と対策
前述の通り、ヒアリは人間を含む動物に対して攻撃を行うので、勿論、犬も攻撃対象となり得ます。
犬の場合、肉球や脚先、マズルやお腹が攻撃を受けやすい箇所として挙げられるので、むしろ人間よりも犬の方が刺される確率は高いといえるでしょう。公園を散歩していて大きな蟻塚を見つけたら、好奇心旺盛な愛犬であれば「なにかな?」と近付いてしまう可能性もあります。
それでは、もし愛犬がヒアリに刺されてしまったら、どのような状態になるのでしょうか。刺された場合の反応や発症する症状、対処法を覚えておきましょう。
◆犬がヒアリに刺された時の反応は?
・地面をゴロゴロと転がる。
・震えだす。
・患部を舐める、噛む。
犬も人間と同様に、刺された直後に焼けるような痛みを感じ、その後、痒みによる不快感を覚えます。この不快感を解消するために、上記の行動を執拗にとるようです。
身体を擦り付ける、舐める、噛むなどの行動が見られた場合は、虫や異物、傷などがないかをすぐに確認してください。刺されたり、噛まれた場合は、患部に赤みや腫れが見られます。
◆犬がヒアリに刺された時の症状は?
軽度であれば、痒みや腫れで済みますが感染症への注意が必要です。
痒みを抑えるには、ベーキングソーダ(重曹)と水のペーストを患部に塗布する方法が有効的だそうです。これを塗布した上から、包帯・靴下などで患部をカバーして、愛犬が舐めたり噛んだりするのを防ぎましょう。
赤みが引かない場合、24~36時間経っても腫れが改善しない場合は、感染症の疑いがあります。傷は大きなくならないそうなので、もし傷のサイズが広がっていたら問題有りです。
重度の場合は、顔面の腫れ、呼吸困難、ふらつきなどのアレルギー反応が現れます。これらの症状は、刺されてから12時間以内に出るといわれているので、症状が見られた場合はすぐに病院へ行きましょう。犬の体質や年齢にもよりますが、対処の遅れが命の危険を招く可能性もあります。
いずれの場合も、飼い主さんがしてあげられることは応急処置と考え、獣医さんに一度診てもらうのが何よりも安心です。
◆犬がヒアリに刺された時の対処法は?
愛犬に虫刺されの疑いがある場合は、すぐに傷を確認しましょう。赤みや腫れがみられるはずです。
刺した虫がヒアリであれば、即座にその場所を移動しなくてはなりません。ヒアリは危険を感じたら仲間にシグナルを発し、それが集団攻撃に繋がる場合があるからです。移動しない限り、ヒアリの攻撃は続くということです。
場所を移動したら、すぐに愛犬についたヒアリを取り除きましょう。手袋やタオル、何もなければ洋服の袖を巻き付けるなどして、愛犬の上部から取り除きます。顔や脚、お腹は集中的に確認してください。
ここで、してはいけない対処法が水をかけること。水をかけるとヒアリがパニックを起こし、より強く噛んでしまう可能性があるからです。
ヒアリを取り除いた後は、症状によって応急処置を行い、一度獣医さんに診てもらうことをお勧めします。環境省への連絡も忘れずにしてくださいね。
現時点では、ヒアリとの遭遇率はまだ低いといえますが、対策はとるに越したことはありません。幸い、ヒアリにも虫よけスプレーの類は効果があるようなので、外出の際には防虫対策を怠らないようにしましょう。
ペットの嫌がる噴射音を抑えた殺虫・虫よけスプレー。
犬が注意すべき害虫と防虫対策(ノミ、ダニ、蚊など)
犬にとって悪影響を及ぼしたり、命の危険をもたらす害虫はヒアリの他にもいます。ノミ、ダニ、蚊などがそれにあたり、ヒアリと比べて愛犬に被害をもたらす確率は格段に高いといえます。
それぞれの害虫が愛犬にもたらす症状を覚えておきましょう。また、とるべき防虫対策も併せて紹介します。
◆害虫①ノミ
ネコノミ・イヌノミ・ヒトノミなどの種類が存在し、近年ではネコノミがペットに付くほとんどの種類だといわれています。
ネコノミの体長は1.5~2mm程度でとても小さく、肉眼で見つけるのは容易ではありません。尖った口を皮膚に刺して、猫に限らず犬や人に対しても吸血行動をとります。
気温が13℃以上あれば、卵から成虫、産卵までのライフサイクルを継続できる繁殖力の強い虫です。成虫になると、動物の振動・体温熱・息に含まれる二酸化炭素を感知して、通りかかる犬などの動物に飛びつきます。一度寄生すると、10~60日も吸血をし続けて産卵を繰り返すのです。
刺された場合、貧血や鉄欠乏症・アレルギー性皮膚炎や皮膚の炎症・寄生虫による症状を引き起こします。
特にノミの体内で生育されている、犬条虫という寄生虫に注意が必要です。かゆみ・炎症により犬が口を使って体を掻いたり噛んだ場合、その勢いでノミが体内に侵入します。それにより、犬条虫は小腸で成長、数週間で約30cm程の大きさに成長し、下痢・嘔吐・貧血などの症状を引き起こすのです。
白い胡瓜の種のようなものが肛門周辺・便などに確認できた場合は、犬条虫の可能性が高いので病院で診察を受けましょう。
◆害虫②ダニ
ダニには何百もの種類が存在しますが、主にペットの皮膚につくのはマダニと呼ばれる種類です。室内に生息する目に見えないダニと比べてサイズは大きく、固い皮に覆われているのが特徴です。基本的に山・公園・河川敷などの草むらに生息します。
マダニも、動物の振動・体温熱・息に含まれる二酸化炭素を感知し、鋭い爪で体にしがみつきます。そして、顔・耳・お腹・足などの柔らかい皮膚に、尖った口を刺しこんで吸血するのです。
刺し込んだ口は皮膚にしっかりと固定される為、簡単には抜けない状態になります。愛犬の体にマダニを発見したからといって、むやみに引っ張るとちぎれてしまい、マダニの一部が皮膚に残って炎症を起こすことも。
また、重度の貧血・栄養障害・発育障害などの症状が出る場合もあります。パペシア病、ライム病などによる貧血・発熱や、無気力状態・脱力症状・食欲不振・黄疸・血色素尿・全身痙攣・起立不能や歩行異常など、様々な症状が引き起こされるケースもあるのです。これらの病状が現れ重度の場合、死に至る可能性も潜んでいます。愛犬の状態に異常を感じたら、すぐに病院へ連れていきましょう。
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マダニの形態的特徴を考慮した形状で、マダニを引っ張るのではなく、回転させることにより、簡単に取り除くことができる器具です。
◆害虫③蚊
蚊は2500種以上もいるといわれており、様々な病気を運ぶことで有名です。主な活動時期は4月~11月頃までと長く、中には越冬するものもいます。国内でよく見られるのは、ヤブカやイエカと呼ばれる種類です。吸血行動は雌の蚊が産卵する為に行うもので、雄の蚊は刺しません。水のある所で産卵をしますが、生息地は広く種類によって様々な場所にいます。
蚊が媒介する病気として最も注意が必要なのはフィラリアです。別名、犬糸状虫と呼ばれるこの寄生虫は、蚊の吸血によって媒介されます。フィラリアは犬の体内で成長を続け、成虫となると心臓や肺動脈に寄生します。これにより、呼吸器や肝臓・腎臓などに様々な障害をもたらし、肺動脈塞栓や四肢の浮腫み、腹水などを招きます。最悪の場合、死に至るケースのあるとても恐ろしい病気です。
しかし、フィラリアは予防薬の的確な投与により100%予防することができます。獣医さんに相談し、毎年欠かさずに予防しましょう。
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愛犬のためにできる防虫対策は?
ノミやダニを見つけた場合は、潰さずに抓むようにして取り除き、ガムテープ等につけて破棄してください。ノミ取り櫛やダニ取りスプーン等のアイテムも市販されています。
フィラリア症と同様に、ノミ・ダニの予防薬・駆除薬等もありますが、愛犬の年齢や状態によってはリスクが考えられるので、まずは獣医さんに相談してください。
いずれの害虫に対しても、市販の虫よけアイテムは効果的です。外出時は愛犬に服を着せる、虫の多い場所を避ける等して対策に臨みましょう。
そして、毎日愛犬のボディチェックを行い、スキンシップを図ると共に害虫被害の拡大を防いでください。
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