ダニとは?
ダニは、2万以上もの種類がいます。小さいので区別がつきにくいですが、かなりの種類がいるなんてびっくりですよね。
●一般家庭にいる「ダニ」って?
一般家庭に生息しているダニは、コナヒョウダニやヤケヒョウダニという正式名称がついていますが、総称して「チリダニ」と言います。じゅうたんや布団などにいる目で見つけることが難しいほど小さなダニです。
0.1~0.3ミリほどのサイズなので、「ダニを掃除しよう」と簡単にできるものではありません。それに目に見えないため、「ダニの予防をしよう」と習慣になっていない人もいるかもしれませんね。
また、人間のフケや垢、食事の食べカスなどをエサにして繁殖します。繁殖したダニが死ねば死骸も増えるので、家のなかの「ハウスダスト」となっていきます。これらのチリダニは、暑くて湿度が高くなると暮らしやすく増殖していきます。
一般的には梅雨時期や夏に向けての時期に活発になってくると言われています。
チリダニは人間や犬の皮膚を噛んだり、血を吸うタイプのダニではありません。でもダニが増えれば増えるほど、人間や犬のアレルギーの原因になってしまうので増えない予防も大事です。
●犬につく「ダニ」
家にいるチリダニとは違う種類で、犬の体について血を吸い、皮膚炎を起こすダニもいます。また、ふだんは外に生息し、
散歩のときなどに愛犬の体に直接的についてしまうダニもいます。
– マダニ –
マダニはふだん数ミリ程度のサイズですが、血を吸えば体が大きくなりなんと1㎝くらいに大きくなってしまいます。
ふだん住んでいるのが山や草原など、草むらのなかです。愛犬と散歩から帰宅して、皮膚についているのを発見する飼い主さんもいます。
犬の体に噛みつくと、血をエサにして増殖します。お腹いっぱいになるほど血を吸うので、長い間犬の体にしがみついていることがあります。犬は、マダニが噛みついたところが炎症を起こして、赤く腫れたり、痒がったり、痛んだりします。また、マダニを介していろいろな感染症のリスクがあります。
– ニキビダニ –
ニキビダニは、ふだんから犬の皮膚に住みついています。0.2~0.3ミリと小さなサイズなので、肉眼で見るのは難しいでしょう。そもそも犬の体に寄生しているダニなので、基本的には犬の体に悪い症状をもたらしません。
健康な犬なら、特に問題となることはないので、安心しても大丈夫でしょう。ただ、犬の健康状態が悪いときや年齢とともに免疫が低くなると、ニキビダニが異常繁殖してしまうこともあります。増えてしまったことが原因で犬の皮膚に炎症を起こす可能性もあります。
– ヒゼンダニ –
ヒゼンダニも肉眼で確認することができないレベルの極小のサイズです。ヒゼンダニは、他の犬や動物から感染していきます。
犬の皮膚につくと、トンネルを掘るように、皮膚の深い部分まで潜り込みます。これが強い痒みをもたらすので、感染すると犬にとっても辛い症状が続いてしまうのです。
また、犬の耳に寄生するヒゼンダニを耳ダニといいます。耳ダニがいる犬は、耳を痒がるのが特徴です。
◆愛犬をダニから守るために考えたい予防法について
そのほとんどが目で見えない小さなダニは、愛犬の体についていても見つけることができないものです。
でもダニと聞いただけで不安になるので、犬をダニから守る予防法があるなら知っておきたいものですよね。
考えられる予防法をいくつかご紹介したいと思います。
●その1:部屋の掃除を丁寧にする
家のなかにはアレルギー症状の原因になるチリダニの住まいがいっぱいです。その数をゼロにすることは不可能です。
また、人間や犬の垢などをエサにするので、どんどん増えていってしまいます。1匹のチリダニが卵を産むことで、100匹近くものチリダニが発生します。それぞれのチリダニは毎日のようにフンをします。3か月程度でチリダニは寿命を迎えるので、生きているチリダニや死骸、フンなどがあちこちにハウスダストとなって溜まっていきます。
これらが人間や犬のアレルギーの原因になってしまうので、こまめな掃除をすることが予防になります。
掃除機を使うときには、小さなホコリもキャッチするようにしなければなりません。同じ方向だけでなく、向きを変えて、ゆっくりと何度も往復させるように掃除機をかけていきましょう。
●その2:室内の環境をチリダニが増えにくいようにする
チリダニは、湿気が大好きです。そのため、梅雨の時期など湿気が多いなら、除湿機の使用で湿度を下げるようにして繁殖予防をしましょう。逆に乾燥しがちな冬は加湿器を使うご家庭もありますよね。
加湿器を多用すると冬でも湿度が高くなり、ダニが繁殖してしまうこともあるので、予防のためには湿度管理には十分注意してくださいね。
●その3:寝具など定期的な洗濯で予防
愛犬のベッドやタオルなどは、定期的に洗濯をして、清潔を保つことが予防に繋がります。犬のベッドには、犬の垢やフケ、毛が大量に落ちています。それらは、チリダニの大好物。こまめに洗濯して、チリダニのエサとなるものをシャットアウトしましょう。ダニは熱に弱いので、お湯で洗ったりするのも効果があります。日光にあてて日干しするのもおすすめです。ダニの卵がついている可能性もあるので、お湯や日光で死滅させるのもダニの予防に効果大です。
また、綿素材でできた犬のおもちゃもチリダニがついてしまうので、ときどき洗ってダニの予防をしましょう。
マット、タオル、ペット服、毛布などペット用品を洗うための衣料用コンパクト洗剤。
漂白剤でも落ちにくいニオイのもと(ペット特有の皮脂)までスッキリ落とし、洗うたびに離毛効果が高まります。
●その4:ダニの予防薬の活用
散歩中にダニがついてしまう可能性があるなら、予防薬を利用するのもいいでしょう。
予防薬にはさまざまな種類があります。予防薬は市販でも売られていますが、飲ませるタイプなどは安全のため獣医師に相談しつつ、出してもらう方がいいでしょう。
– スポットタイプ –
薬の液を犬の首の後ろのあたりに直接垂らすだけでOKという予防薬です。
– 飲ませるタイプ –
マダニやノミなどの予防にもなります。犬の体重や年齢、効果のある期間などが予防薬のメーカーによって異なるので、獣医師と相談しつつ飲ませるようにしましょう。
– 首輪タイプ –
虫が嫌がるハーブのパワーでマダニを寄せ付けない首輪タイプもあります。散歩のときに、犬の首に巻いていくと効果があると言われています。天然のハーブで蚊よけになるものもあります。気軽な感じもしますが、ハーブの独特なニオイに犬自身も嫌がるケースもあります。また、メーカーによっての持続期間がさまざまです。
ノミ・マダニをしっかり駆除し、蚊も寄せつけません。約1週間で効果があらわれはじめ、約6ヶ月間持続します。
– スプレータイプ –
犬の体全体にスプレーしてダニ予防するタイプです。散歩や犬が寝る前にシュッとひとふきして予防をするようです。
ペットの体から寝床などの環境までトータルに駆除。エアゾールタイプなのでムラなく吹き付けられます。1回の使用で約1ヶ月効果が持続します。
●その5:草が生えている場所を避けることでの予防
マダニはふだん、草むらにいます。犬との散歩のときに草むらに行くことが多いなら、その場所を避けるようにすることも予防のひとつです。また、犬が散歩から帰ってきたときには、犬の体にマダニがついていないか確認しましょう。
外でマダニがついた場合、犬の被毛の表面や顔、足などにマダニがついていることがあります。
家のなかに持ち込まないように、玄関先など室内に入るまえに要チェックです。
●その6:ニキビダニ予防には免疫力の低下をふせぐ
ニキビダニは、ふだんから犬の皮膚に住みついているダニです。駆除することはできないので、大量発生させないようにする心がけが大事です。犬の免疫が低下すると大量発生して炎症が起こるので、免疫力を高めるように普段の生活を心がけるのが予防法になります。
犬の栄養を考えた食事をさせる、運動不足に注意する、ストレスを溜めさせない…などに注意して、健やかな生活をさせ予防につとめてくださいね。
●その7:愛犬のシャンプーやブラッシングで皮膚を清潔に保つ
犬のフケが原因となり、チリダニが増えてしまいます。愛犬のシャンプーは定期的に行い、被毛を綺麗にキープしてあげてくださいね。また、ブラッシングをすれば、愛犬の抜け毛が落ちるのを防げます。
ミ・マダニまで落とす薬用シャンプー。リンス成分により、被毛をふんわりなめらかに仕上げます。グリーンフローラルの香り。
●その8:洋服を着せておく
人間と違って、洋服を着ていない犬は、ダニがつきやすいですよね。そこで、愛犬が嫌がらないようなら、洋服を着せて皮膚に直接ダニがつくのを予防する方法もります。
●その9:感染している動物との接触を避ける
ヒゼンダニは、他の動物を介して感染してきます。ヒゼンダニに感染し、すでに痒みや炎症が出ている犬との接触は避けましょう。多頭飼いしているときは、特に注意が必要です。
感染を防ぐには感染源となる他の犬のベッドやタオル、ブラシなども別々にしてくださいね。
●その10:ダニよけグッズの活用
家のなかには必ずいるチリダニは、掃除をしても100%取り除くことは難しいです。
1匹が2~3か月後にはダニが100匹以上にも増えるなど、繁殖スピードは速いです。
同時に死骸も増えるのが恐ろしいところです。愛犬がくつろぐ場所には、ダニを寄せ付けたくありませんよね。
ダニが増えるのを予防するグッズとして、じゅうたんやペットベッドの下などに敷いてダニを捕獲できる簡単なものがあります。
犬の体にマダニを発見!どうしたらいい?
マダニは他のダニよりサイズが大きいので犬の体についていると見つけやすいです。マダニが犬の体に付着してしばらくすると、がっちりと皮膚にしがみついています。そのため、無理に犬の体からマダニを取ろうとするとマダニの「口」だけが犬の皮膚に残って皮膚炎が重症化してしまい危険です。
それに、メスのマダニがついている場合、すでに卵を持っている可能性もあります。黒くて目に見えるマダニを見ると、「マダニだ!」と思わず振り払ってしまいそうになりますが、卵が周辺に散乱してしまう可能性もあります。
これが部屋のなかだったら大変ですよね。
マダニを発見した場合、動物病院で消毒をしながら取り除いてもらうと安心です。
動物病院では付着してしまった駆除薬も処方してもらえるので、感染症の不安がある人は獣医師への相談をする方が賢明とも言えます。
また、獣医師によってデザインされたティックツイスターというマダニ取り専用の器具も市販されています。
従来のピンセットとは違い、マダニの形態的特徴を考慮した形状で、マダニを引っ張るのではなく、回転させることにより、簡単に取り除くことができる器具です。
お散歩やハイキングなどマダニの生息していそうな場所にお出かけの際は、ぜひティックツイスターを携帯していくことをおすすめします。
●おすすめ商品
獣医師によってデザインされたフランス生まれのマダニ除去器具。
マダニの形態的特徴を考慮した形状で、マダニを引っ張るのではなく、回転させることにより、簡単に取り除くことができる器具です。
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ダニによる感染症
愛犬がマダニによる感染症にかかってしまうと、次のような感染症にかかってしまうことがあります。
赤血球内でマダニが繁殖してしまうバベシア症。急に発熱し元気がなくなってしまいます。また、大量の血を吸われるため、重度の貧血症状が見られます。機能障害も併発し、最悪の場合「死」の危険もあります。
そして、マダニに噛まれた箇所が炎症を起こし、関節が痛みだすライム病というものは、犬が歩行困難になってしまうことさえあるようです。
マダニが引き起こす恐ろしい症状は、実は犬だけでなく人間にも感染のリスクがあります。犬についていたマダニを知らずに家に持ち込めば、人間も血を吸われて感染症にかかるリスクがあります。皮膚に炎症が起こったり、嘔吐や下痢を起こしたりなどです。
まとめ
いかがでしたか。家のなかにいるダニ、犬の体に寄生するダニ、散歩のときにつくダニなど、いろいろな種類のダニがいることが分かりましたね。
とはいえ、ダニは小さすぎて完全に避けることは難しいようです。
目に見えないくらいの小さなダニですが、恐ろしい症状を引き起こすこともあります。
感染により愛犬が重大な症状にかかってしまわないように正しい知識や予防法を知っておくことで回避できることもあります。
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