補助犬の種類と役割
補助犬と聞くと、目の不自由な方をサポートする盲導犬を思い浮かべる方が多いようです。補助犬は全部で3種類いて、盲導犬の他にも介助犬や聴導犬という補助犬がいます。
それぞれの補助犬の種類と役割についてお伝えします。
◆盲導犬(もうどうけん)
盲導犬は、目の不自由な方の歩行をサポートする補助犬です。
盲導犬は白いハーネスをつけているのが特長です。
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公益財団法人 日本盲導犬協会さんの投稿 2017年6月1日
盲導犬の仕事の基本は、目が不自由な方が安全で快適に歩くお手伝いをすることです。
補助犬として特別な訓練を受けた盲導犬は、歩道に沿って一定の速度でまっすぐ歩けるようになります。
また、交差点や段差の手前で止まったり、障害物があればよけて歩くことを身につけます。
目の不自由な方は、目的地までの道順を頭に描きながら、ハーネスから伝わる盲導犬の動きや周りの音や足元の変化などを読み取って周囲の状況を判断します。
ただ、目の不自由な方はカーナビのように盲導犬にルートを任せっきりにするのではありません。
例えば信号の判断などは、目の不自由な方が周りの人の流れや音、車の動きなどを総合的に判断して、盲導犬に指示を出して歩きます。
このように、補助犬である盲導犬と目の不自由な方との共同作業で、安全に歩行することができるというわけです。
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ハンディキャップを持った方の補助をする盲導犬ですが、どんな訓練を行い盲導犬として活躍しているのでしょうか?盲導犬と遭遇した時、私たちが取るべき行動はご存知ですか?安全に盲導犬が仕事をできるように是非目を通していただきたいと思います。
◆介助犬(かいじょけん)
介助犬は、身体の不自由な方の生活のサポートをする補助犬です。
介助犬は「介助犬」と書かれた表示をつけています。
日常生活の中で必要なことを補助する介助犬の仕事は多岐にわたります。
例えば、身体が不自由な方が落としたものを拾ったり、ドアの開閉をしたり、支持されたものを取りに行って持ってきたり、不測の事態の時に人を呼びに行ったり、万一の緊急時には緊急ボタンを押すなど、生活のほとんどの場面でサポートを行うのが介助犬のお仕事です。
補助犬利用者の方は、できるだけ自分で介助犬のお世話を行うようにしているそうです。
お世話をして可愛がることで、介助犬は何か作業をしてくれるだけの存在ではなく、体の不自由な方と介助犬がお互いに支え合いながら生活に潤いを与えて、日々豊かに過ごすことができるようになっていくことでしょう。
【介助犬について詳しくはコチラ】
ワンちゃんのお仕事の1つ。身体に障害を持った方の日々のサポートをする介助犬。では、具体的にどんな事をするのでしょうか?介助犬についてお話していきたいと思います。
◆聴導犬(ちょうどうけん)
聴導犬は、耳の不自由な方に音を知らせてサポートする補助犬です。
聴導犬は「聴導犬」と書かれた表示を身につけています。
聴導犬のPR犬候補として「ジロー」君を導入しました!日本介助犬協会さまからのキャリアチェンジです!イベントで見かけたらぜひ応援をお願いします! pic.twitter.com/DDTETvuxR1
— 一般社団法人 日本聴導犬推進協会 (@hearingdogjp) 2016年12月25日
聴導犬の音の知らせ方は、耳の不自由な方にタッチをするなど、さまざまな動作を使って音を知らせ生活をサポートします。
例えばFAXの呼出音やドアのチャイム音、赤ちゃんの泣き声や目覚まし時計の音など、耳の不自由な方が生活をしていく上で必要な音を覚えていきます。
聴導犬はユーザーの方から離れた所で音がした場合でも、ユーザーの方の所まで行ってそれを知らせて音源まで誘導します。
また、日常の音の他に警報機の音を知らせるなど、ユーザーの方の安全を守る仕事もします。
聴導犬の家の外での仕事としては、病院や銀行などの窓口での順番待ちの時に鈴を鳴らしてもらい、名前が呼ばれた事を知らせることなどもあります。
聴導犬は、耳の不自由な方の音が聞こえない事からくる不安を軽減し、快適で安全な生活を支える役割をしています。
【聴導犬について詳しくはコチラ】
2017年1月26日、Yahoo!ニュースに「入店拒否も…聴導犬わずか67頭、盲導犬の1割にも満たず 改善訴え」という記事が掲載されました。厚生労働省より正式な補助犬として認められている聴導犬ですが、なぜ認知度が低いのでしょうか。その背景と聴導犬の仕事にせまります。
●身体障害者補助犬法について
平成14年に身体障害者補助犬法という新しい法律が施行されました。
それまでは補助犬を連れた外出が難しい場面も多く見受けられましたが、この法律をきっかけに公共施設や交通機関、スーパーや飲食店、ホテルや病院や職場などでも補助犬同伴の受け入れが義務付けられ、障害を持った方々の行動範囲が広がってきました。
◆身体障害者補助犬法の3つの柱
1)補助犬を育成する団体には、良質な補助犬の育成と指導を義務付ける。
2)ユーザー(補助犬利用者)には、補助犬の適切な行動と健康の管理を義務付ける。
3)公共施設・交通機関・スーパー・飲食店・ホテル・病院や職場などで、補助犬同伴の受け入れを義務付ける。
この身体障害者補助犬法をきっかけとして、補助犬は障害を持った方の体の一部であり、それを受け入れることは当たり前だという共通認識が徐々に広まりつつあります。
●補助犬が活躍する場面
補助犬は、身体が不自由な方たちのサポートをしていますので、自宅だけではなく外出先へも一緒に出かけます。
盲導犬・介助犬・聴導犬が活躍する場面をお伝えします。
◆盲導犬が活躍する場面
・道路の側をまっすぐ歩き歩行をサポートする
・交差点や段差の手前で止まる
・障害物があればよけて知らせる
・目的物の所へ案内する など
◆介助犬の活躍する場面
・落としたものを拾う
・指示したものを持ってくる
・ドアの開閉を行う
・履物を脱がせる
・緊急時に知らせる など
◆聴導犬の活躍する場面
・玄関のチャイム音を知らせる
・携帯メールやFAXの着信音を知らせる
・赤ちゃんの泣き声を知らせる
・呼び鈴の音を知らせる
・緊急時の警報音を知らせる など
補助犬を連れた人を見かけたら?仕事中の補助犬への接し方
補助犬を連れている方を見かけた時、絶対にしてはいけない行為をご紹介します。
補助犬のお仕事中には、盲導犬は白いハーネス、介助犬・聴導犬はそれぞれケープを着用しています。
補助犬がお仕事中の時は、 見つめない・勝手に触らない・声をかけないの3つのことをを守るようにしてください。
少し前に、補助犬の尻尾を踏んづけたり、補助犬の体を傷つけたりする事件がありました。
補助犬は訓練されているので、「周りの不要な刺激に反応しないというのは本当なのだろうか?」と確認しようとした行為のようですが、本当に痛ましいことだと悲しい気持ちになりました。
確かに補助犬は無駄吠えはしないよう訓練されていますが、私たち人間と同じように痛みを感じます。
障害を持った方のサポートをする大切な存在の補助犬に対して、今後はそのような行為がないように願っています。
また、補助犬の種類ですが、盲導犬・介助犬ではラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーの種類がほとんどで、介助犬にはスタンダード・プードルも活躍しているそうです。
補助犬に多いレトリバー系の犬種は見た目も穏やかで可愛いので、つい触りたくなるかもしれませんが、障害を持った方のサポートをする補助犬は、外出中も常にお仕事中なのです。
困った様子が見られたり緊急でない限りは、不用意に話しかけたり触れないようにしましょう。
また、犬を見るとおやつをあげたくなる方もいらっしゃるようですが、体質に合わず体調を崩したりする恐れがありますので、補助犬ががんばっている姿を見てご褒美の食べ物をあげたくなっても、許可なく食べ物を与えるのは控えるようにしましょう。
補助犬を希望する人へ
日本で補助犬を希望される方は、どのくらいいるのでしょうか。
平成11年に行われた「盲導犬に関する調査:日本財団」の調査では、盲導犬を希望される方は、全国で約7,800名いるという結果が出たそうです。
介助犬・聴導犬の調査は行われていないようですが、盲導犬の調査結果を参考に考えると、それぞれ約1万人いるのではないかと推測されます。
補助犬の育成には1頭につき約300万円かかり、約1年間の訓練を経て、身体障害者手帳を持っている18歳以上の方の元へと行くことができます。
補助犬は、2歳~10歳までの8年間、障害を持った方に寄り添いサポートします。
補助犬としての特別な訓練が終了した候補犬は、将来の主人となるかもしれない身体が不自由な方と1ヶ月ほどの共同訓練を行います。
この共同訓練期間中に、障害をお持ちのユーザーの方と補助犬との信頼関係の基礎を築きながら、犬の飼育方法(食事・トイレ・手入れの世話等)などの練習も行います。
そして補助犬が10歳を過ぎたころ、仕事から引退することになります。
引退後は、「引退犬ボランティア」と呼ばれるの方のもとで余生を送ります。
引退犬ボランティアには、一般の家庭のほか、ユーザーが引き続き飼育する場合もありますが、仔犬の頃育ててもらった元パピー・ファミリーの家庭で余生を送る場合もあります。
人間のサポートをするためにがんばった補助犬たち、最後まで愛情をかけて接したいですね。
【盲導犬候補を育てるパピーウォーカーについて詳しくはコチラ】
パピーウォーカーというと聞き覚えがあるものの、その役割はよくわからない、ということはないですか? ここでは、未来の盲導犬となる子犬が成長の中でもっとも大切な時期をともに過ごすパピーウォーカーについてご紹介をしていきます。パピーウォーカーになりたい! 盲導犬にも興味がある! そんなあなたのために、ぜひお役だてください。
まとめ
補助犬の種類や接し方についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
知っているようで知らない補助犬のこと、仕事中の補助犬に対する接し方を知って、補助犬がお仕事中は邪魔をしないように気をつけたいですね。
補助犬への理解と接し方が浸透することで、世の中にはいろんな人が集まって生活しているということを気づくきっかけになると思います。
障害を持っている方も持っていない方も、お互いの違いを理解し合い、多様性のある豊かな社会になることを願っています。
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