1.犬に洋服を着せるメリットとは
1-1.体温調節を補助できる
1-2.皮膚を守れる
1-3.抜け毛が飛び散るのを防げる
1-4.散歩の際の汚れを防止できる
1-5.手術後などの体の保護
3.犬の体のサイズの測り方
3-1.首回りの測り方
3-2.胴回りの測り方
3-3.着丈(背丈)の測り方
【掲載:2018.01.08 更新:2023.03.21】
犬に洋服を着せるメリットとは
“犬に服を着せることは人間の自己満足である”と犬の服に対して抵抗のある人も多いですが、「犬に洋服は必要ない」とは一概には言えません。
犬用の服のことを「犬服(ドッグウェア)」と呼んだりしますが、この犬服はファッションとして着させているケースばかりではありません。
犬種によっては欠かせないものとも言えます。
犬に洋服を着せることで一体どのようなメリットがあるのか、具体的な例をご紹介します。
◆体温調節を補助できる
一部の犬種を除くほとんどの犬は全身が毛で覆われている為、犬は比較的寒さに強い動物とされていますが、その反面暑さが苦手な動物です。
被毛があるという事に加え、犬たちは人間のように汗をかいて効率的に体温調節を行うということが出来ませんので、熱中症対策の為にも、暑い時期は特に体温の管理に気を付けてあげる必要があります。
そんな時に役立つのが犬用の服、「犬服(ドッグウェア)」です。
犬の体のクールダウンを助けるために、クール素材で作られた服や保冷剤が入れられるタイプの犬服があります。
これらの服は被毛がある関係で直接体を冷やすというよりも、体に通る風を冷たくするという役割が大きいですが、体温調節の補助になります。
また「犬は寒さに強い」といえど、トイ・プードルやマルチーズ、ヨークシャー・テリアといったの下毛がほぼ無い「シングルコート」と呼ばれる被毛の犬種は、冬の寒さにはとても弱いです。
アラスカン・マラミュートや、ハスキー犬、秋田犬といった寒い地域でも元気に過ごせる犬種は、フワフワとした下毛(アンダーコート)と固めな毛質の上毛(オーバーコート)の2種の毛を持つダブルコートであることがひとつのポイントと言えます。身近な犬種だと換毛期にたくさんのフワフワの下毛が抜ける柴犬がダブルコートです。
ですので、シングルコートの犬種や、子犬・シニア犬といった体温調節が上手くできない犬に対しては、冬場にはフリース素材の服などを着せてあげることで保温の手助けをしてあげられます。
◆皮膚を守れる
春夏の暖かい時期には、山や森など自然の多い場所に出かける機会もあるかと思います。
また、お散歩に出ると、草むらの中を歩いたりすることも多いかと思いますが、そういった時にも洋服を着用しておくと、皮膚病や感染症の原因となる、ダニやノミ、蚊といった虫から犬の体を守ることが出来ます。
予防接種や予防薬を済ませておくことも大切ですが、洋服を着ておけばそういった虫がそもそも被毛に付くということを防ぐことが出来るので、洋服はお散歩やお出かけ時の虫除けになると言えるでしょう。
また、犬服は皮膚が弱い犬を紫外線から守る役目も果たします。
ダックスフンドなど地面とお腹の距離が近い犬も、地面の熱気が直接お腹にあたらないように守ることができますし、全体的に皮膚が弱い場合は、洋服を着させることで夏場の強い日差しや紫外線から皮膚を守ることが出来ます。
◆抜け毛が飛び散るのを防げる
前述の通り、柴犬はフワフワの下毛と、固めの上毛を持つダブルコートの犬種です。
よく知られている通り、換毛期にはたくさんの抜け毛が出ます。
このような柴犬などの毛の抜ける犬種は換毛期になると歩くだけでもあちこちに抜けた毛が舞い散ります。
お家の中だとそのような抜けた毛の処理もすぐに出来ますが、外出時にはいちいち処理できませんよね。
人がたくさんいる場所へお出かけする場合、その人たちの中には犬アレルギーの方もいるかもしれません。
犬アレルギーに反応してしまう原因は「犬の毛」や「犬のフケ」ですので、愛犬の毛やフケを周りに落とさないように準備しておくことは、飼い主としてのマナーとも言えます。
そんな時に役立つのが犬服です。犬が服を着ていると、周囲に影響するようなフワフワとした抜け毛は最小限に抑えられます。
今は毛を舞わせたくないという時には洋服の着用が一つの策となるでしょう。
◆散歩時の汚れを抑えられる
外の天気が雨でも雪でも、犬はお構いなしで散歩に行きたがります。
犬服を着せないでそのまま散歩に行ってしまうと、雨が降っている際はずぶ濡れになって、お腹のあたりは泥はねで汚れてしまいますし、雪が降っていたり積もっていたりする場合は、散歩の最中にお腹や足の毛に雪が絡まって雪玉が出来てしまうこともあります。
そんな犬の体を汚してしまう雨・雪の対策として、一つ挙げられるのが洋服の着用なのです。
犬服があれば、雨の時はレインコートを着て快適に散歩が出来ますし、体が濡れて冷える事もありません。
雪の時は犬服を着るだけで、雪玉を防ぐ事が出来ますし、冷たい雪に直接触れる部分も少なくなりますので、犬自身も快適に過ごせます。
また、犬服のお陰で犬自身の毛が汚れる心配がありません。
雨や雪で濡れたり汚れた場合には、お風呂に入れたり乾かしたりという行為が必要になりますが、犬に服を着てもらって外出することが出来れば、犬のケアはより簡単になり、犬にとっても飼い主さんにとっても負担が軽減すると言えます。
このような点から、犬服は、雨や雪の日の散歩にもとても役に立ちます。
◆手術後などの体の保護
犬服の1つとして「術後服(じゅつごふく)」をご存知でしょうか。
犬が外科手術をした際、あるいは皮膚病や耳の病気になってしまって、患部に犬の口や足が届かないようにするためにエリザベスカラーを着用する事があります。
実はこのエリザベスカラー、慣れている子には全く違和感がなく過ごせるのですが、初めて装着する子にとっては、少し戸惑いがあり、慣れが必要です。
中にはエリザベスカラーを装着しただけで、固まってしまってご飯も食べなくなってしまう子もいます。
手術などでストレスが溜まっている中、エリザベスカラーで再びストレスを与えてしまうのは、飼い主にとってやりきれないですよね。
このエリザベスカラーに変わるものが「術後服」と呼ばれるもので、手術後の患部や触って欲しくない薬を塗った場所などを犬服で覆ってしまいます。
普段から犬服を着慣れている犬は、術後服を着せても何も抵抗なく過ごしてくれます。
動物病院で術後服を取り扱っているところもありますので、エリザベスカラーを勧められた際に聞いてみるのもいいかもしれませんね。
洋服が必要な犬種とは
世界には様々な犬種がいますが、元々毛が生えない、または生えても部分的にしか毛がないヘアレスドッグという仲間の犬がいます。
ヘアレスドッグのような毛のない犬やイタリアングレーハウンドのような短毛な上に体に脂肪が少ない犬にとっては、洋服は特に欠かせないものとなります。
洋服を着せる目的としては、前の項目と大きな違いはありません。
夏場は直射日光や紫外線から皮膚を守るために洋服を着た方がよいですし、冬は体を温める為に洋服を着せます。
他の犬種と比べよりデリケートな犬種であるため、季節や飼育している環境によって洋服が必要になると言えるでしょう。
犬の体のサイズの測り方
犬に無理なく洋服を着てもらうには、サイズ選びが大切になってきます。
きつくては動きにくく窮屈になってしまいますし、ぶかぶかでも洋服のズレが気になったりしてしまいます。
犬の洋服も人間の洋服と同じように、各メーカーによって同じサイズ表記でも大きさに少しずつ違いがあります。
また、犬種ごとに分かれていたとしても、肩幅が広いフレンチ・ブルドッグではFB-S、FB-M(フレンチ・ブルドッグのSサイズとMサイズ)、毛量が多いトイ・プードルではTP-S、TP-M(トイ・プードルのSサイズとMサイズ)とサイズが展開されていることもあります。
毎回試着が出来るとも限りませんので、まずは愛犬の体のサイズを測り、服選びに必要な情報を揃えておきましょう。
犬の洋服選びに必要な情報は『首回り』『胴回り』『着丈(背丈)』のサイズです。
この3つをきちんと知っておけば、どの洋服が愛犬にぴったりなのかが分かるようになります。
◆首回りの測り方
「首周り」は普段首輪をつける位置を計測します。首輪を普段しない犬の場合は、首の根元の一番太い部分を計測すれば大丈夫です。
ぐるっと一周計りましょう。
もし犬が動いてしまって計りにくい場合は、普段使用している首輪を使って計る事も出来ます。
首輪をつけた時に、首輪の位置が首の付け根になるように調節し、その後首輪を外してまっすぐな状態で長さを計れば首回りのサイズになります。
◆胴回りの測り方
犬の胴は横に長く、細いウエスト部分もあれば、肋骨で一番太くなっている部分もありますね。
人間の胴回りを想像するとウエストでの計測を思い起こしがちですが、犬服のサイズを決める際の「胴回り」は、前足の付け根より少し後ろの胴の一番太い所を指します。
胴回りは犬の洋服を選ぶうえで一番大切な部位となります。
犬を横から見た時に、肋骨が一番地面に近い場所を計測するのが「胴回り」を測るポイントですので、愛犬にピッタリのサイズを選べるように、しっかりと計測しておきましょう。
◆着丈(背丈)の測り方
人間でいう背の高さに当たりますが、犬で言う着丈は、首の付け根からの長さを指します。
首の付け根から1cmほど下げたところから、希望の裾位置までの長さを測りましょう。
欲しい犬服の形やデザインによっても変わりますが、まずは愛犬の首の付け根1cm下から尾の付け根までを測り、把握しておけば大丈夫でしょう。
この際、犬が伏せをしている状態で計測すると、測りやすいですし誤差が出なくなります。
一人で犬服のサイズを計るのは少し難しいですので、できれば二人一組になって、一人が犬を押さえながら、もう一人が計測するとスムーズに行きますよ。
また、毛量が多い犬種では、サイズを測った後の洋服選びの時に1つ大き目のサイズを買ってもいいかもしれません。
犬に服を着せる時の注意点
犬に洋服を着せるにあたって、いくつか注意点がありますので、見ていきましょう。
◆無理やり着せない
最初から犬服が好きな子はまれです。
どんな子もはじめは犬服に慣れさせる必要があり、慣れていないまま無理に着させてしまうと愛犬のストレスの原因になってしまいます。
子犬の頃から少しずつ慣れさせておくのがよいですが、成犬になってから着させる場合は回数を重ね、少しずつ慣れていってもらうしかありません。
犬服を着せたあとに、おやつを与えたり、いっぱい褒めたり、遊ぶことで洋服から意識を遠のけていくと、段々と洋服への違和感も薄れていきます。
また、それらのことを行っていると「服を着る=いいことがある」と学習もします。焦らずに愛犬のペースで慣れてもらうようにしましょう。
ポンチョの形のような、楽に着用できるタイプから練習し始めるのもおすすめです。
◆一日中着せっぱなしにしない
愛犬に服を着せたままにしない方がいい理由は2つあります。
1つは、洋服を着せたままにしておくと、毛玉ができやすくなるからです。
犬の抜けた毛は、犬服を着ていない時には下に落ちますが、犬服を着たままだと服と犬の体の間に抜けた毛が溜まります。
そのままの状態で長時間いると、抜けた毛と犬の毛が絡まりあって毛玉ができやすくなってしまいます。
長毛犬の犬種や、毛が抜けやすい下毛は生えている犬種では、きちんとケアをしないと、毛玉がどんどん増えるほかにも皮膚病などの病気の原因にもなります。
そのような犬種においては、犬服は着せっぱなしにせず、脱がせた後は、犬のブラッシングなどの被毛のケアを欠かさないようにしましょう。
そして、もう1つの理由は、体温を適切に保つためです。
犬は犬服を自分で脱ぐことが出来ません。
寒いからと言って犬に犬服を着せたまま、暖房をつけっぱなしの状態の部屋の中にいると、暑くなりすぎてしまう可能性もあります。
犬服を着せる際は、飼い主が気温の変化、愛犬の状態を気に掛けることが大切です。
暑ければ犬服を脱がしたり、寒くなれば犬服を着せてあげたりして臨機応変に犬服を使用してあげて下さいね。
◆装飾の誤飲
犬服の中には、機能性だけでなく、ハロウィンやクリスマスといったイベントに合わせたデザイン性を重視しているものもあります。
万が一、愛犬の口が届く位置に装飾品があると、愛犬が噛みちぎってしまったり、最悪の場合、噛みちぎった装飾品を飲み込む事故に繋がる可能性もあります。
過剰な装飾品が付いている犬服は、毎日使用するものでは避けた方が良いでしょう。
しかし、七五三や特別な日の犬服は、デザイン性を重視してしまうものです。
その場合は、飼い主が常に犬が誤飲・誤食しないかどうかを見守り、用事が終わればすぐに犬服を脱がしてあげましょう。
まとめ
犬に洋服を着せる必要があるのか、という点に関して、洋服のメリットや注意点を紹介してきましたがいかがでしたか。
洋服は様々な用途に合わせて、素材や形が考えられて作られています。
まだまだ服を着ている犬を見るとファッションとして着させているというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は様々な理由があり着用させているかもしれませんね。
決して犬に無理をさせてはいけませんが、愛犬を守る為に必要であると判断した場合には適切なサイズの犬服を購入し、少しずつ慣らしてあげてはいかがでしょうか。
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