1.花粉症とアレルギー性鼻炎について
1-1.花粉症とは?
1-2.通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎
2.犬も花粉症になるの?症状は?
2-1.犬の花粉症の症状は?
2-2.花粉症になりやすい犬種は?
2-3.皮膚の症状が気になる場合は動物病院へ
3.犬の花粉症はどんな治療をするの?
3-1.ステロイド剤を用いた投薬・塗り薬治療
3-2.アレルギー検査
4.花粉症から愛犬を守る方法
4-1.散歩の時間は早朝に
4-2.散歩は必ず洋服を着用
4-3.草むらへは入らない
4-4.外へ出かけた後はブラッシング
4-5.こまめにシャンプーを
4-6.部屋の掃除をする
4-7.空気清浄機を利用する
【掲載:2020.01.14 更新:2021.03.15】
花粉症とアレルギー性鼻炎について
人間が多く悩まされている花粉症。今や10人に1人が花粉症にかかっているといわれています。東京都内ではもっと多く、5人に1人が花粉症というデータもあるほどです。
花粉症という言葉や人間での症状を知っていたりする方でも、どんな病気を花粉症と定義しているのかを知っている方はあまりいらっしゃいません。そもそも花粉症とはどのような病気なのでしょうか?
◆花粉症とは?
花粉症とは、体の中に取り入れられたアレルギー物質「アレルゲン」が体内で過剰な免疫反応を起こし、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」などの症状を起こす病気です。鼻に症状が出てくる以外にも、目がかゆくなったり、のどがイガイガする症状に襲われたりします。
花粉症は「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれ、アレルギー性鼻炎にはこの「季節性アレルギー性鼻炎」と「通年性アレルギー性鼻炎」の2種類があります。
◆通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、症状が出る期間によって呼び方が変わっていて、1年中症状が出てしまうのが「通年性アレルギー性鼻炎」、症状が出る月と出ない月に分かれる「季節性アレルギー性鼻炎」があります。
・通年性アレルギー性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎では、症状を起こす原因物質のアレルゲンが身の回りに年中あるということを表します。
例えは、絨毯の中に潜んでいるダニや、ホコリなどのハウスダストが原因であったりします。
・季節性アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性鼻炎の原因は、症状を起こす原因物質のアレルゲンがスギ花粉などの花粉のことが多く、一般的にアレルギー性鼻炎を起こす物質が花粉である症状を「花粉症」と呼んでいます。
犬も花粉症になるの?症状は?
人間では一般的な病気である花粉症ですが、実は犬も花粉に反応し様々な症状を表すことがあります。
人間の花粉症の原因はスギやヒノキの花粉が有名ですが、犬の場合はブタクサなどのイネ科植物が原因となって症状が現れることが多いようです。
◆犬の花粉症の症状は?
人間では花粉症が鼻炎と同じような意味合いで使用されるのに対し、犬では花粉症の症状があっても、鼻に症状がでるくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻炎の症状はありません。
犬の花粉症の症状は私たちが一般に思い浮かべる鼻炎ではなく、「皮膚」に症状が現れます。
具体的な犬の花粉症の皮膚症状としては、以下のようなものがあります。
・目の周りの皮膚が赤くなる
・体に湿疹ができる
・お腹の皮膚に激しいかゆみを伴う
・体を床に何度もこすりつける
・毛が抜ける
・しつこい外耳炎になる
犬はかゆみに対する反応から、皮膚を必要以上にかきむしってしまい、そこからバイ菌が入り込んで二次感染へとつながる場合もあります。
◆花粉症になりやすい犬種は?
花粉によるアレルギー症状を起こしやすい犬種は、遺伝子的に多くいます。
柴犬やシーズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ボストン・テリア、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、シェットランド・シープドッグなどがあげられます。
◆皮膚の症状が気になる場合は動物病院へ
人間と違ってくしゃみや鼻水などの鼻炎症状が現れないため、いつも春先に皮膚をかゆがっているな、目の周りが赤いなと感じていれば、それは犬の花粉症かもしれません。アレルギー性皮膚炎の原因を調べていく上で、アレルゲンが花粉だったなどは動物病院ではよくある話です。
愛犬に気になった症状がある場合には、ぜひ動物病院に行って相談してみてくださいね。
犬の花粉症はどんな治療をするの?
人間の花粉症の治療は、鼻の不快な症状を和らげる薬を飲んだり、原因となるアレルゲン物質を少量ずつ体の中に取り入れて、免疫過剰反応を和らげる「脱感作療法」などを行ったりする場合もあります。
では、犬の花粉症の治療はどのように行うのでしょうか。
◆ステロイド剤を用いた投薬・塗り薬治療
犬の花粉症の症状ですが、まずはそのアレルギー症状を起こしている原因を調べる前に、症状を少しでも和らげるためにステロイド剤を用いた投薬・塗り薬治療が行われます。
ステロイドと聞くと「一度使用すると一生薬を使用しなければならない」「副作用が心配」などと思われる方も多いようです。
しかし、獣医さんの指導をしっかりと聞き、投薬の方法や与える量などを正しく行えば、不安に思うことはありません。誤った方法で長期的に・大量にステロイド薬を使用しない限り、恐ろしい薬ではないということです。
このステロイド薬には、かゆみを生じてしまっている皮膚を治療する役割があります。
ただし、かゆみを抑えるだけでは解決にはなりませんので、ステロイド薬で症状を抑え込んでいる間に、その根本的原因を調べる必要があります。
また、近年はアトピカやアポキルという非ステロイドの痒み止めもあります。
◆アレルギー検査
犬のアレルギー症状がひどい時に、アレルギー症状を起こしている原因(アレルゲン)を血液検査で調べます。
アレルゲンとなる物質には、花粉、ダニ、ハウスダスト、真菌(カビなど)など様々なものがあります。アレルゲンが判明したら、そのアレルゲンをできるだけ犬の生活から避けるようにします。
犬のアレルゲンが花粉であれば、花粉が飛ぶ時期には花粉に触れないようにする工夫を、ダニであれば掃除をこまめにしたり洗濯を頻繁に行ったりして、アレルギー性皮膚炎を悪化させないようにします。
症状が重い場合、人間と同じように「脱感作療法」を行う動物病院もありますが、根気と金額がかかります。あまりに症状がひどい場合は、動物病院で一度相談されてみてもいいかもしれません。
花粉症から愛犬を守る方法
犬が花粉症になった場合、動物病院に行って薬や症状を緩和する手助けをしてもらうのはもちろんですが、飼い主さんがおうちでできる花粉症の症状を和らげる方法を7つまとめました。
◆散歩の時間は早朝に
花粉症の症状を引き起こすアレルギー物質は花粉です。この花粉は外の空気の中に含まれていて、お散歩に行くとどうしても体についてしまったり呼吸で体の中に取り入れてしまったりします。
花粉症の症状が現れた時期のお散歩は、できるだけ避けたいところですが、犬の気持ちを考えれば散歩には毎日行きたいところ。ですから、花粉症の症状が出る時期は、お散歩する時間をずらしましょう。
花粉が飛びやすい時間帯は、植物が太陽に当たってしばらくしてからのお昼12時ごろと夕方の18時頃です。
朝は植物がまだ花粉を飛散させていませんので、比較的空気の中に花粉は少ないのですが、お昼から夕方にかけては花粉の飛散量がとても多くなります。
花粉症の愛犬とお散歩をするときには、植物が花を飛ばしているお昼から夕方を避けて、朝方に散歩に行くことをオススメします。
◆散歩は必ず洋服を着用
愛犬が散歩に出かけると、身体に花粉を付けたままおうちまで持ち込んでしまいます。
犬の身体は毛におおわれているので、洋服を着ずにそのまま出かけると、毛の奥に入り込んだ花粉は手で払ってもなかなか落ちてくれません。
花粉症の愛犬と外出や散歩に行く際には、必ず洋服を着用するようにしましょう。
そうすれば、帰宅時に玄関の外で洋服を脱がせてあげることで、おうちの中に花粉を持ち込ませないようにできますね。
愛犬の洋服も、犬の毛と同じようなウールや綿でできていると花粉が絡まりやすく、おうちの中に持ってきてしまう可能性があります。花粉症が出る時期の洋服は、花粉が付きにくい素材のナイロン生地などを選びましょう。
ペットショップやホームセンターなどで花粉が付きにくい専用の素材でできた洋服が販売されていますので、ぜひのぞいてみてはいかがでしょうか。
◆草むらへは入らない
散歩最中に好きな場所に行くのが犬ですが、その場所が草むらなら注意してください。草がたくさん生えている場所は、犬の花粉アレルギーの原因となる「オオバコ」や「ブタクサ」が潜んでいます。
草むらに入り込むのはわざわざ体に花粉をつけに行っているようなものですから、花粉症の時期には草むらに入り込むのは避けましょう。いつものお散歩コースに草むらがあるのなら、花粉症の時期だけはお散歩コースを変えて、その場所を避けてあげたほうが良いですね。
◆外へ出かけた後はブラッシング
犬が散歩に出かけた後は、どうしても身体に花粉が付着してしまっています。そのままおうちで過ごしてしまうと、おうちの中で花粉が舞って、再び愛犬が吸い込んだりして花粉症の症状を発症しかねません。
そこで、犬の身体についた花粉は毎回必ずブラッシングをして取り除くようにしましょう。固く絞ったタオルやペット用のボディシートなどで体中を拭いてあげてもOKです。
ただし、犬のブラッシングをする時には注意が必要で、そのままブラッシングしただけでは花粉が舞いあがってしまいます。
花粉を絡めとる専用のスプレーを愛犬の体に吹き付けてあげてから行うのが最適です。
◆こまめにシャンプーを
体に付着してしまった花粉は、奥に入り込むとなかなか取るのが難しくなってしまいます。
犬についてしまったアレルゲン物質である花粉を取り除くためにも、シャンプーはこまめに行って、アレルゲンを取り除きましょう。
ただし、シャンプーのやりすぎは皮膚の油分を必要以上に奪ってしまいますので、1週間に1~2回ほどのペースで、シャンプーの後はリンスや皮膚に潤いを与えてくれるスプレーやクリームを忘れないようにしてくださいね。
◆部屋の掃除をする
おうちの中に入り込んでしまった花粉は、なかなか外には自分で出て行ってくれません。
犬は自分で花粉を外へ出すことはできませんので、飼い主さんが掃除をして、花粉などのアレルギー物質を外へ出してあげてください。
花粉症の時期は、カーペットや畳よりもフローリングにしたほうが、花粉を掃除しやすくなります。
フローリングを掃除する場合も、掃除機をかけてしまうと、排気によって花粉が舞いあがってしまいますので、できるだけ濡れ雑巾やワイパーなどを使用するのがベスト。
また、アレルギー性皮膚炎を起こしているアレルゲンがダニである場合、カーペットや布団をこまめに掃除することがアレルゲンを減らす方法になりますので、清潔な環境を保ってあげましょう。
◆空気清浄機を利用する
犬が外から帰宅しておうちの中に入ったとき、いくら気を付けていても花粉は部屋の中に入ってきてしまいます。掃除をしてアレルゲンを取り除く方法もありますが、機械の力を借りるのもよいでしょう。
空気清浄機を利用すれば、空気中にある花粉を取り除いてくれますので、お部屋にある花粉を掃除する手助けをしてくれますよ。
犬にとって不快な花粉を取り除くことは、飼い主さんの花粉症の症状である鼻炎も抑えてくれます。
この春は、飼い主さんも愛犬も花粉に悩む事がないように過ごしたいですね!
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