【獣医師監修】犬の生理の症状はいつから?パンツの使い方や病気との見分け方は?

2020.11.07

【獣医師監修】犬の生理の症状はいつから?パンツの使い方や病気との見分け方は?

愛犬に生理がきた!その時、飼い主さんは慌てずに対応できますか?どんな症状が現れるのか?いつから訪れるのか?事前に知っておけば、正しく対処することができます。今回は、生理の期間内に注意するべきことやマナーパンツの使用方法、生理と間違いやすい病気についても紹介します。愛犬はもちろん、他の犬への配慮も必要となる期間です。誤った対応をしないように、知識を得ておきましょう!

【掲載:2018.01.16  更新:2020.11.06】

犬の生理について

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人間でいう月経が生理という言葉で浮かぶと思いますが、犬の場合その意味合いが全く違ってきます。

◆人間の生理と犬の生理の違い

人間の生理は、生殖可能な子宮が受精卵着床の為に準備を行い、受精しなかった場合に不要となった子宮内膜が排出されますが、犬の生理は「子宮内膜の充血によるもの」です。この為、人間は生理前後が妊娠しにくいとされていますが、犬は出血直後が妊娠しやすいといわれています。
犬の生理は受胎準備ができたというサインであり、出血を伴うという点以外は人間のものとは異なるものだということですね。

ちなみに、一般的に犬の生理は「ヒート」とも呼ばれています。

◆犬の生理はいつから始まる?

犬の生理は、通常生後6~10ヶ月頃に始まります。しかし個体差があるので、はっきりいつから始まるとは断言できません。中には生後1年を経過してから始まる子もいます。
日照時間が関係しているという説もあるようで、春と秋の季節に生理になる個体が多いともいわれています。

その後は、小型犬であれば年に2回、大型犬の場合は1~2回というサイクルで訪れます。

高齢になるにつれて、周期が長くなり、出血が減る傾向にありますが、生理が終わること(閉経)はありません。

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犬の生理の周期

犬にとって生理とは期間をさします。「発情前期」「発情期」「発情後期(休止期)」というもので、この3つの期間が1サイクルとなります。このサイクルを経て約4カ月の無発情期があり、再び生理が始まるのです。

◆発情前期

期間は約10日程で、血中エストロゲン濃度が上昇します。この期間に、陰部の膨らみや出血が始まります。マーキングをするようになり、尿に含まれるフェロモンによってオスが寄ってきますが、まだオスを許容する期間ではありません。

◆発情期

期間は同じく約10日程で、出血が少なくなり、オスを許容するようになります。この期間に入って2~3日程で排卵が起こり、その前後5日間が妊娠可能な期間となります。

この時期に出血が止まるケースも見受けられるため、この場合飼い主さんは発情期が終わったと勘違いしてしまうかもしれません。妊娠を望まないのであれば注意してください。

◆発情後期(休止期)

期間は約2ヶ月程度で、この時期にオスを許容することはありません。出血が完全に終わる時期といえます。

哺乳類においては、妊娠が成立しなかった場合、黄体ホルモン(女性ホルモン)の分泌が止まります。しかし犬の場合は、妊娠をしていなくてもこのホルモンが長期に渡り分泌されてしまいます。このことから、妊娠をしていなくても妊娠の兆候をみせる偽妊娠(想像妊娠)が起こりやすいのです。

偽妊娠は一定時間が過ぎれば自然に収まりますが、何らかの異常を感じたら一旦動物病院へ相談してみましょう。

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犬の生理中の症状は?出血量は?

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生理中に見られる主な症状や出血量は、サイクルの期間によって異なります。もちろん個体差がありますが、基本的な症状を覚えておきましょう。

◆発情期の症状

まず、発情前期です。前述の通り、この時期に陰部の膨らみや出血が始まります。個体によって違いますが、陰部の腫れは3倍程にもなる子もいます。初めて愛犬の生理を体験する飼い主さんは、少し驚いてしまうかもしれません。

出血量は大型犬と小型犬でも差があり、大型犬の場合はやはり出血量が多いです。しかし、小型犬の場合は、出血量が少なかったり、愛犬自身が舐めてしまうことで、飼い主さんが気付くのが遅れるケースもあります。出血自体がない子も中にはいるので、「いつから始まってたの?」と後で驚く場合もあるでしょう。
お尻や陰部を普段より気にしていたり、舐めている様子が伺える場合は、陰部が腫れていないかチェックしてみてください。

更にこの時期には、ソワソワして落ち着きがなくなる、オシッコの回数が増加する、食欲が低下するなどの症状がみられます。

◆発情期中の症状

次に発情期ですが、この時期にに入ると出血量が少なくなってきます。出血が止まるケースもあるので注意して様子を観察してください。
排卵日が近付くとオスに対して寛容になるといわれていますが、排卵日付近以外ではオスに厳しい態度をとることが多いでしょう。様々なトラブルを避けるためにも、オスとの接触を避けるなどの注意が必要です。

◆発情後期の症状

そして発情後期です。体が通常の状態に戻っていく期間ですが、偽妊娠(想像妊娠)が起こりやすくなる期間でもあります。
偽妊娠の症状がみられる個体には、母乳が出るケースもあります。この場合、母乳を舐めて乳腺炎になる場合もありますので、何らかの異常を感じたらすぐに病院に相談しましょう。

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犬の生理中のケア方法

この期間内には、普段とは違った世話やケアが必要となります。また、一般的なマナーとして他の犬に対して配慮することも重要です。突然の生理に慌てないように、事前に覚えておきましょう。

◆生理用パンツの着用について

出血量にもよりますが、愛犬が生理中の期間は、室内や周囲を汚してしまう可能性が高いです。紙おむつや生理用パンツなどを、前もって準備しておくことをお勧めします。これらのアイテムを利用することで、汚れを周囲に付着させないよう防ぐことができます。

犬用の生理用パンツは、デザインも様々で可愛い商品も沢山あるので、ファッションとしても楽しむことができるでしょう。サスペンダー付きパンツやベルト型パンツなど、素材や形状も多種多様です。

個体によっては装着を嫌がったり、暴れてパンツ脱いでしまう子もいます。日常で誤食癖などがある子は、紙おむつやマナーパッドを噛みちぎってしまう可能性もありますので、使用する際には注意してみてあげてくださいね。
また、長時間のおむつの装着は陰部周辺のかぶれや、細菌性膀胱炎を招く可能性もあります。細目に取り替えて、衛生を保つよう管理しましょう。

初めの内は慣れるのに時間がかかるかもしれません。愛犬に合った形状のパンツを、探して慣れさせてあげてください。

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◆生理中のケアについて

この期間内にはシャンプーをしてはいけないのかな?と心配になる方もいると思います。

結論からいうと、一般的にシャンプーをすることに問題はないといわれています。
生理期間内や前後は免疫力が低下しているので、細菌感染を起こしやすい状態といえます。出血により陰部が汚れたままになっていると、病気を招く可能性があるのです。
もちろん個体によっては期間内に体調が優れない子もいるので、元気な状態であれば、定期的にシャンプーをして衛生を保つのがよいでしょう。

また、お尻周りの被毛が長い犬種であれば、出血によって被毛が固まってしまう場合もあります。トリミングに行ってお尻周辺の被毛を整えてもらったり、飼い主さんが短くしてあげるなどの対応をした方が、清潔を保てるでしょう。

トリミングを利用する場合は、事前に愛犬が生理中であることを伝えたり、他の犬に配慮することを忘れないでくださいね。

◆生理中のお散歩について

生理中の愛犬を散歩に連れていくのは、悪いことではありません。むしろ、この時期のメスには外に出たがる子もいるそうです。体調が優れないのであれば話は別ですが、散歩を控えることで愛犬がストレスを感じてしまってはいけません。

ただし、この期間内には頻尿になる子もいますし、尿にはフェロモンが含まれています。散歩中のオスが強く反応したり、なんらかのトラブルが発生する可能性も考えられます。散歩は、他の犬に配慮して行うことが大切です。

例えば、生理用パンツを装着したまま散歩をすれば、周囲に生理中だということを認識してもらえます。オスと擦れ違っても、飼い主さんが気付いてくれれば扱いに注意してもらえたり、距離感を保つこともできるでしょう。
また、飼い主さん同士がコミュニケーションをとることが、トラブルの回避につながることもあります。メスの飼い主さんであれば「ヒート中なので」、去勢していないオスの飼い主さんであれば「去勢していないので」などと、一言交わすだけでも危険のない距離をとることができます。

ただし、ドッグカフェやドッグランなど多数の犬が集まっている場所は控えた方がよいでしょう。その場にいる全頭に対して注意を払うことは難しいですし、犬が強い興奮をみせた場合には他のお客さんや飼い主さんにも迷惑をかけてしまいます。


生理以外の病気との見分け方

出血を目の当たりにした瞬間、生理なのか、もしくは他の病気なのかと迷ってしまう飼い主さんもいるでしょう。

間違えやすい主な病気には、膀胱炎による血尿や、子宮蓄膿症という子宮の病気があります。

◆膀胱炎の場合

膀胱炎の場合、尿に血が混ざった状態なので、ポタポタと床に血が落ちているという状況を見つけたのであれば生理である可能性が高いです。判断が難しいと感じる場合は、病院で尿検査をしてもらいましょう。

◆子宮蓄膿症の場合

子宮蓄膿症とは、子宮内膜が腫れて、細菌感染により子宮に膿が溜まってしまう病気です。初期は無症状ですが、悪化すると多飲多尿となり、陰部から膿・血膿が排出されます。
陰部を気にして舐める行動が見て取れたり、発熱・吐き気・元気や食欲の低下などの症状が現れ、水を大量に飲むようになるので、見分け方としては「多飲多尿」という点が分かりやすいでしょう。

子宮が破れ、腹腔に細菌が漏れた場合は、腹膜炎を起こして短時間で死亡に至るという恐ろしい病気です。疑いがある場合はすぐに病院へ行きましょう。

事前に知識を抑えて準備をしておけば、突然の事態にも対応できます。ヒート中の愛犬には注意深く気を配り、対応してあげてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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