1.パブロフの犬とは?
1-1.偶然発見された犬のある行動
1-2.条件反射と無条件反射
1-3.人間にも存在するパブロフの犬状態
2.パブロフの実験内容とは?
2-1.パブロフの犬の実験
2-2.犬以外の動物にもパブロフの犬が!
3.愛犬もパブロフの犬状態になっている?あるある行動
3-1.お散歩バッグやリードを持つと騒ぎ出す
3-2.エサ皿を持つと反応する
3-3.冷蔵庫を開けると反応する
3-4.戸棚を開けると反応する
3-5.鈴の音を聞くと反応する
3-6.お風呂の準備をするとお風呂場に来る
4.パブロフの犬効果で愛犬に訓練ができる?
4-1.無駄吠えをする場合
4-2.甘噛み、噛みグセがある場合
4-3.引っ張りグセがある場合
4-4.イタズラが多い場合
【掲載:2018.06.23 更新:2020.1.27】
パブロフの犬とは?
パブロフの犬とは、「ある条件によって反射的におこる行動」を証明した研究のことです。「梅干をみるとよだれがでる」などの条件反射のたとえとして使われています。
ソビエト連邦のイワン・パブロフという生物学者によって発見され、行動主義心理学の行動医療に大きな影響を与えました。
◆偶然発見された犬のある行動
パブロフがこの反射に疑問を持ったのは1902年に行っていた唾液の分泌量の実験中です。
実験に用いられていた犬達が、パブロフや飼育員の足音だけで唾液の分泌量が増えていることにパブロフは気が付きます。エサを持っていなくても足音だけで唾液が増えることに対して、「自分や飼育員が来るとエサがもらえると学習したのでは」と考えたパブロフが実験を始めたのが、条件反射と無条件反射の現象でした。
◆条件反射と無条件反射
犬だけでなく、人間にも反射は起こります。反射とは、生物が刺激を受けた際に神経系を通じて起こる反応のことで、反射には条件反射と無条件反射の2パターンがあります。
無条件反射···先天的に持っている反射行動で、受けた刺激に対して自然と発現します。熱いものに触れると手を引く、膝をたたくと下肢が跳ねるなどがあります。
条件反射···生後に経験や訓練などで獲得した反射行動のことで、学習するとその刺激に対して反応を示します。レモンや梅干しを見ると唾液が出る、泣いた子供を母親が抱くと子供は泣き止むなどがあります。
◆人間にも存在するパブロフの犬状態
人間にもパブロフの犬状態になることがあります。
よく聞くものでは、ご飯を食べた後や、コーヒーを飲むとタバコが吸いたくなるという現象です。
これは、ご飯やコーヒーとタバコがセットになっており、食事後に自然とタバコが吸いたくなるという状態です。禁煙する場合は、タバコをガムやキャンディーに置き換えてみるのも良い方法です。
また、レモンや梅干しを見ると唾液が出る現象は、酸っぱい食べ物だと記憶しているためです。他にも電話が鳴ると急いで受話器を取るなど、犬はだけでなく人間にも知らないうちにパブロフの犬状態になっています。
愛犬のパブロフの犬状態を探してみるのも楽しいですが、飼い主や家族も愛犬と似たパブロフの犬状態があるかもしれません。特に子供は親の行動を見て多くの条件反射が起こりやすいと考えられます
パブロフの実験内容とは?
◆パブロフの犬の実験
パブロフの犬の実験には、数百頭の犬が参加していたと言われ、犬に管を通して唾液の分泌量を測定していました。
犬にメトロノームやベルの音を聞かせてからエサを与え、それをセットで何回も繰り返すうちに、犬はベルの音を聞くだけで唾液の分泌量が増えます。これは、ベルの音が鳴るとエサがもらえると犬が学習したために体が反応し、条件付けられた結果です。
その後、ベルを鳴らし続けると徐々に反応は薄れますが、数日後に同じ実験を行なうと再び同じ現象が起こります。
パブロフはこの結果を「条件反射」「無条件反射」としてまとめあげ、1904年にノーベル生理学・医学賞をロシア人初となる受賞を獲得しました。
◆犬以外の動物にもパブロフの犬が!
パブロフの犬は長期に渡って、犬や人間など哺乳の高等動物のみ発現する反応だと思われていましたが、長年の研究によってアメフラシやゴキブリ、更には扁形動物であるプラナリアにまで条件反射を獲得することができると結果が出ました。
愛犬もパブロフの犬状態になっている?あるある行動
愛犬と共に長く生活していると、なんとなくパブロフの犬のような行動がみられることはありませんか?日常で少し意識してみると様々なパブロフの犬状態があります。
◆お散歩バッグやリードを持つと騒ぎ出す
散歩に持っていくバッグやリードを触っただけで、散歩へ行けると思い騒ぎ出します。
◆エサ皿を持つと反応する
ご飯の時間でなくてもエサ皿を洗う・収納するために触っただけにもかかわらず、エサがもらえると思い込んで近寄ってきます。
◆冷蔵庫を開けると反応する
愛犬が好きな野菜や果物、またはパウチタイプのエサを冷蔵している場合、冷蔵庫を開ける度に反応します。冷蔵庫には自分が好きなものが入っていると学習した結果です。
◆戸棚を開けると反応する
戸棚におやつを隠している場合、おやつが入った戸棚でなくても扉を開けただけで飛んでくることもあります。意外と犬は周りを見ており、秘密のおやつの隠し場所が知られているかもしれませんよ。
◆鈴の音を聞くと反応する
家の鍵や車の鍵に鈴を付けていると、鈴の音を聞くと出かけられると思い騒ぎ出すこともあります。特に車でのお出かけが好きな犬に多い傾向にあるようです。
◆お風呂の準備をするとお風呂場に来る
お風呂やシャワーが好きな犬は、飼い主さんや家族がお風呂の準備をし始めると、一緒にお風呂場へ行くなどの行動がみられます。
上記以外にも様々なあるある行動が見られます。飼い主さんを困らせる行動から笑わせる行動まで犬によって差があるようです。
パブロフの犬効果で愛犬に訓練ができる?
犬はしっかりとしたしつけを行えば良いパートナーとなり番犬にも適しています。しかし、逆にしつけを怠れば問題行動が目立ち飼育しにくくなります。
そこで、パブロフの犬のように条件反射を上手く利用することで、問題行動を防止することも可能です。
◆無駄吠えをする場合
無駄吠えする犬を静かにさせようとおやつを与えると、「吠えたらおやつをもらえる」と思い、余計に吠えてしまう可能性があります。
無駄吠えはクセになるとなかなか直りにくいですが、吠えるとゲージに入れて静かにするまで出さないという方法があります。
ゲージに入れても吠え続ける場合は、相手をせず止めるまで出さずに待ちます。途中で様子を見に行き犬を出してしまうと「吠えると出してもらえる」と思ってしまいますので、吠えるのを止めてから褒めて出してあげましょう。
これを続けると吠えなければ褒めてもらえると学習し、徐々にやめるようになります。
◆甘噛み、噛みグセがある場合
子犬の頃は甘噛みが多くみられますが、ここでやめさせなければ成犬になっても噛みグセがつく可能性が高くなります。成犬になれば噛む力も強くなり、犬はじゃれているつもりでも飼い主や他の犬に怪我をさせてしまうことも考えられます。
愛犬と遊んでいる途中で噛んできた場合は、遊びを中断し、相手をするのをやめてみて下さい。すると、噛んだら遊んでくれず、無視されると思い噛むのをやめるようになります。
◆引っ張りグセがある場合
散歩をする時、犬が走ってしまい飼い主さんが引っ張られてしまう行動です。引っ張りグセは非常に危険であり、犬に振り回されてしまうと飼い主が転んでしまい、コントロール出来ずに事故に繋がる可能性があります。
その場合はリードを少し短く持ち、犬が引っ張る時はその場を動かないようにします。すると犬はびっくりして少し落ち着きます。一度は落ち着きますが、またすぐに引っ張ろうとするので、その度に同じように繰り返しながら散歩をします。
犬は「こちらが引っ張ったら同じことをされる」と思い、散歩の回数を重ねる事にやめるようになります。
しかし、小型犬や中型犬であれば女性であっても難しくありませんが、大型犬や子供が散歩をする場合はコントロールができない場合も考えられます。
◆イタズラが多い場合
おもちゃを壊す分だけでなく、ティッシュの箱をボロボロにする、ソファーやクッションを噛むなどのイタズラは、一度許してしまうと更に激しいイタズラに繋がります。特にコンセントのコードやキッチンでのイタズラは火事や大きな事故の原因になる可能性もあります。
その場合は犬がイタズラに夢中になっている間に水が入ったペットボトルやお鍋の蓋などをわざと落とし、大きな音を聞かせてびっくりさせる方法があります。
ここでのポイントは、犬にこの動作を見られないことです。この方法は天罰方式とも呼ばれ、「イタズラをすると大きな音がする」という条件付けを行なうことでイタズラをやめさせます。
ペットボトルや蓋で体罰をしてしまうと逆効果のため、心的にびっくりさせてしまいますが外的に刺激しないで下さい。
うまくしつけできない場合はマナー教室へ
家庭でしつけできるものも多いですが、犬種や性格によってスムーズに進まない場合、ドッグトレーナーに相談してみるのも一つです。愛犬に適切なしつけ方法を教えてもらえ、お手本を目の前で見ることができます。
地域によってはしつけ教室を行なっているサービスもあるため、アドバイスや教室に通って訓練するのも良いでしょう。
どの問題行動に対しても共通しているのは、決して体罰を加えてないことです。叩く・尻尾を引っ張るなどの危害を加えると、反撃や信頼関係が失われる可能性が高くなります。
犬の飼育初心者の方は難しいかもしれませんが、愛犬の様子を見ながら焦らずに進めてあげて下さい。
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