犬はどのくらいお留守番できる?
日本では、普段一人暮らしで仕事をしながら犬を飼う人や、日中は家族がみんな留守になる家庭も多いので、平均して5時間以上、長いと10時間近く、犬がひとりで留守番をしている場合があります。
犬は、どのくらいの時間ひとりで留守番できる生き物なのでしょうか。また、留守番をさせる時はどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
◆留守番できる時間は犬によって異なる
イギリスの獣医師団体は、「犬が留守番できる時間は、4時間が限度だ」という見解を示しています。
犬は本来とても社会的で、群れで生活する動物です。長時間留守番をさせてしまうと、ただ寂しがるだけではなく、本能的に命の危険を感じたり、精神障害や分離不安を引き起こす原因になります。
もちろん、旅行や帰省をする際、犬が留守番できる時間は、その犬によって異なります。その犬の性格や訓練次第で長時間の留守番も可能になりますが、表面的に問題がなさそうに見えても、多少のストレスはかかっていると考えてあげるべきでしょう。
5時間以上の留守番による分離不安や問題行動は、犬にとって正常な反応であり、責任は犬ではなく飼い主にあると考える専門家もいます。犬を長時間留守番させる場合、少しずつ慣らすトレーニングをしたり、ペットシッターをお願いするなどの対策をとってあげるべきかもしれません。
◆犬に我慢させない環境をつくることが大切
犬を留守番させる場合だけでなく、犬と一緒に生活する上で必要な考え方として忘れてはいけないのが、動物福祉の視点です。
1960年代に発表された、世界的な動物福祉の宣言によると、動物は5つの自由が認められるべきだとされています。
1、飢えと渇きからの自由
2、不快からの自由
3、痛み・障害・病気からの自由
4、恐怖や抑圧からの自由
5、正常な行動を表現する自由
この5つの自由は、現在では、人間の飼育下にあるあらゆる動物に対する福祉の基準とされ、EUではこれに基づいて指令が作成されています。また、世界獣医学協会においても、その基本方針の中に謳い込まれています。
これをもとに考えると、犬に留守番をさせる時には、水や食餌を十分に与え、適切に排泄などができ、安心できる環境を確保することが必要になってきます。
逆に言えば、これらを我慢させてしまうほどの時間は、留守番をさせるべきではないと言えるかもしれません。
犬を留守番させる時の注意点は?
短時間でも留守番をさせる場合、犬の気を紛らわせるためには、フードやオヤツよりも長時間噛める歯磨きガムや、おやつを入れたコングなどがおすすめです。フードが自動的にでてくるような機械も有効ですが、ごはんに興奮しすぎて壊してしまうこともあるかもしれませんので、普段も使用して慣れさせるのがおすすめです。
犬を留守番させる時は、誤飲誤食しやすいものは置かず、包丁や釘、ハサミなどは犬の届かないところに片づけておきましょう。ゴミ箱は犬が漁らない場所へ。暴れて走り回ったときに落下する物もないようにしましょう。
いつもフリーで過ごしている犬も、できれば留守番の時はケージに入れておくのが安心です。
旅行や帰省などで、長時間、または数日間家を空ける場合には、できるだけ犬も一緒に連れていくか、預けられる施設を探しておきましょう。
旅行や帰省に愛犬を連れていく方法は?
◆公共交通機関は渋滞の心配なし!
犬を連れて旅行や帰省をする場合、小型犬であれば、電車や新幹線などの公共交通機関を利用することができます。ゴールデンウィークやお盆休暇などの大型連休中は、車で移動すると渋滞や駐車場探しなどに悩まされることも少なくありませんが、公共交通機関を使えばそういった心配がありません。
◆乗り方や料金を確認しておこう
公共交通機関を使う場合、犬を決められた大きさや重さのキャリーバックに入れる必要があります。ペットカートは認められない場合が多いようです。
また、料金は鉄道会社によって、無料の会社と、手回り品として持ち込み運賃が必要な会社があります。
旅行や帰省で愛犬と公共交通機関を利用する場合は、ご自身が使う鉄道について事前にチェックしておきましょう。
公共交通機関には、ペットが苦手な方が乗車している場合もありますので、犬の匂いや鳴き声など、最低限のマナーは守って利用するように配慮しましょう。
◆車に事前に慣れさせる工夫が必要
愛犬との旅行や帰省の際は、車を使うととても便利です。
しかし一方で、車に乗ると落ち着かない、すぐに酔ってしまうなど、車移動が苦手な犬も結構いるようです。
実際、犬が車に慣れていないと、遠出をするのは難しくなってしまいます。「ドライブは楽しい」ということを犬に教え、旅行が楽しくなるようにしたいですね。
◆落ち着けるハウスを利用する
車移動が好きな犬にするためのポイントとして、車を「移動手段」ではなく「動くハウス」として教えると上手くいくかもしれません。
旅行や帰省などで初めての場所に出掛けると、犬はとても緊張します。初めての匂い、音、景色、人など、緊張と不安の連続です。そんなとき、車内のハウスで落ち着いて過ごすことができれば、ストレスも軽減されます。
旅行や帰省の際には、犬がいつも使っているハウスを車に積み、敷物やおもちゃなどを入れて安心させてあげましょう。
また、普段から、車の中でご飯やおやつをあげたり、眠ったりする時間を作るのもいいでしょう。犬が苦手な病院に行く時だけ車を使うのではなく、大好きな公園に車で出かける機会を作っておくことも効果的です。
◆車酔いする場合は事前に動物病院へ
愛犬が車酔いをする場合は、動物病院で酔い止めを処方してもらい、積極的に利用するのが良いかもしれません。酔ってから飲ませるのではなく、出発前に酔い止めを服用させ、車内で快適に過ごす経験をさせることで、車への苦手意識が薄れていきます。
また、車に乗る前に散歩に行き、1時間くらい前にはご飯と排泄を済ませ、犬が少し眠くなるようなタイミングで車に乗せるのも効果的です。
旅行や帰省に愛犬を連れて行く時の持ち物は?
◆フード
フードは、いつも食べているものを準備していきましょう。旅先で慣れないものを食べると、お腹の調子を崩す犬もいます。
水と、いつも使っている食器もセットにして、必要量のフードをジッパー付きの袋に入れておくと便利です。また、予備として、1食分多めに持っておくと何かあったときにも安心です。
◆ペットシーツ
ペットシーツも多めに持っていきましょう。旅先の床を汚さないように、ペットシートを広めに敷くか、ペットシートの下に汚れても良い敷物を敷いておくと安心です。粗相が心配な時は、マナーベルトなどを活用しましょう。
この時、普段から、コマンドを使って排泄を促すことができると旅先で役立ちます。
◆クレートやペットキャリー
いつも使っているクレートやペットキャリーを、車内や旅先で寝る時のために持っていきましょう。自分の匂いのついた毛布やマットもあれば犬も落ち着きます。
多くのペット連れ宿泊施設では、犬がベットに乗ることを禁止しています。日頃から犬がクレートやペットキャリーで安心して眠れるように慣れさせておきましょう。
◆「狂犬病予防注射証明書」「ワクチン接種証明書」
ペットホテルやペットと一緒に泊まる宿泊施設、ドッグランなどを利用する場合には、「狂犬病予防注射証明書」と「ワクチン接種証明書」の提示を求められる場合がありますので、忘れずに持参しましょう。
事前にノミダニ予防などを済ませておくことも、飼い主としてのマナーです。
◆その他
普段使っているお散歩バックやリード、うんち袋、ウェットティッシュ、おやつ、汚れた時のために犬用のタオル、ブラシ、虫よけなど、いつも使っているものはなるべく持参するようにすると、旅先で困りません。
特に初めて犬を連れて旅行や帰省する際には、多少荷物が多くなってもしょうがないと割り切ったほうが良いかもしれません。旅行の回数を重ね、慣れてきたら少しずつ必要なさそうなものから減らしていきましょう。
犬と一緒に旅行や帰省をする場合、宿泊先に置いてあるペット用のアメニティなどをチェックしておくと、荷物を最小限に減らすことができます。
ペットシッターやペットホテルの利用方法は?
旅行や帰省、突然の冠婚葬祭など、犬も一緒に連れていくことが難しく、預けなければいけない場合があります。
そんなときに慌てないように、いつでも安心して犬を任せることのできる場所を見つけておくと良いでしょう。普段から預けていて、犬も慣れている施設であれば、犬にとってのストレスも最小限で済みます。
◆ペットシッター
ペットの預け先にはペットホテルや動物病院などがあり、ペットシッターを頼むと自宅にお世話をしに来てくれます。だいたい1時間ごとに料金が設定されている所が多いようです。
多くのペットシッターサービスでは、預ける前に顔合わせや面談があり、自分の犬のお世話について、お願いしたいことや注意事項などを打ち合わせすることができます。
飼い主さんとシッティング担当者、もしくは犬とシッティング担当者の相性も重要なポイントです。シッターの資格の有無や経験、もしものときの補償内容などもよく確認し、安心して任せられる相手かどうか、きちんと見極めましょう。
事前に鍵を預け、決められた日時にシッティングに来てもらいます。指定したコースの散歩、排泄、食餌、遊び相手などをしてくれ、犬の様子についての報告書も書いてくれます。
ペットシッターは、普段と変わらない環境でお世話してもらえることが最大のメリットといえるでしょう。
◆ペットホテル
ペットホテルでは、預ける施設によって、犬ごとに個室が用意されている、他の犬とのフリースペースが用意されている、個別に散歩してくれる、何頭かまとめて散歩に行くなど、お世話の内容が様々です。
預ける場合は詳細をよく確認し、特に他の犬が苦手な場合には、その旨を伝えておいた方が良いでしょう。
◆動物病院
持病があったり薬を服用しているような場合には、かかりつけの動物病院に預けるのが安心です。病院であれば、何かあった場合にも適切に処置してもらうことができます。
料金形態は預ける所によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
最後に
旅行に出かける時、人が重視するのは「どこへ行くか」ですが、犬にとって大切なのは、大好きな飼い主と一緒に出掛ける、ということです。旅行や帰省の際は、愛犬の不安や疲労に十分配慮した上で、いつもとは違う場所で豊かな時間を満喫しましょう。
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