犬を海外から輸入する方法は?
犬を海外から輸入する場合、「海外のブリーダーを自分で探し、輸出してもらう方法」もしくは「動物の輸入代行に依頼する方法」の2つがあります。
◆海外のブリーダーを探す
海外のブリーダーを探す場合、家族に迎えたい犬種を繁殖させているブリーダーをネットで検索したり、ペット関係の方に紹介してもらいます。
英語が話せる方は、料金や生体についての確認がスムーズにできるため、輸入代行よりも費用を抑えるメリットがあります。
しかし、英語が苦手な方がよく理解していないまま取り引きをしてしまうと、望んでいた犬種ではない、犬が届かないなどの問題や、金額の詐欺に合う可能性も考えられます。
余裕がある場合は、ネットで見ただけでは分からない飼育環境や優良なブリーダーかを確認するために、実際に現地へ向かうのもオススメです。
◆輸入代行に依頼する
輸入代行とは、犬を輸入する際に必要な書類や申請、検疫などについての作業を代行してくれるサービスです。
犬の輸入には複雑な作業や書類がたくさんあり、1つでも不備があれば入国に時間がかることもあります。最悪の場合、犬が返送されてしまう可能性も考えられるため、英語が苦手な方や自力では難しいと思う方には、輸入代行サービスの利用をおすすめします。
しかし、仲介料が必要であること、悪質な業者も存在している可能性なども考えられますので、事前に調べておくと安心です。
どちらもメリットとデメリットはありますが、自分に合った方法で犬を迎え入れることが大切です。詐欺や悪質な業者に捕まらないよう、事前に料金や生体の情報を調べるのはもちろん、契約書などの書類は必ずよく読んでから利用することも重要です。
犬を海外から輸入する費用は?
犬を輸入するための費用には、生体の料金に加え、輸送費用、検査費用、係留期間中の飼養管理費用などがあります。
どこの国から輸入するのか、どれくらいの期間がかかるのかにもよって異なりますが、生体の料金の他に20~30万円ほどはかかると考えて良いでしょう。
さらに、輸入代行に依頼すると仲介料も発生するため、その費用も考える必要があります。こちらは業者によって料金が異なるため、事前に確認しましょう。
スムーズに入国することができれば良いですが、書類の不備や検疫を通過できなかった場合は、検疫所に送られます。検疫所では、日数ごとに食費・保管費などが必要となりますので、費用を抑えるためにも入国前の手続きは重要です。
犬の輸入に必要な検査は?
家族に迎えたい犬種を見つけ、個人でブリーダーを探す場合、まずどの国から輸入するかを決める必要があります。狂犬病やレプトスピラ症などの検査を行い、感染している疑いがあれば輸入はできません。
◆狂犬病とは?
狂犬病は、犬だけでなく、人間を含めた全動物に感染する可能性がある非常に恐ろしい感染症です。発症した動物の唾液に「狂犬病ウイルス」が含まれており、噛まれることで感染します。
噛まれると傷口から神経を伝い脳へウイルスを運び、興奮や痙攣などの神経障害を起こし昏睡に陥ります。
人間がかかった場合、水を嫌がることから「恐水症」とも呼ばれ、有効な治療はなくほぼ100%死亡していまいます。
日本では昭和32年以降国内での発症はありませんが、指定地域以外では狂犬病の感染が多くみられます。人間同士では感染しませんが、狂犬病ワクチンを接種していない野良犬や飼い犬が多い地域を旅行する場合注意が必要です。
◆レプトスピラ症とは
レプトスピラ症は、狂犬病と同じく犬から人間にも感染する「人畜共通感染症」の1つで、ネズミなどの尿から感染します。レプトスピラ菌を含んだ尿に汚染された水や土壌からも感染する恐れがあり、海外から帰国して発症するケースも少なくありません。
発熱や黄疸、食欲不振などの症状がみられ、急性腎不全を起こし放置してしまうと命の危険があります。
レプトスピラ症は狂犬病とは異なり予防接種の法律がなく、日本でも発症する可能性は十分にあり、特に山や川の近くに住んでいる方や犬とアウトドアによく行く方は予防接種をしておくことが勧められます。
また、上記以外にも混合ワクチンやノミ・ダニの駆除、フィラリア予防が推奨されており、輸入を行う前にブリーダーや輸入代行に確認しておくと安心です。
◆指定地域と指定地域以外
輸入には「指定地域」または「指定地域以外」によって手続きが異なります。
●指定地域
指定地域とは、狂犬病の発症が見られない「清浄国」と呼ばれる農林水産大臣が指定する地域です。
2013年の時点でアイスランド、オーストラリア、ハワイ、グアム、フィジー諸島、ニュージーランドの6つの地域が指定されています。
●指定地域以外
指定地域以外は、上記の清浄国とは違い、狂犬病が発症している可能性がある国です。指定地域以外では狂犬病のワクチンが徹底されておらず、野良犬によって狂犬病にかかり亡くなる方も多いのが現状です。
日本では狂犬病に対するチェックが非常に厳しいため、指定地域以外から輸入する場合は狂犬病の予防接種や狂犬病抗体検査などの手続き増えることから、清浄国からの輸入が安心です。
犬を海外から輸入する前にやっておくべきこと・手続きは?
犬を輸入するためには事前に様々な手続きや書類が必要です。
◆マイクロチップの埋め込み
マイクロチップには識別番号が記録されており、記録されている番号を読み取ることで個体識別ができます。確実に番号を読み取るために動物病院で行いましょう。
◆在住に関する規定を確認
指定地域からの輸入では、出生以来または輸出される直前の180日間以上、指定地域で飼育されているか、日本から輸出されて以来、指定地域のみで飼育されているかのいずれかに該当している必要があります。
このいずれかに該当しない場合は、180日から指定地域で飼育されていた日数を差し引いた日数の間、係留施設で検査しなければなりません。また、指定地域以外からも輸入は可能ですが、更に証明書の発行などが必要になります。
◆事前届出
犬が到着する40日前までに、到着予定の空港の動物検疫所へ事前届出の提出をします。届出書は動物検疫所のウェブサイトから手に入れられます。
届出書には、犬の生年月日や荷送人などを記載します。届出書を提出すると、動物検疫所から「届出受理書」が交付されます。「届出受理書」は輸入検査に必要な他、手続きなどに提出を求められる場合があるため、大切に保管しましょう。
◆輸出前検査
犬を飛行機に乗せる10日以内に、獣医師による検査を受けます。10日以内の検査が場合、到着予定の空港にある動物検疫所で相談することもできますが、なるべく出発予定日直前が望ましいとされています。
検査内容は、主に狂犬病やレプトスピラ症の感染や疑いの有無です。
◆輸出国政府機関発行の証明書
輸出国の動物検疫所による証明書を発行します。証明書に必要な項目は、マイクロチップや輸出国の狂犬病発生の状況、予防接種についてなどについて記載されています。
◆輸送に関する規定
輸出国から日本までは直行便での輸送になります。また、指定地域以外を経由する場合、輸送中にゲージが開かないようシールを貼り、「輸送に関する追加証明書」が必要になります。
日本では犬を輸入することができる空港が制限されているため、近い空港が輸入可能であるか事前に確認が必要です。
日本に輸入した後は?
犬が日本に到着すると、犬を引き取る前に必ず「動物検疫所」で輸入検査が行われます。
◆輸入検査を受ける
輸入検査は、マイクロチップや書類の確認などで問題がなければ12時間以内に終了しますが、病気の疑いなどの問題があれば「係留施設」で最長180日間の検査が行われます。
面会や面会者の制限がある上、費用も負担しなければならないため、輸入前の確認が重要です。
また、犬を引き取った後は各自で日本国内の犬である登録を行ないます。
◆市町村へ登録する
輸入のみならず、犬を飼育した場合は住んでいる市町村で登録をしなければなりません。これは狂犬病予防法での法律で決まっており、輸入後30日以内に「犬の輸入検疫証明書」を持って窓口で登録手続きします。
◆マイクロチップの登録
マイクロチップの登録は任意ですが、登録しておくと犬が行方不明になった場合に飼い主を特定することが可能です。脱走や災害で捜索する場合も非常に便利で、「輸入検疫証明書」で登録することができます。
◆狂犬病ワクチンの接種
日本では年に1度の狂犬病ワクチンが法律で義務づけられており、違反すると罰金や罰則があります。動物病院でワクチンの接種ができます。
犬の輸入についてのまとめ
犬の輸入は非常にややこしく初心者の方は難しいと感じられますが、メリットとデメリットをよく考えながら行うことをおすすめします。費用や時間も多くかかりますが、国内であまり見かけない犬種を確実に飼育する場合は輸入をしてみるのも1つの方法です。
検疫終了後、すぐに愛犬を迎えられるよう、書類は不備のないよう確認し、ブリーダーとも細かい情報や質問などでコミュニケーションを取ると取り引きがスムーズに進みます。
また、分からないことがあれば各地の動物検疫所や市町村で事前に電話でしっかりと確認しておくと安心です。
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