犬がチョコを食べてはいけない理由は?
犬は、飼い主が食べているものなら何でも欲しがります。可愛い愛犬に一生懸命催促されると、つい一口あげてしまいたくなりますが、人間の食べ物の中には、犬にとって有害な食べ物が沢山あります。
しかも、犬は人間よりも体が小さいので、ほんの少量であっても中毒を引き起こしてしまう事があります。
犬に人間の食べ物をあげる時には、それが犬にとって安全なものかどうかしっかり確認してから与えるようにしましょう。
◆チョコレートに含まれる「テオブロミン」が危険
犬が食べてはいけないものには、ネギ類(玉ねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニク、エシャロット、らっきょう、ミョウガなど)、キシリトール、ぶどう(レーズン)、アボカド、マカダミアンナッツなどがありますが、チョコレートも代表的なものの一つです。
チョコレートに含まれるカカオには、「テオブロミン」という成分が含まれており、犬が食べると心臓の血管や中枢神経に作用します。
テオブロミンは、カカオの香り成分のひとつでもあり、チョコレート以外にも、コーラやお茶にも含まれますが、特にチョコレートやカカオ豆には多く含まれています。
テオブロミンはカフェインと似た物質で、犬の場合、これを排出するスピードが人間よりも遅く、長時間体内に留まり、犬の身体に悪影響を及ぼします。
チョコレートの中でも、カカオの含有量が多い苦めのチョコレートほど危険が増します。
◆テオブロミンの致死量は?
犬が多量にチョコレートを食べると、不整脈、心拍数の増加、口の乾き、落ち着かず過敏な活動、痙攣、発作、嘔吐、下痢などの症状が表れ、最悪の場合死に至ります。
犬の体重1kgにつきテオブロミン100~200mgが致死量と言われており、また、これよりも少ないテオブロミンの摂取であっても、軽度の症状(嘔吐、下痢、多飲など)や痙攣などが起こる可能性があります。
チョコレートには、
・ビターチョコ1枚に約700mgのテオブロミン
・ミルクチョコ1枚につき約180mgのテオブロミン
が含まれており、ビターチョコはミルクチョコよりもテオブロミンが多く含まれている為、より注意が必要です。
◆バレンタインの時期は誤飲に要注意
犬にとってチョコレートが有害であるということは有名なので、わざわざチョコレートを犬に与える飼い主さんはあまりいません。
しかし、2月になるとバレンタインデーというイベントがあるため、犬のチョコレートの誤食件数が急増します。
例えば、机の上に出しっぱなしにしておいたチョコレートや、これから使おうと出しておいた製菓用チョコレートなどは、少し目を離した隙に犬に食べられてしまうことが多いようです。
シニア犬よりも若い犬の方が誤食の確率は高く、特にラブラドールレトリバーやコーギー、パグ、フレンチブルドッグ、ダックスフンド、ビーグルなど、食に執着の強い犬種は要注意です。
それまで盗み食いをした経験がなかったとしても、犬と生活する以上は、誤飲誤食の恐れがあるものは犬から遠ざけましょう。
また、犬を置いて留守にする時や夜寝る時は、なるべく犬をケージに入れる習慣をつけ、犬の届くところには一瞬であっても食べ物や飲み込む危険のあるものを置かないようにしましょう。
愛犬がチョコレートを食べてしまったら?
万が一、犬がチョコレートを食べてしまったら、どのチョコレートをどれくらい、いつ食べたのかを確認し、症状が出ていなくても病院へ連れていきましょう。犬がチョコレートを食べてからあまり時間がたっていない場合、後から症状が表れることもあります。
犬がチョコレートを食べてしまったら、ほとんどの場合、催吐処置と言われる吐かせる治療がメインとなります。チョコレートを食べて2時間以内なら、多くの場合この催吐処置で助かる確率が高く、食べてからの時間が短いほど救命率は上がります。
もし、犬がチョコレートを食べてしまい、動物病院まで連れて行くのに時間がかかるようであれば、先に動物病院に電話をして、自宅でできる応急処置がないか相談することをお勧めします。自力で吐かせようとすると、吐いたものが気管につまったりした場合にとても危険なので、必ず獣医師に指示を仰ぎましょう。
犬にチョコレートを吐かせた後は、吸着剤などを使って残りのチョコレートの排出を促したり、輸液治療によって水分補給をしたりします。
また、チョコレートに含まれるテオブロミンは、犬の心臓に害を及ぼすこともあるため、その後の不整脈の有無なども観察する場合もあります。
犬も食べられるチョコ「キャロブ」とは?
犬も食べられるチョコレート、と言われる「キャロブ」をご存知ですか?実際にはチョコレートとは別物で、キャロブとは、日本名「イナゴマメ」と言うマメ科の植物です。
◆チョコレートの代用品となるキャロブ
キャロブは、味がココアやチョコレートに似ている為、それらの代用品として用いられます。
キャロブは主に、ユーラシア大陸やアフリカ大陸などの地中海沿岸で栽培されており、国内ではパウダーやチップの状態で購入することができます。最も多く流通しているのはキャロブパウダーで、豆のさやをローストしてパウダー状にしたものを指します。
◆キャロブの様々な効果
キャロブは、チョコレートの原料であるカカオ豆に比べてカロリーが低く、カルシウムや鉄分、食物繊維、タンニン、ピニトールなどが含まれています。また、キャロブには、カフェインやテオブロミンが含まれていないため、犬にも安心して与えることが出来ます。
キャロブに含まれる「ピニトール」とは、血糖値を改善する働きを持った植物成分です。ピニトールは大豆などにも含まれますが、抽出量が少ないため、そのまま食べられるキャロブパウダーが注目されています。
ピニトールの含まれるキャロブは、血糖値の改善や、肝機能の改善効果に役立つと言われています。
◆甘味がありおやつにおすすめ
チョコレートの原料であるカカオは苦い為、チョコレートを作る際は結構な量の砂糖が必要になります。
しかし、キャロブなら、もともと自然な甘さがあるため、砂糖を使用しなくても甘味のある美味しいおやつを作ってあげることができます。
それに加え、キャロブはチョコレートに風味が似ている為、キャロブを使ったお菓子なら、チョコレートに近い満足感を得ることができるかもしれません。
ただし、キャロブをチョコレートと思って食べると、期待とは違ってがっかりしてしまう人も多い様です。風味や滑らかさに違いがあるためでしょう。ですが、それなりにチョコレートに近い味ですし、甘さもあって十分美味しいと感じる人は多い様です。
犬の場合でも、インターネットで検索すると、キャロブを使った犬用レシピが沢山でてきます。愛犬の反応がイマイチな時は、てんさい糖やきび砂糖など、ナチュラルな甘みを少量足してあげると喜ぶかもしれません。
◆キャロブを手に入れるには?値段は?
キャロブは、自然食品店や製菓材料店、通販で売られているのがほとんどで、スーパーや量販店では見つけるのが難しいかもしれません。
キャロブには固形のチップタイプとパウダータイプがあり、チップタイプは取り扱っている店舗が少ないです。一部の自然食品店で取り扱いがあるようですが、同じ系列の店舗でも、店によって扱っていない場合があるので、確認してから買いに行くといいかもしれません。
店舗によって相場が違いますが、100g300円前後のところが多いようです。
パウダータイプは、色々なものに混ぜ込んで使うことが多く、チップタイプに比べると手に入りやすく、値段も比較的安価です。自然食品店で扱っているところもあれば、少し大きな製菓材料店ならわりと見つかります。チップタイプよりも種類が多いので、値段も様々です。
◆キャロブを与える時の注意点
毎年、バレンタインの時期になると、キャロブを使った犬用のおやつが流通します。犬と一緒にバレンタインを楽しみたいときは、愛犬に買ってあげるのも良いかもしれません。
ただ、それを機にチョコレートを欲しがるようになる場合もありますので、くれぐれもチョコレートは与えないように注意してください。
また、チョコレート中毒の心配がないキャロブでも、注意しなければいけないのが食物アレルギーです。
キャロブはマメ科なので、大豆などにアレルギーがある犬は特に注意が必要です。食物アレルギーは、犬種や年齢に関係なく発生し、一般的には高たんぱくな食べ物が原因となることが多いです。痒みや皮膚の炎症、嘔吐、下痢などの胃腸症状、稀に神経症状や呼吸症状が見られることがあります。
最初に食べた時は大丈夫でも、数か月から数年間にわたって同じ食べ物を与えていると症状が表れることもあります。何か不調を感じたら、動物病院で相談しましょう。
これはキャロブだけではなく、他の食材でも同様です。キャロブに限らず、初めての食べ物を与えるときには、少量から試してみて、大丈夫そうであれば徐々に量を増やすようにしましょう。
まとめ
チョコレートに含まれるテオブロミンは、犬にとっては大変危険な成分です。バレンタインの時期はチョコレートを買うご家庭も多いかと思いますが、くれぐれも愛犬に誤飲されないよう注意しましょう。
チョコレートに似た風味のキャロブは、人にとっても、美容・健康・ダイエットに効くスーパーフードと言われていますから、愛犬と一緒に日々のおやつに取り入れてみてもいいかもしれませんね。
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