1.ボクサーの特徴は?
1-1.頑丈な身体を持つ犬「ボクサー」
1-2.ボクサー特有の顔
1-3.断尾・断耳は賛否が分かれる
1-4.ボクサーの起源
4.ボクサーの飼い方・注意点は?
4-1.定期的なブラッシングが必要
4-2.顔やあごの皺の間のケア
4-3.運動不足にならないように注意
【掲載:2018.10.29 更新:2020.10.15】
ボクサーの特徴は?
◆頑丈な身体を持つ犬「ボクサー」
犬の体高は地面から肩甲骨の一番高い部分までの高さで測りますが、ボクサーの体高はオスで57~63cm、メスで53~59cm程です。体重はオスで30kg以上、メスで約25kg程度です。
ボクサーは、短毛で光沢のある滑らかな被毛と、頑丈な身体を持つ犬です。体長と体高が等しいスクエア型の体躯構成をしています。強健な骨格を持ち、見る人にはよく引き締まった印象を与えます。
毛色はフォーン(レッドに近い色)またはブリンドル(トラのような模様)で、顔はブラックマスク。白斑は、全毛色の3分の1以上あってはならず、それ以上の白斑のある個体は、身体的な機能障害を起こしやすいとされています。
◆ボクサー特有の顔
大きな鼻孔と余分なたるみのない厚い口唇などが、ボクサー独特の外観を表しています。マズルは幅広く、歯の噛み合わせは下顎が出ている「アンダーショット」です。
生まれつき自然なままの耳は、頭頂の両側に離れてついており、休息時には垂れていますが、警戒時にははっきりと前方に折れ曲がります。
◆断尾・断耳は賛否が分かれる
日本では、未だに断尾・断耳されたボクサーが多く見られますが、ヨーロッパなどのペット先進国では、動物愛護の観点から、これらが禁止されている地域が多くなっています。ヨーロッパで行われるドッグショーや競技会などの大会では、断尾・断耳されている犬は出場できない場合もあります。
日本でも、少しずつそういった風潮が出始めていますが、世間一般に広まるのにはまだ時間がかかりそうです。現在日本では、断尾・断耳共に任意となっています。
◆ボクサーの起源
ボクサーは、ドイツ原産の犬です。ブラバント地方のブレンバイザー(絶滅した古いブルドッグの一種)の小型の犬が、ボクサーの直接の祖先だと考えられています。
当時、ブレンバイザーの繁殖は主に猟師によって行われ、狩猟に使われていました。
ブレンバイザー達の仕事は、ハウンドドッグ(狩猟犬)によって追い詰められた獲物を捕らえ、猟師が到着するまでそれを確保しておくことでした。そのためには、しっかりと噛む力が必要で、獲物を十分に噛むためのできるだけ大きな口と、しっかりした幅広い歯列を持っていなければなりませんでした。
そこで、繁殖にあたってあらかじめ、作業能力があり、使用目的に応じた犬だけが選択され、幅広いマズル(口唇)と上を向いた鼻を持つ犬が作出されたのです。
1895年ごろ、雑種化されていたブレンバイザー達を統一しようとする動きがドイツで起こり、「ボクサー」という名前が付けられました。この後、約10年かけてボクサーの犬種標準が作成され、1905年ごろにドイツで公式な犬種として登録されました。
ドイツでのボクサーは、警察や軍隊でも活用され、第一次世界大戦時にも様々な用途で活躍しました。赤十字犬としても有能に働いたことが評価され、ボクサーは世界的に広く知られることとなりました。
ボクサーの性格は?
ボクサーは、神経質ではなく自信に満ち、穏やかで、とても安定した基質の持ち主です。ボクサーにとって性格は最も重要で、十分に注意を払わなくてはいけません。
ボクサーは、飼い主や家族に対する敬愛と忠実、また警戒心と防衛に対する勇敢さがよく知られています。明るく活動的で子供ともよく遊び、家族に対する愛情が深い反面、知らない人には強い警戒心を見せることもあります。
従順な性格なので訓練がしやすく、決断力があって勇敢です。欲求が少なく、年をとっても狡猾さや人をごまかすところが無く、信頼がおけます。
ボクサーの値段は?
ボクサーの仔犬は、だいたい20万円前後で売られていることが多い様です。ペットとしてのボクサーであれば10万円前後で購入できる場合もありますが、血統や毛色によっては30万円以上する場合もあります。
ボクサーをペットショップの店頭で見かけることは少なく、初心者向けの犬種ではないこともあり、購入にあたってはブリーダーさんに相談することをお勧めします。
ボクサーの飼い方・注意点は?
◆定期的なブラッシングが必要
ボクサーは、普段のブラッシングとタオルでのふき取り、月に1回程度のシャンプーで、十分清潔に保つことができます。
ブラッシングは、汚れやフケなどを落とすだけではなく、皮膚に刺激を与えて血行をよくする効果もあります。
使用するブラシは、豚毛などの獣毛ブラシがお勧めです。換毛の時期は、ゴムでできたブラシを使うと死毛がよく取れます。
ブラッシングをするときは力をかけすぎず、初めは毛並みに沿って汚れを落とすようにブラシをかけます。次に毛並みに逆らうようにブラシを動かして汚れやフケを浮かせ、もう一度毛並みに沿ってブラシをかけてそれらを落とします。
◆顔やあごの皺の間のケア
ブラッシングが済んだら蒸しタオルで身体全体を拭きます。顔やあごの皺の間には汚れが溜まりやすいので、丁寧に拭きましょう。
また、皺の間は汚れが溜まりやすいだけではなく蒸れやすいので、皮膚に異常がないかどうかこまめにチェックするようにしましょう。
◆運動不足にならないように注意
ボクサーは多くの運動量を必要とする犬種です。ただ近所を散歩するだけではなく、ランニングやボール遊びなどを取りいれ、比較的激しい運動をさせてあげると良いでしょう。
ただし、ボクサーは短吻種であるため、熱中症になりやすい犬種でもあります。夏場は空調に効いた部屋で過ごさせ、特に暑い時間帯の運動は避けましょう。
ボクサーがなりやすい病気は?
◆胃捻転
胃捻転は、胃がねじれる急性の病気です。発症後は早急に治療しないと、拡張した胃が横隔膜、大静脈および門脈を圧迫して心臓や肺に影響を与え、死に至ることもあります。
ボクサーだけではなく、グレートデンやジャーマンシェパード、スタンダードプードル、コリー、ボルゾイなど、胸の深い犬種に多く見られます。
食餌は規定量を守り、あげすぎに注意しましょう。胃拡張や胃捻転を発症したことがある犬は特に注意が必要で、少量ずつ食事回数を増やすことも効果的です。なるべくゆっくり食べさせ、飲水も一回量が多くなりすぎないようにし、食後・飲水後は激しい運動は避けましょう。
ドライフードを与える時は、水やお湯でふやかしたり、ウェットフードに混ぜて与えると良いでしょう。
◆拡張型心筋症
ボクサーの心筋症は、心筋症の中でも少し特異的で「ボクサー心筋症」とも呼ばれます。
心筋症とは、心臓が正常に働かなくなることで、血液がうまく全身に回らなくなる病気です。拡張型心筋症では、心臓が肥大し心室内腔が拡張します。
初期では目立った症状は無く、病気が進行するにつれて失神、不整脈、頻脈、ふらつき、元気消失、肺水腫、突然死などを引き起こします。
拡張型心筋症は、ボクサー、ドーベルマン、グレートデン、アメリカンコッカースパニエルなどが好発犬種で、特にオスに多く見られ、年をとるにつれ発症しやすくなります。
利尿剤や強心薬などの継続投薬と、塩分を抑えた療法食などで心臓の負担を軽くし、症状の軽減を目指します。
◆クッシング症候群
クッシング症候群は内分泌系の異常から起こる病気で、皮膚に異常をきたし、脱毛の激しくなる疾患です。中年から老齢犬に多く、好発犬種はボクサー、プードル、ボストンテリア、ポメラニアン、ダックスフンド、ビーグル、ブリュッセルグリフォンなどです。
多飲多尿、食欲増加、腹部の腫れ、脱毛、皮膚の石灰沈着、筋委縮による活動量の低下などが特徴的な症状です。
クッシング症候群は慢性的な病気で、継続的な投薬治療が必要になります。
◆軟口蓋過長
軟口蓋とは、口腔内の天井部から後方に伸びた柔らかい部分のことを指します。この軟口蓋が通常よりも長いことで、呼吸の異常がでる病気を「軟口蓋過長症」といい、ボクサーやブルドッグなどの短吻種の犬に多く見られます。
呼吸時にいびきの様な雑音が聞こえたり、頻繁に開口呼吸をするような場合は注意が必要です。誤嚥、吐き気、気管虚脱が見られる場合もあります。
太っている犬ではダイエットが治療に効果的です。先天性の疾患で、外科手術が一般的な治療になります。外科的に軟口蓋を切除することで症状は改善し、若いうちの手術の方が予後は良好です。
ボクサー犬に関するまとめ
ボクサーは、飼い主に忠実で愛情深く、作業能力も高い素晴らしい犬ですが、身体が大きく力も強いため、しっかりと躾をしなければいけません。厳しい躾ばかりではなく、メリハリをつけて根気強く犬と向き合うことで、信頼関係を結ぶことができるでしょう。
これからボクサーを飼いたいと思っている方は、ボクサーの飼い方や起こりうる病気など、よく勉強してから飼い始めるようにしてください。最初のうちは、犬の訓練所などで犬と飼い主が一緒に躾の勉強をするのもお勧めです。
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