ペット可の賃貸を借りるときの注意点
◆ペット可賃貸物件とは?
ペット可賃貸物件とは、ペットと一緒に住むことが許可された物件のことです。
ただ、物件によってペットに関する規約や審査内容が大きく異なり、頭数や大きさに制限があったり、猫は不可であったりします。事前にペット可物件の規約について十分に説明を受けた方が良いでしょう。
また、敷金や礼金を多めにとられるケースも多い様です。ペット可物件で増える金額は、だいたい1か月分というところが多い様で、追加になった敷金は「償却」となって退去時に戻ってこないことが多くあります。
家賃も、同条件の一般の物件に比べると高めに設定されています。
物件によってはペットの面接が必要となる場合もあり、中型犬まではOKだけど大型犬はダメ、大型犬はダメだけどおとなしい犬ならOKなど、大家さんの判断次第でOKになる場合もあります。
ペット可物件だけではなく、周りにお散歩できるコースがあるか、病気になったら連れていける動物病院があるか、なども判断材料に加えると良いでしょう。
◆ペット可賃貸物件の2タイプ
ペット可賃貸物件には、大きく分けて2種類あります。
①初めからペットと同居することを前提に作られたペット可賃貸物件。
②途中から付加価値としてペット可になった賃貸物件。
初めからペット可の物件であることを前提として作られている場合、ペットを飼う上で便利な設備が備え付けられていることが多く、非常に便利です。
例えば、散歩時の愛犬の排泄物を流すことが出来るペット専用トイレや、ペット用の足洗い場、敷地内に専用ドッグランが併設されている場合もあります。
室内では、床に滑りにくいフローリング加工がされていたり、ペットの鳴き声対策として遮音性の高い壁の作りになっていたり、それぞれの物件によって様々です。
さらに、獣医師やトレーナーに無料相談ができるサービスがついていたり、定期的に飼い主向けの様々なイベントやセミナーが開催されるペット可物件もあります。
ただ、こういったペット共生型賃貸物件は、一般的な賃貸物件に比べて設備や構造がしっかりしているため、家賃が高いのがデメリットです。
一方、途中からペット可になった賃貸物件は、なかなか借り手が決まらず、空室であった期間が長い物件が多い様です。部屋自体に問題がなくても、駅から遠い、買い物に不便、建物が古いなどの理由から、付加価値としてペット可に変更することがあります。
もともとは一般的な賃貸物件であったため、当然ペット用の設備はついていませんし、ペットを飼っていない方が住んでいる可能性も高いです。ペット可に変更された時期が最近であればあるほど、鳴き声や匂いなどの問題で他の住民の方とトラブルになる可能性が高くなります。
ペット共生型の賃貸物件に比べれば、家賃は格段に安くなりますので、条件をよく確認して選ぶことが大切です。
ペット可の賃貸を退去する時の注意点
◆退去時に必要な「原状回復」とは?
通常、賃貸物件を退去する際は「入居した時と同じような状態に戻すこと」が必要となり、ペット可物件であっても同じです。これを「原状回復」と言います。
退去時の原状回復をめぐるトラブルは年々増加しており、契約や退去の際に貸す側と借りる側の双方が、あらかじめ一般的なルールを知っておくべきとされています。入居時契約時に負担分担について明確にし、写真をとるなどして入居時の物件チェックは詳細に残しておきましょう。
通常、建物は人が住んでも住まなくても、ある程度は劣化していきます。そのため、退去時に借りた当時の状態に戻す義務はありません。
賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、故意・過失など通常の使用を超えるような使用による損傷を復帰することが退去時の原状回復の定義です。
◆ペット可賃貸物件の場合の原状回復
ペット可賃貸物件を退去する場合、ペットによる柱棟の傷、臭いなどは賃借人負担と判断されることが多いです。
ペット可物件は増えてはいますが、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットのしつけや排泄物の後始末などの問題でもあることから、柱や壁等に傷がついたり臭いが付着している場合は、通常の使用による結果とは言えず、退去時に原状回復を求められるのです。
ペット可物件であるからといって傷をつけたり汚したりしていいわけではないので、注意しましょう。
しかし、ペットのしつけはなかなか難しく、失敗や粗相はつきものです。ペットと一緒に暮らすと、どうしても部屋の劣化は早くなってしまいますので、初めから退去時の修繕費用は高くなると想定しておいた方が良いでしょう。
◆床と壁の傷や汚れに注意
ペット可物件で暮らす中で注意するべき箇所は、床(フローリング)と壁です。
いくら爪を切っていても、犬や走り回れば必ず床に傷がつきます。また、つるつるのフローリングを走り回ることは、犬の関節にも負担がかかり、良くありません。
ペット可の物件に住む場合は、布やコルク素材などでできたカーペットを敷き詰めるのがお勧めです。1枚でできた大きなものではなく、取り外しが可能な組み合わせるタイプのものを使うと、汚れた個所だけ洗えるので便利です。
また、犬は壁を傷つける子が多く、齧ってボロボロにしてしまいます。犬の場合、少し壁紙がはがれると面白がってエスカレートし、大きな傷にしてしまいます。これに加え、マーキングによって臭いがついてしまった場合も退去時の修繕対象です。
汚してしまった場合はなるべく早く掃除・消臭をし、噛むおもちゃなどのアイテムを上手に活用して壁に興味を持たせないようにしましょう。部屋が広い場合には、フェンスやサークルなどを使ってペットが行動できるスペースを制限すると、汚れや消臭対策をする場所を減らすことができます。
ペット可の賃貸で起こりうるトラブル
ペット可の賃貸物件であったとしても、ペットを飼っていない人も住んでいる場合があり、そういった場合特にトラブルが起きやすくなります。
ペット共生賃貸物件では、ほぼ全世帯でペットを飼っていることに加え、ペット用の設備が整っていること、ペットと一緒に暮らす上で意識の高い人が多いなどの理由から、住民同士のトラブルは比較的起きにくいようです。
飼い主がペットを躾けられない、また飼い主自身もマナーが悪い場合も、トラブルは起きやすくなります。
◆ペット可物件でのトラブル:鳴き声などの騒音
ペット可の物件であっても、犬の鳴き声、無駄吠え、足音などの騒音は、トラブルになりやすいようです。
ペットと一緒に暮らすことを目的としていないペット可物件では特に、壁や床が薄かったり、音が漏れやすかったりします。ペットを飼っていない人はそういった鳴き声や物音を気にする方も多いので、飼い主が注意を払う必要があります。
足音や物音が気になる場合は、遮音性の高いマットを敷くなどして工夫してみましょう。また、どうしても躾が難しいと感じる場合は、プロのトレーナーや訓練士に相談するのも良いでしょう。
◆ペット可物件でのトラブル:ペットの体臭や排泄物の臭い
ペット可物件に限らず、愛犬は定期的にシャンプーをして、不衛生にならないように注意しましょう。飼い主はそれほど気にならなくても、他の方からすると犬の体臭は臭いと感じることがあります。
犬は外で遊ぶのが大好きですので我慢させる必要はありませんが、衛生面を客観的に判断し、他の住民の方に見られても不快感を与えない程度にこまめに手入れをしてあげるべきでしょう。
また、自宅の中だけではなく、共同スペースである階段やエレベーターなどで粗相をさせないように注意しましょう。一度粗相をしてしまうとなかなか完全には臭いは取れませんし、他の犬もその場所で粗相をしやすくなってしまいます。
自宅内の粗相も、汚れや臭いがひどい場合には、退去時に修繕費を請求されることもありますので注意しましょう。トイレのしつけが完全に終わるまでは、むやみに室内で自由にさせないほうが良いかもしれません。
◆ペット可物件でのトラブル:規約違反
ペット可の賃貸物件では、それぞれの物件ごとに、色々な規約が設けられています。飼って良いとされるペットの大きさ、種類、頭数にも制限があることが多く、それを超えてペットを飼育することは規約違反です。
野良猫を拾ってしまった、知人から預かっている、愛犬が出産したなど理由が一時的な場合であっても、鳴き声や騒音などで近隣の方とトラブルになる可能性があります。
やむを得ない理由がある場合は、管理人の方に相談して了承を得るようにしましょう。
◆ペット可物件のトラブル:飼い主のマナー不足
ペット可物件では、飼い主のマナー不足によってトラブルを引き起こす場合があります。
ベランダで犬を放し飼いにしたり、排泄させたりするのは止めましょう。両隣の部屋まで臭くなったり、糞尿が排水口に流れることで、階下の排水口まで臭くなることがあります。
また、共有スペースに犬のケージなどの私物を置くと他の住民の方の邪魔になります。共有のごみ箱に犬の糞や毛を捨てるのもマナー違反です。
自宅で犬をシャンプーした場合、ベランダでドライヤーをかけたりすると、毛が他の住居のベランダなどに飛んでトラブルになることもあります。
まとめ
ペット可物件に多いトラブルの事例を幾つかあげましたが、こういった細かい問題は規約に書かれていないことも多く、飼い主さんの判断に委ねられている場合が多いです。ペット可物件であっても自分本位で判断せず、他の住民の方の立場に立って、お互いに気持ちよく生活ができるように気を付けましょう。
また、愛犬が若いころは問題がなかったとしても、年をとって介護が必要になると、夜泣きが続いたり、排泄がトイレでできなくなったりすることがあります。自分の愛犬であれば気にならなくても、他の方にとっては好ましくない場合もありますので、よく注意しましょう。
日頃から近隣の方とよくコミニュケーションを取っておくことも大切です。
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