犬の血統書の見方を知ろう!どんなことが記載されているの?

2020.05.28

犬の血統書の見方を知ろう!どんなことが記載されているの?

飼っている犬種にもよりますが、自宅で血統書を保管している家庭も多いのではないでしょうか。この血統書、犬にとって人間でいう戸籍のようなものなのですが、実際に見てみると複雑で、見方が分からない方も沢山いると思います。 今回は、そんな血統書について、紹介していきます。発行はどこがしているのか、何が記載されているのか…気になりますよね。血統書の見方を覚えると、愛犬のことがもっと理解できるかもしれませんよ!

【目次】
1.犬の血統書は誰が発行するの?
 1-1.血統書登録団体としてはJKCが有名
 1-2.血統書のメリットは?

2.犬の血統書には何が書いてあるの?
 2-1.犬種名などの個体に関する基本情報
 2-2.血統を示す「血統図」

3.犬の血統書の見方は?
 3-1.犬名
 3-2.犬種
 3-3.登録番号
 3-4.性別
 3-5.生年月日
 3-6.毛色
 3-7.DNA登録番号
 3-8.ID番号
 3-9.股関節評価・肘関節評価
 3-10.繁殖者
 3-11.所有者
 3-12.譲渡年月日
 3-13.父親の血統図
 3-14.母親の血統図
 3-15.登録日
 3-16.出産頭数
 3-17.登録頭数
 3-18.一胎子登録番号
 3-19.チャンピオン賞歴
 3-20.DATE ISSUED
 3-21.4第祖血統証明書発行申込書

4.犬の血統書の見方に関するまとめ

【掲載:2018.09.01  更新:2020.05.28】

犬の血統書は誰が発行するの?

画像①

血統書とは、犬種の特徴を保存するために管理・発行されている血統証明書のことです。

◆血統書登録団体としてはJKCが有名

国内では、血統書の発行の90%をJKC(一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ)が行っています。世界的に犬を管理する団体としてFCI(国際畜犬連盟)がありますが、JKCもこの組織に加盟しています。

FCIは、犬種グループの分類を決める他、全世界各国の団体管理も行っており、犬組織の中で一番大きい団体です。

他にも、アメリカではAKC、イギリスではKC、オーストラリアではANKCなど、国内ではJCC(日本コリークラブ)やPD(日本警察犬協会)の独自団体も存在します。

これらの団体が純粋犬種を管理し、犬質の高い犬の繁殖に必要な祖先犬の情報を「血統書」という形で発行・提供しているのです。

◆血統書のメリットは?

ちなみに犬をペットとして飼う場合、血統書自体の法的所有義務はありません。ですから、もちろん血統書を持っていない飼い主さんも中にはいるでしょう。
しかし、血統書は持っていることで利点の多い証明書でもあります。

例えば、ドッグショーなどに参加する場合に血統書が必要であったり、近年ではペット保険の加入時に、生年月日を確認する書類として必要となることもあるようです。

何より、飼い主さん自身が、愛犬の血統に関する情報を得られます。人間でいう戸籍ともいえる証明書、やはり家族の一員として見ておきたいですよね。


犬の血統書には何が書いてあるの?

それでは、その血統書にはどんなことが記載されているのか、紹介していきましょう。

◆犬種名などの個体に関する基本情報

血統書には、その子の情報や祖先に遡っての血統図などが記載されています。

その子の基本情報として、犬名や犬種名、登録番号、性別、生年月日、毛色など。出生情報として繁殖者や所有者、裏面を見れば一緒に産まれた兄弟犬の頭数までもが分かるのです。

更に、登録がされていればDNAやID番号が記載されていたり、これは任意によるものですが股関節・肘関節の遺伝性疾患評価が記載されている場合もあります。

◆血統を示す「血統図」

それらの情報の他に、実際に血統書を見ると大きく目を引くのは血統図ですよね。

血統書は、純粋犬種の保存・管理を目的として発行されているので、もちろん重要なのはその血統が分かるという点です。3代祖血統書の場合、その血統の3代前までの情報が記載されています。

純粋犬種とは、その子自身はもちろん、両親から祖先まで、血統書によって同一犬種であることが証明されなければいけません。

また、純粋犬種繁殖の際には、優れた犬質や維持向上のために、それぞれに定められた犬種標準(スタンダード)に近くなることを目標とする必要があります。

様々な資質がどう受け継がれるかを研究するため、祖先まで遡って過去の繁殖を知り、交配相手を決める上での重要な資料となることが、血統書の大きな役割だといえるでしょう。


犬の血統書の見方は?

犬の血統書の見方
出典:血統書の見方について

実際に血統証明書を目にしてみると、英字が混ざっているし見方がよく分からない、という感想を持つ方も少なくないでしょう。

血統書は犬にとって人間でいう戸籍の様なもの。前述した通り、その子の情報や祖先の情報が記載されているのですが、何が書いているのかを事前に知っていないと、確かにその見方は分かりにくいですよね。

それでは、血統書の見方を項目ごとに詳しく紹介していきましょう。見方を覚えることで、それまで知らなかった愛犬の情報が得られるかもしれませんよ!

– <血統書の表面> –

◆犬名

繁殖者が付けた正式な名前の他、生まれたブリーダー犬舎が記載されています。

例えば「〇〇〇of△△△△JP」と記載がある場合、〇〇〇が犬の名前で、△△△△がブリーダー犬舎です。JPは、犬舎名が国際犬舎名登録されていることを示しています。

ちなみに犬舎名が前にくるケースや、犬名の上の行にチャンピオンタイトルが入る場合もあるそうです。

犬名は、英字で35字以内(ケネルネーム含む)と決められています。また、繁殖者が付けた血統書上の犬名と別に、コールネーム(呼び名)を血統書に記載することも可能です。

◆犬種

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出典:血統書の見方について

その子の犬種名が記載されています。

◆登録番号

犬籍登録上の通し番号が記載されています。JKCの場合、JKC+犬種記号(アルファベット)+5桁の英数字+年号(下2桁)で構成されています。

犬種記号とは、全ての犬種につけられた固有の省略記号のことです。(例:ポメラニアン⇒PO、ビーグル⇒BEなど)

ちなみに年号の後ろに「-O」が付いている場合は、他団体(海外含む)からの単犬登録であることを示すそうです。
また、各種訓練試験に合格している場合には、登録番号の後ろにCD(家庭犬訓練試験)、GD(警備犬訓練試験)、BH(同伴犬訓練試験)などの記号が記されています。

◆性別

犬の性別が記載されています(MALE⇒オス、FEMALE⇒メス)。

◆生年月日

犬の生年月日が記載されています。

◆毛色

犬の被毛のカラー名が記載されています。例えば、CHLT(チョコレート)、RD(レッド)、BLK(ブラック)、TN(タン)、TRI(トライ)などというように表記されます。

◆DNA登録番号

採取されたDNAデータの登録番号が記載されています。血統書の信頼性向上、正確な血統登録を目的として、DNA登録が実施されているのです。

ちなみにDNA検体採取には、専用ブラシで口腔粘膜(頬の内側の粘膜)を採取する方法が用いられているそうです。登録されたDNAデータは、繁殖者の申請書に基づいた登録犬の個体識別を目的として管理されます。

◆ID番号

マイクロチップ(またはタトゥー)による個体識別番号が記載されています。ID番号を登録することで、血統書と登録犬の不正な入れ替えなどを防ぐことができ、血統書が本物であることを確認できます。

マイクロチップとは、固有の識別番号が記録されたチップを頸部皮下に埋め込み、読取機器(リーダー)で番号を確認する方法です。タトゥーとは正に入れ墨のことで、識別番号を耳(または腹部)に入れ墨する方法です。

これらいずれかの個体識別登録を行い、血統書にこの番号を記載することで、血統書と登録犬との整合がとれるのです。

ちなみに輸出血統証明書の発行には義務付けられていて、その他の登録においては所有者の任意による申請となります。

◆股関節評価・肘関節評価

股関節・肘関節の遺伝的疾患のかかりやすさを評価した結果が、所有者の任意で記載されています。

犬の代表的な遺伝性疾患である、「股関節形成不全症(HD」「肘関節異形成症(ED)」の減少を目的として、特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)の協力の元、評価結果を血統書に記載して繁殖の指針としているのです。

関節炎の確率が高いとの評価がなされた場合には交配を控える、反対に関節に異常が見られないとの評価を受けた犬同士、また疾患の発症がない犬同士や発症していない家系(ライン)を選んで繁殖することが、HDやEDを減少させるために重要だと考えられています。

◆繁殖者

繁殖を行った人の名前・市町村が記載されています。

◆所有者

登録上の所有者名・市町村が記載されています。所有者欄が新しい所有者(飼い主さん)になっていない場合は、名義変更の届出をすることで正式な所有者として登録され、新たな所有者が印字された血統書が届きます。

ただし、クラブ会員となる必要があるため、年会費などが発生します。

一般的な家庭犬としては、名義変更手続きをする必要はあまり感じられませんが、ドッグショーや訓練競技会などへの参加、繁殖をする場合には名義変更が必須となります。

血統書発行日から6ヶ月以内か以降かで登録料金は大きく変わりますが、手続き自体はいつでもできるのでよく検討しましょう。
所有者名義変更届は、血統書の裏面にあります。

◆譲渡年月日

新しい所有者が「所有者名義変更」を済ませると、譲渡日の日付が記載されます。名義変更届の「所有した日」欄に記入した日付が譲渡年月日として記される日付となります。

◆父親の血統図

Certified+Pedigree1-(3)
出典:血統書の見方について

その子の父親の犬名・登録番号・生年月日・毛色の記載がされ、更に遡って祖父母、曽祖父母までの同項目が記載されています。

血統図をよく見ると、個体ごとに数字が記載されています。1番は父親、3番は父方の祖父、4番は父方の祖母、7~10番は更にその曽祖父母となります。

◆母親の血統図

父親の血統図同様、同項目が親子三代前まで遡って記載されています。

2番は母親、5番は母方の祖父、6番は母方の祖母、11~14番は更にその曽祖父母となります。

– <血統書の裏面> –

◆登録日

裏4

その子が登録された日が記載されています。

◆出産頭数

一緒に産まれた兄弟(一胎子)数が、性別ごとに記載されています。例えば、一緒に産まれた兄弟がオス1頭、メス3頭であった場合には、「牡1 牝3」という形で表記されます。

◆登録頭数

血統書に登録された頭数が記載されています。出産後に兄弟が亡くなっている場合には、出産頭数と登録頭数の数字は合致しません。

◆一胎子登録番号

同じ母犬から生まれた子犬たちに付けられた番号が記載されています。実はこの番号と愛犬の登録番号をみれば、愛犬が何番目に産まれた子かが分かるのです。

この番号は産まれた順に付けられているので、例えば愛犬の登録番号が「01113」だとして、一胎子登録番号が「01111-01113」となっていた場合。その子は3番目に産まれた末っ子だということが分かります。

◆チャンピオン賞歴

チャンピオン賞歴がある場合、取得したチャンピオンの種別と登録日が記載されます。

◆DATE ISSUED

血統書の発行日が記載されています。

◆4第祖血統証明書発行申込書

裏6

JKCでは更に詳細な血統管理のため、4第祖血統証明書の発行もしています。発行希望手続きをする場合の申込書がこの欄になります。


犬の血統書の見方に関するまとめ

愛犬の大切な情報が記載された血統証明書。見方が分かれば、愛犬のことをもっとよく知ることができます。お手元にある飼い主さんは、是非一度、見返してみてくださいね。



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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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