愛犬が人を噛んだ!治療費や慰謝料、お詫びはどうする?個人賠償責任保険は対象?

2020.05.22

愛犬が人を噛んだ!治療費や慰謝料、お詫びはどうする?個人賠償責任保険は対象?

普段は大人しく飼い主さんに従順な性格の犬でも、様々な理由から人間を噛んでしまうことがあります。もしあなたの愛犬が他人を噛んでしまい、噛まれた方に治療費や慰謝料を請求された場合どうしますか? 今回はそんな緊急時に役に立つ情報として、手当の方法から個人賠償責任保険に関してご紹介していきます。

【掲載:2019.01.15  更新:2020.05.22】

愛犬が他人を噛んでしまったら罪に問われる?

愛犬が他人を噛んだ

もし、あなたの愛犬が他人を噛んでしまった場合、どのようなことが起きるでしょうか。

噛まれた被害者が告訴した場合、「過失傷害罪」という罪に問われてしまいます。「過失傷害罪」に問われると、30万円以下の罰金または科料に処されてしまうのです。

「犬が噛んだくらいで…」と思う方もいるかもしれませんが、動物愛護管理法では「人に迷惑をかけないように」と定められていて、民法では「飼い犬が噛んだ場合賠償責任は飼い主にある」と定められているんですよ。

つまり、「飼い犬のトラブルは全て飼い主の責任である」という事です。


愛犬が他人を噛んだ・危害を加えたときの対応手順

愛犬が他人を噛んだ時の手順

以上の事を踏まえた上で、愛犬が他人を噛んでしまった場合の手順を紹介いたします。

◆噛まれた方の応急手当

愛犬が他人を噛んでしまった場合、まず一番にするべき事は噛まれた方の治療です。出血していてもしていなくても、傷口を洗浄するなどの応急手当をしましょう。その後、速やかに病院を受診して下さい。

被害者の方を応急手当する際や対応する場合には、愛犬をどこか安全な場所へ繋いでおく事を忘れないで下さい。自宅が近い場合は自宅へ戻し、愛犬を預けることが出来る方が近くにいる場合には預かってもらいましょう。

ただし、犬は人を噛んだ事で更に興奮している可能性もありますので、飼い主さんや預かってくれる人も噛まれてしまう可能性があります。二次被害を起こさないように十分注意しながら愛犬の退避を行なって下さいね。

◆病院に同行する

愛犬を退避させ応急手当を行なったら、噛まれた方に病院へ行ってもらうのですが、出来る限り病院へは飼い主も同行しましょう。同行する事で噛まれた方のケガの程度を把握するだけでなく、担当する医師に愛犬が接種してあるワクチンの種類を説明する事が出来ます。

病院代も飼い主が負担する事になりますので、同行した方が支払いも被害者に立て替えてもらわずに済みます。

何より噛まれた方のケガが心配でしょうし、同行する事で謝罪する誠意もより伝わりやすくなるでしょう。

◆支払いは飼い主負担

愛犬が他人を噛んでしまい、噛まれた相手が病院を受診した際の支払いは、全額飼い主負担となります。犬に噛まれた場合に病院を受診すると、支払いは2パターンに分かれます。

①全額自己負担
②窓口で3割負担の後に後日7割分の請求が来る

①の全額自己負担の場合ですと、受診後の会計の際に全額飼い主負担で支払う事となります。
ちなみに飼い主が分かっている犬に噛まれて受診した場合の会計は、健康保険の適応はされませんので、文字通り「全額自己負担」となるわけです。

②の窓口で3割負担し後日7割分の請求が来る場合は、受診時に被害者の健康保険で診察をしてもらうため、会計時の3割を飼い主が負担します。3割の負担は普段風邪などで受診した時と同じですよね。

そして後日、健康保険協会が立替えていた分の7割が請求される手順になっています。

①の場合でも②の場合でも、最終的には飼い主の全額自己負担となります。

治療が一度で終わることは珍しいですから、通院した分の病院代ももちろん全額飼い主負担となります。通院費だけでなく、「病院への交通費」はもちろん全額飼い主が支払うものとなります。

中にはケガにより仕事を休んでしまった場合の「休業補償」「慰謝料」を請求されてしまった!というケースも当たり前のようにあります。このような時のためにも、「個人賠償責任保険」という物に入っておくと安心です。

◆保健所へ連絡する

飼い犬が他人を噛んだ場合、24時間以内に「飼い犬の咬傷届」を管轄の保健所に提出する義務があります。

「保健所へ咬傷届を出す」と聞くと、「殺処分されてしまうのでは…」と考えてしまいますが、大丈夫です。まずは保健所からの聞き取り調査や、今後二度とそのような咬傷事故が起きないための対策方法などの指導があります。

これは、犬を飼う全ての飼い主の義務です。愛犬が人を噛んだ際には、必ず24時間以内に管轄の保健所へ「咬傷届」を提出しましょう。

◆獣医を受診する

愛犬が他人を噛んでしまった場合、管轄の保健所へ連絡するだけではなく、48時間以内に獣医師の診察を受ける事も義務付けられています。狂犬病やその他の感染症に掛かっていない事を検査し、検査証明書を発行してもらいます。

発行してもらった検査証明書は管轄の保健所と被害者へ提出する必要があります。

◆話し合い

噛まれた方も噛んだ犬の飼い主も、事故が起きたばかりの時は気が動転しています。そのため、被害者の治療がある程度進み落ち着いてきた頃合いをみて、話し合いの場を設けると良いでしょう。

しかし中には、「なぜすぐに話し合いに来ないんだ!」という方もいますよね。更なるトラブルに発展しないよう、事故が起きてからすぐに謝罪をし、最初に誠心誠意償う意志を見せておくことはとても大切です。

その際に一言、「落ち着いた頃に話し合いの場を下さい」と声を掛けておくと良いですね。


他人の犬に噛まれた・被害を受けたときの手順

逆に、他人の犬に噛まれた場合は、以下のような対応を取りましょう。

◆飼い主の連絡先を聞いた上で病院へ

被害者側の方の手順としては、噛まれた場所の応急手当をした後、噛んだ犬の飼い主に病院を受診する事を伝え、病院へは出来る限り飼い主に同行してもらうようにして下さいね。

その際に、飼い主の名前や住所、連絡先を聞いておきましょう。また、病院の受診料や薬代、交通費は必ず飼い主に負担してもらって下さい。

◆健康保険を利用することもできる

一度で治療が終わらず通院する事になった場合、加害者側の飼い主が毎度病院に同行することが難しい状況になるはずです。
そのような状況で受診すると、毎回毎回全額被害者の立替えてとなり、経済的にも精神的にも苦しいですよね。

しかし、そのような場合に一時的に健康保険を利用することが出来る方法があります。

・第三者等の行為による傷病(事故)届
・念書
・負傷原因報告書
・同意書
・損害賠償金確約書・念書

この5つの書類を提出し、健康保険協会(組合)へ連絡を入れれば、窓口での支払いを3割負担とする事ができ、後日この3割を飼い主に請求します。
つまり、被害者の方が会計窓口で立替えて出す金額は3割ほどになるので、かなり助かりますよね。

後日残りの7割は健康保険協会(組合)から飼い主へと請求が行くような仕組みとなっていますので、万が一被害者になってしまった際にはぜひ利用して経済的・金銭的な負担を減らす事をオススメします。

病院での治療の後は、加害者の方との話し合いとなります。無茶すぎる要求はもちろん却下されてしまいますが、自分の意志ははっきりと相手に伝えましょう。


慰謝料を請求されたらどうすればいい?慰謝料を請求するには?

◆慰謝料を請求された場合

どんなに誠心誠意対応していても、慰謝料などの賠償金を請求されてしまう事ってありますよね。

慰謝料などは時には数百万円にもなる場合もありますし、交渉が決裂してしまうと訴訟となり、愛犬の殺処分を求められてしまう事にもなりかねません。

このような時のために、犬を飼ったら個人賠償責任保険などの保険に入っておく事を強くオススメします。

被害者側に慰謝料を請求されてしまった場合に、保険会社が被害者と加害者の間に入って話し合いをしてくれるので安心です。

「保険に入っていないけど高額な慰謝料を請求された!」という場合ももちろんあります。そのような場合には無理に自分で解決しようとせず、弁護士に相談するか行政書士にアドバイスをもらうようにして下さいね。

◆慰謝料を請求する場合

被害者側として慰謝料を請求する場合、いくらくらい請求しても良いのか分かりませんよね。

犬の咬傷事故の慰謝料の相場は約10万円となっています。しかし、過去に犬による死亡事故で5000万円の慰謝料が支払われた事もあります。

慰謝料は事故の重大さにより異なってくるので、請求したいけれど分からない場合には、弁護士や行政書士に相談してみると良いでしょう。


個人賠償責任保険は犬による事故も対象?

個人賠償責任保険って何?と考えたと思いますが、実は意外と身近な保険です。自動車や生命保険などの保険の特約でこの個人賠償責任保険を付けている方は多いのではないでしょうか。

「えっ、自動車保険の特約で犬の事故も保障対象なの!?」とビックリしますよね。はい、対象になります。

個人賠償責任保険は、「他人の物を壊したとき・他人をケガさせてしまったとき」に保障される内容の保険です。飼い犬の咬傷事故は「他人をケガさせてしまったとき」にあたりますので、対象となるのです!

主な保障内容は、

・被害者の治療費全額
・被害者の病院までの交通費
・お詫び金

などとなります。場合に寄ってはケガによる休業の休業保障も出る場合があるようです。

加害者となってしまった飼い主さんには、とても助かる保障ですよね。経済的に助かるだけでなく、被害者・加害者共に保険会社でやりとりを行なってくれる事が多いので、精神的な負担も少なくなります。

ただし、自分から犬を触りに行って噛まれた場合には100%は保障してもらえない場合があるそうなので、そこは注意して下さいね。


犬が人を噛んでしまった時に関するまとめ

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愛犬が万が一人を噛んだ場合に備えて、今から個人賠償責任保険に入っておくと安心ですね。

まずは、このようなトラブルが起きないように、日頃から愛犬をしっかり飼育管理していきましょうね!



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ちょば

ちょば

わんちゃん大好き人間です。動物の専門学校にて様々な資格取得後トリマーやペットショップの店長を経験しました。たくさんの方に楽しいワンワンライフを送っていただくため、持てる知識と経験をフルパワーで提供していきたいと思います。


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