【獣医師監修】犬の真菌症の原因、治療法、予防法は?人間にもうつる?

2021.05.20

【獣医師監修】犬の真菌症の原因、治療法、予防法は?人間にもうつる?

皆さんは「犬の真菌症」という言葉を聞いた事がありますか?真菌とは、皮膚糸状菌という皮膚に生えるカビに似ている形態を持っている、胞子状の菌の事を言います。真菌症とはその菌が犬の皮膚に感染する事で起きる感染症の事なのですが、愛犬がもしも真菌症に感染してしまった場合、あなたはどうしますか? 今回は、犬の真菌症の原因や治療法、予防法についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみて下さい!

【目次】
1.真菌症とは?原因は?
 1-1.激しい痒みや脱毛が現れる「真菌症」
 1-2.抵抗力の低下などが原因となる
 1-3.子犬の感染率が高い!

2.真菌症は人にもうつる?
 2-1.人への感染に注意!!
 2-2.愛犬が真菌に感染してしまったら・・・

3.真菌症の治療法は?
 3-1.真菌症の治療法①服薬
 3-2.真菌症の治療法②シャンプー

4.真菌症の予防法は?
 4-1.真菌症の予防法①シャンプー後はしっかりと乾かす
 4-2.真菌症の予防法②体調が悪い時は他の犬との接触は控える
 4-3.真菌症の予防法③清潔に保つ
 4-4.真菌症の予防法④真菌症の感染動物に接触しないように気を付ける

5.犬の真菌症に関するまとめ

【掲載:2019.02.11  更新:2020.2.28/2021.05.20】

真菌症とは?原因は?

犬の真菌症

◆激しい痒みや脱毛が現れる「真菌症」

真菌症とは、胞子状の真菌を原因とする皮膚病です。

真菌症に感染してしまうと「リングワーム」と呼ばれる円形状の脱毛が見られるようになります。症状が重くなってくると円形の脱毛が全身に広がってしまいます。

症状が軽いうちの痒みはあまりありませんが、症状が重くなるにつれて痒みも強くなってしまいます。

◆抵抗力の低下などが原因となる

次に真菌症の原因となる真菌について詳しくご説明いたします。

真菌とは、カビに似ている形態を持っている胞子状の菌の事です。真菌は目の周り、耳、顔、口、脇の下などの比較的皮膚が柔らかい所に現れます。

この真菌ですが、実は犬の皮膚に常在しています。抵抗力が下がっている時や真菌症に感染している犬に接触してしまった場合に真菌が繁殖していき、真菌症を発症してしまう事が原因のようです。

◆子犬の感染率が高い!

真菌症は、子犬の頃に感染、発症する事が多い病気です。特に真菌症に感染するリスクが高い時期は、生後間もない頃が最も多いとされています。

なぜ子犬の感染率が高いのかと言いますと、子犬の頃は免疫が十分ではないため、より感染しやすい状態であるからと考えられます。

また、子犬の頃は母犬や他の子犬と多頭飼育されている事が多いため、母犬や他の子犬が真菌症に感染している場合に感染するリスクが高くなる事も考えられる原因の一つでしょう。


真菌症は人にもうつる?

kin_kabi<

◆人への感染に注意!!

実は、真菌症は人にも感染してしまいます。発症する部位としては、犬に接触する腕や首のまわりが多いようです。

感染してしまう原因としては、真菌症に感染している動物に接触してしまう事による接触感染が原因となります。特に犬と接触する機会の多い女性や子供に発症率が高いようです。

人が真菌症に感染してしまうと、たむしや水虫といった感染症を発症します。真菌は皮膚の垢や被毛のタンパク質を栄養源としているため、感染してしまうとどんどん増殖してしまう厄介な感染症です。

また、犬や人だけでなく猫にも感染してしまう感染症になりますので、猫を一緒に飼っている方は猫に真菌症が移ってしまわないように注意が必要です。

◆愛犬が真菌に感染してしまったら・・・

真菌症に感染してしまった場合、周りの犬や人間に感染してしまう可能性があり、怖いですよね。そこで、愛犬が真菌症に感染してしまった場合の注意点をいくつか紹介します。

・感染した犬の使用している毛布やベッド、マットをこまめに洗濯、殺菌する。
・感染した犬の使用しているハウス、サークル、ケージもこまめに殺菌、洗浄する。
・カーペットは洗濯出来る物に変える。
・感染した犬に接触した場合は手洗い、殺菌消毒する。
・出来る限り使い捨てが出来るものを代用し、菌が付着したものを処分できるようにする。
・感染中は犬のいる場所を制限し、菌が広範囲に付着する事を防ぐ。

以上の注意点をしっかりと守り、他の犬や飼い主への二次感染を防ぎましょう!


真菌症の治療法は?

168da227ade179c510b18e8ccf49f6b2_s

真菌症を感染してから発症するまでの期間は、犬ごとに違ってきます。なぜ犬ごとに期間のずれがあるのかと言うと、体質の問題や飼育環境などの違いから生じるものになります。

では、真菌症の治療法をご紹介していきたいと思います。真菌症の治療法は主に2種類あります。

◆真菌症の治療法①服薬

動物病院を受診して真菌症と診断された場合、薬を出される事がほとんどです。

その場合、抗真菌薬や抗生物質などの薬を出されます。薬によって菌を抑え、痒みを抑える効果があります。また、塗り薬が処方される場合もあります。

感染部分が広がらないようにするために、毛の長い犬種の場合はバリカンなどで被毛を短く刈る場合もあるようです。

◆真菌症の治療法②シャンプー

真菌症に有効なのは、薬用のシャンプーです。犬に真菌症が認められる場合には犬用の薬用シャンプーを使い、しっかりと患部を清潔に保つようにしましょう。

薬用のシャンプーを動物病院で処方してもらえる病院もありますが、ペットショップなどでも販売している所もありますのでぜひ薬用のシャンプーを使用してあげましょう。

●おすすめ商品
ノルバサン シャンプー0.5(コンディショナー入り) 236ml

動物用医薬部外品 薬用抗菌シャンプー主成分の酢酸クロルヘキシジンがカビ・細菌などを殺菌消毒して、ペットの皮膚・被毛を清潔に保ちます。また、各種コンディショニング成分の配合により、ふんわりしなやかな仕上がりに。低刺激なので皮膚が弱いペットにもオススメです。酢酸クロルヘキシジン0.5%含有のリンスイン、犬猫専用薬用抗菌シャンプー。殺菌・消臭・低刺激で皮膚にやさしく、安心してご使用になれます。

購入

◆シャンプー時の注意点

シャンプーをする時の注意点としては、生乾きにならないようにしっかりと毛の根元まで乾かす事が大切だということです。

せっかく薬用のシャンプーで洗ってあげても、生乾きにしてしまうと真菌症を治すどころかさらに悪化させてしまうリスクも出てきてしまいます。シャンプーをした際には必ずしっかりと乾かすようにしてあげましょう。

また、真菌症に感染している犬のシャンプーの際に使用したタオルや櫛などにも真菌が付いています。真菌が付いてしまったタオルや櫛を他の犬や人間が使用してしまうと移ってしまいますので、使用後の用具の扱いは十分に注意しましょう。


真菌症の予防法は?

真菌症を予防する方法として一番有効な方法は「真菌症に感染している動物との接触を避ける」事です。

しかし、真菌症の怖い所は、直接接触していなくても真菌症に感染している動物が触ったものを触るだけでも移ってしまう可能性が高いということです。

その事を良く覚えた上で、真菌症の予防方法をいくつか紹介していきます。

◆真菌症の予防法①シャンプー後はしっかりと乾かす

シャンプー後にドライヤーで毛を乾かす際に、面倒で中途半端に終わらせてしまったり自然乾燥で済ませてしまうと、湿った皮膚が炎症を起こしてしまいます。すると、炎症を起こしたところから真菌症に感染しやすい状態になってしまうのです。

そのような事態にならないためにも、しっかりとシャンプーで皮膚を洗うだけでなく、シャンプー後のドライもしっかりとしてあげましょうね!

◆真菌症の予防法②体調が悪い時は他の犬との接触は控える

体調が悪い時は免疫が低下している事が多いですよね。先ほども説明しましたが、真菌症は免疫が低下すると感染しやすい病気です。

ドッグランやドッグカフェなどでは不特定多数の犬がいますが、その中に飼い主さんも気付かずに真菌症を発症している犬がいる場合もあります。体調が悪く免疫力が低下している時にそのような場所で真菌症に掛かっている犬に接触してしまうと、真菌症に感染してしまう可能性が高くなってしまいます。

愛犬の体調が悪そうだなと感じた時は、たくさんの犬がいる場所は避け、感染しないように自宅でゆっくり過ごす事をオススメします。

◆真菌症の予防法③清潔に保つ

犬の皮膚を常に清潔にしておく事で、ある程度真菌症の予防をする事が出来ます。

ご飯を食べた後に口の周りが食べかすなどで汚れたままになっていませんか?散歩時に川などで水遊びしたままになっていませんか?泥水を浴びたままになっていませんか?外飼いの子の場合シャンプーで体を洗ってあげていますか?

体が不潔のままになっていると、皮膚が炎症を起こしたり他の皮膚病になるなどのトラブルを引き起こしやすくなります。皮膚が弱るとそれだけ真菌症に掛かるリスクが高くなりますから、犬の体は常に清潔に保つようにしてあげましょうね。

◆真菌症の予防法④真菌症の感染動物に接触しないように気を付ける

一番の予防法としては、真菌症に感染している動物に接触しないという事が挙げられます。

免疫が低下している時や皮膚が何らかの原因で弱っている時は、真菌症に感染するリスクがかなり高い状態の時です。

そのような時は普段より更に注意が必要なので、真菌症に感染している動物には近づかないようにしましょう。


犬の真菌症に関するまとめ

犬の真菌症についてまとめた記事でしたが、いかがでしたか?

犬の真菌症のまとめとしては、

・真菌とはカビに良く似た胞子状の菌
・真菌症の症状は円形の脱毛、痒み
・真菌症は他の犬だけでなく人間や猫にも感染する
・真菌症は子犬の発症率が高い
・治療法は服薬と薬用シャンプー
・予防法は感染している動物に接触しないこと、感染している動物が触れた物に接触しないこと

という事が分かりましたよね!愛犬が真菌症を発症してしまった際には、必ず速やかに動物病院に受診しましょう。

真菌症に掛からないように日頃から愛犬の体調管理をしっかりと行ない、清潔に保つようにしてあげましょうね!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

<<コジマ動物病院 獣医師が監修した記事一覧はコチラ>>



– おすすめ記事 –

・【獣医師監修】犬のフィラリア症の原因、症状、治療法は?フィラリア症は予防薬で防げる病気です。
・【獣医師監修】犬のでべそに要注意!臍ヘルニアの原因、治療法、治療費はどれくらい?
・【獣医師監修】犬の咳から分かる病気6選!変な咳の時は逆くしゃみ?
・【獣医師監修】犬のおならの回数が多くて臭い!考えられる病気と予防法について


focebookシャア
ツイート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ちょば

ちょば

わんちゃん大好き人間です。動物の専門学校にて様々な資格取得後トリマーやペットショップの店長を経験しました。たくさんの方に楽しいワンワンライフを送っていただくため、持てる知識と経験をフルパワーで提供していきたいと思います。

関連するキーワード


記事に関するお問い合わせはこちら