犬のまつ毛の役割とは
人間には目の上下にまつげが生えていますよね。実は、犬にもまつげが存在します。
基本的に犬は全身に被毛を纏う動物ですから、まつげとの境界線が分かりにくい犬種も中にはいますが、いずれの犬にもまつげはあるのです。
ただし、人間のように上下に生えているわけではなく、犬のまつげは上側にしかなく、下まつげがない構造になっています。
その代わりに、犬には人間にない「瞬膜」という器官があります。
犬は人間と比べて、長い時間瞬きをせずにいられるのは、眼球を覆う瞬膜が涙を行き渡らせる役割を持っているからです。
それでは、犬のまつげにはどのような役割があるのでしょうかご紹介します。
◆役割①目や眼球の保護をする
空気中に漂うチリ・細菌など、また異物・虫などから目を守る役割をもっています。
シャンプーなどの際に、滴る水が目に入らないよう防ぐ、という活躍もしていますよ。
また、頭上から降り注ぐ太陽光からも、目を保護する役割をもっています。紫外線は犬にとっても大敵!そんな強い紫外線から眼球を守っているのです。
◆役割②瞬きをさせる
役割①は、屋根や傘のような意味合いでの「守る」でしたが、まつげは目を守る為のセンサーのような役割も担っています。
まつげに異物などが触れると、脳から瞼に目を閉じるよう指示がでます。
犬のまつげも人間と同様、目や眼球を保護する為の重要な役割を担っているということですね。
◆役割③目の乾燥を防ぐ
瞬膜によって涙が補給されると前述しましたが、まつげはその水分の維持や、水分の蒸発を防ぐ役割をもっています。蒸発にいたっては、5割も防いでいるといわれています。
◆猫にもまつげはある?
猫の顔をよく見てみると、目の上にまつげともとれる被毛は生えていますが、医学的には「補助的なまつげ」とされており、正式名称を「アクセサリーアイラッシュ」といいます。
アクセサリーアイラッシュにも、人間や犬と同じように目を保護する機能はあるのですが、まつげとは違う、被毛の一部だとされているので、あくまでも「まつげ」ではなく、補助的なまつげと呼ばれているようです。
犬の逆さまつげについて
人間に起こるまつげの状態の一つに、「逆さまつげ」があります。
これは、まつげが通常どおり目の外側に向かって生えるのではなく、内側(自分自身の目)に向かって生えてくる状態のことです。
実は犬も逆さまつげのような状態に陥るケースが考えられるのです。
まつげの異常には、以下の種類があります。
◎睫毛乱生…正常な場所にまつげは生えているが、向きが角膜に向いている。
◎睫毛重生…正常よりも内側に、まつげが生えている。
◎異所性繊毛…まつげが角膜に向かって生えている。
これらの異常から、涙やけ・目のしょぼつき・充血・角膜炎などを引き起こす可能性があります。
犬にとっては珍しい症状ではないので、愛犬がこれらの状態を経験したことがある、という飼い主さんは多いでしょう。
目の周囲の毛をカットしたり、刺激の排除となるケアをしていれば、ほとんどの場合に症状は解消されます。
ただ、いずれの犬種にしても、目の充血や腫れなどの明らかな症状がみられた場合は、一旦病院で診察することをお勧めします。
長くなった犬のまつげは切ってもいいの?
犬種や個体によって、まつげの長さは様々です。短い長さであれば、カットしよう!と考える方はほとんどいないと思いますが、もし愛犬のまつげが長く、視界の邪魔をしているのでは?目に入って逆に危険では?と悩んでいる飼い主さんも中にはいるかもしれません。
目を保護する役割をもつ犬のまつげですが、このまつげ…切ってもよいものなのでしょうか。
◆まつげには最適な長さがある
まつげの役割を紹介しましたが、ある研究でまつげの最適な長さがあることが分かっています。この長さは目幅の3分の1とされており、22の哺乳類が最適なまつげの長さを持っていることが判明したのです。
犬の場合、目幅3分の1以上の長さのまつげを有する犬が沢山いますが、これは被毛の長さによって差があると考えられます。被毛が長ければ、その長い被毛から目を守るために、まつげも長くなっているというわけです。
ただ、被毛の短い犬種にもまつげの長い犬がいます。ブルドッグ系の鼻ぺちゃの犬は、少し出っ張った目をもつ傾向にありますよね。この場合も、出っ張った目を守るためにまつげが長く伸びていると考えられます。
いずれも、まつげはその個体に適した長さで、生えていることが予想できますね。
◆カットする場合は愛犬の様子を見ながら
このようにまつげには適正な長さがあり、大切な役割があると考えると、カットするのは良くないように感じるかもしれません。しかし、被毛が伸び続ける犬種がいるのも事実。
あまりに長くて顔が見えない、視界が遮られている、ということであれば、一端カットしてみるのも手です。まつげは切っても、また伸びてきます。トリミングサロンなどで相談すれば、まつげのカットも可能でしょう。
ただし、まつげがもつ役割を忘れずに、愛犬の様子を日々観察しながら、飼い主さんの判断で行ってくださいね。
犬の目やまつげに関する病気
最後に、目やまつげに関する犬の病気を一つ紹介しておきましょう。
◆眼瞼内反症・眼瞼外反症
一般的に先天的に発症することが多いといわれており、角膜や結膜が刺激を受けることで炎症を起こしてしまう症状のことです。まぶたが内側にめくれている状態を「眼瞼内反症」、外側にめくれている状態を「眼瞼外反症」といいます。
原因としては、先天的なもの以外にも、重度の結膜炎、外傷などによるまぶたの変形、眼の周囲や筋肉・神経の異常によって、まぶたのめくれ(内反・外反)がみられると考えられます。
◆眼瞼内反症
内側にめくれているまぶた自体、またはまつげが、角膜・結膜に刺激を与えている状態で、結膜炎や角膜炎を引き起こします。目に痒み・痛みが生じた結果、目やにや涙がみられるでしょう。
この状態が長期間繰り返し継続されると、角膜の白濁や、黒い色素沈着がみられるようになります。内反症の治療を施したとしても、角膜炎・結膜炎などが治りにくいケースもあるようです。
◆眼瞼外反症
外反症の場合、ほとんど下まぶたに発症します。外側へのめくれ(外反)のレベルが酷い場合、眼がまるで「あかんべー」をしたような状態にみえるようになります。これによって角膜・結膜が露出してしまうため、角膜炎や結膜炎を引き起こしやすくなってしまいます。
犬は、目の痛み・痒みによって目をしきりに気にするようになるのです。
こちらも内反症同様に、目やにや涙が多く見られるようになるでしょう。
◆治療と予防
いずれの場合も、外科的手術によるまぶたの矯正が、根本的に必要な治療となります。めくれの程度が軽度であれば、角膜・結膜を刺激しているまつげを抜いたり、点眼での内科的治療で改善することもあるようです。
内反症・外反症のいずれも、予防することは困難といえるでしょう。少しでも、愛犬のまぶたに異常を感じたり、目を気にする・痒がるなどのしぐさが頻繁に見られた場合は、一度獣医さんに相談してください。
放置することで、重症化する恐れもありますので、早めの処置をお勧めします。
まとめ
ほとんどの犬種で目立つことのないまつげですが、愛犬のまつげが気になってきた方もいるのではないでしょうか。コミュニーケーションのついでに、愛犬のまつげを少し見学させてもらってください。
人間同様、犬にとっても必要不可欠なまつげ!普段から愛犬の顔を観察し、異常がないか日々チェックしましょうね。
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