1.多頭飼育崩壊とは?
2.多頭飼育崩壊はなぜ起きるのか?
2-1.ブリーダーによるもの
2-2.犬カフェなどの動物取扱業者によるもの
2-3.一般の飼い主によるもの
2-4.飼い主死亡によるもの
2-5.行き過ぎた動物愛護者によるもの
3.多頭飼育崩壊で起こることとは?
3-1.栄養不足
3-2.病気
3-3.乱繁殖
3-4.騒音
3-5.不衛生
3-6.ネズミ、害虫の発生
4.多頭飼育の問題点とは?
4-1.犬一頭ずつに対する時間が少ない
4-2.金銭的負担が多い
4-3.部屋が狭くなる
4-4.健康管理が難しくなる
4-5.散歩が大変になる
4-6.犬同士の喧嘩
5.多頭飼育崩壊を起こさないために
5-1.管理できる頭数を飼育する
5-2.健康管理を欠かさない
5-3.避妊去勢手術をする
5-4.トイレや部屋の清潔さを保つ
【掲載:2019.05.05 更新:2020.11.06】
多頭飼育崩壊とは?
多頭飼育崩壊という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
犬などのペットを種類問わず多数飼育(多頭飼い)し、その飼育が不可能になった状態を多頭飼育崩壊と言います。
英語ではAnimal Hoarding(アニマル ホーディング)と言い、直訳は「過剰な多頭飼育」です。
一般家庭であっても数十匹を飼育しているケースもあり、多い場合には飼育数が50匹を越えることもあります。
多頭飼育崩壊はなぜ起きるのか?
犬の多頭飼育崩壊が起きると、異臭や騒音(吠え声、生活音)といった近隣トラブルに発展することも多いです。
では、なぜ多頭飼育崩壊は起きるのでしょうか?
◆ブリーダーによるもの
本来、ブリーダーとは動物の繁殖に従事している者のことを呼び、特定の犬種のスタンダード(犬種標準)を保つために血統、サイズなど様々なことに気を配った上で繁殖を行うものです。
ブリーダーの犬の管理が行き届かなくなると、多頭飼育崩壊を起こしてしまうことがあります。
ブリーダーが起こす多頭飼育崩壊の原因は様々です。
人気犬種を扱うブリーダーの場合、人気が一時的なもので犬が売れなくなるというリスクがあります。
売れなくなると収入が無くなるため、餌が買えない、掃除やシャンプーなどがこまめに出来ない、乱繁殖を繰り返してしまう、などの多頭飼育崩壊原因が出てきます。
また、そもそもブリーディングに適さない環境でブリーダーをしていた場合には、犬の居住スペースが足りなくなるため、不衛生になり病気が蔓延するなどの問題から多頭飼育崩壊を起こすこともあります。
ブリーダーは繁殖目的の業者のため、避妊去勢手術をしていない犬を多頭保有していることが周知の事実です。
そのため、犬の管理を怠ると乱繁殖から多頭飼育崩壊を起こす可能性がとても高いと言えます。
◆犬カフェなどの動物取扱業者によるもの
自分の飼育している動物ではなく、犬カフェなど多数の犬を保有し、客と触れ合わせる形態のお店などが原因のこともあります。
きちんと管理され、避妊去勢手術や健康チェックをしている業者もありますが、多頭により管理が行き届かず、乱繁殖や病気の蔓延、異臭などの多頭飼育崩壊を起こすこともあります。
◆一般の飼い主によるもの
多頭飼育崩壊は、普通の家庭でも起こり得るものです。避妊去勢手術をしない犬の多頭飼いの家庭は、多頭飼育崩壊になりやすく、危険と隣り合わせの状況です。
また、避妊去勢手術をしていたとしても、どんどん新しい犬を増やしていってしまうタイプの飼い主の場合、飼っている犬を管理しきれず多頭飼育崩壊を起こしてしまう可能性があります。
◆飼い主死亡によるもの
飼い主が何らかの理由で闘病生活になったり、死亡したことによって飼育困難となり、多頭飼育崩壊を起こすこともよくあります。
特に孤独死の場合には、悪臭や騒音による近隣からの通報で発覚することがあります。
◆行き過ぎた動物愛護者によるもの
犬の救済活動を通して、犬を迎える動物愛護者の方も多頭飼育崩壊を起こす可能性があります。
行き過ぎた愛護精神で、受け入れ先が無い犬をどんどん迎えてしまい、結果全頭が多頭飼育崩壊に陥るという負の連鎖のパターンです。
多頭飼育は度を越え、犬一匹ずつの健康管理や飼育管理ができなくなると、逆に動物虐待と見なされます。
多頭飼育崩壊で起こることとは?
では、具体的に多頭飼育崩壊に陥るとどの様な状態になるのかをご紹介します。
◆栄養不足
多頭居ることによって、一匹ずつ適正な量の食餌を与え、管理することが難しくなります。
そのため、栄養不足や餌不足になる犬の個体が出てきます。
栄養不足は病気の原因ともなるため、多頭飼育崩壊が起こる前触れとも言えます。
◆病気
犬一匹ずつの健康管理が行えない状態になると、病気の犬が出ても気付かなくなってしまいます。
中には感染、伝染する病気もあり、結果として病気が蔓延してしまう可能性が高いです。
◆乱繁殖
避妊去勢手術をしていないオス犬、メス犬が居た場合、乱繁殖に繋がる危険性もあります。
メス犬は通常1歳前後で妊娠可能な身体になります。そのため、乱繁殖により産まれた犬が更に乱繁殖をしていく、という状態になり、莫大な数の多頭になってしまう可能性があります。
また、その場合近親交配になってしまうため、遺伝子欠陥が遺伝されたり、奇形などが産まれる可能性もあります。
◆騒音
犬が多いと、それだけで生活音がうるさくなります。それに加えて、吠え声、喧嘩の唸り声などの犬の鳴き声騒音もあります。
騒音に耐えかねた近隣からの苦情により、多頭飼育崩壊が発覚するケースも少なくありません。
◆不衛生
犬が多頭いることによって、トイレが常に汚れた状態になりがちです。そうなると室内に糞尿が垂れ流され、異臭や不衛生な環境に陥ります。
特に異臭は近隣も耐えきれないほど酷い悪臭になることが多いです。
◆ネズミ、害虫の発生
不衛生な環境になると、ネズミや害虫が発生します。一度その様な環境になると、元に戻すことは難しく、どんどん劣悪な環境になってしまいます。
多頭飼育の問題点とは?
犬同士が仲良くじゃれあったり、沢山の犬に囲まれながら生活できる犬の多頭飼育は、魅力的なシチュエーションです。ですが、多頭飼育には問題点も存在します。
多頭飼育の問題点についてご紹介します。
◆犬一頭ずつに対する時間が少ない
一頭飼いの犬が飼い主の愛情を独り占めできることに対して、多頭飼いの場合は一頭ずつに対する時間が少ない傾向にあります。
そのため、犬同士が嫉妬を起こしたり、攻撃をする犬が出たり、というトラブルも起こりがちです。
◆金銭的負担が多い
食餌代、病院代、トリミングやシャンプー代など様々な金銭的負担が犬の頭数分かかります。そのため、飼い主の金銭的負担が大きくなります。
◆部屋が狭くなる
犬のサイズにもよりますが、居住スペースに対して犬の頭数が増えると、それだけ部屋が狭くなります。
それぞれのベッドやクレート、トイレスペースなどに空間が占拠されていくことが負担になる飼い主の方も少なくありません。
◆健康管理が難しくなる
一頭に向き合う時間も少なくなることから、健康管理が難しくなるという点があります。
特に排泄物のチェックで健康管理をしたい場合にも、どの犬の排泄物かわからないということも多いです。
◆散歩が大変になる
一度に何頭も連れて散歩に出掛けなければならず、全ての犬の進行方向を指示したり、コントロールするのはとても大変なことです。
また、頭数によっては散歩に何度も行かなければならないというデメリットもあります。
◆犬同士の喧嘩
犬同士でじゃれあったり、添い寝をしていたり、という状況を夢見て多頭飼いをしたのに、犬同士の相性が悪く喧嘩が絶えない、というパターンもあります。
犬は群れの中に序列を作る生き物のため、下の立場になってしまった犬はトイレを使わせてもらえず泌尿器系のトラブルを起こしたりすることも多いです。
これは犬に限った話ではなく、猫の多頭飼いも同様です。
多頭飼育崩壊を起こさないために
では、多頭飼育崩壊を起こさないためには、どうすれば良いのでしょうか。
◆管理できる頭数を飼育する
環境や飼い主のキャパシティに応じて、管理できる頭数というものは異なります。健康状況や環境などを管理できる頭数を飼育するようにしましょう。
◆健康管理を欠かさない
日々の健康管理を欠かさないことのメリットは、異変に即座に気付くことができるという点です。
また、ワクチン接種などを通し、健康を保つことも出来ます。
◆避妊去勢手術をする
避妊去勢手術をすることにより、乱繁殖を避け、気付いた時に頭数が増えていた、という状況に陥らないようになります。
逆に、ポリシーを持って避妊去勢をしたくないという飼い主の場合には、管理できるだけの頭数で抑える、ということが大切なポイントとなります。
◆トイレや部屋の清潔さを保つ
不衛生な環境では、犬が病気になったり、害虫が発生したりしてしまいます。こまめな掃除で清潔さを保つ様にしましょう。
特にトイレに関しては、他の犬が排泄したところには排泄できない犬も多いので、しっかり犬用トイレ消臭剤などを使用し、いつでも綺麗な状態を保てる様にしましょう。
まとめ
犬の多頭飼育崩壊は、テレビの中の話ではなく身近な問題です。ごく一般的な家庭が多頭飼育崩壊に陥っていることも少なくありません。
管理できる数の犬を、栄養面や体調面、様々なことを考慮し飼育する様に務めれば、多頭飼育崩壊は起きません。多頭飼いのメリットだけでなくデメリットも理解し、多頭飼育崩壊に陥らないようにしましょう。
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